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★デイリーインタビュー
栗林みな実 5thアルバム『mind touch』インタビュー 1
5thアルバム『mind touch』2010年4月21日発売!!

栗林みな実 Special Long Interview Part1

様々なアニメのタイアップ曲を担当している栗林みな実の通算5枚目となるアルバムが完成。『mind touch』と名付けられたこのアルバムに彼女が込めた思いを聞いた。


素直な思いを言葉にすれば大勢の人と繋がれる

──5thアルバム『mind touch』が完成。タイトルにもなっている表題歌では、「心の接触」をテーマに歌詞を書いたとお聞きしました。

栗林 わたしがこのお仕事に携わるようになって、今年で9年目になります。もともと人前に出るのが苦手だからこそ、ゲームやアニメのテーマ曲を唄う裏方シンガーとしての活動を始めたわけですが、わたしがデビューした頃は、アニソン・シンガーたちも積極的に表舞台へ出ていくようになっていた時期。だから仕事を通して歌うということは、ファンの人たちはもちろん、関係者も含め、いろんな人たちと交流を持っていくのが当たり前になっていた頃でした。そうやって人と接していく作業が増えていく中で、自分の想いが相手にしっかり届いた実感を得ることもあれば、届けきれずに悔しい想いをしたこともありました。むしろ、経験を重ねるごとに、人と人との心の触れ合いを強く感じる機会が、どんどん多くなっていったんです。

──栗林さんって、意外と人見知りな方ですもんね。

栗林 そうなんです。それこそ活動を始めたばかりの頃は、仕事とプライベートを比較した場合、プライベートで人と接する比率のほうが明らかに多かった。でも今や、自分の生活の9割以上が仕事中心になっていて。仕事自体と言うか、音楽を通して自分を表現することが、〝わたしの人生そのもの〟になりました。そうなっていく過程の中、ファンの人たちや関係者などたくさんの人たちに出会って、〝どう自分を伝えていけば、相手との心の距離も近くなるのか〟を当たり前に考えるようにもなりました。だからこそ強く感じるようになったのが、〝どういう言葉を使って相手に伝えれば、お互いの心の距離感は縮まっていくのかな?〟ということだったんです。

──表現者というのは、自分の心の素顔をさらけ出してゆくことが、何よりも大事なこと。

栗林 そうなんですよね。以前は〝歌詞を書くこと自体が、すごく恥ずかしいこと〟と言いますか。自分の考えを外へさらけ出してゆく作業だからこそ、そのリアクションに対していつも緊張や不安を覚えていました。だけど、自分が素直に思っていることを言葉にしていけば、わたしの想いと大勢の人たちが繋がりあえるんだと感じられるようになってからは、〝いかに自分らしく想いを出せるか〟を心がけるようになりました。それもまた、わたしとみなさんたちとの「心の接触」なのかなと思っているし。わたしが心を開けば開くほど、それを求めてくれる人たちがいることを知れたからこそ、今は安心して、自分の想いをさらけ出していけてるんだと思います。

──アルバム『mind touch』に収録した楽曲のほとんどがタイアップ歌。つまり、作品の世界観を踏襲したうえで、自らの想いも重ね合わせ誕生した歌たちばかりです。

栗林 確かにそうなんですけど、完成した作品を聴いて気づいたのが、割とダークな内容の歌が多いことなんです。それも、作品の世界観に引っ張られた形として出てきたことなので、「わたし自身がネガティブだったから」というわけではないんですが。そういう感情さえも堂々と出せる自分でいられることを再確認できたのは、むしろ嬉しいことでした。

──確かに作品を軸に歌詞も制作しているよう、ネガティブな言葉もいろいろ出てくる歌が生まれるのもわかります。でも同時に、全体を通して感じたのが、「マイナスな自分もしっかり認めたうえで、プラスの自分になろう」としてゆく姿でした。

栗林 詞曲を創作していく、とくに歌詞を紡ぎだす作業というのは、自分自身の心との戦いにもなるんですね。時には、何も思い浮かばず心負けそうになることもあります。だけど、その殻をどう破っていけるか、結局は自分の気の持ちかた次第なんですよ。
「Miracle Fly」に書いた「自分の気持ちをプラスに持っていけば、絶対に奇跡は起きるんだから」という想いなど、主人公の感情を投影しつつとはいえ、そこには、わたし自身の心の本音も自然に投影されていますからね。

──むしろこの作品に関しては、それぞれの曲たちへ登場する主人公たちの心情を通し、栗林さん自身が、みずからの「心と接触」し続けてきた印象さえ覚えました。

栗林 そこは、まったく意識していなかったんですけど。結果的にそうなった印象は、わたし自身も覚えています。だからこそ「CHANGETH EFUTURE」のような、思いきり「明るく爽やかで前向きな曲」を新鮮に感じられたと言いますか。むしろそのスタイルこそ、ひと昔前の栗林みな実の音楽性だったわけじゃないですか。なにせわたし自身が、この曲を作りながら、「懐かしいなぁ」と思っていましたからね。

Text /長澤智典
2010/06/30 16:00:00