在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)に約627億円の債権を持つ整理回収機構が、朝鮮総連中央本部の土地建物(東京都千代田区)を差し押さえるための手続きを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第三小法廷(近藤崇晴裁判長)は29日、「中央本部の土地建物が実質的に朝鮮総連の資産だと証明する確定判決などがあれば、強制執行は認められる」との判断を示した。ただし、現時点では「民事執行法上、強制執行は認められない」として、整理回収機構の上告を棄却した。
今回の訴訟では同機構の敗訴が確定したが、これとは別に同機構は朝鮮総連が土地建物の所有者である確認を求める訴訟も起こしており、一審・東京地裁で勝訴している。勝訴が確定すれば、改めて中央本部への強制執行が認められることになる。
朝鮮総連は法律上、不動産登記ができない任意団体であるため、土地建物は別法人の「朝鮮中央会館管理会」が所有する形になっていた。裁判では、朝鮮総連に対する債権を回収する際、第三者名義の不動産であっても差し押さえられるかが争点になった。