きょうのコラム「時鐘」 2010年7月2日

 赤ちゃんの名前が年々難しく、読めなくなっている。画数の多い漢字で、芸能人や外国人のような名前も珍しくない

本紙文化欄で、金沢学院大の石田寛人名誉学長が分類していた。外国人名を使うのは「なんちゃって外国人名型」。音や響きから漢字を当てはめるのを「イメージ先行型」と。時代を反映するのが名前だが、変わらぬ社会性を大切にしたいと説く

名前が時代を反映するなら名字は地域を映す。方言の特徴を示す東西分布図と名字の東西境界線とは富山県で「ピタリと一致する」(お名前風土記・佐久間英著)。富山、石川は名字の多さで全国有数の県だという

名字ほどではないが、名前にも戦後しばらくまで地域性があった。「〜子」という女性名は西日本に多く、東京には少なかった。流行が東京から広がり、地方を画一化したように、名前の地域性消滅も東京にその始まりがあった

日本中がW杯サッカーに熱狂した。もはや社会現象である。武史や圭佑クンが増えてもおかしくはない。「闘莉王」登場までは分からないが、後々に不便を感じないように、というのが石田さんの願いである。