27万6千頭埋却完了 非常事態一部解除へ

(2010年7月1日付)

 口蹄疫の感染拡大を防ぐためにワクチンを接種した家畜7万6756頭(牛3万854頭、豚4万5902頭)の殺処分と埋却が30日、すべて終了した。

 感染疑い家畜の処分も既に終わっており、県は県内全域に出した非常事態宣言を1日、一部解除する方針。このまま新たな発生がない場合、最短で16日までに家畜の移動・搬出制限はすべて解かれ、非常事態宣言も解除される。ただ、再発の可能性は依然残っており、県は「今一度、気を引き締めて防疫の徹底や消毒に協力を」と呼び掛けている。

 感染疑いと合わせ、犠牲になった牛や豚は5市6町で計27万6049頭。県内飼育総数(今年2月1日現在)の22・5%に上る。国内初となった口蹄疫ワクチン接種は、川南町など3市5町で12万5550頭(一部は接種後に感染疑いを確認し、処分)を対象に5月下旬から実施。6月5日から殺処分に着手した。

 30日は川南、都農、高鍋、新富の4町で610人(うち獣医師117人)が従事し、3393頭を処分。2187頭が残っていた川南町では、試掘で水が出るなど埋却地の確保にも悩まされながら、午後7時前に作業を終えた。

 国や県は6月中旬、早期終息には迅速な家畜の処分が必要として、感染疑いは同20日、ワクチン接種分は同30日を終了目標に設定。感染疑いは同24日に全19万9293頭の処分を終えていた。全域が接種対象となった川南、都農、新富町では牛、豚がゼロとなった。高鍋町もワクチン接種を拒否している農家を除き、牛、豚が姿を消した。

 一方、県は5月18日に出した非常事態宣言について、消毒徹底などを条件にイベントや大会などの開催を認めるなどの緩和措置を1日に発表する方針であることが30日、関係者への取材で分かった。一般県民に対する不要不急の外出自粛要請を全域で解除するほか、移動制限区域外でのイベント開催などを認める内容。畜産農家などへの消毒徹底は引き続き強く求めていく。

 東国原知事は「殺処分の対象となった畜産農家の無念さや再開に向けた不安は、言葉では言い尽くせないと思う。殺処分や埋却地の確保、雨でぬかるむ中での埋却作業や消毒、資材調達などに従事いただいた方々、県民の協力、県内外の方々の温かい支援に感謝申し上げる」とコメントした。

【写真】殺処分した家畜を埋却地に運ぶためトラックに積み込む作業員=30日午前、新富町(県提供)