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[19792] 【チラシ裏より】えぬてぃわい!(GS美神×ネギま、他)
Name: 岩雪◆014b914e ID:da3fec0c
Date: 2010/06/30 11:55
はじめに

この物語はGS美神とネギまのクロスオーバーをうたっておりますが、基本的にはGS美神の特殊設定なアフターストーリーです。
世界観としてはGS美神とネギまの世界が同一世界線上に存在している設定です。
まずはGS美神の世界があり、そこにネギまの設定をすり合わせていく形となります。
時代設定は、両作品の原作で示された具体的な年号は一切なかったものとし、『わりと最近あった出来事』程度のアバウトな感じでお願いします。
小ネタ程度に、ラブひな、Fate、DADDYFACEの設定及びキャラがでてくる可能性があります。

 
6/30 チラシ裏より移動しました。



[19792] 1時間目
Name: 岩雪◆014b914e ID:da3fec0c
Date: 2010/06/24 18:44

「タカミチくんはどう思うかね?」

麻帆良学園理事長 近衛近右衛門は手元の資料から顔を上げ、同じく資料に目を通しているタカミチ・T・高畑に声を掛けた。

近右衛門とタカミチは今、先日行われた教員採用試験の結果を取りまとめ、検討を行っている最中だった。

いろいろと裏のある麻帆良学園であるが、今回は今年定年を迎える中等部の一般教師の代わりを探す試験だった。

しかし、かつてない不況が続く昨今。公務員や教職といった安定した職業の人気は高く、今回の試験にも、採用1名に対し70人を超える応募があった。

「そうですね……学力重視というならT大の11番、体力重視というならW大の31番、環境を考えて女性のほうが良いというなら22番の子ですかね」

ファイリングされた資料の付箋をされたところをぺらぺらと捲りながら答えるタカミチ。
タカミチがあげたのはそれぞれ、学力試験でトップ成績を上げた者。面接で印象的だった水泳の国体選手。試験、面接で満遍なく好成績を挙げたTOEIC850点を誇る帰国子女の女性だった。

「でもまぁ、麻帆良に一番あっているのは56番の彼ですかね」

学力試験は中の中、面接試験でもただ一点を除きごく普通の受け答えをしていた来春2流大学卒業予定の青年をタカミチは高く評価していた。

「ほう、タカミチくんも彼の評価は高いかね?」

「ということは理事長もですか」

資料を見ながら近右衛門は肯いた。

「それじゃ、56番の彼を採用の方向で進めていこうかの」

机の中から判子を取り出し、『採用』の印をポンと押す。






採用の印を押された56番の資料の氏名の欄は『横島 忠夫』そう書かれていた。






えぬてぃわい! 1時間目 



「横島、お前推薦で大学いけるけど、どうする?」

高校3年の最初の進路相談の席で担任教師にそう言われ、横島は思わずぽかんとしてしまう。

「えっ、ちょっ、それって一体どういうことっすか?」

学力は下から数えたほうが早く、出席率は進級ぎりぎり、部活や生徒会活動には一切関与していないし、何か著名な賞を受賞した記憶も横島にはなかった。

「お前、GS免許もってたよな。それがあると一芸推薦がある大学だと大抵受かるらしいぞ」

美神の色気に血迷って始めたアルバイト、成り行きとその場の勢いで取得をしたGS免許。
横島自身はあまり理解していないが、GS免許というあらゆる資格の中でも群を抜いて取得が難しい資格といえる。

本来、資格というのもはそこに難易度の差があるとしても、正しい手順を踏めば万人が取得できるものである。

たとえば「現代の科挙」と呼ばれた『旧司法試験』。その毎年の合格率は約3%程度だったという。(現在は『新司法試験』に移行され、平成23年の移行期間終了とともに『旧司法試験』は廃止の予定)

しかし、その国家試験の最難関といわれた試験でも、もし受験者が全員合格基準に達していれば全員合格する。それが資格というものである。

だがGS免許は、霊能力という高い前提条件に加え、勝ち抜け戦にてベスト8にならならなくてはならないという運がからむ要素がある。

極端な話、昨年合格した人間が今年受験しても合格するとは限らないそれがGS免許なのだ。

また、横島の周囲には10代でGS免許に合格している人間がごろごろいるせいで、いまいち本人がその凄さを理解していないが、10代の、それも霊能科でない現役公立高校生(しかも霊能者の家系でない)がGS免許を取得するというのはかつてない快挙といえるのだ。

例えるなら、高校から野球を始めた公立高校の球児がプロ野球のドラフト1位指名を受けたようなものである。

つまり、野球を知らない人間にとっては、「高校生がドラフト1位指名をうけるのはすごいことみたいだけど毎年一人か二人はいるよね」というの程度の認識であるのに対し、野球を知っている人間にとっては「公立高校生がドラフト1位指名を受けるとは!俺は伝説が生まれる瞬間をこの目で見た!!」と熱く語り継ぐ出来事なのである。

そんな伝説級の偉業を達成した横島は、一芸推薦で大学合格と聞いて「はあ、そうなんですか」とのんきな回答をしていた。

GS免許取得者が一芸推薦で大学に合格する。その事を知る者は驚くほど少ない。

その原因は単純に一芸推薦で大学を受験するものが少ない――というかいない――からである。

まず、先ほどのも述べたように高校生がGS免許を取得ということが少ないということ。
その取得者が進学という選択をすること少ないということ。その少ない進学者は今まで在学していた霊能科のある学校から持ち上がりで上の学校にいく。ということである。

横島の担任が推薦のことを知ったのは、とある霊能科のある大学から横島への一芸推薦の打診が学校へあったからである。

「それじゃあ、一回両親と相談してみます」

横島の高校3年最初の進路相談はわずか5分で終了する。

家に帰った横島は、両親、美神親子、バイト先の知り合いなどと相談し、地元の2流大学へ進学を決めた。

入学するだけならばもっといい大学に行くことも可能であったが、自分の学力と立地条件の良さからそこがベストと結論づけたのだ。





 (今思えば、わずか5分の進路相談が俺の人生の分岐点だったんだよなあ)

麻帆良学園中等部の校舎の中を歩きながら、横島は高校時代からの出来事に思いをはせていた。

大学に進学した横島は、横島らしい波乱万丈な生活を過ごしながらも大学生活を謳歌していた。

いきなり魔界に連れて行かれて武闘大会に参加させられたり、合コンに参加したり、月にいったり、酒でべろべろになって財布をおとしたり、海外で伝説の悪魔を倒して神に祭り上げられそうになったり、彼女が出来たり、友人と一緒にちょっとHな店にいってみたり、会社を起業してみたり、さそわれてなんとなく受講した教職課程が思いのほか楽しかったり、天龍童子がやってきたり、彼女と別れたり、天界のよくわからないパーティに招待され参加してみてもやっぱり何のパーティだったかわからなかったり……。

そして大学4年の春、横島はGSではなく教師という職業を選択していた。

もし、担任の教師が推薦の話をしなければ、大学に進学しなければ、自分はなんとなくでGSになっていたに違いない。横島はそう思う。



ネクタイの締まり具合を確認し、手櫛で軽く髪型を整えてから3年A組のプレートのある引き戸をコンコンとノックする。

教室の中から男とも女とも区別がつかない甲高い声で「どうぞー」と告げられた。

(よし、俺の教師生活はここから始まるんだ!がんばるぞ!!)

両手で頬をパンと軽く叩き気合をいれて横島は引き戸を開く。


がらがら


ぽんっ


ぱんっ


ぎしっ


「なんとー」


「「「「「「「「「「「おおっ」」」」」」」」」」」


ビリッ


「ぎゃー」


「「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」」



「……さ、3年A組の副担任になることになった横島忠夫です……よ、よろしく」

教師生活開始3分。仕掛けられたトラップを華麗に回避するも卸したてのスーツが破れ半泣きになりながら挨拶をする横島の姿があった。





この物語は若き一般教師横島忠夫と、生徒たちの交流を描いた愛と勇気と感動の軌跡である












……かもしれない。


あとがき

えぬてぃわい→N・T・Y→Normal Teacher Yokoshima
コンセプトは担任と副担任があんまし活躍しない、GSとネギまのクロスオーバー。
だって一般採用だから。



[19792] 2時間目
Name: 岩雪◆014b914e ID:da3fec0c
Date: 2010/06/24 19:54
  おぎゃー おぎゃー

  泣き続ける赤子。
  
  「全くうるさい子だね」

  苛立たしげに母親は赤子をばしばし叩きつける。

  すると赤子は子供とは思えぬ低い声で

  『お母さん』と呟いた。

  次の日、母親は死んだ。


  おぎゃー おぎゃー

  泣き続ける赤子。

  「全くうるさい子だね」

  苛立たしげに祖母は赤子をばしばし叩きつける。

  すると赤子は子供とは思えぬ低い声で

  『お婆さん』と呟いた。

  次の日、祖母は死んだ。



  おぎゃー おぎゃー

  泣き続ける赤子。

  「全くうるさい子だ」

  苛立たしげに祖父は赤子をばしばし叩きつける。

  すると赤子は子供とは思えぬ低い声で

  『お爺さん』と呟いた。

  次の日、祖父は死んだ。


  おぎゃー おぎゃー

  泣き続ける赤子。

  「全くうるさい子だ」

  苛立たしげに父親は赤子をばしばし叩きつける。

  すると赤子は子供とは思えぬ低い声で

  『お父さん』と呟いた。


  ……次の日、隣の家のおじさんが死んだ。
 


シ~ン


(やべえ、すべった!)

授業の余った時間で、バイト時代の出来事やちょっとした小話をするのが恒例になっていた横島。

今日も5分ほど余った時間を利用して大学時代の飲み会でうけたブラックジョークを披露したのだが全くうけない、というよりオチの部分を理解してもえず――ぱっと見、四人ほどオチを理解しているようだがドン引き――完全に場は盛り下がっていた。

「先生、今の話なんで隣のおじさんが死んだんですか?」

「はっはっ、なんでだろうな。よーし今日はちょっと早いけど終わるぞー。はい、号令」

笑って誤魔化し、追求される前に授業を切り上げる横島。



とりあえず、女子中学生に下ネタ系の話は厳禁だということを学んだ横島だった。




えぬてぃわい! 2時間目  人外魔装①


「横島先生、授業の方はだいぶ慣れたかい?」

職員室に戻ってくると「失敗したー」と嘆き、机に突っ伏した横島にタカミチは声を掛けた。

「いやー、内容は言えませんが、くだらなくて馬鹿みたいな失敗をしてしまいまして……ちょっとへこんでます」

机から顔を上げ、苦笑をしながら横島は答えた。

「教師という職業上、失敗を気にしなくてよい、と言うことは出来ないけど。今後同じ失敗をしないようにしないとね」

「肝に銘じます」

社会の一般常識として、新卒の新入社員に上司は少なくとも1年は仕事が出来ることを期待していない。その期間は、会社はお金を払って新入社員に仕事を覚えてもらっている、いわば、未来の活躍への投資期間なのである。

しかし、教師という職業だけはそれが許されない。

教師にとってはこれから続く教師生活の最初の1年かもしれないが、生徒にとっては一生に一度しかない中学生活なのだ。

新任教師だからという甘えは許されない。

「でも、僕から見て横島先生はよくやっていると思うよ。生徒からの評判もいいみたいだし」

「だと嬉しいですけど」

タカミチはそれとなく、横島が授業を受け持っているクラスの生徒に評価を尋ねてみたが、おおむね好意的な意見が多かった。

今でこそ横島にそんなアドバイスをしているタカミチではあるが、彼の教師生活の一年目は、それはもう酷いものだった。

明日菜の為に麻帆良の教師になろうと決意をしたのが17のとき。

そこから勉強をはじめ無事教師になれたとき、タカミチの心構えとは生徒を思うものではなく、麻帆良を守る戦士の決意だったのだ。

授業は教科書をなぞるだけ、裏事情を常に優先し授業は度々自習。自分が魔法界の人間だと知られるのが怖く生徒とはほとんどコミュニケーションをとらなかったのだ。

もしも、当時担当していた生徒と会うことがあったら、土下座して謝りたいほどの教師っぷりだったのだ。

そんなタカミチを教師として、優しく、時には厳しく指導してくれたのが今年横島の代わりに定年退職していった男性教師だった。

横島の採用が決まったときタカミチは、その男性教師に代わり教師としての心構えを新任教師に教えていこうと決意したものである。

(しかし、そんな必要もなかったかな)

タカミチからみて、横島は先輩の教師からは可愛がられ、生徒たちからは好かれていた。

横島という男、明るい性格、楽しい会話、そして他人との距離のとり方が絶妙だった。

その人が不快に感じる距離感――パーソナルスペースを武道の達人なみにぎりぎりのラインで見切り、話をしている内にするりと相手の懐に入り込むのだ。

お堅いことで知られる、葛葉刀子や源しずな。

規則に厳しいことで有名な新田。

どちらかといえば一般教師と距離を置きがちな魔法先生 瀬流彦や弐集院など。

会って1ヶ月もたたないうちに、まるで数年来の付き合いがあるかのような親しい関係を築き上げていた。

「横島せんせー、守衛からお電話です」

内線をとった女教師に呼ばれ電話をとる横島。


――あ、はい。そうです。問題ないと思います。あ、ちょっと待ってください。


一端受話器をはずし、口元部分を手で押さえる。

「高畑先生、なんかしばらく外国に行っていた知り合いが自分を訪ねてここに来たみたいで。ちょっと守衛のところまで行ってきていいですかね」

ちらりと、時計に目をやるタカミチ。時刻は4時を過ぎたところである。

「もしよかったら、応接室を使ってもらって構わないよ。もうお客さんもこないだろうし」

「いいんですか?まったく学校に関係がない人間ですよ」

「まあ、その辺は臨機応変にね」

この学園のトップはあれである。

このくらいの融通は利かせても問題はない。

「それじゃあ、お言葉に甘えさせていただきます」

そうして横島は再び電話に向かって話し出した。




#  #  #



すこしだけ時間は巻き戻る。


横島いわく、しばらく外国に行っていた知り合いこと伊達雪之丞は途方にくれていた。

外国で仕事をこなし、とある事情で自宅に帰ることの出来ない雪之丞は毎度のごとく横島の家に厄介になろうと思いアパートをたずねた。

しかしそこはもぬけの空。携帯電話はつながらず、とりあえず隣の部屋で寝ていた小鳩の母に話を聞けば、麻帆良学園というところで教師をやっているという。

まあ暇もあるし、とりあえずという軽い気持ちで麻帆良学園がある場所にやってきたのだが……

(なんて、広さだ!しかも、女子学生ばっかりじゃねえか……)

学園の広さ、女子学生だらけの環境に圧倒されていた。

雪之丞の当初の計画では、学校の門の辺りで待機して出てくる横島をつかまえればいい、程度の予定だったのだ。

それをもしここで実行使用しようものなら、30分を待たずして不審者として通報されるに違いない。

「まあ、だめもとで正攻法でいってみるか」

こちらを観察するように見ている、守衛のほうに歩いていく雪之丞。


――アポイントはないが、ここで教師をしている横島忠夫と連絡を取りたい。


一見目つきが悪い不審者(自覚はある)が、いきなりそんなことを言っても多分断られる……そう思っていたのだが思いのほかすんなり守衛は取次ぎをしてくれた。

『困ったときこそまずは正攻法を』

雪之丞がそんな行動がとれるようになったのは、弓家による血のにじむような教育の賜物である。

「迷った……」

守衛で学園の地図描かれたプリントをもらい職員室を目指して歩いていたのだが、現在位置がわからなくなってしまった。とりあえずと、来た道を戻ったつもりも見覚えのない場所にでてしまう。

途方にくれた雪之丞は、近くを通りかかった女子学生に声を掛けた。

「すまんが、職員室までの行き方を教えてもらえないか?」

「うちも校舎まで戻るところなんで、よかったら職員室まで案内しましょうか?」

雪之丞が声を掛けたのは、艶のある黒髪を腰の辺りまで伸ばした大和撫子を体現したような美しい少女だった。

「じゃあ、すまないがたのむ」

そのほうが確実だと思った雪之丞は、少女に案内を頼むことにする。

少女を先頭に歩き出す二人。

「もしかして、お前――じゃなくて君は関西の出身か?」

「わかります?うち、京都の出身なんよ」

案内してもらっている間、黙々と歩いているのもなんなので、言葉のイントネーションから少女の出身を推測する雪之丞。

ついいつもの癖で、案内してもらっている人間をお前呼ばわりしてしまい、慌てて訂正をする。

「まあ、俺も一時期あちらの方にいたことがあるからな。そういえば、おま――じゃなくて君はここで先生をしている横島忠夫って知ってるか?」 

「知ってる。うちの社会の先生や」

「横島は、ちゃんと先生をやっているか?」

「うちは、横島先生のこと好きやよ。面白いし」

「そうか」

思いのほか盛り上がりをみせる二人の会話は、少女が足下のくぼみに足を躓かせたことにより一端中断する。

少女がよろめいたことに気がついた雪之丞は、とっさに左手を出して少女を支えようとするも、少女の一歩後ろを歩いていたことが災いし、体重を支えきることが出来なかった。

少女は雪之丞の腕にしがみつくような形で、ぺたんとしりもちをついた。

「……つまずいてしもうた」

スカートの端を押さえながら、恥ずかしそうにはにかむ少女。

助け起こそうと、雪之丞が手を差し出した瞬間、それは起きた。

「お嬢様から離れろおおおおおおおっ!!」

普通に生活していてはまず感じることの出来ない鋭い殺気を放ちながら、何者かがこちらに飛び込んでくる。

しかし、非日常こそが雪之丞の領域。

突然の襲撃にも雪之丞はあわてることなく余裕を持って回避をする。

いまだ腰を落としたままの少女と雪之丞の間に、刀を正眼に構え髪をサイドテールに結わえた少女が立っていた。



#  #  #




その場に桜咲 刹那がいたのは偶然であり、必然だった。

その日の授業も終わり、普段なら武道場へ向かうところだが今日は火災報知器の取り付け作業をあるということで部活動が休みとなっていた。

(日が出ているうちは、危険はまずないとわかっているのに……)

こちらからは目が届き、木乃香からは見えない位置へ身を潜める。

それが刹那の暇なときの習慣だった。

今週の掃除当番だった木乃香はゴミ捨て場にゴミを置き、教室へ戻る途中だった。

ゴミ捨て場に行くときも見かけた目つきが悪い男が、戻るときもプリントのようなものを見ながらうろちょろしていた。

どうやら道に迷っているらしい。

男が木乃香に声をかける。

刹那に緊張が走るが、二人の雰囲気は穏やかなものだった。

どうやら木乃香が道を案内することになったらしい。

杞憂だったかと気を緩めかけた瞬間。

男は木乃香に襲い掛かった――ように刹那には見えたのだ。

「お嬢様から離れろおおおおおおおっ!!」

奇襲を掛ける相手に声をかけるのは下策。しかしそれは、いくら悪漢といえども素手の相手に無言で殴りかかるのは不味いという冷静な理性と、たとえ声をかえたとしてもよけられるはずはないという自信の表れだった。

白木の鞘のまま全力で振りぬかれたそれを


――男はひらりと避けてみせた。


木乃香を庇うように男に立ちふさがり、白昼堂々だというのに刹那は刀を抜いて正眼にかまえた。


――刀を抜かなければ負ける。


刹那の本能がそう言っていた。

今度は言葉を発することなく、充分に気をのせて最速の一撃を放つ。

(殺った!)

もはや回避不能のその一撃を

――男は事もあろうか手の甲でポンとはじいて見せた。


(なっ!!)

男の手の甲にはうっすらと血がにじんでいた。

岩をも砕くはずの刹那の斬撃は男にたったそれだけのダメージしか与えていなかった。

「お前、もしかして神鳴流か?」

手の甲の血をちろりと舐めながら男は尋ねた。

「なっ、お前何者だ!?」

たった一撃で流派を見破られたことに動揺しながら、刹那は尋ねる

「伊達 雪之丞」

名乗りを上げた男――雪之丞は刹那を挑発するように指をこいこいと動かした。

(そんな、人としての名を聞きたかっんじゃない!)

岩おも砕く一撃を素手で裁く神鳴流を知る男。

遠くから見たときは人間にしかみえなかったのに、こうして対峙してみれば人でない何かとしか思えない。

(もはや、全力で奥義を放つしかない)

両者の間に、緊張の空気がきりきりと高まっていく。

ミリ単位で間合いを詰めていく刹那。


――あと3ミリ


そう思ったときそれは起こった。

「おーい、雪之丞。お前なにしてんだ?」

まるで空気を読まない若いのんきな男の声。

「道に迷ってそっちの生徒に案内を頼んでいたんだよ」

雪之丞はその声にこたえて、刀を構えた刹那にくるりと背を向けた。

姿を現したのは、刹那のクラスの副担任 横島忠夫だった。

「おー、近衛ありがとな」

横島は、とことこと刹那と雪之丞の脇を通り抜け、未だ腰を落としたままの木乃香に手を差し伸べ立たせる。

「うちも、校舎にもどるところやったからいいんよ」

刹那と雪之丞との間に一体なにが起きていたのか理解していないような顔をしていた木乃香も、横島にお礼を言われて笑顔で答える。

緊迫していた雰囲気が完全に霧散していた。

「あ、あの、よ、横島先生。か、彼は何者ですか?」 

「何者ていうか、先生の友達だけど、どうかしたか?」

雪之丞のほうを見ながら、なんでもないこのように言う横島。

(あれを友達と呼ぶとは、横島先生あなたは何者ですか!?)

心の中で悲鳴をあげる刹那。

戦闘体制を解いたというのに、全身からあふれでる冷たい汗は未だ止まっていない。

「じゃあ、先生たちは職員室にいくからな」

そういって5メートルぐらい進んでから、横島は何かを思い出した様子で刹那の元に戻ってくる。

「とりあえず、これ没収な」

刹那から夕凪をひょいっと取り上げる。

「はっ、え、え、その、あのっ、えっ、えぇぇぇええー」



――桜咲 刹那は混乱した。




あとがき

危険物はボッシュート。
それが普通の教師のクオリティ。



[19792] 3時間目
Name: 岩雪◆014b914e ID:da3fec0c
Date: 2010/06/26 15:33
えぬてぃわい! 3時間目




――それは、麻帆良学園の新任教師である横島の歓迎会のあった次の日の出来事であった。



「学園長、一体全体、どういうことなんですか!?」

朝一で理事長室に乗り込んできた横島は鼻息も荒く近右衛門に詰め寄っていた。

「はて、いったいなんのことかのー」

とりあえずすっとぼけてみる近右衛門。

ぶっちゃけ後ろ暗いことがありすぎて一体何のことを言っているのかわからないのだ。

藪をつついて蛇をだす必要もない。

「そんなの、ネギのことに決まっているでしょう!」

一番下っ端である横島は、基本的に同僚である先輩教師たちを校内では『先生』。校外では『さん』をつけて呼ぶ。

唯一の例外が、ネギ・スプリングフィールドだった。

先輩でありながらも、十歳以上年下のネギをどう呼ぶか迷ったが、役職に差がなければ社会に先に出たものを年齢と関係なく先輩として敬うという社会の通例にしたがい、最初は『ネギ先生』と呼んでいたが、本人の強い要望により『ネギ』『タダオ』と互いにファーストネームを呼び合うことで落ち着いた。

ちなみに横島は、10歳であるネギが教師をやっていることに対しては特に思うところはない。

会話の端々から感じ取れるネギの利発さは、大学を飛び級で卒業したという話を信じさせるには十分だった。

ならば、早熟すぎる天才に学校生活を体験させる同時に、社会経験を積ませる。そんな私学特有の裏技的処置、あるいは囲い込みなんだろうなと横島はあたりをつけていた。 

「ネギ君がいったいどうしたのかのー」

やはり心当たりが多すぎてすっとぼけることにする近右衛門。

「ネギのやつ、いま女子寮に住んでいるらしいですね」

昨日の歓迎会でネギとの仲を深めた横島は、ネギの置かれている環境を把握するに至った。

「ふむ、学園としては独身寮なら用意することなら出来るんじゃがの、未成年のネギくんを一人暮らしさせるわけもいかんし、食事のことも考えるとやっぱり学生寮のほうがよくてのー。木乃香のところならわしも安心できるということで女子寮に入ってもらったんじゃが……」

それ以外の理由もあったが、それを話すことは出来ないし、話す必要もなかった。

「でもネギの奴、神楽坂と一緒に寝てるらしいんですよ。うらやまっ……なんでもないです」

「ネギくんは、まだ子供だし、問題なかろうて」

「そんなうらや……。『男女7歳にして同衾せず』ですよ。ちなみに自分の知り合いに年の差9歳という実の親子というのがいます」

もしも出会うのが4年早ければ、その男を横島はきっと呪い殺していた。(正面からでは負けそうなので)

ちなみに、ネギと出会うのも4年早ければ――童貞のときに会っていれば――首を絞めるか、あそこをチョッキンやっていた。

「まじか?」

「まじです」

9歳の年の差ということは少なくともその1年近く前にやることをやっていたわけで。

それはどう計算してもいまのネギより幼いとき出来事になってしまう。

そもそも男が何歳から子作りが可能なのか?

それは非常に難しい問題である。

男の精通というのは、女性のそれと比べ全く自覚することができないからだ。

ただ、過去にそういう実例があるなら憂慮すべき可能性である。

ましてや一緒に寝ている相手は、中学3年の女子学生。

成熟しているとは言いがたくも、全体の8割以上の生徒が子供を産む準備を整え終えている。

「ふむ、でも急に言われてもやっぱりネギ君の住む場所がのー」

真剣にネギの引越しを検討し始める近右衛門。

なにかの弾みで、ネギと明日菜あるいは木乃香の子供が出来たとすると、ありとあらえる意味でリスクが高すぎる。

どう転んでも、関東魔法協会が崩壊することだけは確実だった。

「もし、どうしても住むところがないんだったら。自分が借りてるマンションを提供しますよ。部屋も余っていますし、自分もネギのこと気にいってますから」

麻帆良学園から徒歩20分。3LDKのファミリーむけのマンションの一室。

正確には横島の持ち家であるが、新任教師が持っているというには少々不自然なので借りていると言っておく。

「うーむ」

魔法の守秘義務。スプリングフィールドの試練。紅き翼。関西呪術協会。様々な思惑が近右衛門の頭を巡りだす。

「もしかして、どこかあてがあるんですか?」

横島、そう尋ねられて近右衛門はふと気づく。

思惑の部分を話せない以上、横島を納得させるにはネギに対する保護者と住む場所を示す必要があった。

しかし、住む場所はまだしも、納得のいくスプリングフィールドの保護者を短期間で見つけることは不可能で……ならば限りなくグレーゾーンに近い一般人、横島忠夫に頼むのも一つの手なのだと。

「もし、横島君が迷惑でなければ、ネギ君のことお願いできんかの」

「わかりました、自分でよければ」

肯く横島。

「条件などは、これから話し合っていくということで……」

「自分としては元々一人で住むつもりだったので、食費を入れてもらう程度で十分ですが」

「まあ、今後のことを考えればそうゆう訳にもいかんだろうし……釘を刺しておかないといかん点もあるじゃろ」

具体的にR-18的物品の取り扱いとか。




――こうして横島忠夫とネギ・スプリングフィールドの奇妙な共同生活は、片方の当事者のあずかり知らぬ所で決定し始まることとなる。


あとがき

ようやくネギ登場とみせかけてやっぱり登場していないそんな話。
元々は、3話は2話の刹那の話の続きを書くつもりで、これはそのAパート的話だったんだけど、後ろの話がうまくまとまらなかったので単発であげました。
9歳差の親子の話はDADDYFACEより。
横島と鷲士は知り合いという設定ですが本編に登場予定はないです。




[19792] 4時間目
Name: 岩雪◆014b914e ID:da3fec0c
Date: 2010/06/26 17:50
えぬてぃわい! 4時間目  人外魔装②





「タダオー、温め終わったよー」

「よし、じゃあネギはご飯をよそってくれ、運ぶのは俺がやる」

そんな、会話を聞きながら雪之丞はリビングで新聞を読んでいた。

「お前、相変わらずのくつろぎっぷりなのな」

お盆に料理を載せてキッチンからやってきた横島は、雪之丞の様子を見て感心と呆れの入り混じった様子でそういった。

「手伝えといえば手伝うが、必要か?」

「まあ、それはいらんが……雪之丞飲み物はビールでいいか?」

「……ああ、ビールで頼む」

料理をリビングのテーブルに置きながら雪之丞に飲み物を尋ねる横島。

久々に日本に帰ってきたので、一瞬『日本酒』という選択肢も頭に浮かぶが今日はしっかり食べたい気分だったのでビールを頼む雪之丞。

「じゃあ、あと3分まってろよ」

そう言ってキッチンに戻っていく横島。

雪之丞は読んでいた新聞をたたむとサイドテーブルに置いた。

ここは、横島が現在住んでいるマンションの一室だった。

麻帆良学園で迷っている所を襲われ(今でも何で襲われたのか分かっていない)、探しに来た横島と合流し職員室隣にある応接室で互いの状況を話し合った後、当然のように雪之丞は横島のマンションまでやってきた。


『弓家所属 A級ゴーストスイパー 伊達 雪之丞』

それが今の雪之丞の今の肩書きだった。

元々、その道では知る人ぞ知る的存在だった雪之丞は、弓かおりと正式に交際を始めるにあたり、弓家所属のGSとなった。

弓家の人間はまず雪之丞に、社会常識とビジネスマナーを叩き込んだ。

当初それは、強さをだけを追い求めていた雪之丞にとっては苦痛なことだっただが、新聞を読み、学んだことを実践するうちに見えてくるものがあった。

クライアントの状況や背景を知り、言葉遣いを丁寧すれば交渉ごとがスムーズに進むこと。

あらゆる状況を想定し、細かく条件を記した契約書を前もって用意しておけば――契約を交わすときは面倒くさくとも――トラブルが起きたときに、解決が容易になるということ。
そういう契約書を準備したほうがクライアントに信頼されやすいということ。

それらを学び、実践していくうちに次第に『有望な若手GS』と呼ばれるようになり、横島が一線を退いた今、『若手NO.1のGS』と呼ばれることも多くなっていた。

そんな、順調に成長を続けていた雪之丞に転機が訪れたのは今から約半年前の出来事である。

かおりが見習い期間を終えて、正式なGSとなったのだ。

その祝いのパーティーが終わった後、雪之丞はかおりの父親にこう頭を下げられたのだ。
「しばらくの間弓家を離れてくれないか」と。

大きなトラブルも起こさず、弓家に貢献していた自信のあった雪之丞はその理由を尋ねる。

「誤解をしないで欲しいのだけど」と前置きをしたあとかおりの父は話しだす。

「かおりの成長に君の存在は邪魔になってしまう」と。

六道ほどではなくともそれなり伝統と格式をもつ弓家の長女として生まれ、若くからその才覚をあらわし六道女学院を優秀な成績で入学・卒業。20歳のときにGS免許を取得し、たいしたトラブルもなく正GSになる。目つきは悪いが『若手NO.1』と呼ばれる頼りになる彼氏がいる。

小学生が書いた『僕の私の将来設計』なみの順調すぎる人生を歩んできたかおり。

しかし、かおりには想定外の出来事に弱いという弱点があった。

まあ、想定外の出来事に強いという人間のほうが世間一般では珍しいわけであるが、かおりのそれは想定外の出来事に遭遇すると軽いパニックを起こし、普段の実力がだせなくなり、そのミスを引きずってしまうという打たれ弱い一面があった。

かおり自身自分のそういった傾向を把握しており、そういったことにならないように弛まぬ努力を続けていた。

しかし、GSというのはマニュアルが通用することのほうが珍しい世界。

たびたび、想定外の事態に遭遇するだろう。そのたびに雪之丞が助け、励ましていったらかおりは雪之丞に頼りきりになってしまう。

あまり知られていないことだが伊達雪之丞という男は身内には甘いという性質がある。

それが表面化していないのは雪之丞が基本的に強い人間にしか興味がもてないからである。

強い人間にしか身内意識をもてない→身内意識のある人間は軒並み強い→身内がみんな強いので甘やかす機会がない。となっているのだ。

その唯一の例外がかおりである。最初は自分の母親の面影を見出し、興味を覚え、言葉を交わし、交際を続けていくうちに雪之丞が守っていこうと思った存在。

長い目で見ればそれがかおりのためにならないと頭では分かっていても、目前で困っているのを見るとついつい手を出してしまう。


――とりあえず1年。弓家には近寄らないし、かおりとも連絡は取らない。


それが雪之丞たちの出した結論だった。

そんな事情を今日はじめて知った横島は、携帯を変えた際の番号や引越し先の住所は弓家に連絡しておけば雪之丞に伝わっているのだとずっと思い込んでいたのだ。

これが雪之丞の麻帆良学園訪問の真相だった。


「「いただきます」」

テーブルに料理を並び終え両手を合わせる横島とネギ。

雪之丞は缶ビールの蓋をあけ一口飲む。

「横島、お前10歳や14歳の時って何をしてた?」

目前でおいしそうに料理をほおばるネギを見ながら雪之丞は尋ねた。

「10歳のときはエロ本みてドキドキして、14のときはエッチなビデオを見てムラムラしてたな。お前は?」

「10のころは霊力の修行を本格的に始めたころで、14のころはようやく霊力の扱い方を覚えたころだな……」

ただ強くなりたくて、がむしゃらだった。

その拙い力でさえ才能があるともてはやされた。


――もしあの頃に、今の力があったら俺は幸せになれていたのだろうか?


そう思ったとき、雪之丞の脳裏には昼間会ったサイドテールの少女の顔が浮かんでいた。




#  #  #




ピンポーン

来客の告げる音が鳴る。

それを聞いた横島はようやく来たかと腰を上げる。

エントランスのカメラと連動したモニターを確認すると予想通りの人間が立っていた。

「今、開けるから2階に上がってきてくれ」

そう言うと、モニター横にあるボタンを操作してエントランスの扉を開ける。

「タダオ、誰が来たの?」

「桜咲。俺が呼んだんだ」

副担任にある横島が、何故刹那を家に呼ぶのか不思議そうな顔をしているネギ。

その姿を横目に自室に戻り目的の物を手にとる。

こんこんと玄関の扉をノックする音が聞こえてきた。

「こんばんは、横島先生」

「おーよく来たな、桜咲」

緊張した面持ちで刹那が立っていた。

「桜咲は、晩飯はもう食べたか?」

「あ、はい。寮のほうで」

手元にある竹刀袋に入れられたそれを、すんなり渡していいのか横島は悩む。

雪之丞と合流し職員室に戻った横島はタカミチに刹那から刀を取り上げたことを告げた。

困ったような表情で「後で、こっそり君から刹那くんに返してくれないかな……」そうタカミチに言われたとき、横島は素直に肯いた。


――麻帆良学園は普通でない何かがある。


横島はそのことを知っていたし、気づいていた。

麻帆良に採用が決まった時知り合いからそれとなく聞いていたし、3-Aのメンバーを見れば一目瞭然である。

自分が普通でないことを自覚していた横島。

もしかしてという思いが頭をよぎるが、採用後学園長とは何度か顔をあわせても何も言ってこない。

――ならば、教師として採用されたのだから、教師らしくあろう。

横島は決意した。

普通でない何かの象徴的存在の一人、桜咲刹那。

刀を抜いたことにも、それを振り回したことにもきっと事情があるのだろう。

しかし、どんな事情があったとして刀で人を傷つけようとしたなら、それを取り上げ叱らなくてはならない。

刹那が人であり、横島が教師であるのなら。

「今回はとりあえず返すけど、二度とやるなよ。今度それを持ってるところを見つけたら完全に没収するし、停学か下手をしたら退学だからな」

そういって横島は夕凪を刹那に渡した。

タカミチは横島から刀を預かり秘密裏に刹那に夕凪を返すことも可能だったろう。

あえて横島から返させようとしたのは、刹那に日常というものを再認識させるためなのかもしれない。

(さて、これからどうしたものか)

横島が刹那を学校ではなく、自宅に呼んだのは話をするためだった。

この鋭く削りすぎた鉛筆の芯のような印象のある桜咲刹那という少女を横島はなんとかしたかった。

――しかし、どこまで踏み込んでいいのかわからない。

横島と刹那は週に3時間社会の授業のときに顔をあわせるだけの関係だった。

副担任といっても担任が不在のときにHRをする程度の存在なのだ。

ここで刹那の抱える問題に踏み込んで……

それがかえって刹那を傷つけることになるのではないか。

刹那だけを構う、贔屓、特別扱いになるのではないか。

結果、刹那以外の生徒を傷つけることになるのではないか。

横島は教師としての経験値があまりにも低すぎた。

「あの、横島先生は伊達さんが今どちらいらっしゃるか、知っておられますか?」

黙り込んだ横島の顔色を伺うように刹那が尋ねてきた。

「今、ここで飯食ってるけど……」

それを思いついたのは、それこそ単なる思い付きだった。

刹那が雪之丞を気にしている。

なにかが起きると予想したのではない。

たとえ何もおきなくても雪之丞の存在が刹那に話しかけるきっかけになる。そう思っただけだった。

ちょっと待っててくれと刹那に告げてから横島はリビングまで戻ってきた。

「雪之丞お前、ビールどれぐらい飲んだ?」

「まだ、最初の一口を飲んだだけだが……」

「それじゃあ、ちょっと悪いんだけど女子生徒を一人、麻帆良学園の女子寮まで送ってもらいたいんだ」

お前を襲った女子生徒だと、ネギに聞こえないようにつぶやく。

わかったと、立ち上がり上着を羽織る雪之丞。

その間に横島は自室にもどり机の引き出しから、特殊に加工された握りこぶし大の袋を取り出す。

「お守り代わりだ。もっていけ」

「いいのか?」

それの中身に気がついた雪之丞は尋ねる。

「余ったら返せよ」

二人そろって玄関へと向かう。

「今日はもうだいぶ時間も遅いし、雪之丞に送らせるから気を付けて帰れよ」

横島は、刹那に向かってそう告げた。





#  #  #





無言で歩き続けて20分。

学園に到着する直前、刹那は夕凪を握り締め振り返る。


「伊達さん、私と仕合ってもらえないでしょうか?」



――魔を纏いし人間と、力秘めたし人外が今、相対す。



あとがき

今回の見所
ネギが家事を手伝っています。
やったね、パパ。明日はホームランだ!



[19792] 5時間目
Name: 岩雪◆014b914e ID:da3fec0c
Date: 2010/06/30 11:51
今を遡ること、およそ一年と半年。


京都にてとある封印された妖怪を退治する。

それが、その時雪之丞と横島に与えられ依頼だった。

手はずとしては、現場で現地の退魔師と合流し、協力して退治を行う予定であった。

しかし、雪之丞と横島が現地に到着したときすでに封印はとけかけており、二人はやむなく現地の退魔師が到着するのを待たず退治に乗り出すこととした。

その妖怪は、雪之丞あるいは横島が1対1で事にあたれば、かなりの苦戦あるいは敗北を予想させるほどの大きな力を持っていた。

しかし、魔装術を纏った雪之丞が妖怪の動きを止めたところに、絶妙のコンビネーションで横島が文殊4個同時使用による攻撃を叩き込むことにより、無傷にて倒すことに成功する。

妖怪が倒れたとほぼ同じタイミングで現場に到着した退魔師。

その退魔師は魔装術を纏った雪之丞を見て妖怪と勘違いして襲い掛かってきたのだ。

魔装術をといて誤解をとく。

ただそれだけでよかったのだが退魔師の実力を感じ取った雪之丞はこともあろうか迎え撃ってしまったのだ。

最初の一撃は、魔装術の上から衝撃を通された。

驚いて間合いをとる雪之丞。

2撃目は、剣の間合いの外から、魔装術の内側の雪之丞の体を削り取った。

混乱する雪之丞。

それから横島がとめに入るその時まで、雪之丞にできたのは、退魔師の剣の間合いより内側にて、無様に拳を出し続けることだけだった。



それが伊達 雪之丞と神鳴流 青山 鶴子との出会いだった。








えぬてぃわい! 5時間目  人外魔装③







視線と予備動作、斬りから払いへの急激な変化、の三つのフェイントを交えた攻撃はあっさりとかわされ、すれ違いざまに足を払われ転ばされる。

戦いを始めて15分。

転ばされた数は、すでに5回を数えていた。

「あなたは、やはり神鳴流を知っているのですね」

「昔、京都神鳴流と戦ったことがある。ただそれだけだ」

戦い方から、雪之丞が神鳴流知っていること確信する刹那。

片膝をついて肩で息をしている刹那とは対照的に、雪之丞は息ひとつ乱していなかった。

「そろそろ気が済んだか?」

「もう少し付き合ってください」

低い姿勢から放った3段突きも余裕を持ってかわされる。

反撃を受けなかったのは雪之丞に反撃のなかったからに過ぎない。

「桜咲は、俺の何が気に入らない?」

「そんなことは……」

「嘘で取り繕うな。言え」

そんなことはないと言おうとした刹那をさえぎり、本音を話せと命令する雪之丞。

「あなたはそんなにも人を外れているのに、どうしてそんな普通の人のふりをして生きているんですか?」

脳裏に浮かぶのは学園での出来事。

普通に話しかける横島と、それに答える雪之丞。

横島は雪之丞を友達と答えた。

そんなにも人を外れているのに、自分以上に力と闇を秘めているのに……まるで普通の人間に見えた。

羨ましかった。そして妬ましかった。

「桜咲は何のために戦うんだ?」

質問には答えずに、質問で返す雪之丞。

「お嬢様を守るためです」

「じゃあ、お前より強い俺がそのお嬢様とやらを守ってやるといったらどうする?」

「そ、それは……」

「何故答えない」

「…………」

その質問に刹那は答えることができなかった。

「お前、戦う理由を他人に預けてるのか?」

「ち、が……」

違うと刹那は言い切ることが何故か出来なかった。

空気がぴんと張り詰め、雪之丞の纏う雰囲気が変わる。

「命をかけて力を示せ。ここから先は俺も本気をだす」

――サモン

謳うようにつぶやいた雪之丞は、その外見を人でないものへ変えた。

一見、鎧を纏ったような禍々しくも無骨なフォルム。

それを見た瞬間、刹那の全身が警鐘を鳴らした。

――あれは戦ってはいけないものだ。

初撃をかわせたのは、完全に偶然だった。

無造作とも言える動作で放たれた雪之丞の拳を、考えるより先に細胞が反応した。

しかし、次に放たれた2撃目をかわすことが出来ず、刹那の体はゴムまりのようにはじけとんだ。

「お嬢様のためにも負けるわけにはいかないんだ」

夕凪を杖代わりに立ちあっがった刹那は無意識につぶやいた。

それを聞いた雪之丞は反応する。

「だから何故ここでお嬢様の名が出てくるかと聞いている」

指摘をされた刹那は愕然とする。

そもそも、この戦いは学園を訪れた不信な男――雪之丞の実力と人間性を図るためのという表の理由と、刹那の嫉妬が起こした完全な私闘だった。

なのに刹那は無意識のうちに木乃香の名を呼んでいた。

『お前、戦う理由を他人に預けてるのか?』

先ほどの雪之丞の台詞が刹那の胸をえぐる。

再び雪之丞が迫る。

バキンッ

まずは雪之丞の拳が夕凪を叩き折った。

ゴキッ

続いて放たれた蹴りが、刹那の膝を砕いた。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁああー」

痛みと恐怖のために刹那の背中には純白の翼が現れていた。

生きたいという生存本能が、夕凪という戦うすべを失った恐怖が、無意識のうちにその力を解放させていたのだ。

そこから先のことは、刹那はあまりよく覚えていない。

翼の力をつかって上空に浮き上がった刹那。

そこに霊波砲を使って追撃をする雪之丞。

幾度かの交錯の後、刹那は残る全ての力を込めて飛び込んだ。




――刹那の翼が雪之丞の腹部を貫いた。



ぐったりと倒れこむ雪之丞。

刹那は混乱する。

自分が雪之丞を傷つけることが出来るはずなどないはずだったのに。

だからこそ、全力で力を奮い、感情をぶつけたのだ。

翼で飛ぶことも忘れ、砕かれた足を引きずりながら雪之丞に近づく刹那。

そこから流れる血は明らかに致命傷だった。

「えっ……あの、わ、私……だ、伊達さんに、謝らなくちゃ……いけないことがあって……」

学校で勘違いで、襲い掛かったこと。

「ほ、本当は……お、お礼を……いわ、なくちゃ……」

こうして、自分のわがままに付き合ってくれて、自分の傲慢を指摘してくれて。

その命がこぼれていく。

「た、す……けて……」

傷ついたことも、傷つけたこともあった。

辛いことも、悲しいことも、罪も、罰も、『木乃香の為』という名の鎮痛剤と免罪符でごまかしてきた。

「だれ、か……」

刹那は雪之丞にすがりつく。

初めて自分の意思で、人を傷つけた。

その人の可能性を摘み取ろうとしている。

力を振るうのが怖い。

生きているのが怖い。

『誰か、助けて!』

世界はそんなに優しくないことをしていたのに、刹那には祈ることしかできなかった。

「しょうがねぇから、助けてやるよ」

その声は、目前の死に掛けの男から放たれた。

直後、光に包まれる雪之丞の体、続いて刹那の体が光に包まれた。




#   #   #




「ちょっとしたマジックだ。タネについては聞くなよ」

呆然としている刹那を尻目に、雪之丞は折れた夕凪の拾うと袋から取り出した文殊の力を使い直す。

(桜咲の不幸は、子供の妄言を可能にするだけの力をもってしまったことなんだろうな……)

本人には気づかれず、ガードを続ける。そんなことを、きっとそれなりにこなせてしまったのだろう。

「そんなどうして……たしかに致命傷だったはずなのに」

雪之丞と刹那の体は、お互いの服がぼろぼろになっているのがなければ夢だと勘違いしてしまうぐらい元通りだった。

「だからマジックだといっただろう」

タネも仕掛けもある。

ただそれが、現代の神器と呼ばれる文殊を用いた大がかりものだったに過ぎない。

夕凪を返したあと雪之丞は刹那の前にどかりと腰をおろした。

「結局の所、桜咲はやり方を間違ってしまったんだろな」

ここに来るまでに見かけた看板の存在を思い出し、それを使った例えることにする雪之丞。 

「学校の周りに、痴漢が出没しています。だけど、怖がらせるといけないので生徒には黙っていました。桜咲がやっていることはこういうことだ」

分かるかと尋ねる雪之丞に肯く刹那。

「学校側がとるべき行動は、痴漢が出ていることを生徒に知らせ、一人で帰らないこと、暗がりに近づかないように注意を促しその上で見回りを続けることだろ」

たしかに、生活に変化が出てしまうかもしれない。しかし、危険を知り、危険に近づかないことこそが日常を守る最善手。

「先ほども言ったが、もし俺がお嬢様を守ってやるから桜咲は戦うのをやめろといったらどうする」

「聞けません」

「何故だ?」

「お嬢様は……私の友達だからです」

刹那が今度は素直にそう言えたのは、雪之丞に自分の醜いところ、愚かなところ、自分の感情、自分に流れる血の秘密、すべてをさらけ出してしまったせいだった。

「じゃあ、なんで離れて守るなんてまどろっこしいことをしてるんだ?」

理解できないと雪之丞は尋ねた。

「伊達さんの知ってのとおり、私に異形の血が流れてて……」

「だからお前は馬鹿なんだよ、桜咲はそんななりして男なのか?」

「違います!」

「じゃあ、お條様とやらが男なのか?」

「なんでそうなるんですか!!」

自身のときとは比べ物にならない勢いで否定をする刹那。

「じゃあ、なんでお前は異形の血が流れてることに悩んでるんだ?そんなものに悩む必要があるのは子供をつくるときぐらいだろ」

あるいは、輸血が出来ないことぐらいか。と雪之丞は言い放つ。

「……でも、この血のことをお嬢様に黙ってて」

「必要ないことを話さないこともまた誠意なんだよ。クラスメイトに、他人に移らないし、日常生活には一切支障がないけど病気ですと告白されてみろ。気を使って、使わせるだけだ。だったら黙ってろ。そもそもその血を引いていることで誰かに迷惑をかけたのか?」

何でも包み隠さずはなすことは単なる自己満足すぎないと雪之丞は言った。

確かに、この血を引いていることで誰かにかけたということはないはずだと刹那は思った。

「お前の一番したいことは何だ?」

「お嬢様を……このちゃんを守ることです」

「じゃあ、お嬢様を守るための力になる、その血を引いていることを喜べよ」

ガツンと頭をハンマーで殴られたような衝撃が刹那を襲った。

「私、いつからこの血を疎ましく思っていたんだろう……。この体のおかげで戦ってこれたのに……。とと様と、かか様はいつも笑っていたのに」

いつの間にか、負の部分ばかりに目を向けていた。

この力があったから木乃香を守ってこれたのに。

記憶の中の両親は『愛しているよ』と言ってくれていたのに。

「きっと、みんながみんな少しずつ、馬鹿でまぬけだったんだろぜ」

輝かんばかりの才能に、大人たちはその目を曇らせた。

刹那の強さを、心の強さと勘違いしてしまった。

人と違うことを「個性」と理解しなくてはいけないところを、感情で共感してしまった。

理性と感情を履き違えた。

せつなは、負の感情にとらわれてその血がもたらせてくれたものを忘れていた。

感情の全てを内に秘してしまった。

「わたしは、これからどうしたらいいんでしょうか?」

「とりあえず、力のことは隠してお嬢様の隣で馬鹿みたいに笑ってろ」

きっと、それが刹那と木乃香を守る最善手。

感情的なものを無視しても、神鳴流は相手に悟らせなければ、いかなるものをも打ち倒す最狂、最悪の暗殺者になる可能性を秘めた存在であることを雪之丞は知っていた。

「わたしに出来るでしょうか?」

「そこまでは知らん。ただ相談ぐらいなら、俺や横島がのってやる」

この町にもしばらくいるからなと雪之丞はつぶやいた。

不安げな表情の刹那の頭を、雪之丞はぽんぽんと叩く。

「まあ、破れた制服の請求は横島の奴に回しておいてくれ」

切実でありながら、どこか場違い雪之丞のその台詞に刹那は声を上げて笑ってしまった。



あとがき

制服って高いよね。
雪之丞、その幻想をぶち壊すの巻。
難産でした。



[19792] 春原日記
Name: 岩雪◆014b914e ID:da3fec0c
Date: 2010/06/27 12:24
○ 月 × 日

タダオと住み始めて1ヶ月。
最近ようやく一人で寝るのもなれてきた。
今日からユキノジョーとも一緒に住むことになった。
最初は怖かったが、話してみれば全然そんなことがなかった。


○ 月 × 日

最近、マージャンの勉強中。
修学旅行の晩にマージャン大会があるらしい。


○ 月 × 日

日本の漫画喫茶はワンダフルだ。
鳥山明は天才だと思う。


○ 月 × 日

最近、料理の楽しさに目覚めた。
日本のマヨネーズは万能ソースだと思う。


○ 月 × 日

ゲームに負けた罰ゲームで『蛍の墓』を見せられた。
悲しくて胸が張り裂けそうだ。


○ 月 × 日

今日学園長に、修学旅行の時に関西呪術協会に親書を持っていって欲しいと頼まれた。
魔法のことを秘密なのを忘れてその事をタダオに相談してしまった。
魔法のことがばれて半泣きになっていると、タダオは秘密にしてくれると約束してくれた。
タダオは学生の時GSのバイトをやっていたと教えてくれた。
タダオは本当にいい人で、ルームメイトになれてよかった。
「でも、何でくそ忙しい修学旅行の時にわざわざ親書をもっていかせるんだろう」とタダオは不思議がっていた。


○ 月 × 日

タマモさんという人がタダオを尋ねて家に来た。
とてもきれいな人で緊張した。


○ 月 × 日

今日は自宅で作るラーメンスープに挑戦してみた。
とりあえずネットで探したレシピどおり作ってみたが、狙った味にならなかった。悔しい。
味を誤魔化す為に味噌ラーメンにして食べた。
いつかリベンジしてやる。


○ 月 × 日

今日は一日かけて玉葱ペーストを作った。満足だ。


○ 月 × 日

修学旅行の下見がてらに京都に行こうとタダオに誘われて早起きして京都に行った。
午前中は観光し、お昼は田楽を食べた。
午後はタダオの知り合いの青山さんのお宅を訪ねたら、鶴子さんという人が関西呪術協会まで案内してくれることになった。
念のために親書をもってきていてよかった。
関西呪術協会の長が木乃香さんの父親と聞いて驚いた。
タダオは巫女さんがたくさんいることに感動していた。
この親書が関西呪術協会と関東魔法協会の関係改善につながることを祈っている。


○ 月 × 日

最近のマイブームは生パスタ。この食感はくせになる。


○ 月 × 日

バ○タード、おもわずカバーをはずしてナンバリングを確認してしまった。
18巻と19巻の間にいったい何がおきたのだろう。
タダオは大人の事情だと教えてくれたがよくわからない。
話は出来ているらしいのでもう少し待てといわれた。


○ 月 × 日

エヴォリューションをDVDで見た。どうしてこうなったんだろう。


○ 月 × 日

兎に出てくるジャッカルの師匠たち、意味ありげにちょくちょく登場していたから何かあるのかと思っていたが、結局話の本筋にからまないまま最終決戦まで来てしまった。
そのことを不思議に思ってタダオに尋ねたら、その二人はこの漫画の作者が以前打ち切りを食らった作品の主要キャラで、サービスあるいは遊び心みたいなもので物語には多分関わらないと教えてもらった。
ちなみにケイトその作品のラスボスだったらしい。
ちなみに一番好きなキャラは園長。最終決戦に登場しなくて悲しい。


○ 月 × 日

電話をしながら頭を下げている自分に気がついた。
納豆が美味しく感じるようになってきた。
最近電車で外国の人が乗っているのを見かけると「あ、外人がいる」と思うようになってしまった。


○ 月 × 日

最近、ウォーターオーブンがほしくてたまらない。


○ 月 × 日

最近、大使閣下の料理人という漫画にはまった。
料理と政治をからめた傑作だと思う。個人的にはベトナム編がお気に入り。
別出版社から続編らしきものが出ているらしい。
今度探してみよう。


○ 月 × 日

この世に生を受けて10年弱、かつてこれ程悩んだことはないだろう。
ウォーターオーブンか高性能炊飯器か……。
小遣い制のこの身を、これほど恨めしく思ったことはない。


○ 月 × 日

タダオがウォーターオーブンを買ってくれた。
タダオには一生ついていこうと思う。


○ 月 × 日

シャー○ンキング……どうしてこうなってしまったのだろう。
完全版はかなり違うらしいが、漫画喫茶にはおいてないしどうしよう。


○ 月 × 日

炊飯器の内釜、何にしよう?


○ 月 × 日

キヌさんという女の人と一緒にカラオケに行った。
歌がとてもうまかった。


○ 月 × 日

安西先生、続きが読みたいです。


○ 月 × 日

本炭釜、君に決めた!


○ 月 × 日

富樫先生、続きが読みたいです。


○ 月 × 日

今日から修学旅行が始まった。
前もって親書は渡してしまったし、京都の下見もしたので気持ちに随分余裕ができた。
途中でどたばたした場面もあったがなんとか無事ホテルまでいくことができた。
夜のマージャン大会で、九連宝橙で上がってしまった。
近々死んでしまわないか心配だ。


○ 月 × 日

修学旅行2日目
のどかさんに告白をされてしまった。
タダオに相談したら、自分の気持ちを聞かれた。
自分の正直な気持ちを話すと、それをそのまま相手に伝えて来いといわれた。
タダオがいてくれてよかったと思う。
もし会うのが4年早かったらもいでいた。といわれた。
何をもぐんだろう?謎だ。
昨日夜更かししたので今日は鑑定団を見てからさっさと寝た。
まさか、ネットオークションで手にいれた浮世絵にあんな値段になるとは驚きだ。


○ 月 × 日

修学旅行3日目
今日は一日自由行動の日。
シネマ村にも惹かれるものがあったが、タダオと一緒に舞妓さんを見に行った。
今度くるときは芸妓のいるところに連れて行ってやるからなあとタダオがいっていた。
芸者遊びってなにして遊ぶんだろう?
お昼は少し奮発してミニ会席を食べた。
とても上品な味だった。
ご飯鍋はこの地方の業者さんが発明したらしい。エクセレント。
お土産に、八橋を買った。


○ 月 × 日

修学旅行最終日。
修学旅行も大きなトラブルもなく無事終了。
お土産に買ってきた八橋をユキノジョーたちと食べた。
あんこの入っていない八橋は、正直口に合わなくて残念だ。
最近、お茶といえば紅茶ではなく日本茶を思い浮かべるようになってきた気がする。
明日から気持ちも新たにがんばっていこう。



あとがき

4話のネギのたった一言から、男の娘とか嫁とか妄想をしたあなたたちに完敗。そして乾杯。
ネギは無事魔改造されてしまいました。





[19792] 登場人物
Name: 岩雪◆014b914e ID:da3fec0c
Date: 2010/06/30 11:59


『横島 忠雄』

一芸推薦にて地元2流大学に進学し、普通に大学に卒業をしたある意味異色の元GS。

教員採用試験にも普通に応募して普通に合格をした麻帆良学園中等部社会科担当の一般教師。

リビドー的行動は大学生になり、公然とそういうお店に行けるようになってからは収まり始め、大学の同級生だった彼女ができてからはかなりの落ち着きを見せることとなる。

性格については、様々な経験を経てかなり落ち着きをみせているものも、根底にある強さ、優しさといったモノは原作となんらかわりはない。

GSのスタイルとしては収束特化タイプ。格闘術についてはからっきし。

恋にバイトに勉強にとがんばっていたため、一人ではできない格闘訓練はあきらめて、どこでも出来る収束の訓練ばかりをしていた。

取得資格は、乙種4類危険物取扱者免状・簿記3級・ホームヘルパー2級・視覚性ガイドヘルパー・フォークリフト運転免許・教員免許・普通自動車免許・GS免許。

当時付き合っていた彼女と一緒に比較的取得が容易かつ実用的な資格をとっている。

実はかなりの大金持ち。麻帆良に現在住んでいるマンションも彼の持ち家である。




『伊達 雪之丞』

弓家所属 A級ゴーストスイパー

こと戦闘にかんしては硬くて速くて強い、内も外も盾もこなせる超一流のオールラウンダー。

かわりにサーチ・ヒーリング・道具の扱いといった後方支援的技術は2流以下。

弓家による教育のおかげで一般常識やビジネスマナーを覚え「若手NO.1のGS」といわれる存在。

しかし強さに対する渇望は失っておらず、ちょっとしたきっかけで戦闘狂の一面を覗かせる。

かおりとは両親公認の仲であるがとある理由から現在は距離を置いている。

現在横島家に絶賛居候中。




『ネギ・スプリングフィールド』

麻帆良学園中等部英語担当の魔法教師。

横島家の居候ではなくルームメイト(学園から横島へネギの生活費が振り込まれている為)

横島を実の兄のようにしたっている。

給料はきちんともらっているが、月1万円のおこづかい制。

最近料理と漫画にはまっており、おこづかいをもう少しあげてもらえないか交渉中。

魔法使いとしては間違った方向に、人としてはある意味まっとうに成長を続けている模様。

魔法使いのイベントは裏でチョコチョコこなしているようであるが、横島に重要なフラグをいくつかへし折られている。

カモはいないし、小太郎やフェイトにも会っていないし、パートナーもいまだ0人。

修学旅行編も27行で終わっちゃうし、彼を主人公としたネギまという物語はこの先どうなってしまうか作者にもわからない。

まじ、どうしよう。


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