【ワシントン古本陽荘】クローリー米国務次官補(広報担当)は28日の記者会見で、韓国の海軍哨戒艦沈没事件について「国際テロ行為には該当しない」と語り、同事件を根拠にして北朝鮮をテロ支援国家に再指定しない方針を明確にした。
次官補は「軍部や国家による、他国の軍隊に対する挑発的な行為は、(法解釈上)国際テロの要件を満たさない」と指摘したうえで、北朝鮮の軍艦攻撃は南北停戦協定に違反した「戦争行為」との認識を示した。
一方で「再指定の検討は続いている」とも語り、北朝鮮が武器輸出や大量破壊兵器に関する技術提供などのテロ行為に関与した証拠が集まれば、「ためらわずに行動に移る」と強調した。
テロ支援国家は、国務長官が年次報告書で指定。指定されると、米国からの経済援助停止などの制裁措置を受ける。北朝鮮は87年の大韓航空機爆破事件を受け指定されていたが、08年に米朝間で核計画の検証方法について合意した見返りに解除された。
米政府当局者の間では当初から、軍艦沈没が「罪のない市民を対象としたテロ行為」に当たらないとの見方が支配的だった。
毎日新聞 2010年6月29日 11時24分