大相撲の野球賭博問題で、日本相撲協会の特別調査委員会から解雇以上の処分が相当とされた大嶽親方(42)=元関脇貴闘力=が1日、朝日新聞の取材に応じ、大関琴光喜関(34)を通じて賭けをしていたことを認め、「自分の名前が出ないよう、琴光喜に無理やりやらせていた」と述べた。自身への処分は受け入れると述べる一方、琴光喜らについては「他の力士と同程度にしかやっていない」と述べ、処分案に疑問を呈した。
大嶽親方によると、琴光喜との交流の中で野球賭博の話を聞き、「仲間に入れてくれ」と3、4年前から始めた。すべて琴光喜を通じての賭けで、「琴光喜が言わない限り、自分の名前は出ないし、楽だ」と考えた。電話で琴光喜に依頼し、会う際に金を渡した。場所中以外に週4日程度賭け、初めは少額だったが、その後、多い時は1回に50万〜60万円を賭けた。琴光喜は賭ける回数が少なく、賭け金は1回数万円ほどだったという。大嶽親方の通算の負け分は2800万〜2900万円にのぼったといい、「(賭博が)好きだったからとしか言いようがない。馬鹿だった」と振り返った。また、「身内でやっているという意識だった。後ろにやくざがいるとなれば、やるわけがない」と話し、賭博の背後に暴力団が存在する可能性は考えていなかったと説明した。
琴光喜が元力士の古市満朝容疑者(38)から口止め料名目で350万円を脅し取られたとされる恐喝事件のきっかけについて大嶽親方は「昨年12月ごろ、自分の勝ち金500万円の回収を琴光喜に依頼した」と説明。口止め料を要求された当初、大嶽親方は払わせるつもりはなかったが、古市容疑者との連絡役だった阿武松(おうのまつ)部屋の床山(29)が「(阿武松)親方に賭博がばれたらまずい」と言い、琴光喜が出した金を古市容疑者に渡したという。その際、琴光喜側が古市容疑者に「これ以上金を要求しない」との内容の念書を書かせたという。