ん?まだこんな話を読む奴もいるんだねぇ。
あ、アタシの名前はアルフ。ご主人様であるフェイトに仕える使い魔ってやつさ。
今のアタシ達が来ているのは、第97管理外世界『地球』っていうところだ。そこの日本という国の海鳴という街であの子の母親であるプレシア・テスタロッサから……え?フェイト、どうかしたのかい?……まだプレシアの名前を出すのはダメだって?
……ゴホン、とある人物がアタシのご主人様にジュエルシードを探すように命令してきた。
ま、それ以外にも一つ命令されてるんだけどね。
確か、女神殺しを連れてこい……だったっけ?
ところで、その女神殺しってなんだろうね。言葉通りだと神様を殺したってことかい?
でも、神様を殺すことなんてできるのかねぇ?
しかも、女神殺しさえ確保したらジュエルシードはそこまでムキになって集めなくてもいいって言っている。
まあ、その女神殺しっていうのが人なのか物なのかは知らないけど、どこに存在するのかわからない以上はジュエルシードを集めるしかないんだけどねぇ。
でも、ジュエルシードを集め始めて数週間、今のところ3つのジュエルシードの確保に成功している。
フェイトの邪魔をしている白い服の魔導師はまだまだフェイトが手こずるような相手じゃない。
あの程度ならフェイトが負けることなんてないだろう。
でも、もう一人のアタシ達の知っている魔法とは全く違う力を使うあの女は別だ。
この前戦ったときは危うくやられそうになったけど、あれは何も手加減したからとかじゃない。
アタシは確かに全力で戦った。でも、アイツの速さはアタシの想像以上のものだった。
確かにフェイトの最高速に比べればまだ遅いかもしれないけど、アイツはアタシの傍を離れることなく死角から死角へとすごい速さで動き回っていたんだ。
認めたくないけど、アイツは機動力という面だけならフェイトを超えている。
今のアタシの動きじゃ、アイツの動きを捉えられない。それなら……他の手段を使ってでもアイツの動きを止める……これしかないね。
そして、アイツは攻撃に躊躇いがない。フェイトやあの白い服の魔導師は非殺傷設定で魔法を使っているけど、アイツの剣はそんなのをお構いなしに振り下ろしてくる。
この前の戦いでアイツの剣をバリアで受け止めたとき、その衝撃の余波でアタシの頬が切れた。
もっとも、それを知ったのはアイツとの戦闘が終わってフェイトと一緒に家へと帰る途中のことだったけどね。
あいつがフェイトに勝てるとは思わないけど、万が一のことを考えたらアイツの相手をフェイトにさせるわけにはいかない。
これからアイツが出てきた時はアタシが相手をしてやんなきゃねぇ。
そして、それよりももっと許せないのが、アイツはフェイトのパンツを狙っているってことだ。
アイツは女なのに同じ女の子であるフェイトのパンツに興味を持っているらしい。
まぁ、アタシのパンツも聞いてきたけどさ、それよりもご主人様のことを優先しないとねぇ。
フェイトのパンツは使い魔であるアタシがしっかりと守ってやんなきゃ。
そんなわけで、リリカルマジカルフェイトのパンツを守ってみせるさ。
……ねぇフェイト、アバンってこんな感じでいいの……なんでそんなに紅くなってるんだい?
え?パンツパンツ言われて恥ずかしい?
大丈夫だよぉ、フェイトのパンツはすごくカワモゴモゴ!!!(誰かに口を押さえつけられています)
さて、旅行から帰ってしばらく経ったが、今のところジュエルシードの回収は全く進展がない。
そのため、最近はそれ以外の時間を使っての剣の鍛錬が続いている。
今のところ完成しているライアメモリの内、アームドメモリは双剣の『ランサー』しか完成していない。
フォルムメモリは以前使った完成品の『フェニックス』を含めた二つに未調整のが一つ。
つまり攻撃方法が二刀のランサーしかないので、二刀流の戦い方を知らないといけない。
だけど、今までは基本的に剣一本での鍛錬がほとんどだった。
だから、この前のアルフとの戦いでは情けない話、スキルランサーを振り回すことしか出来なかったんだよな。
そんなわけで、旅行から戻ってきてから父さんや兄さんに二刀流での剣の扱い方を習っている。
とは言っても、御神流を習うんじゃなくて、あくまで父さん達から二刀流の基礎を習っているだけだ。
これで御神流まで習ったら、俺の頭はパンツ……じゃない、パンクするからな。
それと、スキルランサーの刃を斬れないように調整しておく必要があったな。
流石に戦いが終わった後に、このランサーはめっちゃ斬れるって聞いたときは冷や汗が止まらなかった。
流石に少年院に入れられてはなのはを守ることができなくなる。それだけは避けないとな。
もっとも、武器についてはライアのほうで調整してくれるから問題はなさそうだけど。
他の武器もそういった調整を前もってしておかないとな。
なのはのほうもこの前フェイトと戦った際に、完膚なきまでに叩きのめされてから様子が少しおかしい。
明らかに以前より俺の手を握ってくることが多くなった。そして、魔法の練習も以前より真剣に取り組みだした。
ま、俺としてはなのはに危険が及ばなければいいんだけどなぁ。
カモ君も少しは力を取り戻したみたいで、今後は今までより大きな結界を張ったり、サポートをすることもできるようになったようだし、戦力として当てにできるだろう……多分。
しばらくは探索を続けながら、今度フェイト達が出てきた時に対応できるようにしとかないとな。
…………よし、近況報告はこれで終わり。
さってと、そろそろ教室に戻るとしますか。
ん?今まで何をしていたかって?いやぁ、以前話したかもしれないけど、今日も俺にお姉ちゃんと呼ばせようとする人が来たわけよ。
まぁ、俺はライアの体を使って転生したんだけど、ライアってこう言っちゃなんだがめっちゃ美人なんだよなぁ。
そんなわけで、一応その体を借りているんで、俺の顔もライアによく似ている。ま、当然だな。
ただ、目つきはライアに比べて明らかに悪いんだけどな。
……そういえば俺って転生者なんだな。なんか今までのですっかり忘れていた。
多分これを呼んでいるみんなも忘れていることだろう。もっとも、俺が紳士であることは誰も忘れていないだろうが………な?
まあ、転生したと言っても、ライアの体に憑依しているような感じ以外は普通の人間に変わりないから、そこまで気にする必要ないだろう。
転生なんて、あくまでその世界に対する存在の仕方の手段の一つでしかないだろうからな。
戦うときは女の体になっちまうのが難点だが、それもそこまで気には……なるな。
話がズレたな。
そんなわけで、その容姿に惚れ込んでか俺の姉になろうとしてくる人がけっこういる。
今日は確か……6年生だったか?
そんな人を相手に俺はいつものあの台詞を言ったわけよ。
そんでもって確認したのはいいんだけどさ、なんてゆうか……ダメだったわ。
俺がお子様パンツを履いている人相手には陥落しないことが知れ渡っているのか、その人は黒の紐パンなんて履いてきてたのよ。
小学生が紐パン?……ダメだな。パンツと履いている人の調和がとれていない。パーフェクトハーモニーには程遠い。
確かに今回の人は大人っぽい外見の可愛いと言うよりは綺麗な感じの人だった。だから、外見的には確かに大人の女性っぽい。だが、ぽいだけで断じて大人の女性ではないのだ。
あえてもう一度言う、決して大人の女性ではないのだ。
かなりというか、とても大切なことなので二回言いました。
そんなわけで俺は溜息をついて、その人を後にして教室に戻った。
「……俺を唸らせるパンツにいつ出会えるのだろう」
(小学校では難しいですよねぇ……じゃなくて、いつまでパンツパンツって言い続けるんですか!!!しかも、なんでそんな物憂げな表情でつぶやいているんですか!!!)
んなもん、俺がパンツに飽きるまでだ!!!……一生来ない感じだな。
それに、俺を唸らせるパンツは忍さんやノエルさん、ファリンさんくらいしか……なかったからなぁ。
「いい加減にしなさいよ!!!」
教室に入ったと同時にアリサの怒鳴り声が響いた。
なんだ、そんなにパンツを愛でるのはいけないことなのか?
俺はパンツを見てハァハァするような変態ではない。女性の履いているパンツを愛でる紳士なんだぞ?
それのどこが悪いか!!!
そんなことを思って、アリサの声のした方向を見ると、なのはの席にアリサが仁王立ちしている。
「こないだから何話しても上の空でボーっとして!!!」
どうやらアリサがなのはに絡んでいるらしい。
そうか、アリサは俺がパンツを愛していることを理解してくれているのか。
だが……アリサは一つミスを犯したな。
「あ、ご、ごめんね……アリサちゃん」
なのはの謝っているのを聞きながら、俺はアリサに気取られないようにアリサの背後に回る。
「ゴメンじゃない!!!わたしたちと話しているのがそんなに退屈なら無理して一緒にいなくてもいいじゃない!!!いくよ、すずかって、きゃ!!!」
そして、一気にアリサのスカートを捲る。
それを見た男子クラスメイトは一瞬目を見張るが、すぐにアリサから目をそらした。
見たのがバレたら大変だと思っているんだろう。
しかし、俺はそんなことを気にしない。
「今日も犬プリントかぁ、中々いい選択じゃんか」
うん、アリサとこのパンツの組み合わせは中々いい感じだな。パーフェクトハーモニーまできっともう少しだぞ。ま、お姉ちゃんと言うつもりはないけどな。
だってさ……履いているパンツはお子様パンツだからねぇ。
「あ、アリサちゃん、大丈夫?」
「あっちゃん?」
「篤志、いきなり何すんのよ!!!」
アリサが俺に掴みかかってくるけど、そんなことは関係ない。
掴みかかってきたのを利用して、俺はアリサにヘッドバットをかます。
(あ、頭突きなんかしたら私の肌に傷がついちゃうかもしれないじゃないですかぁ)
ライアの言葉は空気読んでないんでスルー。
「いったぁ~……すずか、行くわよ!!!」
「あ、アリサちゃん……あっくん、なのはちゃんのこと」
すずかが涙目のアリサを追う前に俺に小さな声で話しかけてくる。
恐らくなのはのことを頼もうとしているんだろう。
俺はすずかの言葉に無言で頷くと、それを見たすずかは安心したかのような顔を見せて、アリサの後を追っていった。
「あっちゃん、今のは……お姉ちゃんが悪いんだよ」
なのはは落ち込んだような顔で、どうしてこんなことが起きたのか話してくれた。
どうやらフェイトのことで悩んでいるのをアリサ達に言わないことが、アリサの逆鱗に触れたようだ。
しかし、悩んでいるときもお姉ちゃんと言うあたりは……こだわりなのか?
まぁ、流石に魔法のこととかを簡単に話すわけにはいかないよな。
それにしてもフェイトと戦うことを悩んでいるようだ。
しかもアリサのことで悩んでいる時に戦いなんてあったら、それを気にしたことによってなのはが危険な目に合う可能性が高い。
それなら……
「なのは、今日の探索は休んどけ」
「え?なんで?」
「アリサ達と話してこいって。話せる部分だけでもな。今日の探索は俺とカモ君でやっとくから」
ジュエルシードが手に入んなくても、なのはに危険の行く可能性は減るはずだ。
それなら……そっちのほうがいい。
そんなわけで、放課後にカモ君と合流して一緒にジュエルシードを探索することになった。
なのははアリサ達と話し込んでいることだろう。
「はぁ~」
(篤志、どうしたの?)
「俺って……変になったよなぁ」
(え?)
なんでこんなに真剣になってるんだろ?確かになのはのためではあるけど、今までの俺のキャラじゃねえよなぁ。
ジュエルシードをなのはの代わりに探すったって、俺はジュエルシードを感じることはできない。
探索はカモ君の力に頼るだけだな。それに、俺自身発動して大きな力を持っているジュエルシードの封印をすることもできない。
カモ君も発動してしまったジュエルシードを封印するだけの力は戻ってないみたいだし、これじゃ探す意味が少なくなる。
今の俺達ができるのは発動していないジュエルシードの確保だけ。
こう言っちゃなんだけど、かなり不甲斐ないよな。なのはがいないとマトモに行動出来ない。
……イカン、これがなのはにバレたら大変だ。
きっと……
やっぱりあっちゃんはお姉ちゃんがいないと何もできないんだねぇ。
満面の笑みでこう言うに決まっている。
何もできないわけじゃないぞ?ジュエルシードの探索という、ごく極めて特殊なことができないだけだ。……強力な奴なら封印もできないけどな。
ま、結局のところ、今日の探索は不発で何も収穫はなかったけどな。
「そろそろ戻らないと……まずいよなぁ」
流石に一人で出歩くような時間じゃない。
(それじゃあ篤志は先に家に戻っていて。僕はもう少し探索を続けるから)
「……いや、今日はこのまま戻るとしよ…‥」
「あっちゃんとカモ君見~つけた!!!」
流石にカモ君一人で探索するにも限度があるだろうし、それなら疲れを残さないように休んで、次の日の探索にあてたほうがいいだろう。
そんなことを考えてたときに、アリサやすずかと話をしているはずのなのはが俺達のところにやってきた。
「えへへ、もう遅いし一緒に帰ろう」
(待って、これは!!!)
なのはと一緒に帰ろうとしたときに、カモ君が何かに気付いた。
なのはも同じなのか、空を見上げて不安そうな顔をしている。
(この感じ……まさかジュエルシード?)
ライアも何かを感じ取ったようだけど、今の状態でジュエルシードの発動を感じられるってことはかなり近い?
「こんなところで強制発動なんて……結界、間に合え!!!」
俺の肩から飛び降りたカモ君が周囲に被害を広げないために結界を展開する。
……何気に初めて役に立ってないか?
「レイジングハート、お願い!!!」
『Stand by, ready set up.』
なのはもレイジングハートを起動して……そういえばこの話ってあんまりデバイスとか出てこないよなぁ。
(篤志さん、私達も行きましょう)
『PHOENIX』
「ああ」
『LANCER』
もはや誰もツッコんでくれなくなった女の姿になって、それぞれのメモリを起動させる。
『PHOENIX・LANCER』
蒼い鎧と翼を身に纏って、なのはと一緒にジュエルシードのあるところへ向かう。
ジュエルシードに近づいたとき、そのすぐ傍のビルに最近知ったばかりの二人組がいた。
「なのは、あそこにアルフとフェイトがいるぞ!!!」
「向こうも封印しようとしてるみたいだ」
「うん、フェイトちゃんより先に封印するよ!!!」
なのははレイジングハートをジュエルシードに向けて封印をしようと準備するけど、フェイトも黒光りするすんごい棒を向けて封印しようとしている。
くそぅ、あんなに立派なもん持ち出して……俺へのあてつけのつもりか?
「リリカルマジカル、ジュエルシードシリアルⅩⅨ……封印!!!」
『Sealing.』
なのはのレイジングハートとフェイトの太くて硬い黒光りする、男には憎いイチモツから発動したジュエルシードを封印するべく、魔法を使う。
これって……ぜってえ魔法じゃねえよなぁ?
「まぁ、それよりも確保が先だよな」
位置的には俺達とアルフ達のジュエルシードとの距離はほとんど同じだ。
向こうもジュエルシードに向かって動き出したようだから、急がないと。
……いや、フェイトは向かっているけど、アルフがいない?
「……篤志、待って!!!」
突然のカモ君からの声を無視してジュエルシードに向かおうと空に飛び上がった瞬間、何かが俺の手足に絡みついた。
「な、なんだこれ?」
よく見るとオレンジ色の光が輪のようになって、俺の手足を拘束している。
「これは……リングバインド?」
「カモ君、リングバインドって?」
「リングバインドっていうのは……」
なのはの質問にカモ君はバインド魔法とかっていうのの説明をしているけど、それよりも今は俺を助けてほしいんだが?
どうやらこのリングバインドとかっていうのは、そこまで強力な種類の魔法ではないみたいだけど、俺の今の力だけじゃ簡単に引きちぎれないくらいの強度はあるらしい。
まあ、魔力をぶつけたら簡単に壊れるみたいだけど、ぶつける魔力が無かったらどうすればいいんでしょう、カモ君先生?
……さすがにカモ君先生は言い辛いな。
いや、今はそれどころじゃない。問題なのはどうして俺が拘束されたのかってことだ。
なのはやカモ君にはバインドが仕掛けられていないのに、俺だけが仕掛けられるってどういうことだ?
そんなことを考えているうちに、フェイトはジュエルシードを確保し、なのはがそれを追うようにして、フェイトへと接近する。
それによって、拘束された俺はその場に取り残されたが、突如別の人物が襲いかかってきた。
「おおおおおりゃああああああ!!!」
そう、拘束されて動けない俺に姿を消していたアルフが殴りかかってきたのだ。
為す術も無くアルフの拳を受けた俺は地面へと叩きつけられる。
「さすがに……今のは効いたな」
今もまだリングバインドで手足を拘束されているため、自由に動くことは出来そうにない。
「アンタの今の状態じゃ、この前のような動きはできないよねぇ?」
アルフは少し離れた位置から俺の様子を見ながら話しかけてくる。
その見下したような目が何かメッチャムカつくなぁ。
なのはのほうは、フェイトに向かってジュエルシードを集める理由を話している。
今のところ俺が特になのはに対してすることもないようだから、アルフの相手に全力を注ぐとしますか。
カモ君も周辺に被害が出ないように何かしているみたいだしな。
しっかしアルフの奴……
(まさかアルフさん、最初からこっちの動きを止めることを狙って?)
「ったく、変なことに頭が回る犬っころだ」
確かに今の状態じゃアルフの動きについていくこともできないだろう。
今の状態なら……な。
「ライア、あれを使うぞ」
(はい、でもアームドメモリはまだ完成していませんから、注意してくださいね)
「わかってる」
俺は自由の利かない手を何とか動かして、左手でライアメモリを掴んで起動させる。
『DRAGON』
「まさか、他にもあんのかい?」
アルフも俺のやろうとしたことがわかったのか、一気に決めようと俺に向かって突進してくる。
「でも、それを使うには二つ必要なんだろ?その前にアンタを倒すさ!!!」
アルフが迫ってくるのを目で追いながら、右腕のシールドドライバーから『フェニックスメモリ』を取り出して、『ドラゴンメモリ』を何とか装填する。
「ライア!!!」
(はい、強制起動開始!!!)
『DRAGON・LANCER』
本来の起動方法である両拳をぶつけることがまともにできない状況なので、ライアからの遠隔操作で起動させる。
それと同時に、俺の鎧は蒼から赤へ、髪の毛も蒼から赤に変化する。
力と炎を象徴した『ドラゴンメモリ』を起動させたことによって強化された力で、リングバインドを強引に引きちぎる。
……と思ったんだが、思いのほか簡単に引きちぎることができた。
……つまりだ。
「ライアって……怪力なんだなぁ」
(か、怪力なんかじゃないです!!!そういうふうに力を割り振っただけです!!!)
確かにライアの言うとおり、このライアメモリはライアの力を特化させたもんだから、そういう考え方もできるっちゃできるのか?
そして、バインドを引きちぎった俺はなのはのほうを見てみると、どうやらなのはの話が通じたのか、フェイトがジュエルシードを集める理由を話そうとしたとき……
「フェイト、答えなくていい!!!」
アルフの怒声が響いた。
「優しくしてくれる人の中で、ぬくぬく甘ったれて暮らしているようなガキンチョなんかに何も教えなくてもいい!!!アタシ達の最優先事項はジュエルシードの収集だよ!!!」
アルフのその言葉で、一瞬だけ心が冷えた。
優しくしてくれる人の中で、ぬくぬく甘ったれて暮らしている?
俺はアルフ達がジュエルシードを集める事情を知らない。
そして……アルフ達もなのはのことを……なのはが小さい頃に感じていただろう孤独を知っているわけもない。
確かに優しくしてくれる父さんや母さん、恭也兄さんや美由希姉ちゃんはいた。
優しい人達は確かにいる。だけど、それがそのままぬくぬく甘ったれて暮らしている理由にはなりはしない。
「……………………潰す」
『DRAGON・OVER DRIVE』
オーバードライブ。
この場合は、鎧全体からこのフォルムの特徴である炎を纏い、力そのものも大きく向上した状態で相手を叩き潰す……それができるだけの力を開放するのがオーバードライブだ。
無意識に使用したそれで俺はアルフにランサーで斬りかかった。
次元空間を移動する次元空間航行艦船『アースラ』のブリッジでは、オペレーターが小規模ながら発生した次元震の調査をするべく、現場へと急行していた。
「女神殺し……か」
ブリッジの艦長席に座る男は物憂げに呟くが、それを聞いた者は誰もいない。
「あと少しで第97管理外世界ね。……艦長、どうしますか?」
艦長と呼ばれた男のすぐ傍に控える緑色の髪をポニーテールにした女性に、男は優しげに笑いかけると安心させるように言葉を告げる。
「なあに、そんなに心配するほどじゃないよリンディ。なんせ、このアースラには切り札がいるんだからな。そうだろ、クロノ?」
男の言葉に、ブリッジに映されているモニターを見ていた黒髪の少年は男のその言葉に素直に頷く。
「はい、もちろんです。そのために僕はいるんですから、父さん……いえ、クライド艦長」
愚か者の懺悔
旅行に行っていたとは言え更新が遅くなってしまったこと、まことに申し訳ありません。
あ、なのは達が温泉旅行に行っていたのとは関係無しにリアルな話ですので……誰もそんなの聞いてませんよね。
ここから先は原作でもかなりシリアスになっていくので、最初のころに比べてそこまで主人公の紳士(パンツ)っぷりはないかもしれません。
ただ、この原作部分が終わったら、また主人公の紳士(パンツ)っぷりが出てくるはずです。
それにしても……最初のころは主人公はそこまでパンツにこだわるようなキャラじゃなかったのになぁ。
最後に……番外編書きたいなぁ。主人公下着泥棒疑惑とか、お姉ちゃん選手権とか。
さて、どうでもいいかもしれませんが、今回出てきたものについての設定を以下に書いておきたいと思います。基本的に本編で語られている+αくらいですので、読まなくても先の話に支障はない……はずです。
ドラゴンメモリ(フォルムメモリ)
ライアも持つ力と炎を記録したメモリ。これを起動させたことによって赤い鎧を装着する。髪の色も赤くなり、背中には赤い2枚の翼が生える。
ドラゴンランサー
『ドラゴンメモリ』と『ランサーメモリ』を起動しての戦闘形態。圧倒的な力で敵を叩き潰すのが本来のスタイル。しかし、力が大きい分、決して速いとは言えず、あくまで攻撃力で相手を圧倒することが目的である。そして、手数で勝負し、その鋭さで戦うランサーとの相性は良いとは言えず、その力を存分に引き出すことは難しい。