気失うまで飲むのが当然だった――増える女性のアルコール依存症 (1/4)
女性の飲酒者やアルコール依存症患者が増えている。厚生労働省が行った調査によると、20〜24歳女性のアルコール依存症患者数が、同年代の男性を上回った。女性とアルコールの関係について、現在治療中の女性アルコール依存症患者に話を聞いた。
女性の飲酒者やアルコール依存症患者が増えている。厚生労働省が行った平成19年のアルコール依存症患者の調査では、11の専門治療病院で女性の新規患者が10年で約5割増。20年の調査では、20〜24歳の女性の飲酒者の割合が、同年代の男性を上回った。女性とアルコールの関係について、現在治療中の女性アルコール依存症患者に体験を聴いた。(大坪玲央)
初めて飲んだのは高1のとき
「気を失うのが目的で飲んでいた。それが普通の飲み方だと思っていた。意識が朦朧(もうろう)として悩みが全部なくなっていく感覚が好きだった」
昨年9月まで問題飲酒に悩み、現在治療を行っている市川みゆきさん(22)=仮名。今の雰囲気からは、痛飲するのが当たり前だった当時の様子は全くうかがえない。しかし、丁寧な言葉遣いで壮絶な酒とのかかわりを語った。
初めて酒を飲んだのは高1のアルバイトの打ち上げのときだった。
「グレープフルーツサワー一杯飲んだことしか覚えていない。次に覚えているのはバイト仲間のひざの上で吐いたこと。後から聞いた話では、日本酒をラッパ飲みしていたらしい」
打ち上げの前まではバイト仲間との人間関係がうまくいかず、「周りの人がめちゃくちゃな自分を楽しんでくれればいいと思って、酒が強い自分を演じるために飲んだ。初めてだから練習すればうまく飲めるようになると思っていた」。
その後、高校生の間は再び飲むことはなかったが、20歳のころにできた酒乱の彼氏の影響で、再び飲むようになった。
「飲めば人格も完全に変わって気が強くなり、酔っ払った彼と大ゲンカした。飲むと毎回記憶をなくした。朝、目覚めると包丁が部屋の壁に刺さっているのも当たり前だった」
酒量も増えた。2日に1度は飲んだ。家の中には焼酎の瓶がごろごろ転がっていた。「泥酔して気が大きくなり、手すりもフェンスもない、さいたまスーパーアリーナの屋根の縁を歩いたこともある。死んでもかまわないと思っていた」
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