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浜名湖ボート転覆:「オール飛んだ瞬間に」教諭証言

 浜松市の浜名湖で愛知県豊橋市立章南中学校(水野克昭校長)の手こぎボートが転覆、1年生の西野花菜さん(12)が死亡した事故で22日、転覆したボートに乗っていた教諭2人が事故当時の様子を語った。同日の同校保護者会で証言した。

 女性教諭(50代)によると、乗っていたボートは、えい航後しばらくしてからオールが突然飛んだ。その瞬間、ボートがひっくり返ったという。

 転覆後、何人かの生徒と一緒に自分もボートの中にいることが分かったという。真っ暗ではなかった。空気もあった。叫ぶ生徒もいてパニック状態だったが、「がんばろう」と言って励ました。

 次第に波が大きくなり、空気も少なくなって「死ぬかもしれない」と思い、「大きく吸って出るよ」と生徒たちに言って、水中にもぐりボートの外へ脱出したという。

 しかし、何人がボートから脱出できたか確認できなかった。ロープにつかまり救助ボートに乗せられた時、「(行方が)分からない子がいる」と告げると、「静岡県立三ケ日青年の家」の檀野清司所長も湖に飛び込んで救助にあたった。

 救助船が2人の教諭を含めて定員の10人になり、生徒8人と陸へ引き揚げられた。女性教諭は「救助船がまた戻ってくれて(全員が)助かると思った」と悔やんだ。

 もう1人の男性教諭(30代)は、水面に投げ出され、生徒2人と一緒に転覆したボートにつかまっていた。だが、他の生徒が中に閉じ込められているとは思いもしなかった。見える範囲の生徒しか分からなかったという。

 男性教諭は、陸に上がってからも頭が混乱。ボートの下に生徒がいるという考えには及ばず、波が高くても浮かんでいれば助かると思ったという。男性教諭は「(自分が)引き返していればと思うが、判断できなかった」と涙を流した。

 保護者会には檀野所長も出席。所長は3人の生徒を助け上げた際、「西野さんがいない」という声を聞いたが、生徒の姿はなく、確認できなかったという。所長は亡くなった西野さんについて、「あとで(ボートの中から)見つかったと聞き、悔やまれてならない」と声を詰まらせた。【沢田均、丸林康樹】

毎日新聞 2010年6月22日 22時12分(最終更新 6月22日 23時38分)

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