2010年5月3日 20時53分 更新:5月3日 22時22分
憲法記念日の3日、各地で憲法について考える集会が開かれた。18日には憲法改正手続きを定めた国民投票法が完全施行される予定で、護憲派は憲法9条を維持する重要性を訴え、改憲派は時代に合わせた改憲の必要性を指摘した。
東京都千代田区の日比谷公会堂では、護憲派が「いかそう憲法!輝け9条!」をテーマに「5・3憲法集会」を開催。約4500人(主催者発表)が集まり、社民党の福島瑞穂党首、共産党の市田忠義書記局長らも参加した。
スピーチでは、江戸文化研究者の田中優子・法政大教授が「江戸時代の270年間に戦争がなかったのは、東アジアと深い信頼関係があったから。憲法9条を失ったら、中国など東アジアに緊張が走り、時計の針を(戦争時代に)戻すことになる」と主張。参加者は集会後、JR東京駅付近まで約1.6キロをデモ行進し、「9条を守ろう」などと訴えた。
一方、新宿区内藤町の四谷区民ホールでは、改憲派の集会「第41回新しい憲法をつくる国民大会」が開かれた。約400人(主催者発表)が参加し、自民党やみんなの党の関係者らも出席した。
「新しい憲法をつくる国民会議」の清原淳平会長代行はあいさつで、「憲法は制定時点で止まっているが、時代はめまぐるしく変化した。大きなギャップがあり根本的に見直すべきだ。民主党のリーダーたちも改憲派。国民投票法施行を機に、改憲に踏み切るべきだ」と改憲の必要性を強調。国会議員や識者らも登壇し、「今の国会は憲法改正についての論議が低調」と訴えた。【福永方人、山田奈緒】
ノーベル物理学賞受賞者で京都大名誉教授の益川敏英さん(70)は3日、千葉県松戸市で開かれた護憲集会で講演し、原爆開発を例に軍事技術の拡散防止だけでは平和実現に限界があるとの見方を示した上で、「植民地支配など、人間はなくそうと考えたものは必ず実現させてきた」と強調。戦争放棄や核廃絶を目指す人類の意志の重要性を訴えた。
益川さんは平和憲法を守ろうと「九条科学者の会」呼びかけ人になっている。【西浦久雄】