経済
スカイマークの対応に自治体困惑 神戸-茨城便運休など
4カ月余りで国内線がなくなる茨城空港。スカイマークの発着便を目当てに1日約4千人の観光客が訪れる=茨城県小美玉市与沢 |
「自衛隊から運航ダイヤの変更を求められた」という前代未聞の理由で、スカイマーク(SKY)は神戸‐茨城線を8月末で運休する。就航からわずか4カ月半。4月にも神戸‐福岡線を2カ月で運休するなど“想定外”の対応を繰り返す同社に、神戸市などは困惑を隠せない。ベンチャー企業の同社は大手とは違う経営戦略を持っており、空港を活性化の起爆剤としたい地元自治体との意識のずれは大きい。
(高見雄樹、前川茂之)
「撤退はもう決まったこと」
茨城線廃止発表から一夜明けた25日、同社幹部はさらりと語った。神戸‐茨城線の運航計画変更届は、国土交通省航空事業課にまだ提出されていないが、今後手続きを進めるという。
同社は廃止の理由を「(茨城空港を共用する)航空自衛隊から、7月25日に予定される『航空祭』当日の運航ダイヤ変更を求められた」と説明する。
これに対して防衛省航空幕僚監部は「当日は空港周辺の道路が渋滞するので、利用客が乗り遅れないよう30分程度の変更を提案しただけ。発着時間を指示してはいない」と反論する。
SKYの言い分はこうだ。茨城発神戸行きが遅れると、同じ機体を使う神戸発那覇行き、那覇発福岡行きも玉突きで遅れる。福岡への到着時に羽田からの便も重なると、整備士を増員するなど運航コストの上昇につながる‐。
「1回だけならいいが航空祭は毎年あり、ほかの行事もあると聞く。低コスト運航で運賃を下げ、新たな客を増やすという経営が成り立たない」と幹部は言い切る。
一方、地元自治体には動揺が広がる。「こんな事態が続くと、思い入れのあるPRはできない」と神戸市の担当職員はつぶやいた。物産展の開催や観光業者への営業など、茨城県側と連携し集客を進めてきた矢先だった。
日本航空(JAL)が撤退した神戸空港にとって、SKYの存在は大きい。7月9日には神戸‐札幌・旭川便が就航し、さらに羽田や那覇便の増便を打ち出しているが、市は「また振り回されないか心配」と明かす。
SKYの相次ぐ方針転換に対し、大手航空会社の社員は「利用者のニーズや期待を無視する経営は、公共交通機関としてどうか」と批判的だ。
しかし、SKY幹部は「物産展や観光PRはありがたいが、われわれは移動に特化したサービスを追究している。茨城空港では、安定的に運航できる仕組みこそ重要で、自治体も発想を変えてほしい」と主張している。
(2010/06/26 14:35)
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