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【産経抄】7月2日
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気前よくもてなすことを、「椀飯(おうばん)振る舞い」という。江戸時代には、正月などに親類縁者を招いて開く宴(うたげ)を意味した。5月から6月にかけて来日したばかりの中国人32人に、大阪市が「生活保護」と呼ばれる「椀飯」を振る舞っていたことがわかった。
▼中国人らは、市内に住む中国残留孤児の姉妹の親族と称し、介護名目で来日した。姉妹は2年前に帰国して、日本国籍を取得している。入国後すぐに生活保護の受給を申請した48人のうち、市は26人について、6月分から受給を認め、さらに今月分から6人を追加した。
▼もともと生活保護受給世帯が全国でもっとも多い大阪市では、保険料を長年支払ってきた年金受給者より、生活保護受給者の方が受け取る額がはるかに多い矛盾が指摘されてきた。今年に入って、外国人の受給者が1万人を超えたこともわかった。
▼それにしても来日直後の大量申請は、あまりにも不自然だ。中国人らは、福建省出身だという。第二次世界大戦末期のソ連軍の侵攻によって、中国東北部に取り残された人たちの親族が、どうしてそんな南の地方に住んでいたのだろう。
▼元警視庁通訳捜査官の坂東忠信さんは、新著『日本が中国の「自治区」になる』(産経新聞出版)のなかで、「日本に滞在する残留孤児関係者のほぼ九割が偽物」という。坂東さんによると、他人の戸籍を買ったり、役場に根回しして虚偽の公正証書を発行させたり、正規の旅券を入手するさまざまな手口がある。
▼つまり、今回のケースは、氷山の一角かもしれない。折しもきのうから、中国人の個人観光ビザが大幅に緩和された。ショッピングや日本見物を楽しみにしている人たちには、「椀飯振る舞い」したい気持ちは十分あるのだが。