日本散った!死闘PK戦も16強止まり
「W杯・1回戦、パラグアイ0(5PK3)0日本」(29日、プレトリア)
日本、死闘の末に涙の惜敗‐。史上初のベスト8進出を懸けた日本(E組2位)はパラグアイ(F組1位)と0‐0のまま延長戦に突入、PK戦の末に、3‐5で敗れた。4大会連続4度目の出場で02年日韓大会のベスト16を上回る史上最高成績を目指した日本は、FW本田圭佑(24)=CSKAモスクワ、MF松井大輔(29)=グルノーブル=ら、1次リーグ3試合と同じメンバーが先発。押し気味に試合を進めながら、最後に力尽きた。
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涙が止まらなかった。PK戦の末、史上初の8強がついえたイレブンは、人目をはばからずピッチの上で号泣した。本田…、松井…、闘莉王…。だれもがあふれる涙をぬぐおうとしない。岡田ジャパンのW杯は、ベスト8を目前についえた。
スタメンは4戦連続で不動の布陣だった。キックオフ直後に仕掛けた。あいさつ代わりの1発は開始13秒。MF大久保がパスカットからシュート。世界中から集まった400人超の報道陣が見守る中、アジア代表としての気概を見せ付けた。
「思い切ってチャレンジして、いい結果を出したい」‐。最初に訪れた19分のピンチに、そう意気込んでいた守護神がほえた。FWバリオスが反転から右足でシュートを放つが、GK川島が見事にセーブ。同28分には左CKのこぼれ球をFWサンタクルスがシュート。FW本田が身を投げ出してシュートコースを消した。
ピンチをしのぐと、カウンター中心に反撃に出た。起点は絶好調のMF松井だった。21分、こぼれ球を拾い、右足でドライブ回転をかけたクロスバー直撃のロングシュートを放った。後半17分には岡田監督が「かぎを握る」と話すCKから、DF闘莉王がヘディングを見せた。
ベスト8へ体も張った。後半5分にはカウンターを受けるが、DF長友が体を投げ出しシュートを許さない。同11分にはDF中沢が倒れこみながらMFベニテスのシュートをブロック。22分のFKでは川島と闘莉王が衝突し、闘莉王が左肩を痛める場面もあった。だがだれもが身をていしてゴールを守り続けた。
互いに堅守速攻型のチーム。一瞬のすきも許されない展開が続いた。だが、守勢に回っても落ち着いたゲーム運びを続け、史上最強の呼び声高きパラグアイと渡り合った。「バッシングされても自分らしく進むし、ほめられても自分の道を進む」。大会直前に「進退伺」を出しながら、信じられない逆転の人生を歩む岡田監督の不動心が、チームに乗り移ったかのような安定感を見せた。
日本のW杯最高成績は自国開催の02年日韓大会のベスト16だった。目標の4強という夢を追い、延長戦を経てPK戦に突入する死闘。3番目にけった駒野がバーを直撃し、全員が決めたパラグアイの前に屈した。