おかえり、そしてありがとう--。多くのトラブルを乗り越え日本の小惑星探査機「はやぶさ」が13日深夜、7年にわたる小惑星往復の旅を終えた。その奮闘ぶりは多くの人に感動を与え、どんなときもあきらめないことの大切さを伝えた。はやぶさが帰還するオーストラリアで、管制を担う相模原市で、人々はそのフィナーレに拍手を送った。
はやぶさの運用を管制する相模原市の宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所。13日午後7時51分「カプセル分離」の信号が管制室に届くと、この日の運用に携わるJAXAや開発メーカーの約40人が一斉に拍手。確実に分離したかどうかを確認するため、あわただしく職員が動き回った。
はやぶさの主エンジン開発にかかわったJAXAの清水幸夫・品質保証室副室長は「第1段階はクリアしたが、最終的な使命はカプセルを回収すること」と話し、気を引き締めた。
プロジェクトを率いる川口淳一郎JAXA教授は「7年も宇宙空間に置かれたはやぶさのバッテリーなどが予定通り機能したのは大きな喜びだ」と話した。
13日夕から宇宙科学研究所に詰めかけたファンは約400人。「切り離し成功」に喜ぶ管制室の様子を大型モニターで確認すると「オーッ」という歓声とともに大きな拍手がわき起こった。東京都町田市の自営業、神尾和顕さん(37)は「日本の技術を誇らしく思う。はやぶさにお疲れさまと言ってたたえたい。最後に地球の写真を撮影すると聞いているが、ぜひそれも達成してほしい」と興奮ぎみに話した。【藤野基文、西川拓】
毎日新聞 2010年6月13日 21時16分(最終更新 6月14日 2時19分)