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「非常事態」解除を検討 夏休み控え段階的に

(2010年6月30日付)

 口蹄疫問題で、県が非常事態宣言の段階的な解除を検討していることが29日分かった。

 ワクチンを接種した家畜の殺処分、埋却作業が30日にも終わるため、県は一部地域での解除も視野に詰めの協議を進めている。東国原知事は「気が緩むのが怖い」と慎重だが、間接被害の深刻化を考慮しつつ、早期解除へ何らかの着地点を見いだす考えだ。

 県内全域で家畜の移動・搬出制限区域の解除が可能になるのは最短で7月16日。口蹄疫の感染終息を意味し、県も当初は宣言解除のタイミングを合わせる意向だった。

 しかし、5月18日の宣言を受け、イベントの中止や延期、公共施設の閉鎖が相次ぎ、幅広い業種や感染していない地域にも影響が及んでいることを重視。イベント、観光シーズンの夏休みに向けてマイナス材料を少しでも減らしたいという思惑が働く。

 特に関係者が気をもむのが、全国から2万人が訪れる予定の第34回全国高校総合文化祭・宮崎大会(8月1〜5日)の開催。県は30日にも開催の可否を判断するが、県教委同祭推進室の野辺文博室長補佐は「(一部)宣言解除となれば、生徒や指導者にとって願ってもない朗報」と開催への望みをつなぐ。

 政府現地対策チーム・本部長の篠原孝農水副大臣は、解除は「県の判断で」としながら「何もかも過度に中止とか延期になっている。車両などを消毒すれば、イベント開催は構わないのでは」と見解。

 一方で、山田正彦農相は同日、「(解除は)まだそんな段階ではない」と述べ、時期尚早との認識を示した。

 東国原知事は同日、報道陣に対し「関連産業、地域の意見を聞きながら、どのタイミング、規模でやるか検討している。気の緩みが怖いが、いつか(解除)しないといけない。できるだけ早くしなければ」と語った。