ふん尿、堆肥、防疫処理し従来利用を 自治体に県促す

(2010年6月29日付)

 口蹄疫発生地域で大量に残されている家畜のふん尿、堆肥(たいひ)について、防疫処理後、一定期間たてば「堆肥としてこれまで通り利用が可能」として、県が関係自治体へ処理・利用を促していたことが28日、分かった。川南町を中心とするワクチン接種区域の制限解除には、ふん尿など汚染物の処分が不可欠だが、広大な埋却地確保がネックとなっていた。県としては堆肥利用で処分を進め、清浄化を急ぎたい考えとみられる。

 県が同日県庁で開いた自治体担当者会議で説明した。会議は非公開で、出席した関係者らによると、堆肥やふん尿をすべて埋却するには「6メートル幅で延長約10キロの埋却地が必要」と県が試算。埋却は事実上不可能として、農林水産省などと協議。防疫処理や一定期間おくことでウイルスを死滅させ、安全な状態にする方法を選んだという。

 具体的には、堆肥やふん尿に石灰をまいて消毒し、ブルーシートをかぶせて42日間放置。その後、堆肥化処理すれば清浄性を確認できる。県はイギリスで行った例を挙げ、「この処理でウイルスは1万分の1まで減少することは科学的に担保されている」と説明。堆肥は畜産農家が飼料を育てる畑にまくなどして使う。

 出席者からは「その堆肥を使って本当に大丈夫か」という声が上がった。ある担当者は「これだけでは農家が心配だと思うので、半年間置いて肥料に利用する万全の備えを取りたい」と語り、別の担当者は「問題ないという国の方針なので、従っていく」とした。

 家畜伝染病予防法は、感染疑いが見つかった農場のふん尿や堆肥について、殺処分された家畜とともに埋却や焼却するか、消毒することを義務付けている。えびの市などは家畜と一緒に埋却処理した。