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支局長からの手紙:異例の選挙戦 /宮崎

 異例ずくめの選挙がスタートした。

 口蹄疫(こうていえき)対策で県内は非常事態宣言下にある。参院選宮崎選挙区に立候補した自民現職、松下新平氏(43)▽共産新人、馬場洋光氏(41)▽民主新人、渡辺創氏(32)の3陣営に対し、県選管は公示前の17日、異例の「お願い」をした。

 こんな内容だ。選挙カーは全面消毒する▽農場内には立ち入らない▽車から乗降する際は消毒する▽連呼行為は地域住民の心情などに配慮する--。感染拡大を防ぐための消毒や、住民への配慮は当然だろう。各陣営とも防疫態勢を整えて遊説などに臨んでいる。

 だが、個人演説会、街頭演説などを「可能な限り自粛していただくのが望ましい」「握手については自粛すること」と続くと、すんなり納得できるとは思えない。

 候補者が有権者の支持を実感するのに、握手が持つ意味は小さくないと想像する。何より、主張の場である演説や集会ができないとなれば、どうやって考えを伝えるか。インターネットを使った選挙運動が解禁になっていれば、少しは運動に多様性が持てただろう。しかし、国会は、それに必要な公職選挙法の改正をしないまま閉会した。公示後のホームページやブログへの書き込みは、これまで通りできない。

 発信手段は極めて限られている。その意味で、候補者は気の毒である。判断材料が少なくなるという点で、有権者にとっても好ましくない。

 口蹄疫被害や防疫作業などで「選挙どころではない」という県民も少なくないだろうが、選挙は選挙として受け止めるしかない。今、宮崎にとって最も必要なのは、政治的な支えとも言える。被害農家や打撃を受けた地域経済再興のために何をするのか。消費税や社会保障、安全保障などの課題にどう取り組むのか。せめて有権者の判断材料になる記事を届けなければと考えている。<宮崎支局長・池田亨>

毎日新聞 2010年6月28日 地方版

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