28日から全国の高速道路50区間で始まった料金無料化の社会実験について、中国地方で有権者50人に意見を聞くと、過半数が否定的にとらえていた。不公平感や環境悪化への懸念などから、厳しい視線が注がれている。
高速道路の一部無料化に否定的な意見は合わせて27人に達した。内訳は(1)「どちらかと言えば評価できない」13人(2)「評価できない」8人(3)「そもそも評価できない」6人―だった。
来年3月末までの実験にかかる事業費約1千億円は、税金で賄う。広島市西区の清掃員広木昭代(てるよ)さん(83)は「高齢者は運転できず、恩恵を受けられない」と訴える。「一部しか対象ではなく利用者が限られる」と福山市の会社員林孝行さん(23)。計14人が評価しない理由に不公平感を挙げた。
「生活路線を担うフェリー会社の経営を圧迫する」=江田島市・男性(61)=など負の波及効果への不安も根強い。「排ガスが増え、環境に悪い」=福山市・幼稚園教諭女性(26)=と環境への懸念の声も目立った。
「どちらかと言えば評価できる」は14人、「評価できる」は9人だった。広島市西区の会社員河本義史さん(35)は「家計の負担が減る」と歓迎。庄原市のパン製造販売長谷川孝子さん(56)は「地域活性化につながる」と期待している。
今後望む高速道路の料金制度も問うた。政府が6月実施を断念した「一律2千円の上限制」が13人でトップ。これまでの「休日限定で千円の上限制」11人▽「割引や無料化は必要ない」8人▽「全区間で無料化」7人―と続いた。
「一律2千円」を支持する周南市の主婦茅原利美子さん(60)は「休日限定だと、渋滞など影響が大きい」。広島市西区の会社員丸木伸之さん(36)も「全区間の無料化は、国の財政への負担が重い。2千円が現実的だ」とみる。
「日常生活によく使われる区間は無料、観光目的は受益者負担に」=呉市・公務員女性(45)=など選択肢以外の提案も相次いだ。東広島市・団体職員女性(32)は「上限や割引の議論を尽くしてほしい」と参院選の論戦を見守る。
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