2009年07月24日
精神疾患の家族歴で、本人の発症、再発、重症化のリスクが上昇。
ニュージーランドの男女981人を3−32歳まで追跡したところ、大うつ病性障害、不安障害、アルコール依存、薬物依存について、三世代における家族歴の保有率が高いと、本人の同じ疾患の発症、再発、重症化、医療利用増加のリスクが全般に高かった。論文はArchives of General Psychiatry 2009年7月号に掲載された。
三世代における家族歴の保有率は、祖父母、父母、10歳以上の兄弟姉妹の人数を分母として、該当の疾患の既往がある者の人数を分子として計算した。その歳、一親等(父母と、同父母の兄弟姉妹)は1人、2親等(祖父母、異父母の兄弟姉妹)は0.5人として計上した。
一方、発症年齢については、家族歴の保有率と関係しなかった。この点について著者らは、うつ病の家族歴により本人のうつ病が若年化することを示した研究が多数あるが、大半は医療機関を訪れた患者を対象にしており、今回のような地域ベースの研究ではない。そのため、発症年齢そのものが若年化するのではなく、家族歴があるので医療機関を早期に受診し、病気として診断される年齢が早くなるのではないかと考察している。
著者らによると、これまでうつ病については、類似の研究が比較的行われてきたが、それ以外の疾患については、ほとんど検討されてこなかったという。
⇒今回調査した精神疾患の家族歴を持つ人や患者にはがっかりするデータだが、医療側としては、家族歴を持つ患者の再発や重症化等に特別の注意を払うことで、そうした患者に対するケアを改善できる可能性を示していると言えるだろう。
論文要旨
三世代における家族歴の保有率は、祖父母、父母、10歳以上の兄弟姉妹の人数を分母として、該当の疾患の既往がある者の人数を分子として計算した。その歳、一親等(父母と、同父母の兄弟姉妹)は1人、2親等(祖父母、異父母の兄弟姉妹)は0.5人として計上した。
一方、発症年齢については、家族歴の保有率と関係しなかった。この点について著者らは、うつ病の家族歴により本人のうつ病が若年化することを示した研究が多数あるが、大半は医療機関を訪れた患者を対象にしており、今回のような地域ベースの研究ではない。そのため、発症年齢そのものが若年化するのではなく、家族歴があるので医療機関を早期に受診し、病気として診断される年齢が早くなるのではないかと考察している。
著者らによると、これまでうつ病については、類似の研究が比較的行われてきたが、それ以外の疾患については、ほとんど検討されてこなかったという。
⇒今回調査した精神疾患の家族歴を持つ人や患者にはがっかりするデータだが、医療側としては、家族歴を持つ患者の再発や重症化等に特別の注意を払うことで、そうした患者に対するケアを改善できる可能性を示していると言えるだろう。
論文要旨