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【芸能・社会】

パク・ヨンハさん自殺 チェ・ジウら続々弔問

2010年7月1日 紙面から

 【ソウル共同】韓国警察当局によると、日本でも大ヒットした韓国ドラマ「冬のソナタ」に出演した韓流スター、パク・ヨンハさん(32)が30日午前、ソウル市江南区内の自宅で、ビデオカメラの充電用コードで首をつり死亡しているのが見つかった。遺書は発見されなかったが、警察当局は現場の状況などから、飲酒し衝動的に自殺を図ったと断定した。遺族の要望もあり、遺体の解剖は行わない。

 母親が見つけ、警察に届け出た。パクさんは胃がん末期患者の父親の病状や、芸能活動をめぐりストレスがたまっていたとみられる。最近、よく眠れず睡眠薬を常用し、周辺に「仕事も生活も非常につらい」と漏らしていたという。

 パクさんは歌手としても有名。「冬のソナタ」では韓流スターのペ・ヨンジュン演じる主人公の恋敵役を演じた。日本でも人気があり、6月19日から全国ツアー中で、27日に一時帰国し、7月1日に再び訪日する予定だった。

 警察当局などによると、パクさんは親思いで、がんと診断された父親を自宅で看病。30日未明も父親の足などをもみながら「すまない、すまない」と漏らした後、自分の部屋に入った。

 聯合ニュースによると、芸能事務所を2月に設立し経営していたが、職員の金銭トラブルで経営難に陥っていた。ソウルで日本人観光客を相手にした飲食店関係の新事業も検討していた。

 韓国ではここ数年、歌手やタレントの自殺が相次ぎ、パクさんの死も芸能界に大きな衝撃を与えた。

◆チェ・ジウ悲痛な表情

 パクさんの遺体が安置されたソウル市内の江南聖母病院斎場に設けられた祭壇には、俳優仲間や関係者らが続々と弔問に訪れた。

 「朝鮮日報」(電子版)によると、パクさんを親友として慕っていた俳優のソ・ジソプ(32)は、「どうしてこんなことに…」と絶句し、祭壇の前で号泣した。「冬のソナタ」で共演したチェ・ジウ(35)も悲愴な表情。ほかにも東方神起のユンホ(24)、俳優のソン・スンホン(33)、女優キム・ヒョンジュ(32)ら会場を訪れた。

 また、ドラマ「ザ・スリングショット〜男の物語〜」で共演した女優のパク・シヨン(31)は、関係者から訃報(ふほう)を聞いた際、涙が止まらなかったという。ドラマ共演後、兄と妹のように親しくなったといい、パクさんが亡くなる前日に電話で話したが普段と変わらない様子だったという。

◆韓国芸能界で自殺者急増 後追い続き社会問題に

 国民的女優だったチェ・ジンシルさんや「花より男子」などのドラマで活躍したタレント、チャン・ジャヨンさんら韓国芸能界では、自殺者が急増し、一般人の後追いとみられる自殺も続くなど、社会問題になっている。

 なぜ、韓国芸能界でこれほど自殺者が相次ぐのか。韓国メディアの一部は「自殺の原因はそれぞれだが、うつ病症状や極度のストレスなど、一様に心細い状態だった点が共通している」としたうえで、「芸能人を商品として眺める、体系的ではないプロダクションが横行し、タレントは監獄の中のような生活をしている。韓国芸能界の特性も原因だ」と指摘する。

 韓国では新人時代からタレントをスター扱いする代わりに、キャリアを積んでも、すべてがプロダクション側に管理されることを強いられる。こうしたシステムがタレントにストレスを与える原因ではないかという。また、韓国社会の保守性やネット社会の拡充も背景にあるとみられる。

 韓国では芸能界だけでなく、1998年の国際通貨危機をきっかけに、経済的な困窮などが理由とみられる自殺者が急増。2009年のOECD(経済協力開発機構)の統計資料によると自殺率は、加盟国の中でハンガリー、日本に次いで3位(人口10万人当たり18.7人)だった。

◆きょう来日のはずだったのに…

 パクさんは、6月9日にニューアルバム「STARS」を発売し、19日から5年ぶりの全国ツアー(14カ所18公演)を開始したばかりだった。

 同アルバムはオリコンチャートで16位を獲得。日本ではシングル9枚とアルバム8枚を発売し、DVDとCDの総売り上げが100万枚を超えるなど、歌手としても人気を集めていた。今回のツアーも全公演分のチケットが売り切れていた。

 所属レコード会社ポニーキャニオンによると、パクさんは5月下旬にアフリカへボランティア活動に出かけた後、6月1日にツアーのリハーサルと本番に向けて来日。19日に初日公演を終え、21日に韓国に一度帰国した。25日に再来日し、26日の埼玉・川口総合文化センターリリアホールでの公演が最後の公の場となった。

 27日に再び韓国へ帰ったパクさんは、7月1日に日本に戻り、2日に神戸国際会館こくさいホールで公演を行う予定だった。

 ポニーキャニオンの関係者は「普段と変わりなく、日本でのコンサートを楽しんでいるようだった。にこやかに取材にも対応し、まさかこのようなことになるとは…」と絶句していた。

 2日以降のコンサートは中止。チケットの払い戻しなどは、詳細が決まり次第パクさんの公式ホームページ(http://summerface.jp/)で発表される。

◆仲間「大変残念」

 2004年の“月9”ドラマ「東京湾景」で共演した仲間由紀恵(30)の話 東京と韓国で撮影があったのですが、夏の暑い状況でも、いつも笑顔でいらしたのを覚えています。俳優として、歌手として、もっと活躍していただきたかったので、訃報(ふほう)を聞き、大変残念に思います。ご冥福をお祈りいたします。

◆スカパー!で追悼番組放送

 スカパー!は30日、パクさんを追悼し、パクさんが出演した韓国ドラマやドキュメンタリーなど関連番組8本を1日から順次放送すると発表した。詳細は以下の通り。▼噂の女(ホームドラマチャンネル) ▼ザ・スリングショット〜男の物語〜(テレ朝チャンネル) ▼恋歌2008 プレミアムコンサート(DATV) ▼ギプス家族(同) ▼パク・ヨンハ独占密着SP08年〜ソウルから台湾まで(TBSチャンネル) ▼オンエアー(同) ▼ユ&キムの遊びにおいで(KNテレビジョン) ▼キム・ジョンウンのチョコレート(同)

 ◆パク・ヨンハ 1977年8月12日生まれ。雑誌に写真が載ったことがきっかけでスカウトされ、94年に芸能界デビュー。ドラマに数多く出演し、甘いマスクと誠実なイメージの演技派として人気を得、03年には歌手デビューした。同年、日本でドラマ「冬のソナタ」のペ・ヨンジュンの恋敵役として有名に。翌年6月に初来日、アルバム「期別 キビョル」で日本デビューを果たしたほか、日本武道館などでコンサート、公式ファンクラブも発足。日本のドラマ「東京湾景」「Xmasの奇蹟」にも出演した。しばらくは日本での歌手活動が中心だったが、08年に5年ぶりに俳優復帰した主演ドラマ「ON AIR」が高視聴率で話題に。映画の代表作は98年「クリスマスに雪が降れば」、02年「憎くても、もう一度」、今年1月公開の「作戦THE SCAM」。

 

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