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【大相撲】

大嶽親方除名示唆 野球賭博問題 特別調査委が解雇以上勧告

2010年6月28日 紙面から

野球賭博問題で日本相撲協会に求める処分について会見する伊藤滋座長(中央)ら特別調査委員=両国国技館で

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 大相撲の野球賭博問題で、日本相撲協会の特別調査委員会は27日、厳罰勧告をする方針をまとめた。大関琴光喜=佐渡ケ嶽部屋=、大嶽親方=元関脇貴闘力=、時津風親方=元幕内時津海=の3人は懲戒処分とし、特に大嶽親方について、伊藤滋座長は「解雇以上を求める」と史上初の除名処分を示唆。さらに、幕内力士7人、十両力士5人、幕下以下の力士2人、床山1人は名古屋場所千秋楽までの謹慎。武蔵川理事長ら理事4人を含む親方12人にも謹慎を求めた。調査委はこれらの厳罰を下すことを条件に、名古屋場所開催を認める方針をまとめ、28日の相撲協会臨時理事会に示す。

 大相撲の野球賭博をめぐる、特別調査委の勧告案がついにまとまった。名古屋場所の開催について、伊藤座長は「厳しい条件のもとで開催可。その条件を満たさない場合は不可」。突き付ける厳しい条件を満たすなら、開催は可能の見解だ。ただ、要求内容は、相撲協会の解体を意味するほど痛烈なものだった。

 まず懲戒処分と合わせて謹慎させる親方・力士として大嶽親方、時津風親方、琴光喜の名前を挙げた。

 この時点で3人は解雇もあり得る状況となったが、その中でも大嶽親方については「解雇以上の勧告を出す」と伊藤座長。2人との違いを尋ねられると「すべてにおいて突出している」とピシャリ。解雇以上ということは初の除名処分もありえることを示唆した。

 夏場所中に週刊新潮が掲載した野球賭博報道について、相撲協会が行った事情聴取を3人とも否定。さらに、琴光喜は5月27日の理事会でも野球賭博の事実を否定している。このことが特別委の心証を悪くしたとしているが、大嶽親方の何が突出しているのか詳しい説明はなかった。ただ、いずれにせよ、厳罰を突き付ける方針だ。

 執行部体制にも切り込んだ。弟子から野球賭博関与者が出た理事・執行部の親方衆は当面の謹慎。武蔵川理事長も含まれている。理事長職に関しては「理事長代行を置く。国民の目線で事態の解決にあたることができ、かつ、反社会的な勢力に対抗するのにふさわしい人物を理事長代行とする」とした。不祥事による謹慎で理事長に代行が立てられるのは史上初。その代行については「外部でも構わない」と力士出身者ではなく外部理事が就任する可能性もあるという。

 特別調査委の結果で対象者となった36名の聴取では、暴力団と関係していたと認められる者はいなかった。村上泰弁護士は「背後にいる可能性はある」としながらも、本人の供述をもとにそれ以上の追及はしていない。それよりも、指導・教育にあたる師匠の責任問題に踏み込んだ形となっている。

 厳しい要求を突きつけなければならないという特別調査委の考えもあるだろうが、それが理事会ですんなり通るとも思えない。理事・執行部に謹慎させて、果たして本場所開催に支障が出ることはないのか。まだ理事会で決定していないことを、事前の記者会見で発表したことに協会員の不満の声も聞こえてくる。当然ながら相撲協会が簡単にこの要求をのむとは考えられず、理事会・評議員会の紛糾が予想される。

 

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