畑中葉子さん

　カラオケの定番デュエット曲といえば「銀座の恋の物語」「男と女のラブゲーム」「三年目の浮気」などがすぐに思い浮かぶが、もう１曲、忘れられないのが本日登場の畑中葉子さんが平尾昌晃さんと歌った「カナダからの手紙」だ。清純派アイドル歌手だった畑中さんが、ロマンポルノ女優に転向したときは仰天した。今どうしているのか。

「４月末からラジオ日本、ぎふチャン（岐阜放送）、ラジオ関西で放送してる『応援ラジオ　どんまい！』に出演してます。ナイター中継が雨で流れたときの代替で、業界でいう“雨傘番組”なんですが、今シーズンは雨が多くて、毎週一度や二度は出る感じ。ラジオとはいっても、準レギュラーなんて何十年ぶりかしら。夕方５時５５分から９時までなので、ぜひお聴き下さい」

　東京・赤坂にある女性限定のカラオケサークル「サニーサイドアップスター」で会った畑中さん、こういうとニッコリほほ笑んだ。小さな花柄の赤を基調としたワンピースは、誕生日の４月２１日にオフィスのスタッフにプレゼントされたとか。

「サークルは去年７月からスタートしました。女性って結婚すると家事や育児に追われ、なかなか自分の時間を持てないでしょ。ましてや親の介護が必要になったら、なおさらですもの。そんな女性たちのひと時の安らぎの場、ストレス発散の場をつくりたいな、って思ったのがきっかけです。もちろん、歌うのが大好きって方も大歓迎。女性だけだから、気を使わなくていい、と好評なの」

　現在、会員は約２０人。去年１月から始めたブログで集めた。

「２月からツイッターもやってます。４００人くらいのフォロワーさんがいらっしゃるんですよ。驚いたのはブログやツイッターを通じて、お仕事が舞い込んでくること。ネットメディアって本当に面白いですね」

●「今年のワタシのテーマは故郷・八丈島の島おこしです」

　さて、八丈島生まれの畑中さんは中２のときに都内・中目黒に転居。そして、高校入学直前に原宿で３つの芸能プロからスカウトされたのをきっかけに、自宅近くにあった平尾昌晃音楽スクールに入校した。デビューは１９歳。平尾とのデュエット曲「カナダからの手紙」が７０万枚超のヒットとなり、はじけんばかりの笑顔に男性ファンはシビれた。

「お人形さんそのもので、いきなり紅白歌合戦にも出場できたし、周囲からチヤホヤされました。それだけに、ソロになって人気に陰りが出るや、周りが手のひらを返したように冷たくなったのにはビックリしたし、ショックでしたね」

　そうした反発から２１歳で音楽ディレクターと結婚するも、半年で離婚。その後、転機を求めて日活ロマンポルノ「後から前から」に主演し、タイトル曲のヒットとともに大きな話題になった。しかし、「本業は歌手」と４本の作品に出演後は歌手に専念。９１年に広告代理店社員と結婚し、２人の子どもに恵まれた。

「今年のワタシのテーマは八丈島の島おこしです。過疎化が深刻で、小学校時代に親しんだ八丈太鼓は後継者不足で存亡の危機にある。で、だったらワタシが、って数十年ぶりに練習を始めました。ブログやツイッターでも積極的に八丈島情報を取り上げ、恩返ししたいですね」

　都内に夫、大学１年の長女、高２の長男と暮らす。

（日刊ゲンダイ2010年6月17日掲載）