2010年02月23日

不定期の多量飲酒で、虚血性心疾患のリスク上昇。

14件の論文をまとめて総合評価を行なったところ、定期的な中等量までの飲酒と比べて、月に1回以上の不定期な多量飲酒では、虚血性心疾患のリスクが1.45倍と高かった。論文はAmerican Journal of Epidemiology電子版に2010年2月8日掲載された。

14件の論文のうち、10件は追跡調査、4件は患者と比較群の過去の飲酒をたずねて比べる後向き研究だった。虚血性心疾患の症例数は4,718例だった。

「不定期な多量飲酒」の定義は、「年12回以上週5日未満の、アルコールで60g超の飲酒」とした。アルコール60gは、日本酒で3合弱に相当する。一方、定期的な「中等量までの飲酒」の定義は示していないが、一般には、男性でアルコール24g(日本酒約1合)、女性でその半分が相当する。今回の個々の論文では、「週5−7日」「1回1−4杯(アルコール12−48g)を週3−7日」などと規定されている。

中等量までの飲酒による虚血性心疾患の予防のメカニズムとして、HDLコレステロールの上昇、血小板凝集の抑制やフィブリノーゲンの減少(いずれも血液の凝固と血栓の形成に関わる)、抗炎症作用を著者らは挙げている。一方、多量飲酒によるリスク上昇のメカニズムとして、血圧の上昇、血液凝固への悪影響、飲酒を止めた後の不整脈、LDLコレステロールの上昇を挙げている。

こうした結果から著者らは、中等量までの飲酒による心臓病予防効果は、不定期な多量飲酒と混ざることで消失すると結論している。

⇒「定期的な中等量までの飲酒」の定義が論文によってばらついているのが今回の研究の問題点だろう。これを明確に定義し、「不定期な多量飲酒」とリスクを比べる、大規模な集団での検討が今後必要だ。

もっとも、今回の研究の「不定期な多量飲酒」に該当する日本人飲酒者は相当多いと思われる。中等量までの飲酒の心臓病予防効果が強調されることが多いが、一回に日本酒3合弱でも「多量飲酒」に相当することを、公衆衛生的なメッセージとしてより強調することが必要ではないだろうか。

論文要旨

ytsubono at 06:00論文解説  この記事をクリップ!
記事検索
QRコード
QRコード
  • livedoor Readerに登録
  • RSS
  • ライブドアブログ