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NWCガイドライン、継続的な賃金の改善と生産性向上を提言

シンガポール2010年06月26日 08:45
NWCガイドライン、継続的な賃金の改善と生産性向上を提言

シンガポール日本商工会議所(JCCI)は、6月22日、政府・労働者・使用者の各代表による評議会National Wages Council(NWC)により作成された2010/2011年賃金ガイドラインに関する説明会ならびに賃金調査結果報告会を開催した。


今年5月下旬に正式発表されたNWCガイドラインについては、JCCI副会頭・賃金調査委員長の日下清文氏が説明。会場には来星歴が浅い参加者も多かったことから、NWCの構成や検討の進め方、NWCガイドラインの位置付けなども説明した上で、今年のNWCガイドラインの提言内容として、持続的な賃金の改善を行い、雇用側は昇給を考慮すべきとする一方で、生産性の改善に労使ともに取り組むべきとした内容が盛り込まれているとした。提言内容には、高齢者雇用、女性の労働参画への支援なども言及されている。


また、賃金改善にCPFの改善(1%)を織り込むという方針が、今年のメーデーでのリー・シェンロン首相のスピーチで発表されたが、NWCガイドライン策定の議論の中で、CPF改善を昇給の一部に織り込むことが雇用者サイドからの要求として出されたという。


労使双方が合意した枠の範囲内で賃金調整が必要になった時に利用する制度であるMVC(Monthly Variable Component)について、その背景や枠作りの例、注意点などを賃金調査委員の岡田昌光氏が解説。MVCの導入は、今年のNWCガイドラインの中でも勧告されている。岡田氏は、賃金体系に柔軟性を持たせるための制度として、業績が改善されている時期にMVCを導入することが好ましく、業績悪化の場合のカットの条件などについても労使間で予め取り決めておくことが肝要であると指摘した。


20100626_jcci_2.jpgまた、同じく賃金調査委員の荒屋隆氏が、人材開発省(MOM)から6月上旬に発表されたばかりの最新統計にみるシンガポール労働力事情について、昨年発表された2008年の数値と比較しながら解説。雇用数、失業率などの数値は特に2009年第1四半期で悪化が見られたが、同年第4四半期以降大幅に改善していることなどからも、経済の回復ぶりが伺えるとした。雇用数の推移では、ローカルの雇用が2.2%増加した一方、外国人の雇用は0.4%のマイナスとなり、被雇用者全体における外国人の割合も前年よりわずかに減少しているという。


最後に、JCCIが会員企業を対象に実施した2010年賃金調査結果について、JCCI事務局長東潤一氏が報告。回答があった325社の中で2010年の昇給率予測は平均3.31%と昨年実績の2.47%を上回った。また、回答率も8割を超え、白紙回答が多く見られた昨年と異なり、昇給の方向で確定している企業が多いことがわかった。また、2010年のボーナス見通しもについては、前年と同等が3割弱、下回るとの回答が7割近くに上った昨年と異なり、昨年と同等が半数近く、昨年を上回るとの回答が約4割あった。景気動向については、製造業全般、貿易、金融で昨年より改善との回答が見られた一方、建設は昨年より悪化するとの見通しが多く見られた。

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