プロローグ
全ての世界の命運をかけた戦い、ライダー大戦から一ヵ月後…
破壊者としての運命から解放されたディケイド・門矢士は、仲間達と共に旅を続けていた。
その旅先で今は亡き岬ユリコの故郷、ストロンガーの世界に訪れていた士一行は、ユリコの墓参りに訪れた後、自分達の家である光写真館に帰ってきた。
「おお、皆おかえり!」お昼ご飯できてるよ!」
家に着くと夏海の祖父、栄二郎が出迎えに現れ、士、ユウスケ、夏海は彼と共に食卓に向かった。
「ふぅ~、腹減った~!」
ユウスケは腹を押さえながら空腹を訴えると、夏海は祖父に笑顔で話しかける。
「おじいちゃん、今日は何ですか?」
「今日はピザを焼いてみたんだよ。チーズたっぷりのヤツをね。」
「チーズ…か…」
士はふと仮面ライダーブレイド・剣立カズマの顔を思い浮かべた。
他のライダーたちと同様に復活した彼はアルティメットDとの戦いの後、自分の世界へと帰っていった。
今はBOARDの社長として社員達と友に働き、「進化」しながら日々を過ごしているだろうと士は思った。
やがて四人は扉を開け、リビングへと入室した。
だがその瞬間、四人の目は驚愕に見開かれた。
「これ、美味しいじゃない。」
食卓に白と水色が基調の学生服を身に着けたダークブルーの長髪が目立つ見知らぬ少女が座り、ピザを一切れ食べていたのだ。
「だ、誰だ!?」
ユウスケは少々びくつきながらも、少女に向けて荒げた声を投げかける。
だが少女はそれに動じることなくユウスケを無視し、満面の笑顔のまま椅子から立ち上がり、士に近づいてきた。
「何だお前は?」
「初めまして…ディケイド。」
少女が発した言葉に士達は再び驚愕すると、少女は笑みを崩さずに話を続けた。
「いきなり来てごめんなさい。でも、どうしても貴方に伝えなきゃならないことがあるの。聞いてくれるかしら?」
「俺に伝えたいことだと?」
「ええ、剣崎一真からの伝言よ。」
「剣崎…一真…」
「剣崎一真」…その名を聞いた士は表情を曇らせた。
剣崎一真は士の知るもう一人のブレイドであり、以前自分に襲い掛かった人間だ。
世界の再生に自分を利用したキバ・紅渡の仲間であり、渡と同様に、士にとって気に食わない存在である。
「今、ある世界にスーパーショッカーの残党が潜伏しているわ。」
「何だって!?」
士の隣に立っていたユウスケは一歩前に身を乗り出し、士は再び表情を歪ませた。
スーパーショッカー…全世界の制服をたくらむ悪の秘密結社である。
アルティメットDを倒したと同時に全滅したと思ったが、まだ生き残りが居たのである。
そして夏海も少女に駆け寄ると、慌てた口調で話し始めた。
「本当なんですか!?一体何が狙いなんですか!?その世界は一体何処なんですか!?」
「落ち着け、夏ミカン。」
士は夏海を落ち着かせると、再び少女に視線を戻した。
「そんなの全部説明してもらわなくたって分かるぜ。大方、俺にスーパーショッカーの残党を潰せってのがあいつの伝言だろう?」
「ええ、そうよ。」
少女は悪びれもせずにそういった。
士は思い切り嫌そうな目をしながら、一度軽いため息をついてまた喋り始めた。
「あの野郎…まだ俺を利用しようってのか?嫌だね。とっとと帰って、あいつにそんなにスーパーショッカーを倒したきゃ自分で倒せって言っとけ。あいつなら出きるだろ。」
「残念だけど、あの人は今自分の運命と戦ってる最中で、他の世界に行くことはできないのよ。だから貴方に頼みに来てるんじゃない。」
「士、聞いてやろうよ。」
ユウスケは士に視線を合わせると、彼に剣崎の頼みを聞くように促した。
「ユウスケ?お前何言って…」
「確かに、俺もお前があの人達にいい印象持ってないのはわかるよ。けど、彼らは彼らで世界を救うのに必死だったんだ。頼みくらい聞いてやろうよ。」
「私もそう思います。」
夏海もユウスケの意見に賛同する。
「スーパーショッカーがまだ居るなら、ほっとけないじゃないですか。あいつらを野放しにしたら大変なことになっちゃいます。もし士君が嫌なら、私が戦いますよ。私だって仮面ライダーなんですから!」
「…ったく、お人よし共が。」
士はまっすぐな二人に呆れながらも、剣崎からの頼みを聞き入れることに決め、再び少女に視線を合わせた。
「で、奴らの狙いは何なんだ?俺達が行く世界はどんな世界なんだ?」
「それは…あ?」
少女はふと右手に違和感を感じ始め、右手を見てみると体が消えかかっていることに気づき、その美しい瞳で士を見つめたまま話を続けた。
「ごめんなさい、私長い時間実体化してられないの。」
「はぁ!?」
士は呆れと怒りで眉間に皺を寄せたが、少女は表情を崩さずに話を続けた。
「ごめん、これ以上無理。行ってみればどんな世界か分かるから、とりあえず向かって。じゃあね♪」
少女はそういい残し消えていった。
それと同時に写真館のスクリーンが降り、光を放ち始める。
そのスクリーンには、赤、青、緑の三色の卵が描かれていた…
※
プロローグはここまでです。
この少女が誰なのかは皆さん、分かりますよね?
相変わらず未熟な作品で申し訳ありませんが、改めて宜しくお願いします…