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【サミット】色あせたG20の結束 日本の例外は不名誉 (1/2ページ)
このニュースのトピックス:G7・G20
世界的な金融危機から脱却する速度は各国によって異なる以上、ポスト危機の成長戦略が異なるのはやむをえない−。G20サミットの首脳宣言は、メンバー間の不一致を認めることで合意したといえる。
首脳宣言は2013年までに財政赤字を半減させる「努力目標」を盛り込んだものの、具体的なアプローチは各国に委ねられ、拘束力はない。財政状態が先進国で最悪の日本が例外扱いとなったのは、各国の個別事情に配慮した今宣言の象徴であり、日本にとって不名誉な事態だ。
「みな自国の道を追い求め始めた」。世界恐慌の恐怖の最中、2008年秋のワシントンG20でブッシュ前大統領のシェルパ(個人代表)を務めたダニエル・プライス氏はこう語る。
信用不安に揺れる欧州諸国が厳しい財政再建計画を打ち出したのに対し、米国は、歳出抑制は短期的な回復の足を引っ張りかねないと主張。財政健全化と景気回復のどちらを優先すべきかという論争に発展した。
破綻(はたん)処理費用を徴収する銀行税の導入を決めた英仏独は他国にも同調を求め、景気への影響を懸念する日本やカナダの反発を買った。
中間選挙を控えて雇用情勢の改善を迫られる米国、ギリシャ救済への国民の反発が根強いドイツなど、先進国間の溝には自国の政治的圧力も背景にある。
「各国が政治的に神経質になった結果、G20の調和は一段と困難」(アンドリュー・クーパー加ウオータールー大教授)になり、宣言は「各国の状況の違い」を認めたのだ。