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ネイビーのセーラー服とホワイトのスカート、ブーツのコーディネート。色のメリハリがあり、うまくまとめている(拡大すると、各アイテムの詳細データも見られます)

 「マリンルック」は夏の定番トレンドだが、まだ寒さが身にしみるいま、なぜか「セーラー服」が密かに人気だ。もちろん女子高生ではなく、水兵達が着ていたセーラー服である。ともすると“コスプレ化”してしまいそうな難しいアイテムだが、原宿の女の子たちは絶妙な着こなしを楽しんでいる。

 1800年代中盤に英国海軍が採用した「セーラー服」は、「セーラーカラー」という独特の衿が特徴。前から見ると逆三角形のような形をしており、後ろから見ると長方形に見えるデザインとなっている。

 この形には理由がある。防寒に加え、波の音で相手の声が聞こえない時に後ろの衿を手で持ちながら立てて音を聞こえやすくする。普段、良く聞き取れない時に耳に手を当てるのと同じ原理だ。大きい後ろ衿は立てると邪魔なため、普段は寝かせたデザインになっているのがほとんど。

 日本では女子中高生の制服として広く採用されており、一般にはこちらのイメージが強い。夏にはホワイトベース、冬はネイビーベースが人気だが、この色合わせも「セーラー服」から発想を得たもの。制服でも衿に通すリボンを取ってしまえばストリートで見かけるセーラー服とほとんど差がなくなる。この点が、コスプレを連想させる主な原因だろう。

 ゆえに、制服かファッションかを見分けるのが難しく、トータルコーディネートで差がつくアイテムと言える。ボトムをデニムにしたり、ベージュやホワイトなどの明るい色を持ってきたり、ブーツを合わせて少しマスキュリンテイストを加えたりすることがうまく着こなすコツだ。避けたいのは、トップスと同色同素材のものを持ってきてセットアップと勘違いされること。特にスカートは注意が必要。どうしてもスカートにしたいのなら、トップスとは対照的な色を選ぶのが良いだろう。