チラシの裏SS投稿掲示板




感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[19607] 一発ネタとか短編を集めた作品集
Name: 七星◆54cd1b68 ID:8e58ac88
Date: 2010/06/16 21:57

これまでに書いてきた一発ネタや短編を集めてみた。

これからも書き足していこうと思うのでよかったら読んでみてください。



[19607] 【一発ネタ→ネタ短編連作】憑依者いっぱい 間違いなく続かない→続いちゃった
Name: 七星◆54cd1b68 ID:8e58ac88
Date: 2010/06/16 21:57
朝起きると幼女になっていた。

「マスター本日のご予定は」

そしてロボット娘に起こされて朝食を食べている。

「なあ茶々丸。私の名前はなんだ」

「エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルです」

俺、男だったはずなんだけどな。

茶々丸のご飯マジうめえ。








どうやら俺の人生は麻帆良で過ごすと言うことに決定したようだ。

しかも、呪いかかってるから麻帆良の外に出れないし。

原作やらなにやら考えてみたのだが、俺がエヴァになったことによる変化とか難しいことはわからんので考えるのをやめた。

いつまでも家にいても仕方ないので散歩に出ることにした。

茶々丸が「マスターが外に・・・ついにヒキコモリと呼ばれる人種からの進化を」とか言っていた。

今日は日曜日らしいから明日からはちゃんと学校に行こう。

ふらふらと当てもなくさまよい歩いているわけなんだが、麻帆良はとても広くいろんなものがあるのでなかなか退屈しない。

「お姉さん!ぼかぁもう!!」

そうそう、こういうナンパしてるやつも・・・って横島!!

「なんで横島がここにいるんだ!!」

「ん?なぜエヴァが俺の名前を?」

「なんでお前がいるんだ!作品が違うだろう!!」

まさかここはGSクロスの世界だとでも言うのか。

「作品?はっ!!お前もまさか憑依者か!!」

「お前、も?」





ベンチに座って横島?と話をしていたんだが、どうやら横島も憑依者らしい。

ある日気づくと横島になって麻帆良にいたんだとか。

そして、そこに来たタカミチに捕まって、なんやかんやで学園で生活することになったとか。

文殊の使い方とかはなんとなく分かったとか。

「ちなみに士郎とか恭也に、パピヨンや、東方不敗とかもいるぞ。

俺が知ってるだけでも憑依者は10人くらいはいる。

みんな仲良くやってるぞ」

士郎は喫茶店のマスター。

恭也は木乃香のボディガードの一人。

パピヨンはなんか時々学園に現れる妖精的なポジション。

東方不敗は清掃のおじさんらしい。

頭が痛くなってきた。

学園長も最近「これ以上わけのわからんのを増やさんでくれ」とか言ってたらしい。

「まあお前ものんびりやったらいいんじゃないか?」

いや、俺の場合は原作とかすごい心配なんだけど。

俺ネギと戦ったりしないといけないんだぞ?

「原作には憑依者全員で関わることに憑依者組合の中で決定してる」

まあ俺は麻帆良から出れないから麻帆良の中だけの行動だけどね。

「お前もそのうち文殊とかルールブレイカーとか試してみるから。

できるかどうかはわからんけど」

まあ麻帆良から出れるようになるならうれしいけど、魔法協会的にはそれ大丈夫なのか?








魔法協会の偉い人達は東方不敗の怒声の前に敗れ去り、俺の解放を黙認することになりました。

そして、俺はどうやらYOKOSHIMAだったらしいあいつの文殊で解放された。

最近は休日に外に出て茶々丸と買い物するのがお気に入りです。

授業?

もちろん毎日出てるよ。

成績は真ん中くらいだけど出席日数は完璧。

憑依してから一度も休んでない。

新田先生に「マクダウェル、ようやく私の教育が伝わったのか!」と感激された。

そういえば、ガンドルフィーニ先生も憑依者だったらしく、こっそり一緒に飲んだ時に「なんで俺だけこんなやつに憑依したんだろう」とか遠い目で言われた。

まあ嫁さんいるしいいじゃないかと言ったら、どうやら嫁さんはメシマズらしい。

そいつはご愁傷さまです。

学校が終わり下校していると、時々近くで一番高い建物の上にパピヨンがいる。

みんながパピヨンーとか叫ぶと「もっと愛を込めて!」とか言っているのを見ることがある。

麻帆良の妖精らしい。

東方不敗も超級覇王電影弾で学園を飛び回りながら、下に落ちているゴミを消滅させて掃除をしている。

時々ミスって地面を削ってしまうのが困りものだとか。

あとは木上に登り降りられなくなった猫をマスタークロスで捕まえたり、ゴミをポイ捨てしようするヤツらに石破天驚拳をくらわしている。

あと、まだネギはこっちに来てないらしい。

明日に来る予定だとガンドルフィーニ先生が言っていた。






「はじめまして、ネギ・スプリングフィールドです」

俺は本当にこいつと戦わないといけないんだろうか。

まあ正直、解放されて時間制限も無くなった今では負ける気は全くしないけど、やっぱり負けた方がいいのかな?

「ネギ先生!質問質問!!」

「だが断る!このネギ・スプリングフィールドが好きなことは「お前もかーーー!!」なに!貴様新手のスタンド使いか!」









[19607] 例えばこんなスクナ戦 憑依者いっぱい第2話
Name: 七星◆54cd1b68 ID:8e58ac88
Date: 2010/06/16 22:14
やあ、封印が解けたせいで最初から京都に連れてこられたエヴァだよ。

嫌だと言ってごねたんだけど、東方先生に怒られて連れてこられた。

結局修学旅行の日に予定の入ってない憑依者は全員来たらしい。

ちなみに恭也は風邪をこじらせてこれなかった。

40度の熱で意識も無いらしい。



今はどこかって?

今は関西呪術協会にいる。

ここまで来るまでは正直楽勝だった。



電車の中はカエルが邪魔なだけで問題なかった。

清水寺の酒も楽しませてもらった。



ホテルでの千草・月詠VS士郎

「式神の貯蔵は十分か?」

「ひえええ~!なんやなんや!!」

「あの兄はん強いな~。けど、剣を飛ばすなんか非常識やわ」


そのころの碇シンジ(スーパーシンジではない)と東方不敗。

「逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ。逃げちゃダメだ」

「シンジ!まだトイレに入っておるのか!

はやくせんか、漏らしてしまうではないか!!」

「憑依しても初号機が無いんじゃどうしようもないじゃないか~!!」





映画村では木乃香の護衛にパピヨンをつけておいた。

「残・念」

木乃香に向けて発射された式神の矢をあっけなく防いでいた。

なぜか口に受け止めて。

そして噛み砕いた。

「ん・まあ~い」

「あ、あんさんら一体何者なんや!!化物か」

「化物じゃなくて超人さ。

それにしても、それで勝とうなんて可笑しくて吹き出してしまいそうだ!」

ピッとポーズを取り千草を指さす。

やや後ろのめりなため股間のモッコリが強調されていた。

「ひいいいい!!」

千草はいろんな意味で恐れて式神にパピヨンに向かってもう一度矢を撃たせた。

今度はパピヨンが防ぐこともしなかったのだが、全くの無傷だった。

「意外とイタいけどちょっと カ・イ・カン(ハート)」

「ひ、ひええええええ!!」

「お前はそこで今しばし自分の無力さに打ちひしがれてろ。

じゃあここからのパーティは、2次会『憑依超人ホムンクルスパピヨンの生誕祭』だ!!」

千草は恥も外聞も無く逃げ出した。





あと、ネギは小太郎と戦わなかった。

代わりに東方不敗が戦っていた。


東方不敗は小太郎の狗神を喝と叫んだだけで消し飛ばした。

「だぁからお前はアホなのだぁ!

今更なんで狗神に頼ろうものかぁ!

来い!

貴様も武闘家ならば、自分の体で闘わんかぁ!!」

「くそっ!わかったわ!

俺も男や。意地を見せたるわ!!!」

「その心意気や良し!!」

小太郎は必死に殴りかかるものの、拳は東方不敗の体に触れることは無かった。

そして、ただの一撃で小太郎は地にひれ伏した。

「なんでや、なんでそんなに強いんや!!」

「知りたいか、ならば勝負の二文字をもって教えてくれるわ!」

東方不敗は既にライフポイントが0の小太郎に追い打ちをかけた。

その後、なんやかんやあったらしく小太郎は東方不敗に弟子入りしていた。

「流派!」

「東方不敗は」

「王者の風よ!」

「全新」

「系列!」

「「天破侠乱!」」

「「見よ!東方は赤く燃えている!」」

なぜかその後二人でわざわざ夕日を見に行っていたらしい。

「美しいな・・・」

「ああ、すごいきれいやわ・・・」







そんなことがあって総本山に来た訳なんだが。

「ふははは!星矢もっと飲め!

それともそれが限界か?」

「なっ!聖闘士をなめるな!!」

「ふはは!!なかなかやるではないか!!」

「こっちも酒~」

「足りないぞ~!!」

ダメだこいつら。

なんか飲んでばっかりだ。

すでに出来上がっている。

俺はしかたないのでネギのところで今後について話すことにした。




「で、これからどうするんだ?

正直このメンツならスクナとか倒せるだろうけど一応。

まあ木乃香が攫われないのが一番だろうからそのへんを」

今木乃香は星矢に護衛を任せている。

・・・・あれ?

さっき星矢酒飲んでなかったか?

「それはな・・・待て!!」

ネギが急にばっと立ち上がりポーズを決めた。

そして何故か顔を手で覆っている。

「フェイト・アーウェルンクス!貴様、見ているな!」

こいつ、絶対コレやりたかっただけだろ。

「まさか気づかれているとはね。

まあ最低限の目標は達成したから、ここで退散させてもらうよ」

いや、気づいてないからな。

ネギが一番驚いた顔してるし。

・・・って最低限の目標って木乃香攫われたのか!!



みんなを呼びに行くと、石化していた。

酒を持ったまま驚いた表情で石化している。

こいつらどこまで飲んでたんだよ。

「ん?エヴァ、どうかしたのか・・って石化しとるやないか!!」

横島!お前は大事丈夫だったのか!!

「ああ、俺はどうも憑依前から酒は好きじゃなくてな」

お前がいるなら大丈夫だろ。

はやく文殊で石化解いてくれ。

全員の石化を解除し終えると、俺たちはみんなでスクナを倒しに行った。

護衛をサボっていた星矢は東方不敗に怒られていた。








「驚いた。まさか石化を解くなんてね。

でも、もう遅い。

すでにスクナは復活した」

ということでスクナをさっさと倒さないといけないので、フェイトの相手は星矢に任せて先に行くことにした。

「君一人かい?」

「お前の相手なんか俺ひとりで十分ってことだ」

「さっきは無様に石化させられたようだけどね」

フェイトもまた、流石にあの人数にいかれると万が一ということも、と考え石化で早々にケリをつけて追いかけようとした。

「知らなかったのか?聖闘士に一度見た技は通じない」

「なっ!」

「燃えろ俺の小宇宙!!」






「どうやらやっと来たようやけど、いくらあんさんらが強いとは言うても、こっちには人質がおるんや」

まずは木乃香を助けるのが先か。

さて、どうしたものか。

「パピ!ヨン!!」

と、パピヨンが空を飛び千草の後ろに出現した。

パピヨン、お前いないと思ってたら。

「で、でたーーーー!!ぱぱぱぱ、パピヨン!!」

「チッチ。『パピ♥ヨン♥』。もっと愛を込めて!!

さあ、こんな凍てつく闇夜にふさわしい超特大のかがり火を焚こう!」

まあ、簡単に言うと木乃香は助けられた。

「蝶、サイコー!」

「あれぇ?妖精さんや~。

なあ妖精さん。どうしてそんな変な格好しとん?」

「まだこのスタイルの魅力がわからんとは。

貴様はつくづく可哀想なヤツだな」

「お嬢様!!ってあれ?」

刹那は慌てて飛んできたが既に助けられている木乃香を見て呆然としていた。

「あれ?せっちゃん、羽が生えとる」




そのころのシンジはと言うと。

ついて来ても仕方ないのでホテルで留守番をしていたのだが

「動け!動け!動け!動いてよおおおおお!!」

エレベーターが止まって閉じ込められていたらしい。








木乃香を助けたあとはこっちの総攻撃で一方的な展開だった。

東方不敗の石破天驚拳。

士郎の無限の剣製。

パピヨンの黒死の蝶。

ネギのジョジョ立ち。

横島のサイキックソーサー。

スクナはどう見ても既に瀕死の状態で、ふらふらとしている。

ライフポイントは既に一桁だろうというくらいだ。



「だいぶ弱ったようだな。よしやれいサトシ!!」




「任せとけ!いけ、マスターボーーーール!!」









[19607] 【一発ネタ】最初の3匹。選んだのはピッコロ
Name: 七星◆54cd1b68 ID:8e58ac88
Date: 2010/06/16 21:59
俺の名はレッド。

マサラタウンに住む普通の少年だ。

街から出ようとしたんだが、グリーンの家のじいさんに止められた。

なんでもポケモン持ってないと危ないからポケモンを一匹くれるらしい。

どれでも好きなのを選んでいいとはなかなか太っ腹だな。

「おぬしにやるのはこの三匹の中の一匹じゃ。

どれでも好きなのを選ぶといい」

左からヒトカゲ、ゼニガメ、ピッコロか。

どんなやつらなんだ?

「ヒトカゲは火属性のポケモンじゃ。そして、ゼニガメは水属性じゃ。

ピッコロは、よくわかっておらんのじゃ」

は?

なんでこいつだけわかってないんだよ。

「いや、そいつは草むらで弱って倒れているところを偶然見つけてのう。

治療しないとまずいと思って、とりあえず捕まえたんじゃが。

どうやら完全に新種のポケモンのようなのじゃが、詳しい生態がわからんのじゃ。

ここで研究するにも限界があるから、そいつを選んだ場合は分かったことなどを逐一報告してもらいたいのじゃ」

新種のポケモンか。

なかなか惹かれる言葉だが、正直始めてのポケモンくらいは普通のやつがいい。

俺はこのヒトカゲに

「そのふたりと行ってもやつは倒せん このオレがいっしょに行ってやる」

うおおおお!

こいつモンスターボールの中から出てきたぞ!

「うむ。どうやらそいつは自分の意志で出ることができるようなのじゃ。

じゃが、一応トレーナーに危害を加えることはできんようじゃな」

新種のポケモンだからか?

それにしてもやつって誰だよ。

「おうじいさん。俺にもポケモンくれるらしいな!」





なんかヒトカゲを選んだグリーンとポケモンバトルすることになった。

「いけ、ヒトカゲ!ひっかく」


ピッコロに3のダメージ


ピッコロ、自己再生だ!

「ぐ、ぬおおおおおおおおおお!

・・・・はあっ、はあっ!」

おお、傷がふさがった。


ピッコロに100のダメージ


なんで自己再生したのにダメージ受けてるんだよ!

「これはなかなか体力を消耗するんだ」

それって意味なくないか?


「もういっかいひっかけ!」

ピッコロに4のダメージ。

自己再生はだめだな。

ピッコロ、魔貫光殺砲だ!

「ふん!ぬおおおお!」

・・・・・・・・・あれ?魔貫光殺砲は?

「この技は気をためるのに時間がかかる。

具体的に言うと10ターン位だ」

なん、だと・・・・。











それから数カ月。

俺も他のポケモンを何匹も手にいれている。

正直そろそろピッコロがいらなくなった。

オーキド博士も、研究してもよくわからんからもういいやとさじを投げた。


そういうわけで、今日はピッコロを野生に返そうと思う。



ピッコロ、そういうわけだから。

まあ、気が向いたらまた捕まえて仲間に戻してやるから。

「にどともどせるかーっ!!! バカバカバカバカバカーッ!!」

いや、そんな事言われてもお前使い勝手が悪いんだもん。

最近捕まえたケンタロスががんばってくれてるから、お前スタメンから外れるし。

しかも、お前なんでかボックスにも預けれないから仕方ないじゃん。

「ふん」

まあ、そういうわけだからさ。

俺、本気でポケモンマスターになりたいんだ。

新種のポケモンはちゃんと研究がされるまでは公式戦じゃあ使えないみたいだし。

だから、悪いな。

「お前といた数ヶ月・・悪く・・な・・・かったぜ

死ぬなよ・・・レッド」

ああ、俺は絶対ポケモンマスターになるからな。





こうしてピッコロは野生に還っていった。




数年後、ポケモンマスターになった俺はマサラタウンに帰ったのだが

「つ…強くなったなレッド…… オ…オレはうれしいぜ……」

と、ピッコロに出迎えられた。

なんでもピッコロはグリーンの姉ちゃん預かりになったらしい。

なんでも、コラッタに襲われているグリーンの姉ちゃんを助けたとか。

母さんが言っていたのだが、グリーンの姉ちゃんはバトルとかするトレーナーというわけでもないので、ピッコロは毎日ごろごろとしてグリーンの姉ちゃんとキャッキャウフフとしているだけらしい。

オーキド博士が「まさかポケモンに孫を取られるとは・・・・」と言っていた。

ちなみに俺はポケモンマスターになったが未だに彼女はいない。

なんだろう、この敗北感は・・・






[19607] 【一発ネタ】DQ3【超短編】
Name: 七星◆54cd1b68 ID:8e58ac88
Date: 2010/06/16 22:00
ちょっと親父の後を継いで魔王を倒してこいと王様に言われた。

当然嫌だと言ったわけなんだが、兵士の人たちが槍をちらつかせてきたため承諾せざるを得なかった。

王様がルイーダの酒場に居る冒険者を好きなだけ連れていっていいと言ってくれたことだけが救いだった。

とりあえず、ルイーダの酒場で仲間をいっぱい連れて行くか。

100人くらい連れて行ったら俺でもなんとか生き残れるかも知れない。



「ごめんなさい。今は一人しかいないの」

え?マジで

既にルイーダの酒場は寂れていた。

なんでも最近ハローワークとやらが開店して、みんなそっちに行ってしまったらしい。

「いるのは武闘家が一人なんだけど・・」

ま、まあいないよりはマシだよな。

その人連れて行くよ。

「わかったわ。

阿部さん、指名入りました~!!」

現れたのはツナギ姿の男

筋肉モリモリの強そうな男だ。

これは当たりかも知れない。

「ひゅ~。

勇者が俺を指名か?

でもいいのか?

俺は勇者でも構わず食っちまう男なんだぜ」

こいつ食人部族か!

「もう阿部さんも変な冗談言わないの!

ごめんなさいね。この人も悪い人じゃないから」

な、なんだ冗談か。

ちょっとあせった・・・。

「それよりこれを見てくれ。

こいつをどう思う?」

すごく・・・大きいです・・・

俺はそう心の中でつぶやいて意識を手放した。









目覚めると阿部さんに担がれてアリアハンを既に出発していた。

阿部さんは強かった。

ここらに出てくる魔物は一撃で倒す。

まあ、スライムに体当りされては尻で防ごうとして突起が肛門に刺さっているのを見るのはいい気分では無かったが。

しかし実力では問題ない。

これは当たりだと確信した。










「それではお二人さまで10ゴールドになります」

夜になる前に街に辿りつくことができた。

これも全て阿部さんの力だ。

俺は阿部さんに感謝しながら眠りについた。




次の日、朝目覚めると尻が、というか穴が痛かった。

なんで肛門が、とも思ったが初めての旅で何か体にちょっとした不調をきたしているのかも知れないと思い気にしないことにした。

幸い歩くくらいはできるようだった。




あ、店主。

いや~、ここのベッドふかふかで気持ちよかったよ。

また来ることがあったらここに泊まらせてもらうから。






「昨晩はお楽しみでしたね」






[19607] 【一発ネタ?】ミッドの空を舞う【レジアス主人公】
Name: 七星◆54cd1b68 ID:8e58ac88
Date: 2010/06/16 22:01
注意 これはなんとなくこんなのよんでみたいなざと思ったものをちゃちゃっと書いただけなので、文章が箇条書きっぽくなっています。




レジアスには義理の息子がいる。

彼、ノエル・ゲイズは捨て子だった。

ある日、レジアスの家の前に捨てられていたノエルをレジアスが見つけたのが始まりだった。

管理局の人間にも力を借りて親を探してみたものの、見つかることは無かった。

レジアスは、施設に預けるべきかと考えたが、その子供を引き取ることにした。

正義感とかそんな立派な理由で引き取ったわけではない。

娘のオーリスも気に入っているようだったし、妻もそうすることを勧めてきたから引き取っただけだった。

その子には魔力資質があった。

エースになるには足りないが、管理局員の平均より少し上にはなるだろうと言われた。

それが彼らの始まりだった。

すくすくと育っていくノエルはレジアスのことをお父さんと呼んで慕った。

強面のレジアスは、子供には怖がられることが多かったため少し嬉しかったと友人に語ったと言う。



いつしか、二人は本当の親子のように仲良くなっていた。

ある時期、レジアスは悩んでいた。

戦力の不足。

このままではミッドチルダを守りきれないのではないか。

どうするべきか。

悩んでいると、息子がテレビで管理局員の働きの流れているニュースを見て、レジアスに駆け寄ってきた。

「僕もいつかお父さんみたいにミッドチルダを守るんだ」

そう言ってくる息子の頭をレジアスは微笑みながら撫でた。

「じゃあ、お父さんはお前が立派な魔導師になるまでミッドチルダを守るよ」

レジアスは弱音を吐いてはいけないなと気を引き締めた。




それでも、やはり戦力が足りないことには変りなく

それから数年経ってもレジアスは日夜頭を抱えていた。

このままではいけない。

いっそのこと、犯罪に手を染めてでも戦力を手にするべきなのではないか。

そんなことを考えながら家に帰ると、家では家族が温かく迎えてくれた。

息子は魔法学校に通い始めており、くーせんてきせいがあるって先生に言われたとにこやかに笑いかけてきた。

海か、とレジアスはため息を付いた。

地上にも少しでも戦力を回してもらえさえすればと恨み言が出そうになった。

しかし、そんなことはありえず現状はただ厳しいだけだった。

家で犯罪件数の増加についてのニュースを見ながら考えていた。

やはり、もう犯罪を犯してでも・・・・

「お父さん」

レジアスの考えを遮るように息子が話しかけてきた。

「僕ね。今はできないけど、いつか空を飛べるようになったらお父さんも一緒に空に連れていってあげる。

ミッドチルダの空はきっと気持ちよくて楽しいよ」

息子はきっと何も知らないのだろう。

空を飛ぶには許可がいるということも

今はそのミッドチルダを守れるかどうかも怪しいのだ。

しかし、レジアスにはその言葉が純粋に嬉しかった。

そして、自分の不甲斐なさに怒りを覚えた。

一体何を考えていたんだ。犯罪に手を染めるなどと。

そんなことをして私はこの子の前で誇ることができるだろうか。

これが自分の守ってきた世界なのだ、などと・・・。

いつかこの子の飛ぶという空を、この子の生きる世界をそんなことで汚したくなかった。

「ありがとう。じゃあ、お父さんもそれまでがんばってミッドチルダを守るからな」

なに、魔力も無しにここまでのし上がってきた自分だ。

これまでどおり、ミッドの一つや二つ守りぬいてみせるさ。

必要となれば大嫌いな海の連中とでも手を組んでみせるさ。

レジアスは誓いを新たにし眠りについた。




それからもレジアスは手段を選んだ上でミッドチルダを守り続けた。

前線に立つわけでもないが、ミッドの守護神とまで言われるようになっていた。

戦力は相変わらず足りない。

資金も足りない。

何かを準備するにも時間すら足りない。

何もかもが足りない中でレジアスは必死に戦い続けた。

息子は、士官学校に進んでいて、空戦魔導師になろうと努力しているらしく

ときおり会ったときに成長した姿を見るのがレジアスの楽しみだった。



レジアスの親友だったゼスト・グランガイツとその部隊が調査していた任務で死亡したという報告を受けた。

レジアスは驚き、悲しんだ。

まさか、あのゼストがという思いでいっぱいだった。

しかし、レジアスには足を止める暇はなかった。

彼らが死んでしまった今、ミッドの戦力は大きく低下したのだ。

私が止まるわけにはいかない。

こうしている間にもミッドは犯罪者共による危機に脅かされているのだ。

レジアスは涙を流し、嗚咽しながら書類を片付け続けた。




ある日レジアスが必死に書類を処理している時、管理局員の訃報が届いた。

ティーダ・ランスターという一等空尉らしく、レジアスも葬儀に出席することtなった。

葬儀には大勢の人が詰めかけ、彼の人望を現しているかのようだった。

きっと有能な局員だったのだろう。

人望もあり、有能な局員。

管理局はまた一人貴重な人材を失った。

葬儀場では、彼の妹らしき小さな女の子が泣いていた。

レジアスはその光景を見て、自分自身がふがいなく感じた。

自分がミッドチルダの犯罪者共を残さず捕まえることができていれば、彼は死ぬことはなく

あの子も泣くことはなかったのだ。

「無能め・・・」

レジアスは自分を蔑む言葉を呟くと葬儀場を後にした。






それからさらに年月が過ぎ、ミッドチルダを古今未曾有の大事件が襲った。

次元犯罪者スカリエッティによる管理局への反逆だった。

機動六課と地上本部が壊滅したのだ。

レジアスは恐れおののいた。

不可思議な戦闘機械や戦闘機人の力はすさまじく、とても地上の人間だけでは対処しようもないのだ。

しかし、その時のレジアスの行動は迅速だった。

八神はやて率いる機動六課に頭を下げて協力を要請した。

海の人間にも頭を下げて回った。

今まで、自分たちだけで守ってきたというプライドはレジアスにもあり、それは屈辱的なことだった。

しかし、守るべきはミッドチルダでありプライドではないのだとレジアスは己に言い聞かせた。

機動六課からは即座に了承を得ることができた。

彼らもまた、ずっとスカリエッティを追っていたから話は早かった。

対して、海の人間の返事は芳しくなかった。

たしかに、ミッドチルダで今事件が怒っているのと同様に管理世界でも事件は起こっているのだ。

悔しいが、ここは現状の戦力で打破するしか無いと覚悟を決めた。




次の日、後にミッドチルダ最終決戦と呼ばれる戦いが起こった。

スカリエッティ達も今日で全てに決着を付けるつもりなのだろう。

恐ろしい数のガジェットがミッドチルダにばらまかれた。

レジアスは絶望した。

とても対処しきれないのだ。

一騎当千の集う機動六課も手伝ってくれているとは言え、いかんせん戦闘領域が広すぎて手が回らない。

その上、ゆりかごまで止めなければならないときている。

どう考えても無理だ。

そうレジアスが呟いた時、通信が来た。

海の人間の一人が参戦を希望してきたのだ。

レジアスは物好きもいるものだ、どうせ一人加わったところで何も変わりはしないと思いつつ許可を出した。

すると、また通信が来た。

また参戦を希望する海の人間だった。

その後、次々に届く通信が止まるまでしばらく時間がかかった。

少しでも余裕がある。

管理世界での任務が終わり、艦内で休暇中だった。

そんな海の魔導師たちが次々とミッドチルダを守るために協力を申し出たのだ。

レジアスは、その数を計算し指示を出して安堵し狂喜した。

なんとか、数が揃ったのだ。

これでミッドチルダのガジェット共は駆逐される。

ゆりかごの方は任せてくれと機動六課のほうから通信が入った。

気にくわないところも多い連中だが、実力は確かだ。

私にできることはもう残っていないな、とレジアスは立ちあがった。

なら、今度は私がやらなくてはならないことをしに行こうと。

覚悟の証を手にとり、その足を最高評議会の居る場所に向けた。






ずっと自分は目を背けていたのかも知れない。

見たくないものから目をそらし続けていたのかも知れない。

私たちは正義の組織なんだと、そう信じようとしていたのかもしれない。

少し考えればわかることだった。

スカリエッティが単独でここまでの戦力を揃えられるはずが無い。

資金や設備など、必要なものは数多くあるのだ。

既に今までの調査で局内にいるスカリエッティの協力者はわかっている。

だが、あと一押し足りないこともわかっている。

あと一押し。

そのあと一押しを押すことができるのは、もう彼らしか残っていないのだ。

レジアスは最高評議会を問い詰めた。

そして、返ってきた言葉に激怒した。

怒りに身を任せるがままに、混乱のさなかでこっそりと持ち出した質量兵器の引き金に指をかけ、一心不乱に引鉄を引き続けた。

こうして最高評議会は長い生に幕を降ろした。

その時、レジアスは気づいていなかった。

背後に迫る暗殺者に。

怒りに身を震わせるばかりで、全く気づいていなかった。

そして、暗殺者はレジアスを殺そうとした。

しかし、その瞬間だった。

ゼスト・グランガイツ。

彼がレジアスをかばい、返す刀で暗殺者の息の根を止めた。

レジアスは驚愕を隠せなかった。

彼が生きていたことではない。

彼がレジアスをかばったときに致命傷になりうる怪我を負っていたことにだ。

ゼストを揺さぶるレジアスだが、ゼストは誰が見ても死にゆく怪我を負っていた。

そこに、ゼストを追ってきたシグナムが現れた。

彼女は、始めこそ驚愕していたもののすぐに気を取り直しゼストに歩み寄った。

そして、二人の間では数回言葉が交わされ、彼女はゼストから事件のことを収めたデバイスとユニゾンデバイスを預かった。

ゼストは息も絶え絶えの中で、レジアスのほうを向いて口を開いた。

「レジアス・・・俺のいない間も、ミッドのことを守ってくれてありがとう」

そう言い終えると、ゼストは目を閉じ、二度と目覚めることは無かった。

レジアスの嘆きの叫び声が響き渡った。

シグナムもまた、顔をうつむかせ涙を流した。

同時にゆりかごの破壊を告げる通信が入り、事件は幕を降ろした。








そして現在。

レジアスは刑務所にいた。

事情はどうあれ、質量兵器を使ったためだ。

既に管理局にも辞表は提出しており、今はただの罪人だ。

看守が、レジアスに牢から出るように言った。

今日がレジアスの出所日だった。





レジアスが刑務所から出て、看守に指定された場所に向かうとそこには大勢の人がいた。

陸、海を問わず多くの管理局員がレジアスを迎えた。

機動六課の面々が前面に立ち、レジアスを見据える。

「久しぶりやな。元中将」

「八神はやて・・・」

レジアスは眉をしかめた。

なぜ、彼女がここにいるのだと。

「今日は元中将の出所祝いで皆集まったんや。礼くらい言っても罰は当たらんで」

何を馬鹿な、とレジアスが口を開こうとした瞬間だった。

「お父さん!!!」

人ごみの中から一人の少年が歩みでた。

ノエルだった。

「ノエル・・・・」

「お父さん、僕空戦魔導師になったんだよ。

・・・・・・これで、ずっと昔の約束が守れるね」

約束。

そう言えば、ずっと昔にそんなことを言っていたな。

「ノエル。お前も知っているだろうが空を飛ぶには許可をとらないといけないんだ」

「それなら、私がとっておいたで。

今日は色々と無理を通すことになったけどな」

はやては苦笑を浮かべてそう言った。

「お父さん」

ノエルは手を差し伸べた。

レジアスは、恐る恐るその手を握り返した。

「ほな、みんなレジアス元中将出所の祝砲や!」

機動六課の面々がデバイスを構えて上空に向けた。

そして、はやての合図の下一斉に砲撃が放たれた。

色とりどりの魔力砲が、一際大きなピンク色の砲撃を中心として空に伸びていった。

空を見上げると、空戦魔導師の一団が編隊を組んでレジアスを祝うために空を舞っていた。

「それじゃあ、行こう。お父さん」

レジアスは微笑んで頷いた。

ふわり、と体が宙に浮きだんだんと高度を上げていった。

「レジアス・ゲイズ元中将殿に敬礼!!」

はやての号令で、集まっていた局員全員が敬礼をして二人を見送った。









空を飛ぶというのはこんな感覚だったのか。

これはたまらないな。

皆が空に憧れるのも仕方の無いことかもしれん。

「ねえ、お父さん」

「ん、どうした」

「下、見てみて」

レジアスが地上を見下ろすと、ミッドチルダの街並みが広がっていた。

そこには多くの人々が行き交っており、あんな事件があったとは思えないような光景だった。

人々の顔に笑顔が浮かんでいるのが見て取れた。

「美しい・・・」

レジアスの口から思わずこぼれでた本心だった。

「・・・・・・これが、お父さんが守ってきたものなんだよ?」

「・・・・ああ、ああ」

レジアスの口から嗚咽がこぼれた。

その目からは涙が流れていて、まるで止まることを知らないかのように流れ続けた。

これが、私の守ってきたものなのか・・・。

ずっと

ずっと

私はこの光景が見たかったのかも知れない。

「お父さん。これからは、僕がこの光景を守っていくよ」

「ああ・・・・・ああ・・・」

レジアスは流れ落ちる涙を止めることもできないままに笑顔を浮かべた。

二人は、時間の許す限り空を飛び続けた。

ドンっと大きな音が聞こえた。

後ろを振り返ると、色とりどりの魔力光が空高く伸びていた。





流れ落ちる涙を振りまきながら、

思わずこぼれ出る笑顔を浮かべながら、

二人はミッドの空を舞い続けた。






[19607] 【一発ネタ】とあるトリッパーの劇場版エヴァ最終回でアニメ版的エンディング
Name: 七星◆54cd1b68 ID:8e58ac88
Date: 2010/06/16 22:02
俺はトリッパーだ。

ある日、神様のきまぐれでエヴァンゲリオンの世界にやってくることになった。

トリップするときにいろんな力をもらったり外見を変えてもらったりした。

今の俺は、銀髪のオッドアイでめちゃくちゃイケメンという勝ち組フェイス。

ATフィールドも生身で出せて使徒と生身でも戦える、エヴァとのシンクロ率は100%で固定というチート仕様。

俺は、この世界でレイやアスカやミサトさんやリツコさん・・・・etcを幸せにしてやろうと思ってこっちに来ることを了承したのさっ!!

もちろん、人類補完計画なんかはぶち壊してやろうと決めていた。

今日、ようやく映画版まで物語が進み、俺たちはゼーレ達と戦った。

もちろん、勝利したさ。

量産型とか雑魚かった。

ネルフに軍隊が攻めこんでくるのもわかってたから、既に対処済みで一網打尽にしてある。

そういや、俺のエヴァ試作6号機の強さは半端じゃないぜ!

試作機ってところが自分でも気に入っている。

スペック的にも最高のレベルに達しているしな。

空とか飛べるし、活動限界なんて存在しない。

そうして、量産型を撃破した俺たちチルドレンはエヴァから降りた。

格納庫には既に大勢の職員が詰めかけていて、俺たちを出迎えた。

ああ、最高だな。

トリップしてマジよかった。

ただ、一つだけ不満があるんだ。

それも大きな不満が。

エヴァから降りたアスカとレイが走ってきた。

彼女たちの後ろにはミサトさんにリツコさんにマヤさんに、あとなぜか委員長まで一緒に走ってきている。

そうして彼女たちは俺の方に向かって走り寄り




そのまま素通りした。

「シンジ!」

「碇君」

「シンちゃん!」

「シンジ君!!」

彼女たちは俺の隣にいるシンジに抱きついた。

そう、こいつこそが俺の不満だ。

なんでスーパーシンジ君がいるんだよ・・・。

トリップするときに俺もニコポナデポをもらっておくんだった・・・。

彼女たちの眼中に俺はいないらしい。

いつもこうだった。

俺がいくら使徒を倒しても見向きもされなかった。

以前、レイ(シンジによりニコポ済み)に笑えばいいと思うよって言ってみると鼻で笑われた。

アスカ(シンジによりry)にアスカの必要性を説いてみると「当然よ。まあ、あんたはいらないけどね」と言われた。

チルドレンになったときにミサトさん(ry)に「ごめん、うちはもういっぱいだからひとりで暮らしてね」って言われた。

そんな俺をリツコさんは「ブザマね」マヤさんは「不潔」と言った。

委員長は優しかったが、苦笑いを浮かべていた。

なんなんだろう。

せっかくハッピーエンドなはずなのに涙が出てきた。

ここに俺の居場所はないのか・・・。

俺が涙を拭っていると、誰かが後ろから肩を叩いてきた。

振り返ると、そこには笑顔を浮かべた青葉さんの姿があった。

見ると、俺の回りは囲まれていた。

碇司令、冬月さん、青葉さん、日向さん、加持さん、トウジ、ケンスケ、カヲル君、ペンペン、その他の男性職員の人達。

みんながみんな、笑顔を浮かべて俺を見ていた。

そして、ただおかえりと言ってくれた。

とてもあたたかい気持ちになった。

みんなが俺を迎えてくれることが嬉しかった。

「やっと、わかった・・・・。俺は、俺はここにいてもいいんだな」

俺は鼻声になりながらそう言った。

すると、みんなが一斉に拍手を始めた。

「おめでとう」

碇司令・・・

「おめでとう」

冬月さん・・・

「おめでとう」

青葉さん・・・

「おめでとう」

日向さん・・・

「おめでとう」

加持さん・・・

「おめでとう」

トウジ・・・

「おめでとう」

ケンスケ・・・

「おめでとう」

カヲル君・・・

「クエックエー!!」

ペンペン・・・

「おめでとう」

みんな・・・


俺は、嬉しくてたまらなくて


皆の優しさが心にしみて

自然と笑顔を浮かべていた。

そして、笑顔のままこう答えた



「ありがとう!」






[19607] 【一発ネタ】パンツを追い求めた男の話
Name: 七星◆54cd1b68 ID:8e58ac88
Date: 2010/06/16 22:13
これは、ただパンツを求めた男の話。
アホな話なので深く考えないでください。



「こちらハーミア。機動六課に到着した」

 ハーミアが無線機に向かってそう呟いた。ハーミアの容貌は極めて普通だった。どこにでもいるような顔立ちに、規定の制服も着ている。見れば誰しもが管理局員であると信じて疑わないだろう。

『ああ了解だ。なら、悪いが俺はここで手を引かせてもらう。
流石に今の俺では機動六課に深く関わるのは危険過ぎるからな』

無線機から帰ってきた言葉にハーミアは頷き、感謝の言葉を告げた。無線機の向こう側に居る男がいなければ自分はここまで潜入することもできなかっただろう。

『礼なんかいいさ。お前はただ手にしてくればいい』

「礼といってはなんだが、戦利品を手にした暁にはお前も一目見てみるか?」

ハーミアがそう答えると、無線機からは苦笑がこぼれおちる声が聞こえてきた。

『わかってて言っているんだろ?見せる必要はない。俺は俺でいずれ自らの手で手にしてみせるさ』

無線機から聞こえてきた声には決意の念が込められていた。ハーミアはそれを聞くと苦笑を浮かべて「了解だ」と答えた。

ハーミアには返答がわかっていた。あれは自分で手にしなければ意味のないものなのだ。自分で手に入れてこそ価値がある、そういう物なのだ。

『健闘を祈る』

無線機が切れたことを確認すると、ハーミアはただ黙って歩き始めた。自然になどと心がける必要はない。そんな段階はとうの昔に通り過ぎた。

歩く姿勢もぴしりと決まっており、ハーミアはまるで勝手知ったるかのごとく歩いた。通りすがりの局員達も、誰一人不審に思わず男の横を通り過ぎて行く。

ハーミアもそのことに疑問を感じなかった。自信などではなく、自負があった。自分は人生をこの道に捧げてきたのだという自負が。

それは、ハーミアが曲がり角を曲がろうとした時だった。ハーミアの肩を誰かが後ろから叩いたのだ。ハーミアは内心驚きはしたものの、表情にはそれを見せず「なんですか?」と言って振り向いた。

そこには一人の女性の姿があった。エースオブエース高町なのは、ハーミアのターゲットの一人だった。

「ねえ、ちょっとお話しようか」という言葉を聞き、ハーミアの表情に驚愕の念が浮かんだ。





それは、なのは達が残業をしている時だった。クロノからの通信が入り、はやてがそれに出た。クロノの要件というのは管理局が十数年追いかけている下着泥棒についての件だった。

「ハーミアと呼ばれている男だ。この男はSランクの魔力を所持していると思われる」

「それで、その男の人がどないしたん?」

はやては、魔力ランクが高いな~ぐらいにしか思っておらずクロノに問いかけた。その瞬間、通信画面に映るクロノの顔が苦渋に歪んだ。

そして、クロノは唇を震わせて声を絞り出した。「…下着泥棒だ」その場にいたなのは、フェイト、はやての顔が疑問に染まった。

まさか、それほどの高ランク魔導師がそんな小さなことをしているとは思えなかったのだ。犯罪者だとしてもそう、テロリストくらいでないと信じられるはずも無い。

「この男、ハーミアはあろうことかSランクもの魔力を下着を盗むことに使っているんだ。下着のみを自分の手に転移させる魔法を編み出し、それを使って犯行を行っている。相手を怪我させたことはないが、その犯行件数は把握しているものだけでもおよお千件近くになる」

信じがたいことだったが、クロノの話を聞いた三人はその男がどうしたのかと問いかけた。クロノが言うには、その男が次に狙うのが機動六課かもしれないというのだ。

なんでも、管理局でも下着泥棒という軽犯罪とはいえ、件数があまりにケタ違いのため流石に逮捕しようと躍起になっているらしい。

男の犯行などを分析し、犯罪者の真理を分析するスペシャリスト達を集めて分析をしたところ、機動六課の可能性が高いとなったらしい。

「君たちには、ぜひともこの男を逮捕して欲しい」と言うクロノの頼みに三人は了承した。

そして、三人は機動六課に所属する全局員の顔を完璧に覚え、一人でも外部の人間が入ってきたらわかるようにして備えた。 

そして現在に至った。


機動六課の訓練場を大勢の局員が見守っていた。

そして、バリアジャケットを着て空に浮かぶ、Sランク以上の魔力を持つ女性が二人。

なのはとはやては訓練場におり、自らの真下の地面で膝をつく男を見下ろしていた。男、ハーミアは満身創痍といった出で立ちだった。

なのはに見つかり、訓練場に連れてこられるとすぐに他の局員までもが駆けつけた。絶体絶命、まさにそう言わざるをえない状況だった。

しかし、ハーミアの目には絶望は浮かんでいなかった。逃げることは不可能と判断したハーミアは、せめて目当てのものを一度手にするだけでもと思い戦いを挑んだのだ。それに応えたのが、なのは、フェイト、はやての三人だった。



Sランク以上の魔力を持つ四人の戦いは熾烈を極めた。

もっとも、ハーミアは三人を傷つけるような魔法を使うことは一度も無かった。ただ、しのぎ、避け、惑わし、ただひたすらにパンツを求めた。

そして、一瞬の隙を突き、フェイトのパンツを自らの手に転移させることに成功したのだ。

その結果、ハーミアの手にはフェイトのパンツが握られているが、ハーミアも流石に限界だった。当のパンツを奪われたフェイトは顔を真赤にして訓練場の片隅で小さくなっている。

「ぐ、ああ…まだ、だ」 

ハーミアは震える膝を無理に動かして立ち上がろうとした。無論、限界まで酷使した体が言うことを聞くはずもなく再び膝を地面につくことになる。それでもハーミアはまた立ち上がろうとした。

「もうやめてください!!」

見ていられなくなったエリオが飛び出し、ハーミアに駆け寄った。

「なんでこんなになっても立ち上がろうとするんですか!!たかがパンツじゃないですか」
エリオの言葉にハーミアは「いや、違う」と力強い目をして答えた。

「違うぞ少年。たかがパンツではないのだ。見てみろこのパンツを、輝いているだろう」

そう言ってハーミアが差し出したパンツは、エリオの目に輝いて見えた。それは、ハーミアの汗だったのかもしれない。汗が光を反射していただけだと人は言うだろう。だが、理由はともかく確かにエリオの目には輝いて見えたのだ。

「これがパンツの、ひいては女性の持つ輝きだ。彼女たちは、世間ではその魔力と容貌のみが有名となり、それのみを見て評価している愚物共が数多く居る。だが違う。彼女たちが、女性が持つ魅力とはそれだけではないのだ。生活や内面といったものも女性の魅力だ。そして、パンツにはそれら全ての女性の魅力が凝縮されているのだ…これは、それが故の輝きなのだ」

そう言ってハーミアは苦痛に苛まれる体でぎこちなく笑みを浮かべた。

エリオはハーミアの目を見た。その目には曇りはなく、ただ輝いていた。

「私たちパンツコレクターはその輝きを追い求めているのだ。これそが至宝だ。何にも勝り、ロストロギアなどに負けることはない次元世界の神秘だ。だが、私たちはただ全てのパンツを追いかけているわけではない。君たちがロストロギアを追うように、私たちもまた追い求めているものがあるのだ」

エリオは、無言で続きを促した。ハーミアはどこか遠くを見るように口を開いた。

「それは至高のパンツと呼ばれている。遥か昔、次元世界を渡り歩き次元世界中のパンツを手に入れたと言われているパンツキング、バンガード・パンツァーが最後に手にしたと言われているものだ。彼は、そのパンツを手にしたときに、他の全てのパンツが色あせて見え、それまで手にしたパンツを全て焼却したと言う。彼が残した書物によると、パンツコレクターそれぞれに至高のパンツがあり、それは誰しもが違うパンツだが、それを手にしたときは皆同様にそのパンツ以外のパンツに魅力を感じ無くなるという。私たちは、自分だけの至高のパンツを追い求め続けているのだ」

ハーミアはそう言い終わると、再び立ち上がろうとし始めた。エリオはもう止めなかった。訓練場の隅に行き、ただ黙ってハーミアを見守った。やがて、ハーミアは立ち上がり、意志のこもった目でなのは達を見上げた。



「さあ、続きをしよう。私は、君たちのパンツを頂くためにここに来た」



それは、次元世界で最も熾烈で、最も下らない戦いだったのかも知れない。だが、ハーミアにとっては最も意味のある戦いだった。目の前にあるパンツをただ闇雲に、そして純粋に求めた。その戦いは、音声と映像の一部をカットして後の魔導師たちの教育に使われるほどに高度な戦いだった。

やがて、はやてもパンツを奪われハーミアの前に敗れさった。

そして、戦いの最後は相打ちとも言えるものだった。

ハーミアがなのはのパンツを手にすると共に、なのはのスターライトブレイカーがハーミアに直撃したのだ。

ハーミアは今度こそ意識を失い地に伏した。その手には、しっかりと三枚のパンツが握られていた。


ハーミアは、本局から局員が連行に来るまで一室に閉じ込められる事になった。

しかし、その日機動六課は壊滅した。ジェイルスカリエッティの一味の襲撃により、機動六課は壊滅したのだ。

そのどさくさに紛れて逃げ出したハーミアはミッドチルダに潜伏していた。




次の日、管理局とジェイルスカリエッティの最終決戦が行われた。街を襲うガジェットと戦闘機人達とゆりかご。

その戦いの最中でハーミアは、ゆりかごに聖王が乗っているという情報を入手した。

ハーミアは歩き始めた。



ゆりかごに向かうなのはは、誰かが空を飛び後を追ってくること気づき振り返った。

そこには昨日会ったばかりのハーミアの姿があり、驚愕を禁じ得なかった。

「なんでここにいるんですか!この先は危険です。早く引き返してください!!」

犯罪者とは言え、なのはにとっては守るべき命の一つだ。なのははハーミアに叫んだ。

「あそこには聖王が居るのだろう?」

ハーミアは問いかけた。

「なんでそれを…とにかく、命の危険もあるんです!!」
 
ハーミアはなのはの言葉に苦笑を禁じ得なかった。

彼女は何を言っているのだ。そんなもの…

「聖王のパンツがそこにある。それだけで命を賭けるには十分だ」

ハーミアはなのはの横に並び飛行を続けた。

目指すべきは聖王のゆりかご、そこにある聖王のパンツだ。この機会を逃せばきっと手にいれることはできないのだろう。

ハーミアの心に揺らぎは無かった。




全てが終わり、機動六課の解散の日がやってきた。

最期の模擬戦を終えたなのはたちの前に一人の男が転移をしてきた。なのは達は、現れた男、ハーミアに目を向けた。

なぜ今更彼がここに現れたのか。デバイスを構えてハーミアの動向を監視した。

「私もそろそろ別の世界に移動しようと思ってね。君たちに挨拶をしにきた次第だ。君たちのパンツほど入手するのが困難だったパンツは他になかったから、これは好敵手への挨拶とでも思ってくれ」

そう言うハーミアをなのは達は捕まえる自信はなかった。距離がありすぎる。この距離だと、単独で転移可能なハーミアは逃げきってしまうだろう。

「君たちの元気そうな顔を見れてよかったよ。それじゃあ私は…」「待ってください!!」

転移をしようとしたハーミアの前にエリオが歩みでた。エリオはハーミアに歩み寄り、ハーミアの顔を見上げた。

「僕も、僕も連れて行ってください!」

エリオの言葉に機動六課の面々は驚いた。しかし、エリオはそんな彼女たちの反応を歯牙にもかけずハーミアを見据えた。

「僕も、あの日パンツに光を見ました。………見てみたいんです、僕だけの至高のパンツの輝きを。あの時のパンツを超える輝きがあるというのなら、僕はその輝きを追いかけたい」

ハーミアは、エリオを見つめ、口を開いた。

「この次元世界のどこかにあるという至高のパンツ。それはいつ、どこで手に入るかも分からない。はたして、生きている間に見つけることができるのかすら分からない。自ら暴れて存在を示してくれることのあるロストロギアなどとは違う。まさしく幻の存在だ。君は、そんな蜃気楼のようなものを追いかけるためだけに人生をかけられるのか?」

「だからこそ追いかける価値が、人生をかける価値があるのでしょう」

エリオの言葉にハーミアは満足げに頷き、手を差し出した。エリオは、その手を握り二人はお互いを認め合うように握手をした。

「ついてくるといい。次元世界の果てまでも行こう。この広い次元世界にのどこかには私たちの追い求める至高のパンツがあるのだ。そこに至るまでには様々な苦難があるだろう。だが、私たちは止まることはなく、迷うことも無く前に進もう。これからは、君もまたパンツコレクター、私たちの同士だ」

エリオはその言葉に嬉しそうに微笑み、機動六課の面々を振り返った。

「今まで、お世話になりました」そう言って頭を下げた。
 
エリオを引きとめようとする機動六課の面々にエリオは首を振ることで答えた。

「さあ、そろそろ行こう。いつだって別れは来るものだ。私たちの旅は一所に長く留まることはない。別れに慣れろ。パンツの持ち主と私たちはいつの時も一期一会なのだ」

そう言ってエリオの肩に手を乗せるとハーミアはエリオと共に転移をした。


「待ってエリオ!!」


フェイトの叫び声は空しくも訓練場に響き渡った。


その後、エリオが姿を見せることはなかった。

だが、時折匿名の手紙は届いた。

そこにはどこの世界にいるのかまでは書かれていないが、エリオが楽しそうにしているということだけは伝わってきた。

フェイトは手紙を受け取る度に空を見上げる。

この次元世界のどこかで、エリオは今日も旅をしているのだろう。

たくさんつらいこともあるのかも知れない。

もう会うことはできないのかも知れない。

でも、きっとエリオは後悔していないはずだ。

もしかすると、どこかで犯罪者と管理局員として会うことになるのかも知れない。

エリオだって、それくらいのことはわかっていたはずだ。

それでも、エリオはそうすることを望んだ。自分で歩む道を決めたのだ。

少し早い独り立ちだっただけだ。
 

フェイトの目には涙が浮かんでいた。

「だめだよね、私がこんなんじゃ。もっと、強くならないと」

フェイトは自らの頬を挟むように叩いて空を見上げ直した。

いつか、いつか私がエリオを捕まえてやろう。

そしてたくさん、たくさん話をしよう。

その時にはお互い、話すことはきっとたくさんできているはずだ。

ミッドチルダの夜空には数多の星々が煌いていた。






[19607] 【一発ネタ】転生チートオリ主の一日
Name: 七星◆54cd1b68 ID:8e58ac88
Date: 2010/06/20 18:38
おっす、俺鬼堂閻夜(きどうえんや)!

5年前にトラックにはねられて転生したんだ。

その際に神様に会っていろんな漫画やアニメの能力貰ったり、身体能力も御神の剣士の数倍以上にしてもらったんだ。

やべ、俺マジチートwww

流石にニコポナデポは貰わなかったけどな。

だってアレ貰ったら自分で落とす楽しみとか無いじゃん。

チート能力フル活用でハーレム形成しようと思ったんだよ。

どの作品に転生するかは神様にランダムで決めてもらった。

どこに転生してもチート能力あったらハーレムとか楽勝www

銀髪オッドアイにもしてもらったしな。

マジ転生最高だわ。

それにしても、ここはどの作品の世界なんだろう。

                   鬼堂閻夜5歳の日記より





そんなこんなで今日も俺の戦いが始まった。

太陽が真上に昇った頃。

夏のこの時間がもっとも戦いが激しい。

「鬼堂君!三番のお客様の注文受け取ってきて!!」

了解です種島先輩!

すかさず瞬歩を使い移動。

まさに目にも留まらぬ速さw

三番テーブルの客は突然現れた俺に驚いた。

「うわぁ、噂って本当だったんだ。」

「ワグナリアの神速の魔術師・・・・まさか本当に居たなんてね」

と、お客様が驚いていた。

注文を受け取るとすかさず厨房まで瞬歩で移動してオーダーを伝える。

その際に注文の料理を大量に渡されるが、チートなバランス感覚の俺からすれば運ぶのとか楽勝過ぎるwww

瞬歩使いながらでも大量の料理を運べるしなw

もし落としかけても、ザ・ワールドで拾えるしw

「お待たせしましたー」

「うおっ!いつの間に!!」






「いやーーーー!!」

ちょっとミスって伊波さんに近づいて話しかけてしまって殴りかかられた。

「無駄無駄無駄無駄ーーーーー!!」

マトリックス避けで回避楽勝ですww

伊波さんは俺を撃退しようとするが、俺も殴られたくないのでマトリックスをする。

「いやーーーー!!」

「ふははははは!伊波様ともあろう方が止まって見えるぞ!!」

慣れてくるとけっこうおもしろいのでしばらくそんなことをしていると店長に怒られた。

なんでも、俺の場合殴っても当たらないため伊波さんのフラストレーションがさらに溜まってしまい、次の人にまとめて爆発するらしい。

どうせいつもの通り小鳥遊君がやられるのだろう。

すまんな、小鳥遊君。






「おい、鬼堂」

「なんですか?」

「なぜか色々と在庫が切れかけているらしくてな。ちょっと仕入れ先まで行って買ってきてくれ」

どうやら、店長がまたつまみ食いをしたらしい。

後ろでは佐藤さんがイライラした表情で店長を睨んでいる。

このままだと佐藤さんが怒髪天になりそうなので、ちょっと行ってくるか。

俺は外に出て屈伸をして、スタートを切った。

「ワグナリアに足りないものは、それは~砂糖苺オレンジチョコレートさくらんぼ

そしてェなによりもォーーーーーー生クリームが足りない!!!」

周囲に突風を巻き起こしながら走る俺。

「きゃあ!」

おっ!パンチラゲット!!

「今のはワグナリアの人みたいね」

「そうね。あんな人は他に居ないもの」

どうやらまた世界を縮めることになりそうだぜ。


こうして俺のいつも通りの一日は終わりを告げた。

転生チートマジ最高ww

あれ、そういや俺ってなんか目標があったんじゃなかったっけ?






今日は、いつもより忙しかったけどなんとか乗り切ることができました。

ミスも無かったし、特別言うべきことは有りません。

あえて言うとすれば鬼堂君のことです。

いつもどおり鬼堂君は色々とすごかったです。

しかし、お客様にもよく言われるのですが

日本人の顔に銀髪やオッドアイは似合わないと思います。

                               ワグナリアの日誌より



あとがき

>最新話のパンツも素敵でした

パンツが素敵だったって言い方がなんとも言えない感じだw




[19607] 【一発ネタ】リリカルを愛したトリッパーの独白
Name: 七星◆54cd1b68 ID:8e58ac88
Date: 2010/06/21 20:17
ある日、僕は神様に出会いテンプレ通りのトリップを果たした。

リリカルなのはの世界にトリップした僕は、惰性で海鳴りを訪れて、今公園のベンチに腰をかけている。

僕は、リリカルなのはの世界を愛している。

なのは、フェイト、はやての三人のことなんかは特に愛していると言ってもいい。

僕は彼女たちに何かしてあげたいと思いこの世界にトリップしたのだ。

しかし、海鳴に着いて僕は考えた。

一体、僕は何をしたらいいのだろうか。

今の僕なら、なのはに怪我一つさせないままでジュエルシードの回収を終わらせることもできる。

フェイトを救うためにプレシアを倒すこともできる。

アリシアを生き返らせることもできる。

はやての足を直すために闇の書を正常化するのは専門外だが、なんとかできるのかもしれない。

少なくとも、闇の書が完成しても防衛プログラムを倒すことくらいはできる。

スカリエッティなんかも簡単になんとかできてしまうだろう。

僕は何をするべきなのだろうか。

バタフライ効果なんてことを考えても僕程度の頭では何一つ先のことなんてわかりはしない。

原作に介入するべきなのだろうか。

しかし、原作ではなんだかんだといっても概ねいい結果が出ていた。

果たして、彼女たちに僕という存在は必要なのだろうか。

わからない。

彼女たちのために何かをしてあげたいのは確かなのだが、何をすればいいのか分からない。

ただヒーローのように彼女たちのピンチを救い、みんなを幸せにしてやろうと思っていただけだ。

待て。

まず彼女たちは幸せでは無かったと言うのか?

プレシアは死んだ。

リィンフォースも死んだ。

ゼストも死んだ。

でも、少なくとも最後の最後にはみんなが笑っていた。

彼女たちは少なくとも笑っていた。

わからない。

僕は一体どうするべきなんだろうか。



そうして、何一つ決めることもできないままに時間は過ぎ、気づけばジュエルシードの一件は幕を閉じようとしていた。

姿を消した僕の視線の先ではなのはとフェイトが一時の別れをする光景があった。

どうやら、原作は何一つ変りなく進んだらしく、テレビで見たシーンそのままだった。

そして、彼女たちがリボンの交換を始めたとき、僕は世界から旅だった。







僕は今、ミッドチルダからはるか遠くの管理外世界にいる。

この世界でロストロギアが暴走していたため、ロストロギアの沈静化をしていたのだ。

ロストロギアの沈静化も難なく終わらせることができ、僕はこの世界で宿をとっている。

そう言えば、ミッドチルダではレリック事件が起こるのはいつ頃だっただろうか。。

結局、僕はあの時以来彼女たちに会うどころか、原作にちらりとでも出てきたもののいずれにも関わっていない。

管理外世界を巡りながら人助けや、ロストロギアの暴走を止めては違う世界に旅立つという生活を送ってきている。

今までずっとそうしてきたし、これからもずっとそうしていくのだろう。

目的は、ロストロギアの沈静化と犯罪者をこらしめておくこと。

犯罪者もロストロギアも、放置しておけばいつか彼女たちが関わって危ない目に合うのかも知れない。

僕はその危険を排除し続けるためだけにこうして旅を続けている。

結局僕の頭で思いつく彼女たちのためにできることなんてこれくらいしかなかった。

これから先も彼女たちの中には、僕という存在はないのだろう。

このまま彼女たちに関わることも無く、記憶に残ることも無いのだろう。

もしかすると、僕はこの広い次元世界で一人死んでいくのかも知れない。

でも、まあそれでもいいと思える。

僕は元々彼女たちに何かをしてあげたいと思ってこの世界に来たんだ。

だから、これから先もこうしていくことになんのためらいも無い。

ただ一つだけ願うことがあるとすれば


僕のやっていることが少しでも彼女たちの助けになれば、それで僕は満足だ。










フェイトは久々に休暇を取ることにした。

ある犯罪者の引き起こしたロストロギアの暴走を止めるために管理外世界まで赴いていたのだが、フェイトの到着したときには既に事件は解決していた。

現地の警察組織に話を聞いたところ通りすがりの魔導師が、犯罪者を捕まえ、ロストロギアの暴走も止めたらしい。

魔法犯罪者を警察組織から引渡してもらい、その魔導師はどこにいるのかと聞くと、既にどこかに行ってしまったと返答が帰ってきた。

またか、とフェイトは嘆息した。

自分が嘱託魔導師になって間もない頃から、こういうことは海ではよく聞く話になっていた。

管理外世界で起こった事件を解決しに行くと、既に通りすがりの魔導師によって解決済みで、その魔導師はどこかに行ってしまっているという話だ。

管理局もその魔導師をスカウトしようとしたらしいが、一向に見つけることができず、結局その魔導師と接触することすら出来なかったらしい。

現地の人の目撃情報から、一連のことが全て同一人物によって行われていることだけが分かっている。

その魔導師は現地の警察組織からも好評だった。

被害の少なさや、事件解決までの時間などからもその凄まじさは難なく想像出来る。

報酬を要求するでも無く、事件解決後には現地の警察組織に犯人を引渡した後すぐに姿を消すらしい。

どんな人かは分からないが、悪い人で無いのは確かなのだろう。

現地の事件に関与してない人々はその魔導師の存在すら知らない。

だが、その人々の中にもその人が居なければ傷ついていた人も多くいるのだろう。

不謹慎な話だが、自分もその人のおかげで明日久々に休暇をとることができた。

フェイトはベッドに寝転がり、仰向けになった。

この広い次元世界では、魔法を犯罪に使う人も沢山いる。

魔法が無ければ、なのはやはやてと出会うことはできなかっただろう。

なのはと出会わなければ自分は今こうしていることはできなかっただろう。

そんな魔法を、悪用する人間が数多くいることに悲しみ覚えることも少なくはない。

この仕事をしていると、そんなところばかりが見えてきて嫌になることも多い。

特に事件に関わった後はいつも嫌な気分になる。

でも、今日はそんな嫌な気分じゃない。

魔法を悪用する人もいる。

これから先もそんな人がいなくなることは無いのだろう。

でもそれと同じように、誰かのために魔法を使おうとする人もいるのだということを再認識できた。

顔も名前も知らない魔導師にお礼を言いたい気分だった。

明日は久々の休暇だ、なにをしよう。

たまには、直接なのはやはやての様子を見に行ってみるのもいいかも知れない。

フェイトは心地よいまどろみの中でそう考え、目を閉じた。





あとがき

感想の半分がパンツのことで占められていた・・・・・。

>でも今回パンツが少なかったね

俺はパンツ専門の作者じゃないんだぞ?

これでは俺がパンツ専門のように見えてしまうということで、こんな話を書いた。

パンツ分は0。

それにしても、みんなパンツ好きなのな。

俺は自分の作品集のなかだと「憑依者いっぱい」と「ミッドの空を舞う」が気に入っていたんだが、パンツには勝てなかったか。


今あとがきの全文にパンツという単語が必ず入っていることに気づいた。




[19607] 【一発ネタ】ARIA~そんなボッコロの日に~【暁主人公】
Name: 七星◆54cd1b68 ID:8e58ac88
Date: 2010/06/22 21:47
今日は仕事も無いので、ふらっと街の方に出かけることにした。

街に着くと、いつもよりも少し熱気があるというか活気があるように感じた。

「ちょっと兄さん」

どこか浮き足立っている雰囲気のある街を歩いていると、見知らぬ声が横から聞こえてきた。

横を見ると、大量の薔薇の入ったかごを背負ったばあさんが俺のほうをニコニコとして見ている。

「一つどうだい?誰か花をあげたい人はおらんのかえ?」

そうか…今日はボッコロの日か。

今日は、愛する女性に一輪の薔薇を送る日。

しかし、今の俺にはあげたい相手はいても、あげられる相手はいない。

「いや、い………一つくれ」

そういえば、三年前はアリシアさんに渡そうと籠いっぱいに薔薇を買ったな。

俺はばあさんから受け取った薔薇を眺めながら昔を思い出した。

あの頃は、とにかくアリシアさんが好きだった。

薔薇が一輪では自分の想いが伝わらないのではないかと思って、籠いっぱいに買い込んだりした。

思えば、自分でも馬鹿かと言いたくなるようなことをしていたもんだ。

片手に行き先の無い薔薇を弄びながら、俺は再び歩き始めた。







いつの間にか、夕暮れ時になっていて太陽もすこしずつ沈み始めている。

俺は、橋からボーッと水平線に沈もうとしている太陽を眺めながら未だに片手で薔薇を弄んでいた。

モミ子に会ったら適当に押し付けてしまおうとも思ったのだが、こんな時に限って会うことはなく

未だに薔薇の行き先は無い。

三年前までなら、迷わずアリシアさんに渡しに行ったのに。

そのアリシアさんは、三年前に結婚してしまった。

結婚式には俺も呼ばれ、アリシアさんの花嫁姿を見た。

流石は、水の三大妖精。惚れ直すほどに美しかった。

皆が祝福の言葉を投げかける中で、俺は一人浮かない顔をしていたのかも知れない。

あこがれの女性が、心底惚れていた。いや、惚れている女性が目の前で誰かのものになる。

俺は確か、ぎこちない笑顔を浮かべて祝福の言葉を投げかけたんだ。

それでも、アリシアさんは素直に祝うことも出来ていない俺にすら満面の笑顔で応えてくれた。

俺は、惨めな自分が悔しいのか、アリシアさんが結婚するのが悲しいのか、わけのわからないぐちゃぐちゃした感情に包まれて、自然と涙を流していた。

周りの連中は感動いて泣いたのだと思っていたようだが、俺の内心はそんな綺麗なものじゃなかった。

俺は、そこで素直に祝福できるほどできた人間じゃなかった。

「そういえば、ここ、前にモミ子に案内されたな」

あいつはなんって言っていたんだっけ。

俺は俯き少し思い出そうとしてみたものの、どうにも思い出せずため息をついた。

―――暁さんが、ため息橋の前でため息をついたから

ああ、そうだ。

振り向けば、すぐ後ろに見える橋が確かため息橋とか言うんだったな。

確か、どんな囚人でもあそこの小窓からネオヴェネチアの景色を見てため息をついたのだとか。

すうっと顔を上げて前を見ると、確かに美しいネオヴェネチアが広がっている。

今の俺には痛々しく感じられるくらいに、夕焼けに染まったネオヴェネチアは美しかった。

―――私たちは今、その美しい景色の中でこーしてのんびりと過ごせるんですもん。ため息もんですよねぇ。

「ああ、これは本当にため息もんだな」

頭の中では、モミ子がうれしそうに笑顔を浮かべて解説をしている。

あいつは、なんであんなに楽しそうにできるんだろうな。

アリシアさんにあれだけなついていたのに。

今日もあいつはこのネオヴェネチアのどこかで楽しそうに笑っているんだろう。

今日も、明日も、明後日も、あいつは変わらず毎日を楽しんでいるんだろう。

俺も、あの頃は毎日が楽しかった気がする。

でも、時間は走り去るように過ぎて行って、いつの間にかこうして落ち込むことも多くなっている。

本当にあいつがうらやましい。

「そういえば、アリシアさんが引退した後、一時モミ子の様子がおかしかった時期があったよな。

変なミスをしたり、ぼーっとしていることが多くなったり…とにかく前より笑わなくなっていて…。

みんなそのことに気づいていて、俺もきっとアリシアさんがいなくなったことが原因なのだろうと思っていたんだけど、モミ子はある日急に元気になっていて前のように笑顔を振りまくようになってて……。

なにがあったんだって質問にあいつはなんって答えたんだったか…」

確か…

「あの頃の楽しさに囚われて、今の楽しさが見えなくなったらもったいないって気づいたんです。

あの頃は楽しかったじゃなくて、あの頃も楽しかったんだって、そう思えるようになったんです」

そう、確かそう言っていた。

今更ながら声に気づき、後ろを振り向くとモミ子が立っていた。

「お前なにやってんだ?」

「いえ、夕焼けがきれいだったから散歩してたら暁さんを見かけて…。

暁さんこそどうしたんですか?なんだか、ずいぶん前のことを思い出してたみたいですけど」

「ちょっとな…」

俺は、手に持った薔薇を見た。

せっかくだ、こいつに押し付けておけばいいか。

「モミ子、これ………」

俺が薔薇をモミ子に渡そうとしたとき、どこかから鐘の音が聞こえてきた。

そういえば、三年前のアリシアさんの結婚式の時もチャペルでは鐘の音が響いていたことを思い出した。

どうやら、俺はまだあの時のチャペルの鐘の音を忘れられていないようだ。

俺は、手に持った薔薇を橋の下に落とした。

薔薇はふわふわと落ちていき、やがて水面に達すると波に揺られながら水平線に向かって漂い始めた。

―――暁さんの思いが水面いっぱいに映って広がっていきます。

薔薇が見えなくなるまで、俺はその行方を見つめ続けた。

「暁さん?」

モミ子は俺が何を言おうとしたのかも分からず、俺の言葉の続きを待っていた。

「今日はボッコロの日だ」

「はい…そうですけど…?」

「せっかくだ。俺様がお前に薔薇を一つプレゼントしてやろう」

「えっ、本当ですか!?」

「おう。ほら、行くぞ。薔薇売りを探さないとな」

歩き出した俺の後を追ってモミ子が走ってくる。

笑顔を浮かべていて、本当に楽しそうだ。

あんなに調子を狂わせていたなどとは思えないほどに。



俺もいつか…あの時の鐘の音を忘れられる日が来るのだろうか。

あの頃も楽しかったんだって思える、そんな日が。






あとがき

久しぶりにARIAとオーフェンを読み直した。

やっぱりどっちも神作品だなぁと。

オーフェンの最終巻の秀逸さに改めて感動。

アイルマンカー結界を壊すくだりとか最高。

女神が大陸に来ようとするのは結界があるからだというオーフェンの言葉に共感を覚えた。

たしかに見えそうで見えないと気になるけど、見てくれと言わんばかりの状態だと興味もなくなるしね。

オーフェンにチラリズムの原理を見た。





[19607] 転生トラック会社
Name: 七星◆54cd1b68 ID:8e58ac88
Date: 2010/06/23 22:01
「田中!依頼が入ったぞ!!」

は~い、とデスクに突っ伏していたツナギを着た男が気のない返事を返した。

「ほら、さっさと行くぞ」

ガタイの良い男が田中と呼ばれた男の手を引き無理矢理立たせる。

田中は大きくあくびをしながら寝ぼけた目を擦った。

そして、デスクに置いてあった帽子を手にとり少し深めに被ると「よし」と声を出し両手で頬を挟むように叩いた。

パーンと良い音が部屋に響く。

少し目が覚め、半開きだった目をぱちっと開くと部屋を出る男の後を追いかけ歩き出した。

田中のツナギの背には白く大きな字で転生トラック屋と書かれていた。






「それで、今日の依頼はどんなのなんですか?」

片手にパンを持ち、コーヒーをすすりながら運転席に座る男に声をかけた。

男はハンドルから片手を離し、カバンを開けてファイルを手にとり田中に差し出した。

コーヒーを定位置に置いてファイルをパラパラとめくる。

「うわ、これはひどい」

手に持っていたファイルには今までの依頼を含めた多くの書類が綴じられてあった。

今日の依頼人は無職の男だった。


転生希望先:リリカルなのは

転生時期:なのはと同じ年ならいつでもいい。

転生条件:SSSランクを超える魔力。両親は昔管理局員だったが管理局の裏を知り、自分が生まれると同時に殺されていて天涯孤独。
一生困らない額の両親の遺産がある(もちろん家は海鳴にある)
保護者として両親の残してくれた超優秀な使い魔(美女)が人間のふりをしている(戸籍とかも偽造済み)
身体能力は御神の剣士以上。
絶世の美男子(どれくらいの美男子かと言うと微笑むと女の子に惚れられるレベル)
デバイスは自分が生まれると同時に転移してきた、使い手を探し次元世界をさ迷っていた古代ベルカのユニゾンデバイス。
実は聖王の血を受け継いでいる。


「だろ?俺も見たときは驚いた」

男はカラカラと笑った。

「でも、こんな条件だとものすごい高額になるはずですけど、よく払えましたね」

田中は頭の中で金額を計算したが、どう考えても数千万には達するだろうという結論に驚愕混じりにため息を付いた。

稀に大金持ちが依頼をしてくるときはそれくらいの金額の条件のこともあるが、無色の男になぜこの金額が払えたのだろうかと考えを張り巡らせる。

料金は前払い制だから既に支払われているはずだ。

まだ頭が寝ぼけているのかも知れないとコーヒを口に含んだ。

「ん?それせいぜい百万くらいの条件だぞ?」

ぶっ、とコーヒーを思い切り吹き出した。

コーヒーがフロントガラスにかかり飛び散った。

「うわっ!汚ねえな!」

顔に飛び散ってきたコーヒーの雫に男は片手で顔を隠した。

「あ、すみません。でも、なんでこれが百万なんですか」

ティッシュでフロントガラスのコーヒーを拭き取りながら尋ねた。

男はその問い掛けを聞いて笑い声を上げると、書類を指さし口を開いた。

「よく読んでみろ。その条件だと、生まれたときに管理局に自分のことがバレてるって場合まではフォローできてないだろ」

「あ」

「うちのコンピューターの計算では、6%の確率で原作開始までに管理局に捕まるらしい。
94%は超優秀な使い魔が隠蔽に成功するらしい。
まあ、両親のことに、魔力、聖王の血にユニゾンデバイスなんかのことを考えたら恩の字の確率だろう」

6%。

これを多いと見るか少ないと見るかは人それぞれだろう。

だが、田中には自分の命をかけるのに6%は厳しいと感じられた。

「そのこと本人は知ってるんですか?」

「いんや、知らねえだろうよ。
なんでも、この条件は最低条件らしい。
本当はもっと色々と条件があったんだが、払えるのが百万までだったから限界まで削ってこれらしい。
この上フォローまで入れたら金額がオーバーするし、本人にはこれ以上削る気もなさそうだったからほっといたんだと。
まあこれが職についてるやつだったら、説明して金が貯まるまで待てばいいだけだが無職だしな」

「なるほど」

田中はポンっとファイルを閉じると胸のポケットからタバコを取り出し口に加えた。

シュボっと火をつけ窓の外を眺めた。

「まあ、最近はこの業界も競争で大変だからな。
今確実に手に入る百万を逃すなんて手はないだろうよ。
うちは中小企業だしな」

対向車線を大型トラックが通った。

車体には転生業界の大手の会社のロゴが書いてあった。

おそらくどこかで一仕事してきたのだろう。

「そういや、皆が転生していたら転生先の世界は転生者でいっぱいになるんじゃないかとか思ったことはないですか?」

「おお、あるある。
まあパラソルワールドとかで問題はないらしいけどな」

パラレルワールドですよ、と田中は苦笑を浮かべて言った。

そうだったな、と男は笑った。



ボーッと窓から空を見上げた。

最近は晴天続きで、雲も少ない。

窓から入ってくる風の心地よさに目を閉じて身を委ねてみることにした。

こんな日は家でゆっくり昼寝でもしていたいなぁ、などと考えながら。


「皆、この世界の何が不満で転生なんかするんですかね」

「そりゃあ色々だろうよ」

大なり小なり誰だって現状に不満はある。

雁字搦めの法律、学歴主義の社会、上手くいかない人間関係。

田中自身も、不況で物価が上がったとか、政治家達がたばこ税をさらに上げようとしているとか、そんな小さな不満をいくつも抱え込んでいる。

それでも、転生したいとまで思わない。





「実はな、俺も転生しようと思っていた時期がある」

え、と田中は顔を男の方に向けた。

男は顔を前方に向けたままで口を開いた。

「女房に逃げられたときに、な」

田中は何年も前に聞いた男の事情を思い出し表情を曇らせた。

過ぎた話だと男は田中に顔を向けて微笑み、また前方を向き直した。

「あのころはもうとりあえず、全部が嫌になってな。
どこで何をしていても、女房のことが思い浮かんで
いっそのこと、別の世界に行けばいいんじゃないかと思ったんだ」

「でも、結局やめたんですよね」

離婚をしたことがあるということだけは聞いていた。

「・・・娘がいるのは知ってるだろ?」

確か、そろそろ中学生になるはずだ。

何度か写真を見せてもらったことがある。

どう見ても男には似ていないと言って笑い合った。

「あの頃は毎日のように潰れるまで飲んで家に帰っていた。
・・・小学生だった娘のことも放っておいてな。
ある日、いつものように俺がのんだくれて夜遅くに帰ってきた時、娘は眠っていた。
多分、ずっと俺を待っていたんだろうな。
ぐちゃぐちゃの出来損ないの卵焼きと、焦げた魚がふたり分テーブルに置いてあったよ。
寂しくて泣いていたのか、瞼は腫れていた」

男はタバコを口に加えて火をつけた。

吹き出した紫煙は窓の外に出ていき、かき消されるように空気に溶け込んでいった。

で、と男は続けた。

「俺はなにしてんだろうって思ったわけだ。
そっからは、お前も知ってのとおり仲良く娘と暮らしているよ」

まあ、そんな感じだと男はいつものようなニカっとした笑顔を見せた。

「今回の依頼人も何かしら抱え込んでるのかもな」

「そう、ですね」

ビュウっと一際強い風が吹いた。

フロントガラスから入ってくる日光で少し暑めだったことも相まって、心地よさが一層増した。

少なくとも、こんな風に心地よい気分になれるんなら、この世界もそんなに捨てたもんじゃない。

田中にはそう思えた。

それでも、この広い世界の小さな島国の、一つの都市でさえたくさんの転生希望者が居る。

きっと、そこまで深い考えも無しに転生する人もいるのだろう。

だが、抱え込んだ何かに耐えきれずに転生する人もいる。

今回の依頼人もそうなのかもしれない。

そう思うと、膝の上に乗せてあるファイルがズシッと重くなった気がした。

もちろん気のせいなのだろう。

せいぜい百枚くらいしか綴じられていないファイルは大して重くも無い。

だから、これはきっとただの自分勝手な感傷だ。

今、自分の隣に座っているこの人も同じような経験をしたことがあるのだろうか。

さっきのファイルのようにアクセルが重く感じられるのだろうか。

いつもと同じ表情でトラックを運転する男には、アクセルが重いと感じているのだろうか。



「すみません。運転、代わってもらえませんか」



こんなことしたってなんにもならないってわかってる。

ただの自己満足で、依頼人にとっては何一つメリットにもデメリットにもならない。

それでも今は自分が運転をしたかった。









「ほら、見えてきたぞ。
あそこにいるのが依頼人だ」

道路から少し離れたところにある転生用の広場には依頼人の男が立っていた。

転生希望者であることを示す旗を降っていた。

転生希望者との必要以上の接触はしない。

規則の一つだ。

トラックから降りて依頼人と話すなんてことはしない。

ただ、スイッチを押し、システムを起動させて、そのままぶつかる。

いつもやっている作業だ。

それだけで依頼人は衝突した後すっと消えてしまう。

「転生システム起動します」

確認の言葉。

スイッチを押すと、異常がないことを告げるグリーンのランプが付いた。

あとは、アクセルを踏めば、いつものようにボーッと真っ直ぐ進むだけでいい。

隣の助手席に移った男を見ると、じっと依頼人を見据えていた。



アクセルを踏んだ。


少しアクセルが重く思えたのもつかの間で、何時もどおりの重さのアクセルを踏み直進する。

依頼人の男は動かない。

どんどんと迫ってくるトラック。

その恐怖に思わず逃げ出す者も少なからず居る。

そうした者は現世界に未練ありとして転生を中止し、一ヶ月間転生を禁止することが法律で定められている。

依頼人の男はぎゅっと眼を閉じていた。

それでも、どんどんと迫ってくる音の恐怖はどれくらいのものだろうか。

だんだんと激しくなっていく地面の振動の恐怖はどれくらいのものだろうか。

依頼人の顔をじっと見ていた。

この人は今どんなことを考えているんだろうかと思いながら。

今までの人生のことだろうか。

これから自分が向かう世界のことだろうか。

それとも、もっと別の・・・


あと数秒もしないうちにトラックはぶつかるだろう。

田中は依頼人から目を離さなかった。

そして、全力でアクセルを踏みしめた。



瞬間。

依頼人の口が動いたのに気づいた。

もちろん何を言っているのかなんて聞こえないし、わからない。

ただ、なにかを言っているということだけが分かった。


依頼人が車体の影に隠れる最後の最後まで、田中は目を離さなかった。

辺りが光りに包まれた。









[19607] 転生トラック会社~たまにはロリコンもいいよね~
Name: 七星◆54cd1b68 ID:8e58ac88
Date: 2010/06/23 22:02
ある日の、太陽が真上に昇った頃。

田中は先輩であり仕事の相棒である男と会社の隣にある食堂に来ていた。

昼時のため、食堂には満席とまでは行かなくともちらほらとしか空席が見当たらない程度には客が来ている。

「おばちゃん、お勘定!」

ちょうど田中の視線に入る席に座っていたスーツ姿の男が立ち上がり、慌てた様子で勘定を済ませ店を出て行った。

あの男は自分よりもずっと後に来ていたはずだ、とサンマの身をほぐしながらふと思った。

昼もゆっくりと食べられないほどに忙しいのだろうか。

まあ今のご時世じゃ仕方の無いことなのかも知れないが、どちらにせよ仕事の有無が依頼人次第である自分たちには関係の無い話だと考えながら大根おろしに箸を伸ばした。

大根おろしとサンマを一緒に食べる。

さっぱりとした大根おろしと脂の乗ったサンマの見事なハーモニーに舌鼓を打つ。

こうしてゆっくりと昼食をとれるということは幸せなことなのだろうと一人頷いていると、前に座る男が料理に手をつけていないことに気づいた。

男は箸の先を口にくわえて週刊誌をじっと見ていた。

ページをめくる音がしていなかったということはずっと同じページを読んでいたのだろうと推測を立てた。

「何かおもしろい記事でもあったんですか?」

「ん?ああ、いや、これなんだけどよ」

男は雑誌のページを開いたまま差し出してきた。

開いてあるページに書かれているのは芸能ニュースだった。

なんでも有名声優が事務所に無断で転生してしまったらしい。

「芸能人が事務所に無断で転生なんてちょくちょくあることじゃないですか」

「馬鹿、そいつのことじゃねえ。ちゃんと続き読んでみろ」

さらに読み進めていると、とある女優の話に話題が摩り替わっていたことに気づいた。

この女優は、確か意地の悪い役の演技に定評があったはずだと田中は少ない芸能知識の中から搾り出すように思い出した。

どうやらこの女優と、転生した声優は先日熱愛報道がされたばかりだったらしく、記事では次号に女優へのインタビューをまとめた記事を掲載すると書いてあった。

「ふ~ん」

田中の第一声はそれだった。

元より芸能関係の情報に疎い田中からすればその程度のニュースでしか無かったのだ。

はい、とページを開いたまま男の方に雑誌を突き出し、男がそれを受け取ると田中はお冷を口に含んだ。

「それで、先輩はその女優のファンだったんですか?」

別に男がファンかどうかということに別段興味も無く、好奇心をくすぶられることも無かったが、こういう時は一応聞いておくものだろうといった程度の気持ちで声をかけた。

「ああ、もちろんだ!ドラマも映画も全部見ているし、仕事がある時に放送しているバラエティ番組も全部録画している!この前の仕事の時にやっていた番組だって・・・」

どうしてテレビの向こう側の人の事でここまで熱心になれるのだろうと疑問を抱きながら、田中は時折相槌を入れる作業を繰り返した。

結局のところ、自分にとっては芸能人もテレビの向こう側という世界の存在。

つまりは別世界の人間であって、その別世界の人間に何が起きたところで、それが自分自身の感情を揺さぶることなど無いのだろう。

人は自分の世界の出来事にしか感情をくすぶられることはないのだと田中は結論づけた。

ん、と田中は眉をしかめた。

自分は、隣の市で事故があったと聞いても感情を揺さぶられることも無い。

友人の友人が入院したと聞いてもそれは同様だ。

ほとんど会ったことのない遠い親戚が死んだとしてもだ。

こうして考えてみると、自分で思っていたよりも自分の生きる世界は狭いのかも知れない。

もしかすると、自分の世界はアパートと会社、この食堂とスーパーに、時折飲みに行く屋台、それとトラックの中だけで構成されているのかも知れないと思い田中は自嘲めいた笑みを浮かべた。

以前依頼人の事情を考え、心を動かされたのも、彼が自分の世界、会社とトラックに関わっていたからなのだろうと推測を立てた。

まあ、例えそうだったとしても構うことはない。

その時は田中という男は、その狭い世界の中で生きてその狭い世界で死ぬ。

ただそれだけのことだ。
これまでもそうしてきたのだから、これから先もそうしていける。

そうしてきた人生に大きな不満があるわけでもない以上は、田中という男はそれで構わないのだろうと納得をし、相槌を入れるついでにうなずいた。

男の話は未だに終わっていないらしい。

どうやらこれは昼休みいっぱいにしゃべり続けそうだと思い、田中は少しうんざりした表情を見せた。

もちろん、相槌を入れることを忘れはしなかった。

お冷の氷がカランと小気味良い音を立てた。






仕事も終わり、田中は帰路についた。

いつもならまっすぐ自分の住処である安アパートに帰り、六畳一間の部屋でビールでも飲むのだが、今日は違った。

最寄の駅の高架下。

いつもそこに出ているおでんの屋台に足を向けていた。

帰る間際に米を炊いていないことに気づいた。

家に着いてから炊くというのもなんだか億劫だったので、あの屋台でおでんと日本酒で一杯やって帰ろうと思い立ったのだ。

屋台にたどり着くと、客は一人女性がいるだけだった。

「お、田中さんじゃないか。久しぶりだね」

のれんをくぐると屋台のオヤジに声をかけられた。

そう言えば、前にここに来たのは一月程前だったかと記憶を探り確認した。

「最近忙しかったんで」

席に座り、いつもの組み合わせと熱燗を頼んだ。

ひどく酒の匂いがすると思い、隣を見ると女性が唸りながら突っ伏していた。

サングラスを掛けて帽子をかぶっているため顔はよく分からないが、どこかで見た顔の気がした。

少し考えてみたものの思い出せそうも無かったので、気のせいかとりたてて気にする必要もない程度の人なのだろうと思いオヤジの方に向き直った。

「お待ちどう」

湯気を立てるおでんが田中の前に置かれた。

田中は好物のよく染みた大根を食べながらオヤジと話をした。

最近は転生する人が増えていること。

たばこ税がまた値上がりしそうだということ。

酒が入ったせいか、いつもよりも饒舌になっている気がした。

そんな田中の愚痴にオヤジは笑みを浮かべて答える。

しばらく話していると、上を電車が通って行く音が聞こえ振動が伝わってきた。

そして電車が通りすぎると、そろそろ店じまいだとオヤジが言った。

オヤジは未だに突っ伏している女性を起こそうとした。

しかし女性は、気持ち悪いとだけ言い起きそうにも無い。

オヤジは困ったような表情を浮かべた後、田中のほうを向いて送ってやってくれないかと言った。

冗談じゃない。

なんで見ず知らずの酔っぱらいをと思ったが、オヤジの言う今回の代金は無しでいいという提案は安月給の身としては魅力的だったのだ。

田中はため息を付いてうなずいた。





田中は公園に着いた。

送って行こうにもまともに歩けもせず、今にも吐きそうだと言うのだ。

吐かれてしまってはたまらないと思い、近くの公園に向かいベンチに座らせた。

やっぱり引き受けるんじゃなかったと思いながら自販機で水を買い女性に手渡した。

女性は受け取った水をぐびぐびと飲み息を吐いた。

田中もベンチに腰をかけ、とりあえず女性が歩けるようになるのを待つことにした。

公園は静かだった。

田中はこの公園がお気に入りだった。

夜はいつも人がおらず、ゆっくりとしたいときに最適なため時折訪れていたのだ。

昼間は子どもたちが遊んでいるのだろう。

砂場には山が作られたまま放置されてあった。

田中はタバコを取り出し、口にくわえて火をつけた。

空に消えていく煙を眺めていると女性が口を開いた。

「彼氏に振られたの」

だから、と思わず言ってしまいそうになった。

全くもって興味がなかった。

そんなことより早く家に帰ろうと言いたかった。

「彼、転生しちゃった」

「よくある話ですね」

どちらかが転生するから別れる。

転生トラック業界に入れば珍しくもなんともない話だった。

「最近見たリリカルなのはの世界に行きたいから別れようって言われたの。

一緒にジュエルシードを集めるんだって、キラキラした目で言われたわ。

私といた時には見せたことも無いような楽しそうな笑みを浮かべてね」

田中は空を見上げながら星を眺めていた。

星座の知識も無いのに、あれがオリオン座かな、などと考えながら。

「相手は小学生よって言ったら、たまにはロリコンもいいよな、ですって。

ふふ、笑っちゃうわよね」

いい加減帰りたいな、などと思いながらも田中は沈黙を保った。

「本当に好きだったのに。

ずっとこの人と一緒にいるんだって思って。

そうしたら絶対に幸せなんだろうなって思ってたのに。

なんで・・・・」

「なんでもなにも」

田中はうんざりとしたように口を開いた。

女性は初めて田中のほうを見た。

田中は相変わらず女性のほうを見ることも無く空を見上げていた。

「相手は、あなたとの未来よりもあっちの世界のほうが幸せに思えて。

あなたを含むこの世界よりも、あっちの世界のほうが好きだったというだけのことでしょう」

冷たいのね、と女性は抑揚のない声で言った。

田中はそれを聞いて、当然ですと言った。

「見ず知らずの他人の事情に一々感情を動かされるはずも無いでしょう。

見ず知らずの他人に心を動かされるとしたら、それが転生の依頼人で、ぼくの担当だった場合だけです。

もしも、あなたがそのことを苦にして転生を望み、ぼくの会社に来て、担当がぼくになったとすれば考えるでしょう。

あなたの気持ちを。

どんなに辛いのか。

どれだけ泣いたのか。

これから行く世界では幸せになれるのだろうか。

もしかすると、涙を浮かべてあげるかも知れません」

そうでない以上、あなたはぼくの世界に入っていませんから、と言い切った。

転生トラックの運転手だったの、と言う女性に田中は、ええ、とうなずいて答えた。

「あなた、お酒は好きですか」

「え、ええ。毎日飲むくらい好きだけど」

女性は、だからどうしたのかと言いたそうな顔を浮かべた。

なら、あなたが転生に来ることは無いでしょうねと田中は言った。

なんで、と問いかける女性に田中は続けて言った。

「転生すると、また二十年間お酒が飲めませんから」

真剣な顔をして言った田中の顔を見たまま女性は固まった。

サングラス越しだから分からないが、恐らくは目を丸くしているのだろう。

そして、しばらくすると堰が割れたかのごとく笑い出した。

腹を抱えて、公園に響きわたるくらい大きな声で。

田中はどうして女性が笑い出したのかわからず首をかしげた。

女性はひとしきり笑った後、笑みを浮かべて言った。

「そうね。確かに二十年も我慢出来ないわね」





気づけば、もうだいぶ時間が経っていた。

そろそろ歩けますか、と聞く田中に女性は、ええ、と答えた。

「それじゃあ、もう大丈夫だからここで」

「はい、じゃあ気をつけて帰ってください」

「今日はどうもありがとね。それじゃあ、さよなら運転手さん」

女性は別れを告げると歩き始めた。

田中はその背中を見送った後、もう一服していこうと思いタバコを取り出した。

「あ」

ちょうど残り一本だった。

帰りにコンビニでも寄っていくかと思いながら火をつける。

「すっかり酔いも醒めたな。ついでにビールでも買って帰るか」

田中は空を見上げた。

田中が生まれる数十年前に確立された技術により、それまで空を覆っていた排気ガスは除去された。

今は星が数えきれないほど見えている。

あれがオリオン座かな、と思いながら田中は紫煙を吐き出した。






[19607] 転生トラック会社~コーヒーはエスプレッソしか飲まないんです(キリッ~
Name: 七星◆54cd1b68 ID:8e58ac88
Date: 2010/06/23 22:11
中小企業のこの会社では人件費は削れるだけ削るようになっている。

そのため今日のように田中が運転手以外のことを担当することもある。

今日の田中の仕事は説明役だ。

転生を希望する依頼人に転生に関する説明をし、そして依頼人と相談をして各種条件を決めていくのが説明役の仕事だ。

説明役の仕事も今まで何度もやってきたことがあるため、仕事に不安はない。

ただ、田中はあまりこの説明に使う部屋が好きではなかった。

周りを取り囲む様々な本や映像資料。

その全てが転生関係のもので、転生先の世界についての説明のためにアニメや映画の他、漫画なども多数置かれてある。

本来ならば娯楽のために存在するはずのものが、依頼人達のこれからを左右する大きな一因として存在している。

こんな仕事に就いていて何をいまさらと思うかも知れないが、田中にとってはそれがひどく歪に感じられ、言いようの無い気持ち悪さを感じさせるのだ。

しかし、仕事である以上は仕方がなく、田中は部屋の中央に位置する椅子に座り、机を挟み依頼人と向かい合っている。




「まさか、先輩が私の説明役になるとは思いませんでした」

目の前に居る依頼人の女性は、つい先日まで田中の同僚であり後輩だった。

彼女は1年ほど前に入社し、主に説明役としてこの会社で働いていた。

入社してしばらくの間は、社長に言われて田中もしばらく面倒をみていたことがある相手だ。

書類の書き方など、指導を押し付けられてめんどくさそうにしている田中の横で必死に頑張っていた姿や浮かべていた明るい笑顔を覚えている。

明るい笑顔が社員の中でもウケがよく、男性社員の中でも指導を任された田中に嫉妬するものが居るほど人気があった。

もっとも、田中はそんなことを気にもせずただめんどくさそうに指導していただけだった。

田中がこうして説明役をしているのは、そんな彼女の退社が原因だ。

「ぼくも、こうして同僚だった人の転生に関わるのは初めてだよ」

田中はマニュアルと資料に目を落としながら淡々と答えた。

彼女はそんな田中の態度に不満を抱いたのか、少し眉をしかめて髪の毛先をいじった。

田中は出来る限り音を立てずに椅子から立ち上がった。

そのまま、ゆっくりとした足取りで部屋の片隅にある給湯スペースに向かい、彼女に声をかけた。

「コーヒーでも飲む?あいにく安いブレンドコーヒーしか無いけど」

「私、エスプレッソしか飲まないんです」

彼女はぶっきらぼうにそう言った。

そう、と田中は特に感情を見せることも無く応え、自分の分のコーヒーを入れもう一度問いかけた。

「紅茶もあるけど。ただ・・・」

「ティーパックの紅茶なんて飲めませんから」

彼女は田中に最後まで言い切らせることなく言った。

田中は、そう、と応えるだけで、自分のコーヒーを片手に持ち、席に戻った。

そして、音を立てないようにコーヒーを少しだけ飲み彼女の方を向いた。

「それじゃあ、そろそろ始めようか。

まず名前は・・・これはいいか」

「私の名前、覚えていたんですか」

彼女は抑え気味ながらも少し驚きを含んだ声で言った。

そりゃあね、つい先日まで同僚だったわけだしと応えた。

「先輩は、人の名前なんか覚えない人だと思っていました」

「それは失礼だな。一応会社の人の名前は覚えているよ」

田中は少し不満そうに言った。

この部屋に入って田中が初めて感情を見せた。

「先輩は、いつも無気力というか、何にも興味が無さそうに見えていましたから」

「何にも興味がない・・・ね」

田中はそう口の中で反芻するように呟くと、苦笑を浮かべた。

確かにそれも仕方のないことだ。

いや、別に自分が何事にも興味がなかったということを肯定するわけじゃない。

何か疑問に思ったことがあれば調べるくらいの興味をもつこともあれば、人よりは薄くとも結婚というものにも興味があるつもりだ、少なくとも自分自身はそう思っている。

ただ、自分は現状に満足はしていないが、とりたてて不満を撒き散らしたり、何かを変えようなどとしていなかった。

あるがままに起きたことを受け入れ、流れの向くままに流されてきた。

ただ日々を過ごすという自分の生き方が、彼女の目にはそのように映ったということなのだろうと田中は考えた。

「まあ、それは置いておいて話を続けようか」

まあ、それを彼女に告げる必要性も感じられなかったため田中は話を戻すことにした。

彼女はまたも不満そうな顔をしたが、すぐに表情を戻し頷いた。

「転生を希望する理由は?」

稀に、明日をも知れぬ命という依頼人がやってくることがある。

まあ、大概は代理人やその家族がだが。

そんな場合にその依頼人を優先的に転生させるために、この質問は存在している。

最も、たいして繁盛しているわけでもないこの会社でこの質問が意味を持ったところを田中は見たことが無い。

ただの事務的な確認作業でしか無い、意味のない質問だった。

「特になにもありません

いえ・・・違いますね・・・」

彼女は田中のほうを見ず、ただどこか遠くを見るような目で空間を見つめた。

「特に何も無かったからこそ、私は生まれ変わろうと思ったんです」

そして、自嘲するようにくすりと笑うと話を続けた。

「だって、もう閉じちゃってるじゃないですか私の世界も、人生も。

・・・子供の頃、私は何にでもなれるんだと信じていたあの頃は、世界は広かった。

世界地図を見て、自分の住んでいるところは針の先ほどの大きさしか無いと驚いて。

自分はこの広い世界を自由に生きられるんだと信じていました」


―――でもそんなことも忘れて、ただ生きていて、気づいてみると。


「私は、自分がなりかったものの一つにすらなることができず

ただ、全てを消去法で選ぶことしかできていませんでした。

そして・・・」


―――この先、私の人生がどうなるのか簡単に想像できたんです。


「きっと、この想像を超えるような人生になることはないでしょう。

あんなに希望に満ち溢れていた頃の自分はどこにもいなくて

私の人生は、ただ日常を繰り返すだけのものになってしまっていました。

延々と環状線に乗り続けるような人生がひどく色あせて見えたんです」


―――気づいたときには、私の世界はこんなに狭くなっていたんです。


「だから、私はやり直すんです。

決断するまでには何年もかかったけど、やっと踏ん切りがついたんです。

これからは新しい自分になって、新しい世界であの頃感じていた広い世界を生きるんです。

・・・・今度こそ、上手く生きるんです」

困ったな、と田中は呟いた。

「なんて書いたらいいんだろう。

う~ん・・・自分の思い通りにならない世界に不満を抱いたため。

ちょっと違うな」

彼女は冷え切った目で田中を見た。

転生。

つまりは生まれ変わると言うことであり、一度死ぬということでもある。

転生に際して、死ぬという考えを抱く者は少ないし、痛みも苦しみも無いためいまいち現実味も無い。

しかし、それでも彼女にとっては今までの自分を捨てる一大決心だった。

一度転生して、やっぱり気に入らないからやり直しということもできない。

正真正銘の最後のチャンス。

そこに至るまでの彼女の経緯など、田中にとっては書類に書く文面にも劣るものなのだと。

田中自身にその気はなくとも、彼女はそう受け取ったのだ。

「別に、特に無しのままでいいです」

彼女は湧き上がる感情を抑え込んで言った。

机で隠れて見えないところにある、膝の上に置かれた手は今にもに血管が張り裂けそうなほど強く握り締められていた。

「ああ、それならそうさせてもらうよ」

田中はサラサラと書類にペンを走らせた。

「ねえ、知ってましたか?

私、先輩のことが大嫌いだったんです」







「そうなんだ。で、次の質問なんだけど」

田中は、彼女の言葉に少しでも興味があるようにも見えぬ素振りでそう言った。

事実、全く興味はなかったのかも知れない。

その顔には驚きも無く、怒りや悔しさ、悲しみといった感情のいずれも読み取ることができなかった。

まるで、そう、コンピューターのような、そんな無機質な表情だった。

結局、感情を表情に出したのは彼女の方だった。

彼女は不満と驚きが混ざった表情を浮かべていた。

「理由を聞かないんですか?」

まるで、聞いてくれと言わんばかりの言葉。

事実、聞いて欲しかったのだろう。

彼女は、転生する前に大嫌いな田中に精一杯の嫌がらせでもしていこうかという心算だったのだから。

しかし、そんな彼女の思惑は一笑に付すどころではなく、ただ無意味に無価値に終わった。

「うん。だって、すぐ転生するんでしょ?

だったら嫌われてようが好かれてようが関係ないしね」

田中は、何をいっているんだと言わんばかりの、無慈悲な言葉を突きつけた。

いや、田中にとっては慈悲でも無慈悲でも無かった。

それが事実だったから。

意味が無いことはしない。

ただそれだけのことだった。

だが、彼女にとってはそれはただ不快感や怒り、悔しさといったものを煽る行為でしか無く。

事実、彼女の表情に浮かんだ感情はどんどんと色濃くなってきていた。

「そんなところが嫌いだったんです!」

彼女は湧き上がる感情を隠そうともせずにそう叫んだ。

「あなたのその態度、考え方、生き方!

あるがままを受け入れているといえば聞こえがいいのかも知れません。

ですが、実際はただ川を流れる笹舟のように流されているだけ!

私があんなに悩んでいた時もそうやって生きていました!」

大嫌いな私に似ているから嫌いなんです、と彼女は言った。

同じような環境を、世界を生きていながら、特に悩むことも無くただ生きている田中。

彼女が悩んでいる時も、田中が考えていたことはせいぜいが今晩の夕食のメニュー程度だ。

「以前の、気づく前の私を思い出してしまうから・・・」

そんな、ただ生きているだけの田中の姿が、以前の自分と重なって見えるのだ。

明確な目標も何も無く生きていた自分自身に。

彼女にとってそれは苦痛だった。

「うん、わかった。

それじゃあ、次の質問だけど・・・」





「それじゃあ、これで質問は全部終わりだね」

田中は書類を整えるために書類の縁で机を軽く叩いた。

「それじゃあ、私はこれで」

彼女はいきおいよく椅子から立ち上がりドアの方に向けて歩き出した。

そして、ドアを開けて、立ち止まった。

「できれば、私の転生を担当するのは先輩がいいです」

田中は、無言で続きを促した。

タバコを取り出し、火をつける。

吐き出した煙は換気扇に吸い込まれていった。

「生まれ変わる最期の時に見るのが、大嫌いな自分に似た゛人"だったら

生まれ変わった後も、私は大嫌いだった自分を忘れずに向こうでも最期まで頑張れそうじゃないですか」

あっそれと、と彼女は続けた。

「先輩のタバコを吸ってる姿は、入社して面倒見てもらってたころから嫌いじゃありませんでしたよ」

彼女はそう言いながらドアを閉じ、外に出た。

田中には、横目に見えた彼女の顔、と言っても口元しか見えなかったが。

笑みを浮かべていたように見えた。






空は清々しいほどの晴天。

田中は、今エンジン音を立てているトラックに乗っている。

数十うメートル向こうには、今日新しい世界へと旅立つ彼女の姿があった。

田中は、ぐっとアクセルを踏んだ。

しっかりとアクセルの踏まれたトラックは、彼女目がけて一直線に進んで行く。

彼女は動かず、じっとこちらを見据えている。

まるで、なにかを待っているかのように、ただじっと。

田中は、彼女から目を離さぬようにしっかりと見据えた。

彼女は、これから行く世界では広い世界を得ることができるのだろうか。

その人生は満足の行くものになるのだろうか。

彼女は心置きなくこの狭い世界を旅立つことができるのだろうか。

栓の無い疑問が浮かんでは消えていく。

恐らくは彼女もずっと田中を見ていたのだろう

田中は、彼女と目が合った。

間違いなく二人の視線はぴったりと重なった。

その瞬間、彼女の面倒を見ていた頃のことが脳裏をよぎった。

『今日からお世話になります。よろしくお願いします』

『先輩、またタバコ吸っているんですか』

『ここの書類の書き方がよくわからないんですけど~』

『すみません。私に付き合って残業まで・・・』

『行ってきますと行ってらっしゃいはちゃんと言わないと駄目ですよ』

彼女と田中の視線は今もまだ重なっている。

「そうだったね。

そんなことも言っていたっけ」

田中は苦笑を浮かべた。

自分が彼女にしてやれることはまだ一つ残っていたということに気づいた。

自惚れかも知れないが、もしかすると彼女はそれを待っているのかも知れない。

「行ってらっしゃい」

聞こえるはずも無い。

せいぜい良くて、口が動いているということが分かるかどうかといったところだろう。

その時だった。

彼女が笑みを浮かべた。

苦笑でも嘲笑でも無く、記憶の中にまだ残っているあの明るい笑顔だった。

聞こえるはずも無いのに、もしかすると聞こえたのかも知れないと感じさせてしまうほどの満面の笑顔だった。


そして、周囲は光に包まれた。

その瞬間。

―――行ってきます

田中は、そんな彼女の元気な声が聞こえた気がした。

もちろん気のせいなのだろう。

聞こえるはずが無いのだから。


光が収まると、もちろんそこに彼女の姿は無かった。

田中はトラックを降りた。

なにか、ある種の達成感のような、清々しく気分のいい何かに包まれながら田中はタバコに火をつけた。

空には一羽、鳥が飛んでいた。

大きな空を自由に羽ばたく鳥の姿に思わず笑みがこぼれた。



あとがき

以前書いた短編を統一。

第一話目はなんとなく思いついたから。

二話目からはタイトルの~~の間の言葉が使いたいがために書いてみていた短編。

この短編もなんか良いフレーズに出会い次第続きを書こうと思っている。


インデペンデンス・デイを久しぶりに見た。

最期のおっさんの自爆特攻に感動した。

地球防衛軍3の最終決戦の動画もゲームやったことはなくても感動したなぁ。

「ストーム1が、たった一人でマザーシップと交戦中です」とか

「誰かが戦っている…誰かは分からないが」とか

「ストーム1が戦っている…たった一人で」とか感動した。


そろそろ馬鹿な話も書いてみたいけど、なにも思いつかない。

シリアスな話は、漫画とか読んでみてこれ書いてみよっかなでなんとかなるけどギャグほど難しい。




[19607] 【一発ネタ】死んで転生させられそうになった男。結論:神になりました
Name: 七星◆54cd1b68 ID:8e58ac88
Date: 2010/06/24 15:26
ある日、俺がいつものように剣道部の朝練に向かっているとトラックがこっちに向かってきた。

トラックの運ちゃんが居眠りをしているのが見えた俺は回避しようとしたのだが、うまくよけきれずに撥ねられた。

俺は激しい痛みの中、意識を失った。




俺が意識を取り戻すと、長い白ヒゲを生やしたじいさんが俺を凝視していた。

こいつも入院患者だろうかと思って「あ、どうも」と言うと、「私は神だ」と返答された。

危ないじいさんかと思い、俺はとりあえずナースコールのボタンを押して連れて帰ってもらおうとしたのだが、ボタンが無いどころか、部屋が違うことに気づいた。

「ここどこ?」「私の部屋だ」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

俺はハッとなった!

俺はさらわれたのか。

あの時の激しい痛みはなにかの薬でも使われたのかも知れない。

とりあえず、大声を出して助けを呼んでみた。

「は~い」

パタパタと羽を羽ばたかせながら眼鏡をかけた女の人が飛んできた。

飛んできたのだ。

「・・・・・・」

俺が女の人の羽を凝視していると、女の人は「そんなに女性をじろじろと見るものじゃありませんよ」とやんわりと言ってきて

俺はつい「あ、すみません」と頭を下げてしまった。

「それで、どうかしたんですか?」

「あ、つかぬことをお聞きしたいのですが・・・」

俺は、先に羽のことと現状の事のどちらを聞こうかと思った。

どちらから聞いてもいいのだが。

「ふむ、私のことは無視かね。これだから下界の若者は・・・」

「このじいさんは誰ですか?あと、俺今どこにいるんでしょう?」

「この方は神様で、ここは天国です」と女の人はにこやかに答えてきた。

なるほど、もしかするとここは精神病院なのかも知れない。

じいさんは神様だと思い込んでいて、女の人は看護師でじいさんのホラ話に付き合ってあげている。

俺はもう一度女の人を見た。

眼鏡。少し吊り上がった目。そして、羽。

パタパタとしながら宙に浮いている。

こんな看護師さんいねえよ・・・。

俺が頭を抱えていると女の人が「神様、この人はどうしたんですか?」とじいさんに声をかけていた。

「今目覚めたところなのだが、どうやら私が神だと信じておらんようだな」

「まあ、見かけただのヒゲの長い老人ですしね」

なんなんだよ、こいつら。

俺の頭がショート寸前になった頃に、二人がなにやら語り始めた。

要約するとこんな感じだった。

・俺は今日死ぬ運命だった。

・死因はトラックにはねられて死ぬ。

・俺はそのまま死んで天国で暮らすはずだったのだが、じいさんがとある目的から俺の魂を拉致。

・じいさんが最近下界のアニメにハマっているらしく、特にネギまがお気に入りらしい。

・ネギの境遇に感情移入したじいさんはネギをハッピーにさせてやろうと決意。

・神の力でちょちょいとやってしまってもいいのだが、二次創作を読んでオリ主にはまったらしく、自分も神様らしく誰か転生させてそいつにやらせようと思ったらしい。

・ちょうど俺がトラックにはねられて死ぬ運命だったので、転生トラックみたいでいいじゃんと思って俺をチョイス。

・俺が死ぬと同時に魂だけ連れてきた。

じいさんが指で宙を指すと血まみれの俺にすがりついて泣く両親の姿が映し出された。

それどっかから撮った映像なんじゃないの?と言うとじいさんに連れられて自分の死体のところまで連れていかれた。

ふわふわと浮いて自分の死体を眺めさせられた。

どうやら俺は本当に死んだらしい。

とりあえず

「俺、天国に行きたいんだけど」

じいさんが目を丸くして驚いた。

何言ってんのこいつと言わんばかりの表情だ。

いや、もう生き返りたくねえし。

死ぬときの痛みを思い出すと、生き返ってもう一度死ぬことになるよりも天国でのんびりと暮らしたくなる。

「ネギ君は父も母もいない中であんなにがんばっているというのに、お前には人の心が無いのか!」

いや、あれは作り話だろ?

神様が現実とアニメの世界を一緒にするなよ。

神様の隣では女の人が露骨に嫌そうに神様を見ていた。

「この人でなし!人面獣心!お前なんか死んじゃえ!!」

いや、もう死んでるんだろ。

女の人が神様を汚物を見るような目で見ている。

神様は今もまだわめいている。

「・・・・・ふうっ。それでは話もまとまったことだ。早速転生を開始しよう」

と、神様はピコピコハンマーを取り出した。

いや、話がまとまったって・・・・・。

しかも今更言葉遣い直しても遅いから。

「これは私がさっき作った転生ハンマーと言ってな。用途は、言うまでも無いな」

神様がじりじりとにじり寄ってくる。

俺はじりじりと後退するのだが、壁にぶつかってもう後がなくなった。

「ふんっ!!」

神様の転生ハンマーを難なく避けることができた。

「剣道部をなめるなよ!!」

神様の腕をつかんだ。

「離せ!!」

「誰が離すか!!」

俺と神様の取っ組み合いが始まった。

流石は神様とでも言うべきか、なかなか力が強い。

「いいのか?いいのか?神の力使うぞ?」

俺は大人しくするわけにも行かないので、抵抗を続けた。

「がんばれ男の子」

女の人はなんか俺のことを応援してくれていた。

「あー、もう使う。神の力使うから」

神様は俺に向かって指を向けてきた。

今まで持っていたハンマーを手放して。

「うおっ!」

急に手放されたせいで腕を止めることができず、俺の持ったハンマーは神様に当たった。

神様は消えた。

「・・・・・」

「・・・・・」

しばらく、沈黙が流れた。

「あの、神様は?」と聞いてみた。

「転生したみたいですね」としらっと答えられた。

女の人は小さくガッツポーズをしていた。







あれから500年が経った。

俺はと言うと、神様をやっている。

なんか、お前がやったことなんだからお前が責任とれって言われて神様の仕事をさせられている。

基本的に書類仕事ばっかり。

怒られて地獄行きにさせられるのかと思っていたのだが、最近(といっても100年単位)神様はアニメに嵌って仕事をしてなかったので、お前が代わりに仕事をしてくれるなら許してやると言われた。

俺が神様になってもいいのかと思っていたが、基本的に天使は神様の代わりにはなれない存在とし生まれているらしい。

神様は天使以外のある程度の知能のある生き物ならなれるらしい。

まあ、基本的には前の神様から任されて代替わりするらしいが、今回は特別だとか。

「神様、仕事の追加です」

あの女の人は秘書だったらしく、今も俺の秘書として仕事を手伝ってくれている。

「そういえば、そろそろだよな?」

「ええ、そろそろですね」

俺たちが話していると、遠くから声が聞こえてきた。

「小僧ーーーーーーー!!!!」

どうやら、やつが帰ってきたらしい。

じいさんはあれから何度か転生している。

律儀なことに、向こうで転生者としての一生を送ってから天国に帰ってくるのだ。

そしてそのたびに俺に復讐しようと特攻してくる。

「おい!やつが帰ってきたぞ!!」

「そういえば、もうそんな時期か」

「転生ハンマー部隊出動!!」

転生ハンマーを持った天使の軍団がじいさんに向かって突撃して行く。

「ぬ!お前たち、私は神だぞ!!」

「うるせえ!」

「仕事をしない神様はただのじじいなんだよ!!」

「お前のせいで、仕事が滞って大変だったんだぞ!!」

「今度は長寿の生き物にでも転生させてやる!!」

どうやら、じいさんの仕事のサボりっぷりには天使も怒っていたらしい。

初めてじいさんが帰ってきたときとかは復讐におびえて布団に丸まって隠れていたのだが。

秘書の天使さんがしばらくしてやってきて「あれのことならまた転生させたんで大丈夫ですよ」と言ってきた。

どうやら、適度に仕事をしている俺は天使達の中でも及第点をもらっていて、仕事の滞りもないからしばらくあいつを神様に据えておけばいいんじゃないか?ってことになっているらしい。

神様と言っても、じいさんから力を受け継いでいない俺は正式な神様とは言えないわけなんだが。

実際神様が力使うこと無いしな。

神様は書類仕事して、力使うようなのは天使がやるし。

「ぬおおおおおおお!!今度こそ、覚えていろ!!」

どうやら、またじいさんが転生させられたようだ。

秘書の天使さんがガッツポーズをしている。

まあそんなこんなで、仕事していればじいさんから守ってくれるみたいだし、しばらくは神様でもやっていようかと言うわけだ。

もっとも、それは建前で実際は隣に立っている秘書の天使さんに惚れてしまったため離れられないわけなんだが。

「ねえ、今度食事でもどう?」

「ああ、いいですね。みんなも誘っておきます」

繁殖の必要のない天使には、自分たちが恋をするという概念と機能が無いらしいので俺の恋が実ることはなさそうだ。

童貞歴517年、元気に神様やっています。




[19607] 短編 内政物 第一話
Name: 七星◆54cd1b68 ID:8e58ac88
Date: 2010/06/29 22:46
彼、スパ・ナポリタン8歳、旧姓・田中一郎は転生者である。

ある日とある領主の息子に生まれ変わってしまった一郎はけっこう転生ライフを楽しんでいた。






「ぼっちゃま!勉強がまだですぞ!!」

ちっ、スミスのやつめ追いついてきたか。

勉強なんかやっていられるか!

俺は町に遊びにいくんだ。

「ぼっちゃま!止まってくださらないと魔法を使いますぞ!!」

「止まれと言われて止まるやつが居るか!!」

俺がそう叫んでスピードアップをするとスミスがぶつぶつとつぶやき始めた。

「我、スミス・セバスチャンは求めるものなり。
求めるは束縛。
我が敵の束縛なり。
地の底に住まいし暗黒神ゴルバドルゲスよ。
我が呼び声に応えたまえ。
汝を包む暗き闇をもって、我が敵を束縛し給え。
暗黒よりもいと暗き闇!
深淵よりも深き闇よ!
ふんぬるぁあああああああ!!」

スミスが叫ぶと、俺の足元から黒い紐のようなものが無数に出てきて俺を縛り上げた。

紐は全然解けそうになくて、俺は陸に上がった魚のようにびちびちと跳ねることしかできない。

「ぼっちゃま、捕まえましたぞ」

スミスとの対戦成績はこれで3勝210敗となった。





「全く、ぼっちゃまはなぜお逃げになるのか」

「いや、勉強とかめんどくさいし。
町で遊んでたほうが楽しい」

スミスが後ろに張り付いて俺の勉強を監視している。

しかも兄貴のパスタまでいる。

「俺は父さんに言われたから一応いるだけだよー」

気の抜ける声で兄貴が言った。

「パスタ様からも強く言ってください!!
お二方にはいずれ領地を治めていただかねばならないのですぞ!!」

「いや、この国のやり方だとそれって兄貴だけだろ。
俺はどっかでのんびりと隠居生活を送れるシステムになっていたはず」

そう、この国の慣習では領主の次男坊はなんかあったときのための保険でしか無いので、基本的にだらだらと暮らせるようになっているのだ。

ビバ次男坊。

「ナポリタン家は王国でもっとも広大な領地を持つ貴族なのです。
お二方の力を合わせねばなりません!!」

いやだって、兄貴がこう見えて超優秀じゃん。

神童とか言われてるくらいだしさ。

・兄貴

頭脳:神童、13にして既に政治にバリバリ関わっている。
運動能力:王国の騎士団長と互角に戦える。
魔法:大魔法使いの再来と言われている。
性格:ギャルゲーの主人公レベル
顔:現代の整形アイドルも真っ青
オーラ:なんか後光が差して見えそう


・俺

頭脳:二桁の掛け算(暗算)はちょっと難しいかな。
運動能力:逆上がりできたよ
魔法:ランプ替わりの灯を出せるよ
性格:料理長、ピーマン食えないから除けておいてね。命令だよ。
顔:とても素朴で親しみやすいってほめられたよ
オーラ:町歩いてても貴族だって言われなくて遊びに誘われたりするよ


「俺っていらないんじゃない?
むしろスミスが内政手伝ったらいいじゃん」

「なんと!!
それはいけませんぞ。ナポリタン家の方が政治をしなくては領民が不安に思いまする」

「領民にとって、誰が内政をするかなどどうでもいいのだーーー!!」

と、DIO様っぽく言ってみた。

「やつらはただ日々の食事に困りさえしなければ誰が政治をするかなど気にはしないのだ!!」

スミスがスパ様がおグレになられたとか言って泣き崩れた。

「スパって時々核心ついてそうなこと言うよね~」

兄貴はなんかずっと本を読んでいた。

なになに『人妻たちの淫靡な午後~ああ、夫が帰ってくるのに~』

あ、兄貴・・・・

なんですり寄ってくる貴族の令嬢たちに靡かないのか不思議に思っていたんだが、こいつは予想外だったぜ。





「スパ様、明日の朝食なのですが。
実は、いつものパンが切れてしまいまして」

「パンが無いならパスタを食べればいいじゃない」

「わかりました。明日の朝食はパスタに致します」

料理長は好き嫌いが多く、注文の多い俺にはよくメニューを相談してくる。

兄貴はなんでも食べるから聞かれないらしいが。

やることもないので館をふらふらとさまよっているとメイド長を発見した。

メイド長は20歳くらいの超優秀なメイドで、眼鏡をかけている。

俺のことに気づいていない様だ。

俺は走りだした。

迷っている暇はない。

メイド長に近づいて

「ナポリタン流奥義!スカートめく」

「こおおおおぉぉぉぉぉ・・・

臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前

ナポリタン家メイド流奥義!

疾風雷光暗黒拳!!」

俺の頬をメイド長の拳がかすめた。

俺は蛇に睨まれた蛙のように動けなくなった。

足がガクガクと震えている。

「ぼっちゃま、お痛が過ぎますよ」

メイド長がにっこりと微笑んだ。

俺は頷くことしかできなかった。





メイド長のスカートがめくれなかったので、俺はトボトボと町に出かけた。

町の外れにある川まで来てみるとパン屋の息子のテッドが釣りをしていた。

「おっす」

テッドは元気よくあいさつしてくれたが、俺の方は意気消沈していてあいさつも返せなかった。

テッドに女性のスカートめくろうとしたら失敗したと話すと笑われた。



「そういやさ、俺この前に領主様のところのパスタ様を見たんだ。

すっげーかっこよかったぜ!」

「ああ、そうなんだ」

兄貴のかっこよさは俺も知るところだ。

「パスタ様には弟がいるらしいな。

弟の方もかっこいいんだろうなー」

「い、いや案外普通なんじゃないか?」

俺はハードルを上げられては困るので否定しようとした。

「それはないって。
兄弟なんだぞ?
これで弟の方だけ普通の顔なんかしてたらがっかり感が半端じゃないだろ」

「・・・・半端じゃないのか」

「おう!あたりまえだろ」



俺は屋敷に帰ると悲しみのあまりメイド長のおっぱいに向かってダイブした。

もちろん防がれた。

そして1時間正座の罰を受けることになった。




あとがき

指摘から掛け算のところを修正



[19607] 内政物 第二話
Name: 七星◆54cd1b68 ID:8e58ac88
Date: 2010/06/30 17:25
「へっへっへ、よいではないか~」

「ああん、困りますぼっちゃま~」

「ぼっちゃま?」

スカートめくりをしようとメイドさんのおしりを追っかけていたら、メイド長が後ろに立っていたでござる。

すんごいスピードで土下座をしたんだが、許してもらえずお説教されることになった。

「大体、パンツなんか外に干してあるからいくらでも見れるではありませんか」

なん・・・だと・・・

「貴様、このスパ・ナポリタンがただパンツを見たいがためにスカートをめくっているとでも思っていたのか!!」

「違うんですか?」

「違う!違うぞメイド長!
圧倒的に、絶対的に違う!!
過程だ!過程が重要なのだ!!
あのスカートに隠された聖域を暴きだそうとする興奮と背徳感!
そして暴くまでのスリルとワクワク感!!
そう、そこにロマンがあるのだ!
パンツはあくまでロマンを追い求めた結果手に入る産物にすぎんのだ!!」

ただパンツを見るだけじゃ意味が無いんだ。

「なるほど・・・」

「というわけだからスカートめくってもいいでしょ?」

「それとこれとは話が別です」

ですよね。

現時点でのメイド長の戦闘力は53万です。

まだ5回くらい戦闘力を上げられるそうなのでスカートの守りはかなり硬いです。






今日は兄貴と将棋をやっている。

俺が考えたってことにして作ってみたんだ。

でも、こっちでは既にチェスっぽいゲームがあったから売れなかったよ。

「王手」

なんと!

俺の陣地には既に王将しかいないではないか!

「また勝っちゃいそうだよ~。スパが考えたのに一度も勝てないよね~」

なぜだ・・・。

ハンデとして兄貴は飛車角金銀抜きだったはず。

落ち着けBE COOLだスパ・ナポリタン。

かつてあのお方も言っていた。

戦いは数だよ兄貴と。

つまり、数で圧倒的に勝っていた俺が負けるはずはないんだ。

ということは兄貴はいかさまをしているのか?

しかし、俺はイカサマが見抜けなかった。

こういう時はどうする。

決まっている。

「スパ・ナポリタンはクールに去るぜ」

俺は走りだした。

「えい!」

兄貴が座ったままの姿勢で俺に向かって飛んできた。

「なっ!? 座ったままの姿勢! 膝だけであんな跳躍を! 何者!? お…… 襲ってくるゥ!!」

「浮遊魔法だよ。スパも覚えておきなよ」

才能ってやつはいつだって残酷なんだよ・・・。



兄貴にまた負けたのでメイド長のところに慰めてもらいに来た。

「メイド長~膝枕してくれ~」

ダイブしたら華麗に避けられた。

こいつ、できる!

「私は仕事がありますので。スミスさん」

「はい。ぼっちゃま、膝枕なら私目が」

スミスが正座をしてポンポンと膝を叩いている。

俺は戦慄した。

男の膝枕だと・・・。

こんなものが許されていいのか・・・。

否、断じて否!

「メイド長~」

メイド長にダイブしたらたたき落とされた。




兄貴が古代語の解読をしていた。

なんとびっくりなことに、こっちの世界の古代語は元の世界でも使われている言葉だったんだ!

うん、ドイツで使われている言葉だったんだ。

グーテンモルゲンだけ読めたよ・・・。

「兄貴~」

「なに?」

「兄貴って結婚しないの?」

兄貴くらいの歳だと結婚や婚約をしているヤツは多い。

親父もそろそろ考えないといけないと言っていた気がする。

「う~ん、人妻なら考えてもいいかも~」

兄貴、そいつは無理な話だぜ。

人妻と結婚したら相手はもう自分の妻になるから人妻じゃないだろ。

「100歩譲っても30以下は無理かな~」

なんという熟女好き!

30って言ったらこの世界だと化石扱いだぞ。

平均寿命が50歳くらいだというのに。

まあ魔法使いとかは100とか余裕で超えてる人もいるけどな。

「スパだってそのうち考えないとダメでしょ~?」

「俺としては、巨乳で、美人で、スタイルよくて、性格が良くて、三歩さがってくれるくらいで、夜は淫乱で・・・・まあこんな条件かな」

おっぱいに貴賎はないが、貧富の差はある。

おっぱいいっぱい夢いっぱい。

メイドさんハーレムとか欲しい。

「ジェスト伯のとこのカトリーヌさんとかぴったりだね~」

おいおい、その人はジェスト伯の奥さんだろうに。

「いいよ俺メイド長と結婚するから」

「メイド長はガード厳しいと思うよ。
あの人強いしね~。前に稽古付き合ってもらったら負けちゃったよ」

なんと!

王国の騎士団長と互角に戦える兄貴が負けたのか!

「スミスとかにも勝てないよ~」

ええい、ナポリタン家の使用人は化物か!!





「メイド長って兄貴より強いらしいね~」

「メイドのたしなみですから」

メイドってすごいな~。

なら、あそこで荷物持ってふらふらしてるメイドさんも強いのかな?

あわわわ~とか言っているところを見ると非力にしか見えないんだけど。

「彼女は、サルバドロン流合気術の達人でドラゴンすらも軽く投げ飛ばすことができます」

どうやら、この館に衛兵がいないのは使用人の戦闘力が高いからのようだ。

パンツコンプリートまでの道のりは果てしなく長そうだ。

「そういえばさ、この大陸の南の方ってエルフが住んでるんだよね?」

「はい」

「エルフ見てみたい。そしてスカートめくってみたい」

この世界にもエルフは居るのだが、馬車を使っても1月以上かけなければ住んでいるところには行けないのだ。

しかも、とくに特産品も何も無いのでそうそう人が行くことはない。

「エルフにパンツを履くという習慣は無かったはずですが・・・・
というよりも、亜人種族は基本的に履いていませんね」

なんってこった。

「じゃあいいや」

パンツはいてないスカートめくってもおもしろくないしね。

あんこの入っていないどら焼きなんていらないよっと。

「まあ、誰もパンツというものを亜人に勧めたりしませんでしたしね」

なに?

「つまり、エルフにパンツを履かせることができるかも知れないと」

「誰かが広めることをすればですが。

亜人の住む地方までパンツを輸送することを考えると利益が出ませんし、商人はやらないでしょう」

「メイド長」

「なんですか?」

「俺はやるぞ。俺は、エルフにパンツを履かせてみせる。
そしてめくる。スカートをめくってみせる」

そう、パンツを履いていないなんて許せるはずもない。

全種族パンツ習慣計画だ。

俺はきっとこのために異世界に生まれ変わったに違いない。

パンツを、パンツを亜人世界に広めるのだ。

そして俺は全てのスカートをめくってみせる。

パンツ貴族、スパ・ナポリタン。

なかなかいい響きじゃないか。

「我、パンツの求道者とならん」

「では私は仕事がありますので」

メイド長は足音を立てずに去っていった。




「兄貴兄貴兄貴!」

「なに~?」

「エルフが!ノーパンで!スカートめくり業界がピンチなんだよ!!」

「何言ってるの~?」

兄貴に事細かに事情を説明した。

兄貴は呆れた顔をした。

「そんなのどうでもいいよ~。
エルフとかは確かに美人らしいけどさ~。パンツなんて~」

「でもさ、兄貴。
エルフの人妻がパンツ履いてなかったらパンツ脱がせないんだぞ」

「まず、どうやってパンツを広めるかが問題だよね~」

俺は兄貴を引き込むことに成功した。

これが、パンツ貴族と呼ばれることになる俺、スパ・ナポリタンの第一歩だった。




パンツを広めようとは思ったけど、よく考えるとエルフのこと殆ど知らないからいい考えが浮かばなかったんだ。

まあ、あきらめはしないがな。

とりあえずエルフについて調べるところからってことになったんだ。



まずは、身近なパンツから。

メイド長のパンツを虎視眈々と狙ってみた。

HUNTERXHUNTERのゴンのように釣竿(刺さりはしない木製の先の丸い釣り針で)を使うのもいいかもしれないと思い、試してみた。

「制空圏!!」

弾き落とされた。

その後、スミスがメイド服を着て「仕方有りませんな。どうぞぼっちゃま。覚悟はできております」とか言ってきた。




あとがき

>パンツ様が帰ってこられたぞ!!

べ、別に俺パンツとか興味ねーし。


感想掲示板 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
3.86268496513