取材ノートから

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ペンはもろ刃の剣 /山形

 「罪の意識を直接聞きたい」と息子を殺された父親らが受刑者に起こした民事裁判。遺族が閉廷後語った「マスコミは嫌いです」の一言には胸が痛んだ。事件後、報道陣は自宅や職場に殺到。取材を迫られた父親は体調を崩したという▲犯罪被害者の苦悩を追ったドキュメンタリーを見た。男に火をつけられ、皮膚の移植費用を自費で賄う女性。息子を殺され8900万円の賠償命令を勝ち取ったが、6年たっても支払われない父親。犯罪被害者への支援が足りない現実が分かった。遺族らに心から寄り添い、長く取材したのだろう▲ペンはもろ刃の剣。人を助けもし、傷つけもする。「人の痛みが分かる記者になりなさい」。入社前、知人の記者からもらった言葉が改めて胸に刺さる。【鈴木健太】

毎日新聞 2010年6月12日 地方版

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