【北京=峯村健司】中国メディアを統括する共産党中央宣伝部の李偉・報道官が30日、記者会見し、報道各社に対する規制について「我々には中央の報道機関が正しい宣伝活動と世論誘導をするように指導する責任がある」と述べた。中央宣伝部幹部が公の場で報道規制を認めるのはきわめて異例。
中央宣伝部は共産党大会や北京五輪などの大型イベントの前に報道内容を規制する内部通達を各メディア幹部に出しており、今年3月には人民元の切り上げをめぐる対中批判など18分野の報道や独自取材を禁じていた。その一方で、党や政府は「市民の言論の自由を保障している」(中国外務省の姜瑜・副報道局長)とし、公式には通達の存在を認めていなかった。
李報道官は、記者から中国各地の日系企業などで頻発している労働者のストライキについて報道規制をしているかどうか問われ、「ストが起きた地元のメディアは報道しているところもある」と述べ、中央メディアについては規制をしていることを暗に認めた。その上で、個別の事件を報道するかどうかは「各メディアがそれぞれの特性や担っている社会的責任に基づいて判断する」とし、最終的には報道機関の判断であることを強調した。
閉鎖的とされる党機関の透明性をアピールするため、中央宣伝部を含む共産党の11部門の報道官が同日、初めて共同会見をした。