埋却公有地利用も 農水省、防疫マニュアル通知

(2010年6月25日付)

 本県の口蹄疫問題を受け、農林水産省は24日、「防疫措置実施マニュアル」を策定し、都道府県に通知した。

 異常家畜を発見した際は家畜防疫員が2時間以内に当該農場に到着し、同省は送付された写真などを基に感染の有無を判定することなどを定めた。殺処分した家畜の埋却地には公有地も充てる内容で、感染が拡大した本県の事例を踏まえ防疫の迅速化を図る。

 マニュアルは早期発見、早期通報のための監視体制強化を図り、発生時には迅速な殺処分、埋却などのまん延防止策を講じ、被害を最小限に抑えることを基本方針とする。

 具体的には、異常家畜が発見された際、家畜防疫員が都道府県の畜産課や農水省に連絡し、原則2時間以内に農場に到着すると定めた。到着後は異常家畜や周辺家畜の臨床検査を徹底し、すべての異常家畜の病変部分を「デジタルカメラで鮮明かつ十分に撮影する」としている。

 同省は送られてきた写真や動物衛生研究所の意見を踏まえて感染の有無を判定。感染の可能性が極めて高く、直ちに殺処分する必要があると判断した場合は、原則24時間以内に処分を終える。

 埋却地に関しては「当該農場または周辺」とし、疑似患畜と判定後72時間以内に埋却を終えるよう求めている。本県では埋却地選定に時間を要し感染拡大を招いたことから、「やむを得ない事情により確保できない場合には、公有地(国、県等)を利用する」とした。

 さらに、拡大防止策として移動制限区域(半径10キロ以内)では、発生農場から3キロ以内の農家に電話で異常家畜の有無を聞き取る。また、牛豚等疾病小委員会の提言も踏まえ、半径1キロ内の農場では抗体検査など、移動制限区域内の大規模農場では臨床検査の実施を求めている。

 本県でワクチン接種区域(同)外に飛び火した原因が車両や人との見方が強いこともあり、消毒に関して「農場出入りのたびに運転手および車両内部を含め、厳重な消毒を徹底する」と、対応を徹底するよう定めた。

 同省の動物衛生課は「すべての項目が重要。既存の防疫指針と併用していく」としている。