昭和62年の国鉄の分割民営化の際に、JRに採用されなかった労働組合の組合員たちが救済を求めてきた問題は、国鉄の業務を引き継いだ「鉄道・運輸機構」が、組合員に総額およそ200億円の和解金を支払うことで28日、和解が成立します。
この問題は、昭和62年に国鉄が分割民営化された際、民営化に反対した国労=国鉄労働組合の組合員など1000人余りがJRに採用されなかったもので、このうち900人余りが国鉄の業務を引き継いだ「鉄道・運輸機構」に賠償などを求めて各地で裁判を続けています。これについて、ことし4月、当時の与党3党と公明党は、「鉄道・運輸機構」が組合員1人当たり平均でおよそ2200万円の和解金を支払うなどとした解決案を示し、政府と国労は受け入れることを決めました。28日は最高裁判所で、午前10時半から解決案に基づく和解協定の調印式が行われることになっています。この和解によって、「鉄道・運輸機構」は、組合員側に総額およそ200億円の和解金を支払い、組合員側はすべての訴えを取り下げることになります。国鉄の分割民営化以来23年間にわたって争われてきた問題は、解決に向けて大きな節目を迎えます。一方、解決案では、政府がJR各社に組合員の採用の確保を求めることも盛り込まれましたが、JR側は慎重な姿勢を崩しておらず、雇用をめぐる問題については、今後も話し合いが続くことになります。