南米の強豪・パラグアイと延長、PK戦にもつれこんだ死闘の末、涙をのんだサムライブルーの戦士たち。下馬評を覆し、全員サッカー、チームワークで快進撃を続けた日本代表の戦いを見守った選手の家族は「駒ちゃんは悪くない」とPKを外した駒野友一(28)をかばった。選手だけでなく、家族もサポーターも“チーム一丸”だった。
◇ ◇
「(PKを)外された駒ちゃんの気持ちを思ったんだと思います」。PKを外し泣きじゃくる駒野の肩を抱き、「これまで試合で泣いたことがなかった」という涙を流した息子・松井大輔(29)の姿を見て、母・美幸さんは目を潤ませた。
父・一雄さんは「重い深い涙やと思いますので、ここまでたどり着いたことも、すべて命がけでやってきたことやないかと思いますけどね。ご苦労さまと一声かけてやりたい」と話し、「これ(涙)はうれし涙です。親として悲しい涙ではありません」と涙をにじませながら、胸を張った。
死闘の末、パラグアイに惜敗した29日夜(日本時間30日午前)、選手の家族やサポーターも涙にくれた。
南アフリカでは、試合観戦後、ホテルのロビーで遠藤保仁(30)の父・武義さんら選手の家族やサポーターら約30人がビールや焼酎を持ち寄り、“残念会”を開いた。
「息子が試合後に泣く姿なんて初めて見た。負ける気はしなかったが、PKだけはしょうがない」。目は真っ赤だった。
選手を見守った母や父からは、PKを外した駒野を思いやる言葉が次々とあがった。阿部勇樹(28)の父・勝夫さんは、駒野について「かわいそう。彼の責任ではない」と気遣った。ほかの選手の家族も「駒ちゃんは悪くない」とつぶやいた。チームワークで躍進を遂げた侍たち。その家族もチーム同様、一丸だった。
PKを外した瞬間、両手で顔を覆って天をあおいだ駒野の母・友美子さん。試合直後に取材のマイクを向けられ「本当によくここまで頑張ってこれた」と少しだけ笑みを浮かべて語った。