年金運用、過去最高の9・2兆円の黒字 前年度の最悪赤字取り戻す   

2010.6.30 20:52

 厚生年金と国民年金の積立金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人」は30日、2009年度の運用結果は9兆1850億円の黒字だったと発表した。単年度の実績が黒字に転じたのは3年ぶりで、本格的に市場運用を始めた13年度以降、過去最高の黒字額。利回りは7.91%だった。

 08年度は、リーマン・ショック後の世界的な株安と円高による為替差損が影響し、市場運用だけで9兆6670億円と過去最悪の赤字だったが、09年度は国内外の株価が大幅に回復したことから、前年度の損失をほぼ取り戻した形となった。

 積立金は長期で運用されており、単年度の黒字により年金受給額が変わるわけではないが、年金財政にとってはプラス要因となる。

 同法人は積立金122兆8425億円を国内外の市場で運用しているほか、国が発行する財投債の引き受けにも充てている。09年度の財投債を除いた市場運用のみでの黒字は8兆8938億円。

 08年度末で1兆9908億円に上った累積損失も解消され、21年度末で7兆1592億円の累積黒字に転じた。

 年金積立金運用をめぐっては、原口一博総務相が新興国への投資など積極運用を求めているが、長妻昭厚生労働相は安全運用を主張。巨額赤字から回復したことで、議論にも影響を与えそうだ。

 積立金の運用資産の構成比は09年度末で、国内株式12%、国内債券68%、外国株式11%、外国債券8%、短期資産1%。

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