2009年10月13日
妊娠時の喫煙で、子供の統合失調様症状のリスクが上昇。
6,356人の小児を妊娠時から追跡調査を行なったところ、母親が妊娠時に喫煙していた場合は、子供が12歳の時点で統合失調様の症状(幻覚、妄想、思考干渉)を持つリスクが上昇した。論文はBritish Journal of Psychiatry 2009年10月号に掲載された。
統合失調症様の症状は、12項目の質問によって、幻覚(視覚的、聴覚的)、妄想(監視されている、思考を読み取られている等)、思考干渉(自分の考えが誰かに操られている感覚)を調べた。対象児童の11.6%が、こうした症状の確実例または疑い例と判定された(うち確実例は4.7%)。
確実例または疑い例と判定されるリスクは、母親が妊娠中に喫煙しなかった場合と比べて、一日1−9本の喫煙では0.92倍、10−19本では1.47倍、20本以上では1.84倍だった。つまり、一日の喫煙本数が増えるほどリスクも段階的に上昇した。
一方、母親の妊娠中に父親が喫煙した場合、リスクの上昇はなかった。これは、家族の社会階層など他の要因ではなく、母親の妊娠中の喫煙そのものがリスクを上げることを示唆する知見だった。
アルコールについては、妊娠中の非飲酒の場合と比べて、一日約25gを超える多量飲酒でリスクが2.40倍に上昇した。しかし、これだけの多量飲酒者は25人だけだった。これより少ない飲酒では、リスクの上昇を認めなかった。
著者らは、今回調査した統合失調症様の症状が、実際に統合失調症という臨床的疾患に結びつくか否かは明らかではないが、これまで2件の追跡調査で、非臨床的な精神病様の症状の存在が、将来の臨床的な精神病の発症リスクを高めることが報告されていると述べている。
著者らはまた、母親の妊娠時の喫煙と子供の統合失調症との関係を調べた先行研究は2件しかなく、どちらも関係を認めていないという。
⇒妊婦の喫煙が、早産などの妊娠合併症、新生児の低体重と呼吸機能低下、乳幼児突然死症候群など、妊娠から乳幼児期にかけての多くの健康障害の危険因子であることは確立している。また著者らによると、青少年期の知的能力、注意欠陥多動性障害、行動障害との関係も指摘されているという。
今回の研究はこれらの健康障害のリストに、統合失調様の症状(ひいては臨床的な統合失調症そのもの)が付け加わる可能性を示唆したものだ。結論が出るのは先の話だろうが、妊婦の禁煙の重要性を改めて示したデータと言えるだろう。
同誌サイトより全文を無料で閲覧できる。
統合失調症様の症状は、12項目の質問によって、幻覚(視覚的、聴覚的)、妄想(監視されている、思考を読み取られている等)、思考干渉(自分の考えが誰かに操られている感覚)を調べた。対象児童の11.6%が、こうした症状の確実例または疑い例と判定された(うち確実例は4.7%)。
確実例または疑い例と判定されるリスクは、母親が妊娠中に喫煙しなかった場合と比べて、一日1−9本の喫煙では0.92倍、10−19本では1.47倍、20本以上では1.84倍だった。つまり、一日の喫煙本数が増えるほどリスクも段階的に上昇した。
一方、母親の妊娠中に父親が喫煙した場合、リスクの上昇はなかった。これは、家族の社会階層など他の要因ではなく、母親の妊娠中の喫煙そのものがリスクを上げることを示唆する知見だった。
アルコールについては、妊娠中の非飲酒の場合と比べて、一日約25gを超える多量飲酒でリスクが2.40倍に上昇した。しかし、これだけの多量飲酒者は25人だけだった。これより少ない飲酒では、リスクの上昇を認めなかった。
著者らは、今回調査した統合失調症様の症状が、実際に統合失調症という臨床的疾患に結びつくか否かは明らかではないが、これまで2件の追跡調査で、非臨床的な精神病様の症状の存在が、将来の臨床的な精神病の発症リスクを高めることが報告されていると述べている。
著者らはまた、母親の妊娠時の喫煙と子供の統合失調症との関係を調べた先行研究は2件しかなく、どちらも関係を認めていないという。
⇒妊婦の喫煙が、早産などの妊娠合併症、新生児の低体重と呼吸機能低下、乳幼児突然死症候群など、妊娠から乳幼児期にかけての多くの健康障害の危険因子であることは確立している。また著者らによると、青少年期の知的能力、注意欠陥多動性障害、行動障害との関係も指摘されているという。
今回の研究はこれらの健康障害のリストに、統合失調様の症状(ひいては臨床的な統合失調症そのもの)が付け加わる可能性を示唆したものだ。結論が出るのは先の話だろうが、妊婦の禁煙の重要性を改めて示したデータと言えるだろう。
同誌サイトより全文を無料で閲覧できる。