【ワシントン】米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は30日、意図しない加速問題の原因究明で、今のところトヨタ車の電子制御の欠陥を発見できていないと改めて述べた。全米科学アカデミー(NAS)の科学委員会も調査に乗り出した。
突然の加速やアクセルペダル問題でトヨタ自動車が世界で800万台以上のリコール(回収・無償修理)に追い込まれた問題で、一部の議員や消費者保護活動家、製造者責任問題を扱う弁護士らは、エンジン電子制御装置が何らかの要因になっていることを示唆している。また、トヨタと規制当局は電子装置の調査を十分に行っていないのではないかと疑問を呈している。
NHTSAのダン・スミス氏は全米科学アカデミー(NAS)の科学委員会で、トヨタ車に「スロットル電子制御システムの欠陥は見つかっていない」と述べた。同氏は、トヨタ車の問題のうち、フロアマットの引っ掛かりとアクセルペダルがアイドルポジションに戻るのに時間がかかるという二つについてしか原因を特定できていない、と語った。
NASは意図しない加速の問題について広範な調査を行っており、最終的に、規制当局が標準をどう改善し、欠陥をどう特定すべきかについて勧告することになる。
スミス氏は、NHTSAは電子制御装置の欠陥の可能性を除外していないとし、調査は継続していると述べた。NHTSAはトヨタ車のリコール問題を米航空宇宙局(NASA)の技術者と共同で調べている。
NHTSAのストリックランド局長は委員会で、意図しない加速は主要自動車メーカーすべてに影響する問題だと指摘した。
またNHTSAのロジャー・ソール氏は、昨年10月のトヨタの最初のリコール以降、数年前に起きた何件かも含めて、64件(死者数78人)の衝突事故の報告を受けているとし、このうち車の欠陥によって起きたと立証できたのはわずか1件だけだったと述べた。