ラッド首相は2007年の総選挙で労働党に12年ぶりの政権奪取をもたらした立役者でした。それが今日突然、「元」首相に。いくつかの理由で不人気度が増し、副首相である女性のジラード氏から党首選の挑戦を受け本日午前緊急党首選とあいなり、見事にラッド氏は敗北を喫しました。日本と同様、支配政党の党首が変わったことにより、首相も変わることになります。 圧倒的な人気を誇っていたラッド氏の人気が凋落してしまったのは、日経新聞も報じているようにもともと環境対策として排出権取引の導入を謳っていたのにそれが遅々として進まず左翼勢力の不興を買ったということもありますが、直接的には最近導入を発表した「資源税」の問題が大きいと言われています。FTやWSJはむしろこの原因を強調しています。当然のことですが、資源で儲かっている人々が多いオーストラリアにとってはこうした税金は「金持ちに厳しい」ものになるわけで、労働党らしいのですが、これまで支持していた労働党の右派が、おそらく関連業界からの強い圧力を受けたのでしょう、強い反対を表明し、ネガティブキャンペーンに加担したりしています。なにせ彼らにはたんまり儲かった資金があるから大々的にTVコマーシャルを打ったりして、政府との間で広告合戦のような状況も繰り広げられていたようです。 また今年の12月ごろに再度総選挙が予定されていると言うのも重要です。日本も同じですが党としては選挙前に不人気の党首では戦えないという判断があり、党内で党首交代圧力がここ数週間強まっていたようです。候補として上げられた副首相のジラード氏は(慣れないG20など行きたくなかったのかもしれませんが)のらりくらりとかわしてきたもののとうとうかわしきれなくなって緊急党首選とあいなりました。 日本と似ているというのは、 ・ もともと長く続いた別の政権をひっくり返して誕生した政権が比較的短期間で不人気になったこと ・ 不人気の理由のひとつが「唐突」な制度の導入だったり、公約の不実行だったりしたこと(つまりスキャンダル等ではないということ) ・ 選挙が近いため、与党が顔を変えたいと言う強い動機に支配されていること。 などです。しかし、政策面では新首相も特に基本的な変更をするつもりはなく、細部における業界の話し合いなどで手を打ちたい意向のようであり、まあお互いに手打ちのために必要な首の挿げ替えという、きわめて泥臭い局面が南半球でも展開されていると言う、まあそれだけの話なんだろうと思います。なんかよーわかりませんが、首相が変わると決まったとたん資源関連会社を中心とする実業界と政界が急に仲良しコメントを出し始めたのは気のせいですかねー。 |
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政治家さんが考えることは、どこも似たようなもの、ということでしょうか・・・ |
40歳無職 2010/06/25 13:05 |
40歳無職さんどうもです。さくっとトップが変わったという意味では、割と上手くいったということでしょうが、日本との大きな違いは景気そのもの、ということでしょうね。 |
厭債害債 2010/06/27 21:19 |
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