クジラ肉は「たまたま」網にかかったものなのか(下)
15以上の違法な捕鯨団が暗躍
今回摘発されたK容疑者らのグループは、慶尚南道昌寧郡の農村地帯に、リサイクル品倉庫を装った冷凍倉庫を設けていた。家宅捜索が行われたとき、倉庫には部位ごとに包装されたクジラの肉が入った箱が数百箱も積まれていた。その総重量は10トンを超えていたという。
捕鯨団は、出港するたびにクジラを捕獲していたという。多いときは1日に5頭を捕獲し、1頭当たりの価格は1000万ウォン(約73万円)だったとのことだ。この金を、船主や船長が200万ウォン(約15万円)ずつ、船員が100万ウォン(約7万3000円)ずつ、海上での運搬役が300万-400万ウォン(約22万-29万円)ずつ分け合っていた。
海上での運搬役の取り分が多いのは、危険な仕事であることに加え、暴力団が関与しているためだ。ミンククジラの時価は2000万-3000万ウォン(約146万-218万円)だが、捕獲自体が違法なため、価格は安くなる。捕鯨団は昨年5月以降、こうした手法で120頭以上のミンククジラを捕獲してきた。
ミンククジラは漁師たちの間で「海のロト」と呼ばれている。たまたま、網にかかって死んだミンククジラを発見できれば、それは「掘り出し物」だ。2004年4月25日、蔚山市の沖で、網にかかって死んでいるのが見つかった体長7メートルのミンククジラは、1億2365万ウォン(約900万円)で取り引きされた。
死んだクジラを発見した場合、海洋警察に届け出なければならない。海洋警察は、金属探知機による検査などを経て、違法に捕獲したものではないことを確認した後、捕獲した漁師に返却する。このため、環境保護団体は、「漁民たちが、網にかかったクジラのように見せ掛けている」と指摘してきた。
警察は、「違法な捕鯨団が、全国で15グループ以上活動しているとみられ、捕獲したクジラの肉はほとんど販売されているとみられる」と説明した。また、最近は日本から密輸したクジラも販売されている。
姜訓(カン・フン)記者