きょうのコラム「時鐘」 2010年6月29日

 サッカーW杯1次リーグで自国同士が対戦したオバマ米大統領とキャメロン英首相が、勝敗にビールを賭けていたという

本紙に「証拠写真」まで載ったが、笑って済む話である。賭け事の最初はいつもこの程度との好例だろう。古今東西、射幸心や賭け事の本能はだれにもあった。だから公権力で「枠」をはめるのだ。その前提があっての笑いである

アクタス7月号の「イッセー・森田の人生芝居」は、酒場でイカサマ博打のカモになるサラリーマンが描かれている。「1回だけ」と賭けたのは500円。それが次々と重なり最後は「バカヤロー」と叫んで刃傷沙汰に、身は破滅

最初から大金は動かない。賭ける者の心理であり、賭けさせる側の作戦でもある。「最初は少額」。大相撲大嶽親方のザンゲはこの法則通りである。遊ぶつもりが、もてあそばれた

米英首脳の賭けは2人だけのお遊びだったが、角界が遊んだ大掛かりな野球賭博に暴力団が介在していないはずはない。正式な処分が決まれば、複数の親方や力士にとって相撲人生の破滅となろう。身から出たサビと言うしかあるまい。