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ゴシックを思わせる色目にふんわりとしたスカートにストライプ調のタイツを合わせている。ブラックで統一しているが、肌を適度に露出しているので重さがない(拡大すると、各アイテムの詳細データも見られます)

 10年前に爆発的に流行った「厚底」が、秘かに原宿で支持され始めている。ギャルスタイルのトレンドだった前回とは違い、今回は幅広いスタイルに用いられているのがポイントだ。

 前回のブームを担ったのは、主に「アムラー」を代表とする渋谷系ギャルスタイル。日焼けやミニスカートとともにギャルスタイルのマストアイテムとして一大ブームを巻き起こし、社会現象にもなった。

 当時トレンドだったコンパクトなシルエットのアイテムと相性が良かったのが理由だったが、「ソールを厚底にするとスタイルがよく見える」ことも大きかった。その後、ガングロブームが終焉を迎え、トレンドはギャルスタイルから大人系スタイルに移行。それに伴って厚底も徐々に減ってゆく。スタイルを良く見せるという利点から、ヒールがトレンドの中心に変わっていった。

 今回の厚底ブームは、前回のギャルとは真逆といっていい「ロリータ」スタイルから広がっているのが特徴。ボリューミーなスカートを中心にシルエットを作るロリータは、バランスを取るのが難しい。それをうまく解消するために、スタイルアップを狙える「厚底」が定番となったわけだ。さらに近年増加している“盛る”スタイルのように、ボリュームを抑えて横のバランスを取る方法から縦(身長)を伸ばして調節するという流れに乗ったことが、他のスタイルでも用いられるようになったきっかけといえるだろう。

 厚底シューズ自体も10年前と違い、ターゲット層を原宿に絞っている。足にピッタリと張り付くストレッチブーツに代表されるようなギャル御用達の厚底ブーツはあまり見かけず、ほどよくカジュアルダウンされたものや、モード仕様のものが多い。長さもニーハイのものは少なく、くるぶしなどの丈が低いものが人気で、ひと昔前の「ギャル」イメージはほとんどないと言っていいだろう。

人気ブランド「TOKYO BOPPER」もリリースしている(画像クリックで拡大)

スニーカータイプは、ガーリースタイルや古着スタイルによく使われている(画像クリックで拡大)