2010年03月29日

コーラの多量摂取で、精子の量が減少か。

デンマークの徴兵検査に出頭した若年男性2,554人を調べたところ、コーラ(0.5L)を週15本以上飲む少数のグループ(78人)では、精液中の精子の濃度と精子数が低かった。論文はAmerican Journal of Epidemiology電子版に2010年3月25日掲載された。

デンマークには徴兵制があり、原則18歳で徴兵に適格かを審査するための検査に呼び出される。大学に進学している場合などは、審査の時期を遅らせることができる。今回の研究は、この検査に出頭した若年男性に協力を依頼して行なった。協力率は31%だった。

評価項目は、精液の量、精液中の精子の濃度、精子数、移動性のある精子の比率、形態が正常な精子の比率の5項目だった。

その結果、コーラ(0.5L)を飲まないグループと比べて、週に1−14本飲むグループでは、上記の5項目に差はなかった。ところが、コーラを週15本以上飲む少数のグループ(78人)では、精子の濃度(飲まないグループが5,600万/mLに対して4,000万mL)と精子の数(1億8,100万に対して1億2,100万)が低下した。他の3項目には明確な差がなかった。

また、カフェインを摂らないグループと比べて、一日800mg(コーヒーで約7杯)を超えて摂るグループでも、精子の濃度と精子の数が低下する傾向があったが、誤差範囲の結果に留まった。カフェインの摂取源である食品ごとの分析では、コーヒー、紅茶、ココア、チョコレートと精液の評価項目は関連がなく、コーラのみが上記の関連を示した。

著者らによると、カフェインと精液の質との関係を調べた先行研究は数件あるが、結果は不一致(関連なし、移動性のある精子が増加、精液の質が低下など)。また、多数の食品源からのカフェインの摂取を調べた研究は、今回が初めてという。

コーラを週15本以上飲むグループは、飲まないグループと比べて、牛乳・果物・野菜・魚の摂取が少なく、牛肉・ハンバーガーの摂取が多く、やせと過体重が多く、喫煙者が多かった。こうした要因を考慮した分析でも、コーラの多量摂取群で上記の精子の濃度や量の低下が見られた。しかし著者らは、コーラそのものではなく、コーラの多量摂取群の不健康な生活習慣が、精子の濃度や量の低下と関係している可能性も議論している。

⇒協力率が低く(31%)、コーラの多量摂取者も少なく(78人)、精液に関する5項目の評価指標のうち2項目だけで関係を認めた。そのため、コーラの多量摂取と精液の質の低下を確認した研究としてではなく、今後の追試が必要な仮説を提示した研究として理解すべきだろう。

論文要旨


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