大相撲の野球賭博問題で、NHKの福地茂雄会長は1日の定例会見で、名古屋場所(11日初日・愛知県体育館)を中継するかどうかについて「6日以降に判断する」と言明した。日本相撲協会は4日に臨時理事会を開き、今回の問題について処分を決定。5日に協会側から報告と経過説明を受け、結論を出すという。NHKに寄せられた視聴者の意見は約7割が「中継反対」。多数の力士の出場停止で取組数が大幅に減少しており、中継継続には多くの難問が待ち受けている。
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福地会長は、一時は中継中止を考えたこともはっきりと明かした上で、現状は「まったくの白紙」と強調したが、中継継続への可能性は高まってきたようだ。特別調査委員会が6月28日に出した処分勧告などについては「見識ある方々が出された結論。それなりに評価している」と話す一方、「公共放送なので、やるにしてもやらないにしても責任がある」と述べた。
相撲協会は5日にNHKに出向き、処分などを説明する。福地会長は、中継するかどうかの判断基準については「視聴者がどう受け止めるかが大事。どのように反社会的な行動の再発防止策が出されるか。視聴者が納得できる説明をしてくれればいい」と示した上で、「国技なので、クリーンで国民に愛されるスポーツであってほしい」と要望した。
NHKによると、野球賭博の問題が表面化した6月14日から同月末までに視聴者から寄せられた意見約8200件のうち、67%(約5500件)が中継に反対、10%(約830件)が賛成だった。
福地会長は「朝青龍問題の時はトータルで458件で、“中継をやめるべき”は8件だった。かつてないほど視聴者の関心は高い」とした上で、「相撲を楽しみにしている寝たきりのおばあちゃんや中入り前から見ているファンもいる」などと説明。「数が多いから単純に(中継を)やめればいいという問題ではない」と話した。
ただ、中継継続の場合でも問題は多い。賭博にかかわった力士の不出場で取組数が激減するため、NHKは放送時間の変更なども想定している。スポーツ担当の今井環理事は放送時間の短縮のほか、「今回の問題の説明があってもいい」と相撲中継の枠内で、相撲界が反省し、どう変わっていくのかを視聴者に伝えるコーナーを設ける案も明かした。