2010年06月23日

肥満の女性、予定外の妊娠リスク4倍。

フランス全国から無作為に選んだ18−69歳の男女10,170人を対象に肥満度と性的行動の関係を調べたところ、肥満の女性は、性的パートナーがいる確率が0.71倍と低いにもかかわらず、予定外の妊娠リスクは4.26倍と高かった。論文は、British Medical Journal電子版に2010年6月15日掲載された。

対象者の肥満度は、kgの体重をmの身長で2回割った体格指数(BMI)で判定した。BMIが18.5−24.9を正常群、25.0−29.9を過体重群、30以上を肥満群と分類した。

その結果、正常群と比べて肥満群では、女性では過去12ヶ月に性的パートナーのいる確率が0.71倍と低い(男性では低くない)一方、男性では2人以上パートナーがいる確率が0.31倍と低かった(女性では低くなかった)。18-29歳の女性では、インターネットで相手を見つける確率は正常群より肥満群が4.84倍高かった(男性では高くなかった)。

一方、過去12ヶ月にセックスをした人では、男女とも、1ヶ月の回数(全体で男性8.64回、女性8.6回)や満足度について、肥満度による差はなかった。ただし男性では、勃起不全の経験者は、正常群より肥満群が2.58倍高かった。

また、18−29歳の女性では、正常群と比べて肥満群で、経口避妊薬の使用が0.34倍と低く、避妊の問題で過去12ヶ月に医師を診察した確率も0.37倍と低かった。さらに、予定外の妊娠リスクが4.26倍高く、過去5年間の中絶のリスクも3.72倍高かった。

著者らによると、一般人口で肥満度と性的活動との関係を包括的に調べた研究は、今回が初めて。これまでは、重度の肥満男性などに対する小規模な研究が中心で、女性に対する研究はほとんどないという。

研究に対する論評は、公衆衛生的には、肥満は健康や長寿に悪いだけではなく、性生活にも悪いというよく知られたメッセージに、新たな観点を付け加えるものだと今回の研究を評価している。その上で、肥満も性生活も医師が患者と話しにくい問題ではあるが、これらの問題について調べる必要性を喚起するものだと述べている。

⇒論評も指摘しているが、正常群と比べて肥満群では、性的パートナーがいる確率が低いにもかかわらず、予定外の妊娠や流産のリスクが高いという結果の理由について、今後解明する必要がある。また、今回のフランス人の結果が、日本人にも当てはまるかどうかは留保が必要だろう。日本人での研究が望まれるところだ。

論文要旨

ytsubono at 06:00論文解説  この記事をクリップ!
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