2009年07月14日
若年女子の摂食障害、祖母の高学歴、父母の高学歴と高収入、本人の好成績でリスク上昇。
1952−89年に生まれたスウェーデン若年女性13,376人の、12歳以上での摂食障害(拒食症や過食症等)による入院リスクについて調べたところ、、母方の祖母が高学歴(6.49倍)、父母の高学歴と高収入(約2倍)、本人の15歳の時の学業成績が良好な場合(国語9.28倍、歴史5.34倍、数学4.79倍)に、リスクが高かった。論文はAmerican Journal of Epidemiologyのサイトに2009年7月9日掲載された。
摂食障害による入院は55人に生じ、その約半分が拒食症だった。
父母の学歴と収入が高いほうがリスクは約2倍高かった。また、兄弟の存在はリスクを下げ、妹の存在はリスクを上げた。しかしこれらの結果は、いずれも統計的には誤差の範囲の結果に留まった。
摂食障害の症例数が55人と少なかったため、多くの分析結果が、統計的には誤差の範囲に留まった。しかし著者らは、今回の研究における最大の知見は、父母の社会的地位(学歴と収入)と、母方のバックグラウンド(祖母の高学歴)が、摂食障害による入院のリスクを上昇させることだと位置づけている。
また、こうした結果は、本人自身と周囲からの高い要求の影響を示唆していると述べている。学業成績に関する結果についても、本人の能力(知能指数)以上の成績を期待する家族の雰囲気が影響している可能性を示唆している。
結果の解釈上の問題点の一つとして、父母の社会的地位が高いことが原因で、娘の摂食障害のリスクが高まるのではなく、リスク自体は高くないが、社会的地位の高い父母の方が、娘の病気に対して医療の助けを求める傾向がより強い可能性もあると、著者らは考察している。
⇒今回の結果を見ると、祖母、父母、兄弟姉妹の影響を含めて、摂食障害が「家族の病」であることを感じさせられる。日本でも、症例報告等に留まらない、しっかりした疫学調査の実施を期待したいところだ。
論文要旨
摂食障害による入院は55人に生じ、その約半分が拒食症だった。
父母の学歴と収入が高いほうがリスクは約2倍高かった。また、兄弟の存在はリスクを下げ、妹の存在はリスクを上げた。しかしこれらの結果は、いずれも統計的には誤差の範囲の結果に留まった。
摂食障害の症例数が55人と少なかったため、多くの分析結果が、統計的には誤差の範囲に留まった。しかし著者らは、今回の研究における最大の知見は、父母の社会的地位(学歴と収入)と、母方のバックグラウンド(祖母の高学歴)が、摂食障害による入院のリスクを上昇させることだと位置づけている。
また、こうした結果は、本人自身と周囲からの高い要求の影響を示唆していると述べている。学業成績に関する結果についても、本人の能力(知能指数)以上の成績を期待する家族の雰囲気が影響している可能性を示唆している。
結果の解釈上の問題点の一つとして、父母の社会的地位が高いことが原因で、娘の摂食障害のリスクが高まるのではなく、リスク自体は高くないが、社会的地位の高い父母の方が、娘の病気に対して医療の助けを求める傾向がより強い可能性もあると、著者らは考察している。
⇒今回の結果を見ると、祖母、父母、兄弟姉妹の影響を含めて、摂食障害が「家族の病」であることを感じさせられる。日本でも、症例報告等に留まらない、しっかりした疫学調査の実施を期待したいところだ。
論文要旨