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[15781] バカとテストとお姉さま(バカテス×乙僕)
Name: YOSI◆e43c292c ID:8a39c388
Date: 2010/01/22 02:04
初めまして、こういうものを書いたことがなかったので練習のために書かせて頂きます。

この小説は『バカとテストと召喚獣』とキャラメルBOX様から発売されたタイトル『処女はお姉さまに恋してる』のクロスオーバーSSです。
読みづらいと思いますが頑張って書きたいと思います。

また、時間軸は開成に入学した年という設定なので祖父は生きています。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「転校ですか」

「ああ」

祖父に話があると書斎に呼ばれ向かうとそんなことを言われた。

「どうしてですか!?開成に入学してからまだ2ヶ月もたっていないのに!」

そう、今は6月、入学式があったのはついこの間のことなのだ。
学校生活もいじめられているわけでも問題を起こしているわけでもない。でも……

「まあ、いいですよ。お祖父様の頼みですし。」

祖父は明治時代から続く鏑木財閥の流れをくむ鏑木グループの会長。また、経済界に「経営の父」という異名持つほどの辣腕家である。
それでも僕には優しい祖父なのでできるかぎりお祖父様の頼みは聞いてあげたい。

「すまんな。開成での付き合いもあるだろうが」

「大丈夫ですよ。学園では僕も周りも勉強ばかりしていて友達はあまりいないですし……。それで、僕はどこに転校するのですか?」

「ああ…、ここだ」

一瞬暗い顔をしたような気がしたがすぐもとに戻り机の引き出しから一冊の入学案内を取り出した。

「文月学園…ですか。確か召喚システムで有名なところで、お祖父様がスポンサーになっている……」

「そう、そこだ。あそこの学園長とは子供の頃からの付き合いでな。お願いしたらこころよく受け入れてくれたよ。まあ…あいつのことだから何かたくらんでるかもしれないが、大丈夫だろう」

「はあ……。わかりました」

こうして、不安になりながらも僕の文月学園の編入はきまった。




おまけ



「でもよかったです。了承しましたがどんな学校に通うことになるか少し不安で……。まあ、もし父様なら冗談で女学院に入れようとするでしょうが。最近、幸穂~て、母様の名前を呼びながら抱きついてくるんですよ」

「ハハ…。そんなことするわけ無いじゃないか。うん。そういえば、瑞穂は幸穂君に似てきたね。その大きな目や綺麗な栗色の髪、そして………」

祖父は満面の笑顔をうかべた後何かを誤魔化すように語り出した。
僕がこの笑顔の意味を知るのは2年先のことだった…。




[15781] 1話
Name: YOSI◆e43c292c ID:8a39c388
Date: 2010/01/22 07:05
「ほう…、あんたが光久の孫の瑞穂かい?聞いてたとおり女みたいな容姿さね。」

転入初日、挨拶のため学園長室を訪れたところいきなりそんなことを言われた。
確かに女顔だって自覚はあるし、母様の遺言で髪は腰まで伸びてるけど、そんな初対面でいきなりそんなこと言わなくても……。ついでに光久とは祖父の名前だ。

「ふん。容姿を言われたくらいで落ち込んじゃあこの学園じゃやっていけないね…。その容姿といい、打たれ弱さといい、編入試験の結果といいほんと光久とは似て無いね」

「そんなに似て無いでしょうか?お祖父様は自分のことをあまり話してはくれないのでわかりませんが!」

その言い方に少し頭にきたのでの反論してしまう。

「全然似て無いね!あいつはひょろっとした容姿に中間位の成績で、人畜無害そうに見えて腹の中身は墨汁を100倍黒くしたような真っ黒さ!!いつだか悪口言った次の日、机の中にカエルを入れられ、ばれないように隠蔽工作はしっかりとしているのにアタシにだけわかるような証拠をわざと残したり!!、この前なんかはいきなり電話してきたと思ったら「久しぶり。そうそう、確か高校の時貸しが何個かあったよね。今度そっちに孫が通わせたいと思うからよろしく。」とかいってそのまま電話を切られ!!」

お祖父様…。なんてことをしているのですか…。

「あの…すいません…」

「ふん。まあ、アイツの孫だからって八つ当たりしたのは悪かったね。それにそろそろ「失礼します、学園長」ちょうどいいタイミングさね。」

学園長と話していると浅黒い肌をした短髪のがっしりとした体格の男の人が入ってきた。

「瑞穂、この先生があんたのクラスの担任の西村先生だ。西村先生あとは頼みます」

「わかりました。鏑木、教室まで案内するからついてきてくれ」

「はい、わかりました。では学園長、失礼します」

そういって僕は学園長室をあとにした。

「さてさて、これからどうなるさね」



Side鉄人

西村だ。どっかのバカどもは鉄人と呼ぶが今は…まあ、いい。そんなことよりも今問題なのは転入生である鏑木瑞穂という生徒の容姿のことだ。すらりとした長身に腰まである綺麗な栗色の髪、透き通る白い肌、少し潤んだ大きな瞳、艶やかな唇……、どうみても女性、しかもとびっきりの美人の良家のお嬢様にしか見えない。最初見たとき書類が間違っているのではないかと本気で悩んだものだ。今でも「実は女でした」と言われたら本気で信じる自信がある。そんな生徒がうちのクラスに、はぁ~…。

「なあ鏑木、ホントに男なんだよな。」

「うぅ~ちゃんと男です…。自分でも女顔だって自覚してますがそんなに何度も聞かなくても…うぅ~。」

やはり何度聞いてもかわらんか…。しょうがない。

「鏑木、もうすぐ教室につくがその前に言っておきたいことがある」

こちらの真剣な雰囲気を感じてか、真剣な目を返してくる。

「鏑木、自己紹介とき必ず性別をいうのを忘れるなよ。」

「はい?何故ですか?制服を見ればわかると思いますが?」

「それでも納得しないバカはいるんだ。どうやら教室についたようだ。鏑木は呼ばれるまでここで待っていてくれ。」

「あ、ちょっと待ってください!!」

そして鏑木を残して俺は教室に入った。

side out



あとがき


乙僕の流れで書いてみようと思ったら………
やっぱり読むのと書くのは大違いでした。
次はバカテスメンバーを出せるように頑張りたいです。



[15781] 2話
Name: YOSI◆e43c292c ID:8a39c388
Date: 2010/01/22 12:42
side  ???

「今日からクラスメイトが一人増えることになる。」

鉄人は教壇に立つなりそういった。

(クラスメイトが増える??誰かがスライムみたいに分裂するのかな?スライムがいるとなると他のモンスターもいるはず…はっ!!ということはいつか勇者がクラスメイト達を虐殺しにくるはず、となると……)

「ねえ雄二、勇者を倒すためにはどうすればいい?」

「なぜ転校生の話題から勇者が出てくるか、お前の頭の中身が謎だよ、明久」

「へ、転校生?」

あ、なるほど。一人増える分は転校生のことか…。

「雄二よ。明久の頭の中身なぞ謎ではない。何も入ってないだけじゃ。」

「ちょっと秀吉!!それはひどいよ!僕の頭にはちゃんと中身がつまっているよ。」

「ほう…。何が詰まってるんだ?」

と、雄二がにやにやと笑いながら聞いてくる。く、バカにして…。

「それはもちろん…」

このとき窓から風に乗ってあるニオイが鼻を通り砂糖や塩しか食べてない胃袋を直撃した。

「カレー!!」

せめてニオイだけでも食べようと思って窓に近づこうとしてきずいた。

「そうだな。頭の中にはカレーが詰まってるんだよな。」

「そうじゃな…。明久の頭の中はカレーでいっぱいじゃ。」

重大な過ちを犯してしまったことに。

「ち、違うんだ。これは風に乗ってカレーのニオイが運ばれてきて…、やめてっっそんな優しい目で僕を見ないで~」

(やばいっ、このままじゃ心が挫けてしまう!こうなったら話題を変えないと)

「と、ところでムッツリーニは?」

「いきなりどうしたのじゃ?まあ、ムッツリーニならあそこじゃ。」

そして秀吉が指さした先には……

(カチャカチャッカチャカチャッ)

一心不乱にカメラをセットするムッツリーニが……。

「どっ、どうしたの??」

「……転校生の姿を収める」

「あっ、そうだった、西村先生っ!転校生は男ですか?女ですか?身長は高いですか?低いですか?胸のサイズは「グポぉ」ハハハっ、島田さんはバカだな~、その関節はそっちにはまがらな、腕の関節がねじ切れそうなくらい痛いぃぃ」

「女性の胸のサイズはね、軽々しく聞いていいものではないわよ」

「やっぱバカだな。」

「バカじゃのう…。カレーすらも入ってなさそうじゃ。」

「ひどいよ秀吉、せっかく話題を変えたと思ったのにまた戻すなんて…」

「ええい、静かせんかー!!たくっ、鏑木入ってこい。」

ガラララ

鉄人に呼ばれ転校生が入ってきた瞬間、時間が止まった。クラス全員が声を出すのを忘れ見入っている。

(カシャカシャ)

さっきまでうるさいくらいだった教室は静まりかえっている。今ここに存在する音は転校生の歩くときに発生する靴音とムッツリーニのカメラの音?  って、ムッツリーニっ、キミはこの光景を見て自分を見失らずに、いや違うっ、あの顔はこの光景に惚けている。まさか本能で!!だとしたらキミは最高だよ!!すばらしいよ!!あとでその写真売ってくれないかな~…。

(チラッ)

(ん?今こっち見なかった?)

(チラッ)

(あっ、またこっち見た…もしかして??もしかしてもしかすると!?)

僕は頭の中で『転校生と僕と~季節はずれの運命~』の制作を開始した。その間に転校生は教壇のとなりで立ち止まり鉄人は黒板に転校生のであろう名前を書いている。今のところ、200話まで完成した。

そんなことを考えていると鉄人は書き終わったみたいだ。

「ああー鏑木瑞穂さんだ。」

「はっ、初めまして、鏑木瑞穂です。」

声まで綺麗だ。制作もヒートアップしてきてもう500話を越えてしまった。

「開成から来ました」

あの有名校から!!鏑木さんは頭いいんだぁ、すごいな~。
神様この出会いに感謝します
もう誰にも止められないっ、『転校生と僕と~季節はずれの運命~』総和数1000話以上!!今までに無いほどの超大作!近日公か……

「性別は、、男、です。」

急遽公開取りやめ、上映禁止。
(神は死んだ……)

side 明久 out



あとがき


今回はバカテスの比率を多めに入れてみました。
なかなか話が進みませんが頑張って書いていきたいと思います。



[15781] 3話(少し修正)
Name: YOSI◆e43c292c ID:36476c28
Date: 2010/01/24 15:04
今回は携帯からの投稿です。




side  瑞穂

あのあと、起動したクラスメイトに質問攻めにあい(ホントに男なのか?と何回も聞かれた、うぅ~)その質問も何とか落ち着き授業が始まるので教えられた席に座った。

「転校生、俺は坂本雄二だ。隣の席のよしみでこれからよろしく頼む。」

「あ、鏑木瑞穂です。よろしくお願いします。」

隣の席の人が話しかけてきた。質問の時もそうだったけどこのクラスの人達はフレンドリーな人が多くて早く馴染むことができそうだ。それはそうと…

「あの…、隣の席の子は大丈夫なの?涙を流しながらぶつぶつ言っているけど?」

「ああ…、こいつは吉井明久っていって、まあ…いつものことだから」

いつものことなの…か?まあクラスに一人くらいそういう人も…いる…のかな?

「…神は死…女…男……第3の姓…の娘は世界を救う…」

「いつものことなの!?」
さすがに許容範囲を越えてしまった。

「?いつものことだが?」
普通に返されてしまった。あれ?僕の方がおかしいのかな?っていけないいけない、今は授業中だった。大声出しちゃったけど大丈夫かな?回りを見てみると…

教科書を読んでいる先生

ノートをとっている生徒

こそこそしている生徒

教室の隅に座っている生徒

よかった…、誰も気にしてないみたい…あれ?何か変なもの混じっていたような?


黒板に教科書の内容を書いている先生

ノートをとっている生徒

カメラをこちらに構えて写真をとっている生徒

教室の隅に座って何か言っているけど生徒

その生徒に向かって歩いている生徒


絶対おかしいしなんだか増えてる…

「ねえ…、坂本くん」

「ん、なんだ?」

「いつものことなの?」

「?何のことを言っているか知らんがいつものことだと思うぞ」

そうなんだ…


「…男…男…」

「ふ…、だらしないな」

「てめえ、須川!!おめえに俺の気持ちがわかるのかよ!…初恋だったのに…。一目見た瞬間おちてしまったよ…。それなのに!男だなんてっ!」

「ふっ、若いな。確かにあのこは自己紹介の時男だと言った…。だが!男は男でもあのこは『男の娘』だ。男とみたら可愛すぎて、女とみても可愛すぎる。そんな存在が…あの娘だ。いわば第3の性別!何を悲しむことがある?」

「須川…いや須川会長!俺が間違ってた。ありがとう!」

「ふっ、気にするな…」

「よし!さっそく告白をせねブゥハ!!」

「貴様!!我らの女神に何てことおしようとしている!!異端者だ!審問官よ集まれ!」

『我ら異端審問官』

「男とは」

『愛を捨て哀に生きるもの』

「これより異端審問会を開始する!!!」


「って、絶対おかしいよ!!これがいつもの授業風景なの!?ってうわっ」

興奮してたせいで立ち上がったとき机に足が引っ掛かってしまい、隣で写真をとっていた人も巻き込んで転んでしまった。

「と、大丈夫か、鏑木?」
「いたた…、僕は大丈夫。あ、ごめんなさい。えと…」

「…俺は土屋康太。気にす(ダクダク)」

「あ~、すごい血が。大丈夫?土屋君?えと、血をまずとめないと」

プシャーー

「え~、どうしてもっと激しくなるの!?」

「ムッツリーニの鼻血はいつものことじゃから気にしない方がいいのじゃ。あ、ムッツリーニとは康太のあだ名みたいなものじゃ」

「この鼻血がいつものことって…えと君は?」

「ワシか?ワシは木下秀吉って言うんじゃ。おぬしとは他人の気がせんのでな、名前でよんでほしいのじゃ。これからよろしくなのじゃ」

そう答えたのは女の子みたいな顔をした男子生徒だった。たぶん、この人も…

「こちらこそよろしくお願いします。瑞穂とよんでください。同じ悩み持つものとしていい友達になれそうですね 。」

キーンコーンカーンコーン…

「ではこれで授業を終わります。起立、礼」

秀吉と友人をきずいていると授業が終わってしまった。それにしても異端審問とか鼻血とか吉井くんとか…こんなのが普通だなんてこのクラスはおかしいと思う。このクラスに馴染むことはホントにいいことなのかな?

こうして僕、鏑木瑞穂の文月学園での生活は始まった。

そういえば、 結構うるさかったと思うけどなぜ先生は何も言わなかったんだろう?



おまけ



「は、僕は今まで何をってムッツリーニ!!」

「…あ、明久…」

「ムッツリーニっ!大丈夫しっかりして!くっ、どうしてこんなことに…」

「…明久…写真は…とれた…ガク」

「ムッツリーニっ!!!!」

「あ、あれも?」

「「いつものことだ(じゃ)」」



あとがき


やっとここまで書けました。
常識人がバカテスの世界に入ったら必ず突っ込みになると思います。ボケが多すぎて…。

でも今はまだ振り回されてばかりですが…
次は予習編を書きたいとおもいます。



[15781] 4話(少し修正)
Name: YOSI◆e43c292c ID:36476c28
Date: 2010/01/24 15:01
今回も携帯での投稿です






side 光久
「瑞穂。最近の学園生活は大丈夫かな?」

食事中、何気無くたずねる。

「最近ですか?そうですね…、そういえばこの前明久が…」

(ふむ…、やはり瑞穂は明るくなった。やはり友達の存在は大きいな。今までは勉強ばかりでまわりまでそんな雰囲気だったからな…。)

「…その時なんか…」

(笑うことも増えたしな。今までは他人に興味を持てなず、どこか冷めてたしな。その友人達に感謝だな。問題があるとしたら…)

「…何故かニンジンを持ってきて…」

(その友人達がバカだというこだな。
調べさせるとこのままでは進級時クラスが離れてしまうことがわかったし。瑞穂は絶対Aクラスになるだろうしな。
というか瑞穂も友達との時間のせいで勉強ができないはずなのに編入時から成績が下がってないとは、誰に似たんだか…、僕や息子ではないな。幸穂さんかな?容姿も似てるし…まあ、せっかく文月学園に編入させたのに開正に似た雰囲気のAクラスになったんじゃ意味ないし…。うん、一肌脱ぐか!)

考えごとをしながらも微笑みは絶やさない。

「…そういえばお祖父様、学園長が言っていた机の中にカエルを入れたってホントですか?」

「ハハハ…、カオルはいつも大袈裟に言うんだよ」

(まあ、やったんだけど嘘は言ってないしね)

「そうなんですか…。あ、お祖父様これで失礼します。」

そういって部屋に戻っていった。

(とりあえず薬を取り寄せるか…)

side out






side 瑞穂


「全員動くな! 鞄を机の上において見えるように開け!」

西村先生は教室に怒鳴りながら入ってきた。何人かそわそわしている。かくゆう僕もいけないと思いつつ明久に借りていたゲームを返すためカバンに入っている。

(どうしよう…、借り物なのに回収されちゃうよ。)

「次、鏑木!」

とうとう僕の番になってしまった。明久ゴメン…。

「よし!次!!」

あれ?ずいぶん軽いな。これなら秀吉達も…

「坂本、お前はポケットの中も見せろ」

「…くそっ」

そういって雄二はMP3プレイヤーを没収された。あれ?

「吉井!!貴様はジャージも着るな!」

生徒によって検査のレベルを変えるのはほめられることではないけど…明久、カバンの中身の9割はゲームやマンガって持ってきすぎだろ…


side out



side 明久

「さて、持ち物検査で時間が過ぎてしまったのでHRは省略だ。一時限目はいよいよ『試験召喚実習』だ。速やかに着替えて体育館に移動するように」

そういって鉄人は僕のお宝を持って教室を出ていった。

「やれやれ、災難だったな。」

「ああ~僕のお宝達が…。そういえば雄二は何を没収されたの?」

「俺はMP3プレイヤーだ。くっ、先月買ったばかりだったのに」

「あ~それは悲惨だね。ムッツリーニや秀吉は?」

「…カメラや撮影道具一式すべて…、くっ」

「ワシは演劇で使う小道具をな…。いくら部活で使うといっても聞いてくれなかったのじゃ」

「みんないろいろ没収されてるみたいだね。僕もお宝を…」

すべて手放すには惜しいものだったのに…。鉄人めぇぇ!!!

「いや、明久の場合持ってきすぎだよ。」

声のした方を見ると瑞穂がこっちに向かってきていた。

「瑞穂は何か没収されたのか?」

「ううん、明久から借りたゲーム今日返す約束だったから持ってきたけど僕の時は軽かったから。はいっ、ありがとう明久面白かったよ」

「へ?あ、うん。どういたしまして」

瑞穂の笑顔にみいってしまった。ただでさえ綺麗なのに笑われたらもう反則だよ…

「そんなことよりそろそろ移動しなくていいのかのう。着替えの時間も考えるとギリギリなのじゃが」

「あ、そうだ急がないと。行こう雄二、ムッツリーニ。秀吉、瑞穂また体育館で」

「「ちょと待って(待つのじゃ)」」

「ん?どうしたの秀吉、瑞穂?早くしないと遅れちゃうよ?」

「どうして別れる必要があるのじゃ!?」

「そうだよ!向かうところは一緒なのに!!」

「向かうところは一緒って…まさか男子更衣室で着替えるつもりなの!?だめだよ!もっと慎みを持たないと。それに専用の更衣室もあるじゃん」

そうなのだ。常識人と名乗る奴等と紳士委員会が衝突し『第2次紳士戦争』が起きたことは記憶に新しい(第1次は4月に起き紳士委員会は敗北した)。結果は紳士委員会が勝利し「一人を特別扱いはできんが2人いるなら…」と『男の娘用更衣室』を勝ち取った!
噂では、今は海パンをスクール水着に変えるためいろいろ動いていると言う話だ。第3次紳士戦争が起きる日も近いかもしれない。

「いやなのじゃ!なぜワシらがそんな変なところで着替えんとならんのじゃ!?」

「そうだよ!!何回も言うけど僕達は男だよ!?」

そんなこと言われても…

「…一緒に…着替えだと!(プシャー)」

「ああ、ムッツリーニ!!しっかりして!!!」

「瑞穂、秀吉、気持ちはわかるがこれ以上は命にかかわる。時間もないし諦めてくれ。」

「うぅ~」

「どうしてもダメかのう?」

ふ、2人とも、そんな悲しそうな目でこっちを見ないで~!!罪悪感で胸がつぶれそうだよ~!!

「そういうことだからまたあとでね!行くよ!雄二、ムッツリーニ」

「あ、行っちゃた…」

「…着替えに行くかのう…」

「…そうだね」

僕らは走ってその場をあとにした。


side out


side 瑞穂


僕と秀吉が着替え終わり体育館に着いたときにはもう始まってしまっていた。

「お、やっと来たか。遅いぞ!瑞穂、秀吉」

「ゴメンゴメン、やっぱりあそこで着替えのに抵抗があって…。それより何でムッツリーニは落ち込んでるの?」

「ん、ああ。あれのせいだ。」

そういって1人の生徒を指差す。

「えと、こうですか?試獣召喚(サモン)!」

指の先には体操着姿の姫路さんがいた。

「あ~つまりせっかくのシャッターチャンスなのにカメラが没収されたせいでとれないから落ち込んでいたと…」

「(ブンブン)…そんなことない」

そう言いながらもその否定の態度も弱々しい…

「それにしてもさすが姫路なのじゃ。強そうじゃのう…」

 姫路さんをデフォルメしたというのもあるが、装備もかなりちゃんとしたものなので、外見は召喚獣達の中でもかなり可愛らしい。
 しかし、その手に握られた武器は、召喚獣の背丈の倍はあろうかという両刃の大剣。召喚獣の武器の強さはテストの点と比例するのでこれはかなり高得点だったのでしょう。


『Cクラス   姫路瑞希    VS   Cクラス   古河あゆみ
 総合科目   3934点   VS   1264点       』

「えぇ~い!!」


その掛け声とともに降り下ろされた剣に相手の召喚獣は倒れた。

「さすが姫路だな。4000点近いじゃないか。…それと明久、なぜお前は瑞穂のことを見つめてる?はっきり言うがキモいぞ…」

「へ?ふあぁ~!!」

「あ、こ、これは違うんだ!!ただ瑞穂の召喚獣はどうなるのかなって思って。確か霧島さんと1位の座を競ってたよね?というか雄二、キモいは言い過ぎだよ!!!」

「それはワシも気になるのじゃ」

「…気になる」

「う~んどうなるんだろう?でもなぎなたは習っていたからそれだったらいいな」

あとは空手や合気道だけどそれじゃ武器を持つ意味ないしね。


『次、鏑木瑞穂!』

「あ、呼ばれたみたい。それじゃあ行ってくるね」

「あ、頑張ってね」

「うぬ、応援してるのじゃ」

「さて、どんな装備になることやら」

「…がんばれ」

友人のじん声援を背に僕は召喚フィールドのある方へ向かった

もう相手の生徒は準備ができてるみたいだ。

「西村先生、もう召喚しちゃっていいですか?」

「ああ、二人とも構わんぞ」

「そうですか、ではいきます」

 すう、と軽く息を吸って、

「 試獣召喚(サモン)!」

その瞬間僕の足元にデフォルメされた召喚獣が現れた。

『おおぉ~~~~』

僕の召喚獣は手に弓を持ち背に矢筒を背負っていた。

「ほう…、飛び道具とは珍しい」

「そんなことより」

僕の召喚獣の服装が問題だった。日本人なら一度は見たことが、特に正月に見ることが多い服装…。

「どうして巫女服なんですか!?」


『Eクラス   鏑木瑞穂    VS   Eクラス   佐藤勇
 総合科目   4312点   VS   1312点       』


この瞬間点数が映し出される。

「俺に聞かれてもわからんが防御力はしっかりしてると思うぞ。」

「そう意味じゃなくて!!と、とりあえず早く終わらせないと!」

召喚獣を操作し弓を引き矢を放つ。召喚獣の操作は難しいと聞いていたが思ったよりは簡単だった。矢は相手の胸に当たり…

『へ?』

その部分が消し飛んだ。

『勝者 鏑木瑞穂』

そして僕の初召喚は終わった。




[15781] 5話
Name: YOSI◆e43c292c ID:8a39c388
Date: 2010/01/25 15:13


side 明久


「ふぅ…。今日は持ち物検査に始まって、一日中災難続きだったよ…。」

「ホント、今日はさんざんだよ…」

「…まったくだ」

放課後。僕らは、いつものメンバーと教室でグチってた。

「明久とムッツリーニは自業自得じゃが瑞穂は災難じゃったの」

「ありがとう秀吉、でも秀吉もいろいろ残念だったね。演劇の西村先生も小道具くらい見逃してくれてもいいと思うんだけどな…」

「そうじゃのう…、そのせいで今日は部活を休み買い出しにいかねばならんしのう…」

「あ、だったら一緒に行かない?ちょうど僕も欲しい物があってさ…」

「もちろんいいのじゃ。明久達はどうするのじゃ?」

「う~ん、今日は遠慮しとくよ」

女同士の買い物を邪魔するのは悪いしね。それにしても…

「あ~あ、せっかく今日は『召喚実習だけで授業のない一日』なんて思っていたのにな~」

楽だったけどこれならいつもの授業のある一日の方がマシだった。

「召喚実習か…」

僕のボヤきを受けて、雄二が感慨深そうに呟く。

「どうしたの、雄二」

「いや、俺たちも来年からは試験召喚戦争ができるようになるんだな、と思ってな」

そう告げる表情はどこか嬉しそうにも見えた。

「雄二は戦争を起こすきなの?」

「ああ、それが目的でここに入学したようなものだしな。たぶんAクラスの代表は瑞穂か翔子になると思うがその時はよろしく頼む。」

「えぇ~やだよ恥ずかしくて召喚獣あまり出したくないし……あれ?圧倒的な戦力差なら誰も攻めてこないんじゃないかな?そうなれば召喚しなくていいし…。よし!もっと勉強頑張ろう!!」

なぜか瑞穂が黒くなっている。そんなに召喚獣に不満があるのかな?強くて可愛かったのに…。ん?そういえば雄二、霧島さんのこと名前で呼んでいたけど…

「ねえ雄二、霧島さんとs『吉井~どこにいるの~?まったく、ウチに掃除押し付けてどこに隠れているんだか』」

そんな声が廊下から聞こえてきた。

「なんだ明久。お前掃除当番だったのか」

「うん。同じ班の島田さんに任せて逃げてきちゃったんだけどね」

「いくら仲が良くても一方的に押し付けるのはだめだよ。ちゃんと島田さんに謝ら『もうっ。見つけたら、手足を縛って3階から突き落としてやるんだから』ないと?」

出た瞬間殺られる!!

「って、島田さん!そんなことしたらさすがの明久でも死んじゃうよ!?」

「あ、瑞穂。吉井のこと見てない?」

「そんなスタントマンもびっくりのアクションをさせようとしている人に教えれるわけないよ!!」

「冗談に決まってるじゃない。ウチがホントにそんなことすると思ったの?」

「そういうセリフはせめて手に持っているロープを隠してから言ってください!!!」

今のうちに教室から逃げ出す。

「あ、吉井~、待ちなさ~い」

命のかかった鬼ごっこスッタ~ト☆

「そういえば瑞穂もツッコミが板についてきたのう…」

「ああ、本人としては不本意だと思うが…」

side out





side 瑞穂


「それではまたの」

「うん。明日学校で」

秀吉との買い物も終わり歩いていると見知った人影が…

「あれ?ねえ明久、こんなと『ひっ!ってなんだ瑞穂かおどかさないでよ…。島田さんかと思ったよ』あ、ゴメン」

こんな所まで逃げてきたんだ…。確か学校から商店街まで3駅は、離れているのに…

「それにしてもファンシーショップの前に立ち止まってどうしたの?」

「それは姫路さんを追いか、お人形に目覚めてね!!」


それはどちらにせよアブナイヒトだよ…。

『葉月一生のお願いです、どうしてもこのノイちゃんが欲しいんです。お願いしますおじさんっ!』

『そうは言っても、うちも商売だしねぇ…』

と、中からそんな口論が聞こえてきた。明久が入っていったので僕もそれに続く。中では困った顔の店員のおじさんに小学生と思われる女の子が必死に頭を下げていた。僕は…

「ねえ、どうしてそんなにそのぬいぐるみが欲しいの?」

その女の子に話しかけていた。今までの僕なら周りで見ていただけなのに…

「ふぇ、おねえちゃんは誰ですか?」

「僕の名前は瑞穂です。あなたの名前は?」

その反応が可愛らしくて自然と笑顔になってしまう。

「葉月の名前は葉月です!!あのね、最近お姉ちゃんの元気がないから、前から欲しがっていたこのぬいぐるみをプレゼントして、元気になってもらおうって思ったのです…」

「そう…、でも葉月ちゃんはお姉さん思いのいい子ですね」

そういって頭をなでてあげる。葉月ちゃんは最初気持ちよさそうに目を細めていたがだんだん暗い顔に変わっていき今では目に涙をためて

「お姉ちゃんはいつもいないパパやママの代わりにお掃除とかお洗濯とかして、葉月と遊んでくれたりもして…そのお姉ちゃんが元気ないのに葉月はなにもすることができなくてキャッ…」

「泣かないで、葉月ちゃん。葉月ちゃんが泣くときっと大好きなお姉さんが悲しむと思うよ」

葉月ちゃんを胸に抱きしめ頭と背中をなでてあげる。本当にこの子はいい子だ。出来る限り力になってあげたい。

「お姉ちゃんとってもポカポカしててあったかいのです。なんだか安心するのです。」

よかった。なんとか落ち着いたみたいだ。

「安心して葉月ちゃん!お兄ちゃんがなんとかしてあげるから」

「本当!!お兄ちゃん、ありがとう!」

明久の言葉に嬉しそうに笑う葉月ちゃん。でも確か明久って…

「ねえ明久、ちなみに今いくら持っているの?」

「え~と、だいたい2000円くらいかな?」

「…店員さん、そのぬいぐるみはいくらですか?」

「税込み2万4800円になります。」

「………」

「…お兄ちゃん?」

葉月ちゃんの悲しそうな顔。やっぱり…。

「…瑞穂はいくら持ってる?」

「今だと1万円くらいかな」

明久はなにか考える仕草をしたと思ったらいきなり顔を上げた。

「おじさん、1万2000円だとだいたい半額くらいですよね?」

「ああ、ちょっと足りないけどね」

「そこで僕からの提案です。ぬいぐるみを半分に裂いて右半身だけ売ってもらえば、え、どうして3人してバカを見るような目で僕を見ているの?」

「…キミは、本当に高校生かね?」

「…バカなお兄ちゃん」

「本気で言ってるの?」

ここまでだったとは…

「あ、あの少しの間でいいので売り出さないでくれませんか」

「まあ、それくらいなら」

「ありがとうございます」

こうして、この交渉は終了となった。


side out



あとがき


瑞穂お姉さま覚醒!!!
なんとかここまでかけました。次で予習編も終わり本編に入れそうです。





[15781] 6話
Name: YOSI◆e43c292c ID:8a39c388
Date: 2010/01/27 00:39
side   明久

「葉月ちゃん。お父さんやお母さんにお願いできないの?」

店を出て、僕らは近くの公園で作戦会議をしている。

「ふたりとも、あんまりお家にいないの…」

「そうなの…」

そういって瑞穂は膝に座っている悲しそうな顔をした葉月ちゃんの頭をなでる。ホントによく懐いているな~。
それにしてもお金か…、いつもゲームやマンガを買っているせいで家にもお金無いんだよな。仕送りまでまだまだあるし…、まあそのお宝達も鉄人に没収されたんだけどね。こんなことなら買わなければよかった。そうだとしたらその分お金があったのに。

「ん?そうか。その手があったか!」

「どうしたの、お兄ちゃん?」

「どうせ戻ってこないと諦めていたし、たぶんそのくらいの額には…よしっ!葉月ちゃん、明日の今頃この公園に来れるかい?」

「う、うん。だいじょうぶだけど…」

「じゃあ、明日またここに来てね。今日はもう遅いからお家に帰ろうね」


「あ、え、えと」

葉月ちゃんはいきなりあわてだした。どうしたんだろう?

「うん?どうしました?」

「うんと…よし!お、お姉ちゃん。明日葉月とデートしてほしいのです!!」

ようやく落ち着いたと思ったら瑞穂にデートの誘いを…て、え~~!!葉月ちゃん○学生でしょ!?最近の○学生はこんなに進んでいるの!!僕だってまだしたこと無いのに…。……というかなんでところどころ修正されてるの?

「…僕でよろしければ」

「本当!?お姉ちゃんありがとう!!」

わ~い、瑞穂がいいってさ。よかったね葉月ちゃんんんんんn!!!瑞穂そこはOKしちゃだめだよ!警察に捕まっちゃうよ~!!

「僕たちの学校は召喚システムの整備でお昼には終わりますが葉月ちゃんの学校はいつ終わりますか?」

「葉月もお昼で学校終わりなのです!」

「では、学校が終わったあとこの公園で待ち合わせ…というのはどうでしょう?」

「うん!いいよお姉ちゃん!!」

ああ~どんどん話が進んでく…

「また明日ね!!お姉ちゃん」

「さようなら、葉月ちゃん」

葉月ちゃんが見えなくなるまで手をふる。

「…ねえ瑞穂大丈夫なの?」

「え、なにが?」

「その…葉月ちゃんはまだ小さな女の子なんだよ?デートなんかしたらその…」

「わああぁぁ!!何変なこと言ってるの!?ただ普通にどこかに遊びに行くだけです!!!…それにさ、葉月ちゃんの両親はあまり家に帰らないそうだからきっと誰かに甘えたいんだと思ってね…」

そういう瑞穂の顔はなんだか寂しそうで、バカなこと考えてた自分が恥ずかしい……。

「そういえば明久、お金なんだけど…」

「心配しないで、ちゃんとあてはあるから」

「そういうことじゃなくて…」

「大丈夫僕に任せて!!瑞穂は安心して明日のデート楽しんでね!!!」

汚名返上の機会だ!!ここは譲れない。

「そ、そう?」

とりあえず、明日雄二達に相談かな?






「没収品を取り返したい、だと?」

翌日、いつものメンバーに相談した。

「…明久に賛成」

さすがムッツリーニ、一番早く賛成してくれた。

「雄二と秀吉は?」

「ふむ…、そうはいっても没収された物は買い直してしまったしのう」

「それに相手は鉄人だしな…」

この2人はあまり乗り気じゃ無いみたいだ。ムッツリーニと2人ではちょっときついかもしれない…。

「…む、そういえば何故瑞穂は反対しないのじゃ?」

「ああ、いつもなら真っ先に止めてるだろ?」

「…僕は理由を知っているからね。悪いことだとはわかっているけど明久のお願いを聞いてくれないかな?僕も参加したいけど今日は用事があって…」

「瑞穂の頼みじゃ仕方がないのう」

「ああ、こんなバカなことは俺たちに任せとけ!」

「ちょっと、なんで瑞穂の頼みではすぐきくの!?」

さっきまであんなに渋い顔をしてたのに!

『あたりまり前だろ(じゃろ)』

な、泣かないもん!!


side out




side 瑞穂


たっぷり葉月ちゃんと遊び、今は手を繋いで約束の公園まで歩いている。

「お姉ちゃん、今日はとっても楽しかったのです!!」

「また遊ぼうね、葉月ちゃん」

公園に入ると明久が大きな包みを持って立っていた。

「あ、お兄ちゃん」

「やあ葉月ちゃん、今日のデート楽しかった?」

「はい、とっても楽しかったのです!!」

「最後に僕からプレゼントがあってね、はい!」

「やったー!お兄ちゃん、ありがとうですっ!」

「よかったね、葉月ちゃん」

そういって頭を撫でてあげる。すると葉月ちゃんは気持ちよさそうに目を細めた。

「んにゃ~…。あ、そうだ。お兄ちゃん、ちょっと耳貸してくださいっ、お姉ちゃんはしゃがんでくださいっ」

「うん?どうしたの?」

そういってしゃがんであげる。

「ありがとう、お兄ちゃん、お姉ちゃん♪」

チュッ、チュッと明久は頬に僕は唇にキスされた。

『な、な、な…』

「お兄ちゃんはバカだけど優しいから好きですっ!葉月のお婿さんにしてあげますっ!お姉ちゃんはとってもあたたかくてとっても優しいので大好きですっ!!葉月のお嫁さんになってくださいっ!!!」

初めて…キスされちゃった…。

「あとお姉ちゃんのことお姉さまって呼んでもいいですか?お姉ちゃんはもういるので」

「ええ…」

「本当!?ありがとうっ!!それじゃまたねお姉さま!!」

「へっ?あ、ちょっと待って!!」

いつのまにか呼び方が『お姉さま』になっていた。さすがにそれは…。だけどもう葉月ちゃんは帰ってしまった。うぅ~。

「えと、元気だしなよ、お姉さま」

「その呼び方はやめて~~!!」



後日、明久は『観察処分者』に認定され、僕は友達から『お姉さま』と呼ばれるようになった…、うぅ。



おまけ

「こんな無茶しなくてもお金なら僕が出したのに」

「え、だって1万円しかないって…」

「『今は』って言ったでしょ!それに話は聞いてくれないし…」

「じゃあ、僕が観察処分者になったのって…」

「無駄じゃったな♪」

「………」



あとがき

呼び方までお姉さまに。あとは一人称が私になってくれれば…、なかなかうまくいかないのです。現実の方も近々テストがあります。なので更新は遅くなるかもしれません。



[15781] 第1問
Name: YOSI◆e43c292c ID:8a39c388
Date: 2010/02/16 12:59


テストが無事とは言えないまでも終わりました
無事じゃなかったけど……









問 以下の問いに答えなさい
『調理のために火に掛ける鍋を製作する際、重量が軽いのでマグネシウムを材料に選んだのだが、調理を始めると問題が発生した。このときの問題とマグネシウムの代わりに用いるべき合金の例を一つ挙げなさい』


姫路瑞希の答え
『問題点・・・マグネシウムは炎に掛けると激しく酸素と反応する為危険であるという点。
合金の例・・・ジェラルミン』

教師のコメント
正解です。合金なので『鉄』では駄目という引っ掛け問題なのですが、姫路さんと同様引っかかりませんでしたね。


土屋康太の答え
『問題点・・・ガス代を払ってなかったこと』

教師のコメント
そこは問題じゃありません。


鏑木瑞穂の答え
『      』

教師のコメント
おや、鏑木さんはテストを欠席していたのになぜ名前だけ書かかれた答案用紙があるのでしょう


吉井明久の答え
『合金の例・・・未来合金(←すごく強い)』

教師のコメント
すごく強いといわれても。




「めずらしいな鏑木が遅刻なんて」

4月
校舎へと続く坂道の両脇には新入生を迎える為の桜が咲き誇っている。
僕が転入した時期にはもう散ってしまっていたので見るのは初めてだけど、どこか懐かしく一瞬目を奪われるくらい綺麗な景色だ。

「西村先生おはようございます。ちょっと病院に寄っていたので遅くなりました」

「病院?ああ、珍種のインフルエンザか…で、どうだったんだ?」

クラス振り分け試験の日、起きた時ちょっとだるいなあと思っていたら祖父が部屋に入ってきて何故かそのまま病院に連れて行かた。診察してもらったら

『インフルエンザM型に感染されているみたいですね…』

と言わた。何でもM型は、熱や咳はそれほどでもないが感染力が強く完治するのに時間がかかるそうだ。
聞いたことのないものだったがお医者様が言うのだからそうなのだろう

「はい。しっかり治ったみたいです」

「そうか…しかし残念だ。鏑木ならAクラスの代表にだってなれただるに…」

そう、『試験を休んだり途中退席は無得点扱いとなる』という決まりのせいで0点になってしまったのだ。
学園長にいってもテストで出た結果だって…うぅ~

「まあ、決まりですから仕方がないですよ」

「そうか」

そういって僕に封筒を差し出してきた。その封を切り紙を開きクラスを確認する。
まあ、見るまでもないけど…

『鏑木瑞穂……Fクラス』

「まあ、がんばれ」

こうして僕の最低クラス生活が幕を開けた。







「瑞穂さ~ん」

「はい?あ、姫路さん」

教室に向かって歩いていると声をかけられた。

「どうしたの?姫路さんも遅刻?あとこっちにはFクラスしかないはずだよ?」

姫路さんとは一度明久のことで話しかけられ、そのことがきっかけで仲良くなった。僕は男なのになんて心配をしているのやら…。

「試験中熱がでて最後まで受けることが出来なかったのでFクラスなんです。一緒に行きませんか?」

「うん、いいよ」

そして姫路さんと話しながら教室にむかっていると

「そういえばどうして瑞穂さんはFクラスになったのですか?」

「えと、インフルエンザM型に感染しちゃって…」

「M型…ですか?」

そういうと姫路さんはあごに手をあて何か考えている。

「あの、そr『あ、ここみたいだよ』あ、はい…」

話していると教室が見えてきた。今の時間だと自己紹介の途中かな?

『『『ダァァーーリィーーン』』』

………

「あの、入らないんですか?」

「あ、ごめんね。今入るから」

そして2人で一緒に教室に入った。



side 明久


ただ名前をつげるだけの自己紹介が続いている。

(ふぁ、長いな~眠くなってきた…)

そんなことを考えていると不意に教室のドアが開いた。

「「遅れてすいません」」

『えっ?』

教室全体から驚いたような声が上がる。そりゃそうだ。ドアを開けて入ってきたのは2人の少女だった。
しかし、ただの少女ではない、2人ともAクラス上位に入る成績でおまけに美少女だ。Fクラスに来る理由がない、

「ちょうど良かったです。今自己紹介をしているところなので君達もお願いします」

しかし、担任の福原先生は平然とそう言う。

「は、はい!あの、姫路瑞希といいます。よろしくお願いします…」

小柄な身体をさらに縮こまらせるようにして声を上げる姫路さんに、

「鏑木瑞穂です…よろしくお願いします」

すらりとした長身に天使の微笑みをうかべている瑞穂。
あ、鼻血が…

「はいっ!質問です!なんでここにいるんですか?」

男子生徒の1人がクラスメイト全員共通であろう疑問を質問する

「そ、その…振り分け試験の最中、高熱を出してしまいまして…」

「僕は病気で休んで試験自体を受けることが出来なくて…」

えと、そういう場合無得点扱いになるからFクラスになると…。つまり…


『うおおおぉぉぉ』

瞬間、教室中から上がる声、

「男だらけのこのむさい教室に2人の天使が舞い降りた…。
背丈に反してFはあろう癒しを揺らす『豊乳の天使』、」

「そして、転校から一年もたたないのに
『彼女にしたい女性NO.1』『お姉さまと呼びたい女性NO.1』『Ms.文月学園』の三冠を見事達成し何人もの人がときおり見せるその微笑みで同性愛という新しい道へと誘い込んだ『微笑みの天使』!!
データによると去年この学園の中だけで200名を越す女性が迷い込んだようだ。学外も数えると計測不可能!」

「いきなりの降臨ではさすがのクラスメイトも驚きぼうぜんとしていましたね」

「はい、しかしここに居着くことをしるやいなやこの歓声!宝くじに当たったってこんなに喜びはしないというくらい喜んでいます!」

「まあ、彼らにとっては宝くじに当たるよりも天使達と同じ教室になるほうが難しかったんでしょう」

なんか実況みたいなこと言ってるし…

「なあなあ、夢じゃないよな!!本当だよな本当だよな!本当本当ホントホント『うざい(どすっ)』うっ…」

「あ、わりい…強すぎた、大丈夫か?」

「い、い…」

「ん?」

「いい…、気持ちいい、もっとぶってくれ~」

「ぎゃ~こっちくんな変態!!」

なんか目覚めてるし…これは想像以上にバカだらけだ。

「はいはい。みなさん、静かにしてくださいね」

パンパン、と教卓を叩いて先生が警告を発し…

バキィッ バラバラバラ……

ゴミ屑となった。まさか軽く叩いただけで崩れ落ちるとは。
さすがにみんなこの光景には絶句してる

「え~…静かになったようですね。私は替えを用意してくるので2人は空いている席に座って待っていてください」

そう告げると先生は教室から出ていき2人は僕の席から2つほど離れた席に着いた。
よし、席も近いし話しかけてみよう。

「あのさ、姫『姫路』」

雄二、どうして邪魔をするかなあ!!

「は、はいっ。えーと…」

「この人は坂本雄二といって僕の友達。あと雄二も一方的な知り合いなんだからいきなり呼ぶと姫路さんが困るじゃん」

「すまない。聞いていたとおり坂本だ。よろしく頼む」

「あ、姫路です。よろしくお願いします」

「ところで2人とも、体調は未だに悪いのか?」

「あ、それは僕も気になる」

思わず口を挟んでしまう。試験の時の彼女は相当具合が悪そうだったし…

「よ、吉井君!?」

僕の顔をみて驚き、きょろきょろと隣の瑞穂の顔と僕の顔を交互に見ている。僕と瑞穂と比べても嬉しくない答えしか出ないのに…。

「姫路。明久がブサイクですまん。だからそんなに瑞穂と比べないでやってくれ」

え?なにこれ?フォローなのかもしれないけど、そんな直球で言わなくても…

「そ、そんな!確かに瑞穂さんは目もパッチリしてるし、顔のラインも細くて綺麗だし、とっても美人ですけれどあ、吉井君だって…その…み、瑞穂さんが綺麗すぎるのがいけないんです!」

「そ、それってひどいと思うよ。僕だってこの容姿で苦労しているんだし…」

「贅沢な悩みです。私ももっと可愛ければ自信がついてきっと、…君に…」

「大丈夫だよ。姫路さんは今のままで充分魅力的だよ」

2人の雑談を見ていると成績がよくても中身は普通の女の子なんだとわかる。それでも、いやだからこそこんな酷い教室で学んでいくのはどうなんだと思う。

「…雄二、ちょっといい?ここじゃ話しにくいから廊下で」







「んで、話って?」

廊下に人影はない。ここなら安心だ。

「この教室についてなんだけど…」

「ああ、想像以上に酷いもんだな」

「Aクラスの設備は見た?」

「…明久そろそろ先生も戻ってくる。なにがしたい?」

く、たったこれだけのことで僕が頼みがあることを読むなんて…、仕方がない、

「Aクラスに試召戦争をやってみない?」

「何が目的だ」

どうしよう素直に姫路さんと瑞穂のためっていうのは恥ずかしい『なるほど、あのふたりのためか』…し、え、心を読まれた!まさか超能力『声に出てるぞ』……僕のバカ…

「今更だな、おっと先生が戻ってきた。教室に戻るぞ」

「あ、うん」

雄二に促されるまま僕は教室に戻った


side out







side  瑞穂


「坂本君、キミが自己紹介最後の一人ですよ」

明久が雄二を連れて出ていったと思ったら、一、二分で戻って来た。その時なぜか明久は落ち込んでいたけどどうしたんだろう?

「俺の名前は坂本雄二だ。坂本でも代表でも好きなように呼んでくれ」

考え事をしているうちになぜか雄二は教壇に上がっていた。

「さて、皆に一つ聞きたい」

そういい視線を教室の各所に移り出す。これには純粋にうまいと思った。間の取り方から視線の誘導まで…人の扱い方がうますぎる。
これがカリスマというものなのかな?

かび臭い教室

古く汚れた座布団

薄汚れた卓袱台

これらを順番に眺めた後一言

「…不満はないか?」

『大ありじゃあっ!!』

Fクラス生徒の魂の叫び。

「よってFクラスはAクラスに『試召戦争』を仕掛けようと思う」










[15781] 第2問
Name: YOSI◆e43c292c ID:8a39c388
Date: 2010/04/03 19:12

更新遅くなりました







Aクラスへの宣戦布告。それは現実的に考えて無理があると思う。
テストの点数がそのまま戦力になる試召戦争だとAクラスとFクラスの戦力差は竹槍と鉄砲くらいある。

「勝てるわけない」

「これ以上設備を落とされたくない」

「姫路さんと鏑木さんがいたら何もいらない!」

……教室のあちこちから聞こえる不満も仕方がないだろう。

「そんなことはない。必ず勝てる」

「何を馬鹿なことを」

「なんの根拠があってそんなことを」

「「女神様愛してます!!」」

………雄二の宣言にも否定的な意見が返ってくる。
しかしその雄二は意地悪そうな笑みを浮かべ壇上から皆を見下ろしている。

「根拠ならあるさ」

そう、FクラスはAクラスに絶対勝てない…普通なら。

「それを今から説明してやる。おい、康太。畳に顔をつけて姫路のスカートを覗いてないで前に来い」

「・・・・・!!(ブンブン)」

「は、はわっ」

必死になって顔と手を左右に振り否定のポーズを取る康太と呼ばれた男子生徒。
姫路さんがスカートの裾を押さえて遠ざかると、顔についた畳の跡を隠しながら壇上に歩き出した。
相変わらずだ・・・だけどそれはふつーに犯罪だよ?

「姫路さん、大丈夫?」

「は、はい。大丈夫です、瑞穂さん。でも見られるなら吉井君に見られたかったです。…せっかく今日は新学期初日なので前に買ったかわいい下着でしたのに」

「なんだか姫路さん去年と比べてパワーアップしてない?…変な方に…。
去年までだったら恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせていたはずなのに、なんでホントに残念そうな顔をしているんですか!?
それに僕は男ですよ。そんなこと話されても、その…困ります…。」

顔が熱い…絶対に顔、真っ赤になってるよ…

「(かわいい…)翔子ちゃんから教えてもらったんです。『…待っているだけじゃだめ。攻撃あるのみ』って」

霧島翔子、Aクラス代表の女の子で幼なじみである雄二のことが大好きで時々過激な手段にでることもある。
何度か学年首席の座をかけて争ったことがあり、その縁で知り合い仲良くなった。
今では姫路さんと3人で勉強したり遊びに行ったりしているけど…紹介したことを時々後悔する。

「姫路と瑞穂のことは説明することもないだろう。皆だってその力はよく知っているはずだ」

「え?」

「わ、私たちですかっ?」

「ああ。ウチの主戦力だ。期待してる」

ああ、試召戦争のことか。危ない、話を聞いていなかったので何のことかわからなかったよ。

「そうだ!俺たちには女神様がついているんっだ!!」

「彼女たちがいれば何もいらない」

「「I LOVE MIZU! I IOVE MIZU!!」」

………いつのまにかクラスの士気は最高潮まで高まっている。

ミズホ ノ レベル ガ アガッタ
ミズホ ハ スキル 『スルー』 ヲ オボエタ
ミズホ ハ オトナニ イッポ チカヅイタ
ミリョク ガ 530000 二ナッタ
オトコ ガ 27 ニサガッタ

いや、おかしいでしょ!!

スキル発動!!『スルー』

……もういいや……

ともかく、教室内に、いけそうだ、やれそうだ、そんな雰囲気が満ちている。

「それに、吉井明久だっている」

・・・・・シンーーーーー

そして一気に士気下がった・・・・

「ちょっと雄二! どうしてそこで僕の名前を呼ぶのさ! 全くそんな必要はないよね!」

「誰だよ、吉井明久って」

「聞いたことないぞ」

「ホラ! 折角上がりかけてた士気に翳りが見えてるし! 僕は雄二たちとは違って普通の人間なんだから、普通の扱いをーーーって、なんで僕を睨むの?」

雄二の悪い癖がでてるよ…。
ほんと雄二は明久を弄るのが好きだね。

「そうか。知らないようなら教えてやる。こいつの肩書は『観察処分者』だ」

あ、言っちゃった。

「・・・・それって、バカの代名詞じゃなかったっけ?」

クラスの誰かそんな致命的な台詞を口にする。

「ち、違うよっ! ちょっとお茶目な16歳に付けられる愛称でーーー」

「そうだ。バカの代名詞だ」

「肯定するな、バカ雄二!」

「おいおい。観察処分者ってことは、特例として物に触れるようになったけど、試召戦争で召喚獣がやられると本人も苦しいってことだろ?」

「だよな。それならおいそれと召喚できない奴が一人はいるってことになるよな」

『ふん、もともと試召戦争をしかける理由もない。
ここには学年屈指の美少女が4人もいるのだ。この教室のどこに不満などあろうか、いやない!!!』

ああ、士気が下がっただけじゃなく戦争反対の意見まで出てきたよ…。この空気、雄二はどうするのかな。

「そういえば、瑞穂の召喚獣は巫女服を着ていたな…」

『ものども戦じゃーーーー!!!!』

「「「「「「おおおーーーーー!!!!」」」」」」

『戦場がワシらをよんどるぞーーーー!!!!』

「「「「「「おおおーーーーー!!!!」」」」」」

たった一言で士気を回復させた。
兵士たちは今から国を落としに行くのかってくらい士気が高い。
まとう空気も血に飢えた武士のようで恐い…。
姫路さんも涙目だし……。

「って、雄二!僕は恥ずかしいからあんまり召喚しないよ」

「そのいきだ。俺たちの力の証明として、まずはDクラスを征服してみようと思う。全員筆を執れ! 出陣の準備だ!」

「「「「「「うおおおーーーーー!!!!」」」」」」

「あ、あのー」

「では明久にはDクラスへの宣戦布告の使者になってもらう。無事大役を果たせ!」

「ゆ、雄二?」

「まかせとけっ!!」

ユウジ ノ スキル 『スーパースルー』 ガ ハツドウ シテイル
ミズホ ノ コエ ハ スルー サレタ

ミズホ ハ ココロ ニ 53 ノ ダメージ ヲ ウケタ

「ぐすんっ」

ミズホ ハ ナイテ シマッタ



10分後、明久がボロボロになって戻ってきたが、
その顔は何かをやり遂げた漢の顔だった。








[15781] 第3問
Name: YOSI◆e43c292c ID:8a39c388
Date: 2010/04/04 20:30





雲一つない空から眩しい光が差し込む。
春風と共に訪れた陽光に、風ではためく姫路さんのスカートを注視しているムッツリーニを覗いて、雄二、明久、姫路さん、島田さん、秀吉そして僕、全員目を細めた。

「明久。宣戦布告はしてきたな?」

「一応今日の午後に開戦予定だけど」

「それじゃ、先にお昼ご飯ってことね?」

「そうなるな。明久、今日は昼ぐらいはまともな物食べろよ?」

「そう思うならパンでもおごってよ・・・」

「えっ? 吉井くんってお昼食べない人なんですか?」

姫路さんが驚いたような顔で明久を見る。

「いや。一応食べてるよ」

「あれ、食べてるとは言えないよ…。水と塩しかとってないんでしょ?」

おもわず突っ込んでしまう

「きちんと砂糖だって食べてるさ!」

「あの、吉井くん。水と塩と砂糖って、食べるとは言いませんよ・・・」

「舐める、が正しい表現じゃな」

「カロリー、塩分、水分のみ。五大栄養素をちゃんととらないと病気になっちゃうよ。」

何で明久は体調を崩さないのだろう?普通なら栄養失調で死んでもおかしくない生活をしているのに…。

「失礼な、ちゃんととってるよ」

「ほう、明久。五大栄養素が何なのか知っているのか?」

「知ってるよ!①砂糖 ②塩 ③水道水 ④雨水 ⑤湧き水 だよね!!」

それで生きていけるのは明久だけです。
なんか、明久を見る目が皆妙に優しい。

「ま、飯代まで遊びに使い込むお前が悪い」

「し、仕送りが少ないんだよ!」

そんな明久を見かねてか、姫路さんがこんな提案をしてきた。

「……あの、良かったら私がお弁当作ってきましょうか?」

「ゑ?」

本当に積極的になったね。

「本当にいいの? 僕、塩と砂糖以外のもの食べるなんて久しぶりだよ!」

「はい。明日のお昼で良ければ」

「うん!楽しみだな」

「わかりました、はりきって作りますね」

その一言で僕は固まってしまった。
姫路さんの料理は普段は普通においしく食べることが出来る。

最初は自分のセンスで選び創っていたため生死をさまよう味だったのだが、霧島さんと2人で必死に説得した結果渋々ながらレシピ通り作ってくれるようになった。

しかし「はりきって」や「頑張って」がつくと封印が解放され、独創的な味の兵器を創ってしまう。
しかもどんなに説得しても中止も改良もしてくれない。

これは明久、死にましたね…。

「ふーん。瑞希ってずいぶん優しいんだね。吉井だけに作ってくるなんて」

面白くなさそうな島田さんの言葉。その言い方には棘があった。

「あ、いえ! その、皆さんにも・・・」

「俺たちにも?」

確認のため聞き返す雄二。

「はい。嫌じゃなかったら」

「それは楽しみじゃのう」

「・・・・・(コクコク)」

「・・・・お手並み拝見ね」

っていつの間にか全員分創ってくる話になってる!!

「あの大変だと思うしいいよ」

「いえ、1つ作るのも6つ作るのもあまり変わらないですから」

「姫路さんって優しいね」

「そ、そんな」

いきなりの明久からの言葉に姫路さんの顔が真っ赤に染まる。

「今だから言うけど、僕、初めて会う前から君のこと好き『明久。今振られると弁当はなくなるぞ』――にしたいと思ってました」

そしてとんでもないことを言い出した。

「明久。それでは欲望をカミングアウトした、ただの変態じゃぞ」

「明久。お前はたまに俺の想像を超えた人間になるときがあるな」

「だって・・・お弁当が・・・」

みんなは気づいていなかったみたいだけど一瞬姫路さんの目が獲物をねらう獣の目になっていた。
そして、島田さんは般若のような顔をしていた。
こ、恐いよ…

「さて、話がかなり逸れたな。試召戦争に戻ろう」

「雄二。一つ気になっていたんじゃが、どうしてDクラスなんじゃ?階段を踏んでいくならEクラスじゃろうし、勝負にでるならAクラスじゃろう?」

「そういえば、確かにそうですね」

「まぁ色々と理由はあるんだが、とりあえずEクラスを攻めない理由は簡単だ。戦うまでもない相手だからな」

「え?どういう事雄二?」

「明久。周りの面子を見てみろ」

「えーっと・・・美少女3人と馬鹿が2人とムッツリが1人いるね」

「誰が美少女だと!?」

「えぇ!?雄二が美少女に反応するの!?」

ああ、雄二は霧島さんを警戒しているのか。

「とにかく、姫路と瑞穂に問題がない以上、Eクラスとの戦争は意味がないってことだ」

「それなら、最初から目標のAクラスに挑もうよ」

「景気づけにしたいと最初に言ったろ?それに、さっき言いかけた打倒Aクラスの作戦に必要なプロセスだしな」

「あ、あの!」

「ん?どうした姫路」

「えっと、その。さっき言いかけた、って・・・吉井君と坂本君は、前から試召戦争について話し合っていたんですか?」

「ああ、それか。それはついさっき明久が姫路の為って『それはそうと!』・・・」

「明久、そこでさえぎってもあまり意味無いよ…」

「と、ともかく雄二、さっきの話、Dクラスに勝てなかったら意味がないよ」

「お前らが俺に協力してくれるなら勝てる。いいか、お前ら。ウチのクラスはーー最強だ」

明久の不安を笑い飛ばす姿は自信に満ちていた。
僕はその姿を見てかっこいいと思うと同時に…羨ましいと思った。

「いいわね。面白そうじゃない!」

「そうじゃな。Aクラスの連中を引きずり落としてやるかの」

「・・・(グッ)」

「が、頑張りますっ」

「召喚するのは恥ずかしいけど…やるよ!」

「そうか。それじゃ、作戦を説明しよう」

涼しい風がそよぐ屋上で、僕らの勝利の為の作戦に耳を傾けた。








あ、お弁当どうしよう……。






あとがき



難しいし話が進みません。
今後の展開もうかばず、どうしましょう……





[15781] 第4問 VSDクラス 
Name: YOSI◆e43c292c ID:8a39c388
Date: 2010/04/07 00:14


 問 以下の問いに答えなさい。
「女性は()を迎えることで第二次性徴期になり、特有の体つきになり始める」

 姫路瑞希の答え
「初潮」

 教師のコメント
 正解です。

 吉井明久の答え
「明日」

 教師のコメント
 随分と急な話ですね。

 土屋康太の答え
「初潮と呼ばれる、生まれて初めての生理。医学用語では、生理のことを月経、初潮のことを初経という。初潮年齢は体重と密接な関係があり、体重が43kgに達するころに初潮をみるものが多い為、その訪れる年齢には個人差がある。日本では平均十二歳。また、体重の他にも初潮年齢は人種、気候、社会的環境、栄養状態などに影響される」

 教師のコメント
 詳し過ぎです。

 鏑木瑞穂の答え
「せ、せ、せ…書けません…」

 教師のコメント
書けるようにならないといつか困ることになるかもしれませんよ。





「吉井!瑞穂!木下達がDクラスの連中と渡り廊下で交戦状態に入ったわよ!」

あの後、僕は回復テストを20分だけ受けさせられ、今は前線に立って指揮をしている。
何でも僕がいるかいないかでやる気が全然違うらしいので満場一致で決まった。

姫路さんにもついてきて欲しかったが彼女は秘密兵器らしいので今は教室で回復テストを時間いっぱい受けるそうだ。

僕もそうなるはずだったが、いつの間にか出来ていた僕のファンクラブ発行の『瑞穂様新聞』により、僕がFクラスに所属していることが知れ渡っていたため『秘密』兵器として使うことが出来なかった…。

と、秀吉達に救援に行かないと。

「アンタの指を折るわ。小指から順番に、全部綺麗に。」

考え事やめて顔を上げるとなぜか明久が島田さんに追い詰められていた。

「二人とも、敵はDクラスだよ!仲間同士で争っていたら勝てるものも勝てなくなるよ!」

それに早く行かないと戦死者が増え士気にもかかわる。

「さぁ来い! この負け犬が!」

「て、鉄人!? 嫌だ! 補習室は嫌なんだっ!」

「黙れ! 捕虜は全員この戦闘が終わるまで補習室で特別講義だ!」

戦死者が西村先生補習室へ連れて行かれている。
前線はとても激しそうだ。
それにしてもどうしてそんなにいやがるのだろう?
ただ補習を1,2時間受けるだけなのに…

「あんな拷問耐えられない!」

「拷問? それは違うぞ。これは教育だ。補習が終わる頃には趣味が勉強、尊敬するのは二宮金次郎、といった理想的な生徒に仕立て上げてやろう」

「さ、流石にそれはやりすぎだと思います!」

それはもう補習じゃなくて洗脳です。

「い、嫌だ!!まだ『巫女巫女瑞穂ちゃん』を見ていないのに!!!せ、せめてこの場で補習をーーー、補習室だと壁が邪魔で見ることが出来ないんだよーーーー!!!!」

………

「ん?どうかしたか?鏑木」

「…いえ、補習頑張ってください」

「?おう」

「だ、誰か! 助けっ――イヤァァー―」

さて、明久達は…島田さんに関節をきめられてますね。

「島田さん」

「え、あ、瑞穂?、!! 吉井!瑞穂はどうなのよ!ウチよりも胸ないわよ」

いえ、男なので女性よりも胸があると問題があります…

「いてて…、え、瑞穂の胸?瑞穂はそれでいいんだよ」

「そうだよ。僕はおと――」

「無い胸を気にして恥ずかしがる姿が普段の凛々しい姿のギャップが、こう…胸に来るものがあるじゃないか」

明久は普段僕をどんな目で見ているんだろう…。
ついでに、そんなことをしたことは一度もない。

「た、確かにそうだけど…けど!どうしてウチの扱いがこんなにひどいのよーーー!!」

「ちょ、ちょっと島田さん!落ちつい――ギャアアァァーーー」

…もういいや。

「明久と島田さんは後で追いつくように!みんな、秀吉達を助けに行くよ!!」

「「「「「おおぉぉーーーー」」」」」

「もう少しウチも優しくしなさいっ!!」

「ギャアアァァーーー!!!」

まあ、聞いていないと思うけど…






side 秀吉


「く、さすがDクラス。このままじゃ厳しいのじゃ」

初めのうちは士気の高さで押していたのじゃが時間がたつにつれやはり地力の差がでてきて今じゃどこも崩壊寸前じゃ。

「田中がやられそうだ!!このままじゃ布施先生側は残り4人なってしまう。応援を頼むっ!!!」

「五十嵐先生側にも応援をっ!!」

「もうすぐ救援が来るはずじゃ!なんとか耐えるのじゃ」

ワシ自身もずいぶん点数を削られてしまったわい。

しかし健闘むなしく防衛戦が破られてしまった…。
そしてそこからDクラスが突撃してくる。

「Dクラス鈴木、勝負を挑む!!」

これは戦死したかのう…。瑞穂、明久、みんな。後はよろしく頼むのじゃ…

「その勝負、僕が受けます!試獣召喚(サモン)!」

『えっ』

声が聞こえたと思うたら目の前の召喚獣の胸に穴があき、後ろにいた2体までもがやられていた。

『Fクラス 鏑木瑞穂 VS Dクラス 鈴木一郎&他2名
科学    427点 VS  92点&87点&79点 』

浮かび上がるのは見慣れた名前。

「大丈夫、秀吉?助けにきたよ」

振り返るとワシの親友が立っていた。


…頭にリボンをつけて…




side out



「大丈夫、秀吉?助けにきたよ」

声をかける秀吉の召喚獣は戦死寸前まで追い詰められているが、まだ生きている。
何とか間に合ったみたいだ。

「う、うぬ…」

「さあ、ここは僕たちに任せて秀吉は教室に戻って回復試験を受けに行ってきて。」

「と、ところで瑞穂よ、なぜ頭にリボンをつけておるのじゃ?」

「へ?リボン?」

秀吉に言われて頭に手を持っていくと触れるものがある。

「(…ササッ…)」

ムッツリーニがどこから持ってきたのか、大きな鏡にには確かに頭にリボンをつけた僕が映っている

「って!な、何で~!!」

「…俺が」

忍者の格好をしたムッツリーニが答える

「ど、どうしてこんな事するのさっ!!」

この歳でリボンをつけるなんて…。それに僕は男なのに、拷問にしか思えないよ…。

「…雄二の指示。アルティメイトウエポン…」

(カシャッ、カシャッ)

「雄二の指示ってどういうこと?」

「…(くいくい)」

ムッツリーニに言われて周りを見るとうつむいている生徒達。
その手はなぜか堅く握られふるえている。

「ねえ、これってどういう(はむっ)ひゃうううぅぅぅ!!!」

いつの間にか後ろに立っていた女子生徒に、僕は抱きしめられ耳を噛まれてしまっていた。

「(あむあむ)ああ、瑞穂お姉さまのお耳とってもおいしいです…(ぺろっ)」

「ひゃぁ!やめてっ清水さん!!これはセクハラだし、それにどうしてここにいるの!?」

清水美春、男を毛虫のごとく嫌っている女の子が好きな女の子。
島田さんと僕をお姉さまと呼び、出会うと必ずセクハラされている。

「あ~ん、お姉さま!美春のことは美春と呼び捨てで呼んで欲しいとあれほど言っていますのに。それと美春はDクラスに所属しているのでここにいても変ではありません」

そういって右手で自分の召喚獣を指さし、僕の胸にのびて!!!

「やめて清水さんっ!!お、怒る、やん!!」

「お姉さまのお胸、とってもあったかい…。今は平らですが美春のお姉さまへの大きな愛で大きく育ててあげます!!
あ、でも美春は小さい方が好きなので悩みます。」

「ぼ、僕、は、男だか、ら、む、胸は大きく、な、ならない、よ…」

「お姉さま…。美春の好みに合わせてくれるなんて感激です!!!」

「ひゃううぅぅぅぅ!!!!!」

そういって今度は両手で、しかも服の隙間から手を入れて直にもみだした。

(このままじゃまずい!でも力ずくで振り払ってケガをさせるわけにはいかないし…。そうだ!!)

「F、クラス、かぶrんっ!!、鏑木、み、ずほ、やんっ!、Dクラ、す、しみず、あんっ!!し、みゅじゅみ、ひゃる、に、ひゃう!!、しょ、しょうぶを挑みます!!!!」

『Fクラス 鏑木瑞穂 VS Dクラス 清水美春
科学    427点 VS  94点      』

召喚獣が矢を射て一瞬で勝負がついた。

「戦死者は補習ーー!!」

するとどこからか西村先生が現れ、清水さんを補習室まで連行していく。
助かった~

「お、お姉さま!美春は諦めませんから!このまま綺麗な身体のままで卒業できると思わないで下さいね!そしていつか美波お姉さまも合わせて3(バンッ!!)」

言葉の途中で扉と一緒に閉ざされた。危険な言葉を残して…

「その、災難じゃったな」

「あ、秀吉。助けてくれても良かったじゃないか!!」

「すまんのう…。しかし、おかげでここは片づいたことじゃし、戻るとするかのう」

「片づいたって?、な!!」

周りを見るといつの間にか血の池が出来ていてその上にDクラス生徒と…Fクラス生徒が浮かんでいた。

「みな先ほどの光景に興奮して鼻血を出して倒れてしまったのじゃ」

秀吉の言葉に疲れがどっとわいてきた。

「…戻ろうか…」

第二陣は明久の隊にまかせればいいや…。

「うむ」







あのあと教室に戻り化学以外のテストを受け、教室で待機していた。
さすがの雄二も死人にむち打つほどではなく待機命令を出されたのだ。
戦争は存在を知られていなかった姫路さんがDクラス代表の人に勝負を挑み倒し、勝ったらしい。
こうして初めての戦争は大量の血と一人の青年の心に大きな傷を残して終了した。








おまけ





「ふう、ただいまぁ」

「あ、お帰り瑞穂ちゃん。おじゃましているわよ~」

戦後処理を終えて家に帰ってくると幼なじみのまりやが僕の部屋でくつろいでいた。

「久しぶりまりや。でも勝手に部屋に入らないでよ」

「にゃはは、瑞穂ちゃんとわたしの仲じゃってなにーーー!!」

こっちを向いたと思ったらいきなり叫びだした。

「いったいどうしたのさ?」

「瑞穂ちゃんがリボンつけてる~~!!!」

「リボン?あっ!」

そういえばあのときのリボンとるの忘れてた…。

「ま、まりや、これは…」

「大丈夫、瑞穂ちゃん!ちゃんとわかってるから。いや~、やっと瑞穂ちゃんもわたしの趣味を理解してくれるようになったか~」

「全然わかってないよー。放してまりや~」

「だめよ瑞穂ちゃん!これはいわばお祝いなんだから!…この前はゴスロリやメイド服と西洋風だったから、今回は巫女服や着物と和風で攻めようかしら」

「いやーーーーー!!!」

瑞穂ちゃんの絶叫は屋敷中に響いたが、いつものことなので誰も助けには来てくれなく、瑞穂ちゃんはまりやのおもちゃにされってしまったとさ。
めでたしめでたし。





あとがき



これでストックが無くなってしまいましたので更新がまた遅くなっります。
ご迷惑をかけます。
なるべく早く投稿したいと思っているのですがあまりネタがあまり浮かびません…。
気分転換にゲームでもしながら浮かぶのを待ちたいと思います。





[15781] 第5問
Name: YOSI◆e43c292c ID:8a39c388
Date: 2010/04/11 22:53




Dクラス戦の翌日、いつも通りFクラスへと向かう。
そう、Fクラスに。
なぜか雄二は負けたDクラスと教室を交換しなかったのだ。

(昨日はそれどころじゃなかったのでそのままにしていたけど、後で雄二に聞こうっと)
そんなことを考えていると教室についた。
入ろうとドアに手をかけようとし、

ガララッ  (いきなり教室のドアが開いた音)

ドン    (飛び出してきた人とぶつかった音)

「うわっ」 (驚いた僕の声)

バタンッ  (廊下に押し倒された音)

その間わずか2秒。
背中とお尻が結構痛い…。

(なんだか最近ついていないな…。なんだか葉月ちゃんに会いたくなってきた…。)

小学生に癒しを求めるのはどうなのかと思うが秀吉だけでは足りないのだから仕方がない。
あっ、葉月ちゃんとはあの後も頻繁に会っていたりする。

そんなことを考え、痛む背中を撫でながら起きあが、れなかった。
見ると固まっている明久が乗っていた。




僕の胸の上に手を置いて……。




side 明久



どうしてこうなったのだろう…。

島田さんからテストの監督が船越先生だと聞き、全力で逃走したはずだ。
そしてちょうど教室に入ろうとしていた瑞穂とぶつかってしまいそのまま押し倒してしまった。

んで、なぜか僕の右手は瑞穂の左胸ええええええ!!!
お、落ち着けっ、回想が終わったら現状確認だ!!


瑞穂の胸に置かれた僕の手えええええ!!!

ち、違う!!そこから始めたらまたパニックになって思考がまとまらない。
深呼吸、はぁ~、落ち着いた…。よし!後はこっちのもんだ。
僕の観察力を持ってすれば現状確認は楽勝だ!
もう一度、


廊下に広がる栗色の髪

こちらを見ている綺麗な顔

胸に置かれたぼくの右手

そこから伝わる温かさと柔らかさ

反応する僕の息子

って、何してんの、僕!!
観察力ももっと周りとかにも気を配ろうよ!
息子も今そんな場面じゃないから!!!
デット OR アライブ だから!!
よし、もう一度


静まりかえった教室

静まりかえったr「「「「「「吉井ぃぃぃぃーーーーー!!!!!」」」」」」

遅かったみたいだ…





それからは…

「どうしてウチの胸はダメなのよーーーー!!!」

関節を極められたり、

「お姉さまに何をしますかーーーー!!!!」

蹴られたり、

「なんて羨ましいことしてんだよーーーーーーーー!!!!!!」

殴られたり、

「ふふふ…、よ・し・い・君。そんな悪いことをするのはこの手ですか?」

右手の指を一本一本丁寧に折られたりした。

これらはチャイムが鳴るまで続いた。
しかし、まだまだ不幸は終わらない。
後ろから墓場(人生の)への道先案内人が近づいていることを僕はまだ、しらなかった…。




side out








「うあー…づがれだー」

「うむ。疲れたのう」

「……(コクコク)」

毎回思うけど、どうして普通に接することが出来るのだろう?
あんな大喧嘩(瑞穂にはそう見えた)した後なのに…。

…しかも明久の傷もいつの間にか治っているし。

「よし、昼飯食いに行くぞ!」

勢いよく立ち上がる雄二。午前中ずっとテストを受けていたのにまったく疲れを感じさせないのはすごいと思う。

「あっ、ウチも一緒していい?」

「ああ、別にいいぞ。瑞穂、おいてくぞ~」

「あ、今行く」

僕も立ち上がり、行こうと

「あ、あの。皆さん…」

したところで声をかけられた。

「あれ?姫路さんどうしたの?」

「えっと…、お昼なんですけど、その、昨日の約束のお弁当を作ってきたので、えと、食べてくれますか?」

話を聞いた瞬間、僕の身体は凍りつき、その後後悔の念が襲いかかってきた。

(アア、ナンデワスレテイタンダロウ…)

寒くて身体がガクガク震え、それなのに汗が止まらない…。
話がまとまったのかみんな教室から出ていくのに声が出なくてそれを止めることも出来ない。

「?瑞穂行くわよ」

そういい手を引く島田さん。
抵抗したくても身体は動かない。
僕の耳にどこからかドナドナが聞こえた気がした…




あとがき


懸命に考えて思いついたのが下って…。
でも思っていたより早く投稿できました。
ああ、はやく葉月ちゃんをだしたい……






[15781] 第6問  幕間  <修正>
Name: YOSI◆e43c292c ID:8a39c388
Date: 2010/06/28 20:03


「明日の予定?」

放課後、カバンに物を片づけていると島田さんが声をかけてきた。

「そ。明日、葉月の学校で授業参観あるんだけど、母さんに急に仕事が入って行けなくなったのよ。それで代わりにウチが行くことになったんだけど、それなら瑞穂も誘ってって葉月が…」

授業参観か~。僕の時は父さまも母さまもこれないときが多くて寂しい思い出ばかりなんだよね。
でも葉月ちゃんにまでそんな思いをさせるのはかわいそうだしね。

「うん。明日は何も予定が無いから大丈夫だよ。それに葉月ちゃんのお誘いだしね」

「ありがと、葉月も喜ぶわ。それじゃあ当日は……」





side 美波



最近、葉月に変な行動が増えた。
髪型を変えたり、牛乳を一気飲みしたり、線の上を頭に本をのせたまま歩いたり…。
気になって聞いてみたら

「お姉さまにあったんです!とっても綺麗でかっこいいんです!!」

と興奮しながら答えたわ。
お姉さま…ねえ…。
今までの行動もその人に近づくためにしていたのなら納得できるけどいったい誰なのだろう?
興味がわいてその人について聞いてみたけど名前は知らないみたい。
そのかわり…

「あ、そういえばお姉ちゃんと同じ学校の制服の優しいけどバカなおにいちゃんと一緒にいたよ」

その人と一緒にいた人の情報…って早速候補に一名挙がったわ!

「葉月、そのおにいちゃんってもしかしてものすごくバカ?」

「?うん。とってもバカなおにいちゃんでした!」

うん、吉井だわ。
となるとお姉さまは瑞穂かな?
ああ、葉月がお姉さまって呼ぶのわかる気がする。
綺麗すぎて嫉妬より先に憧れを感じるなんて初めての経験だったわ。もう女性としての一つの完成型よ!瑞穂は。
…胸は同じくらいなのに…

「葉月、その二人だけどウチの友達みたいだわ」

「本当!!お姉ちゃん!!!お姉さまについて教えてください!!!!!」

「え、ええ…」

葉月の圧力に思わず頷いてしまい気づけば知っていること全てを話していて、今度の授業参観にもよぶことを約束させられていたわ…。


同時刻、一人の哀れな男の娘が面白がった幼なじみによって完璧なお姉さまを演じられるよう調ky、仕付k、教育されているなどとは夢にも思わず夜は更けていった。

side out




翌日


「島田さん。葉月ちゃんのクラスの教室はどこにあるのでしょうか?」

「え~と、確かこの廊下を真っ直ぐ行った所ね」

授業参観のため僕たちは小学校に来ている。
…女装して。

「そういえば瑞穂、今日なんか言葉遣い違わない?」

「…昨日色々ありまして、今日は完璧にお姉さまを演じることになったんです。この服装も同じ理由で…」

なんで今日の事が幼なじみにばれたんだろう?
家に帰ったらにやにや笑いながら待ってたし、約束して家に帰るまで車を使ったから1時間もかかって無いはずなのに…
……盗聴器でも仕掛けられているのかな。


「クシュっ」

その時、どこかのメイドさんがくしゃみをしたかは定かではない。

「旦那様の命令なので♪」

定かではない!



「と、とりあえずこの格好は無理矢理させられている物なので僕にはこんな趣味はなく…」

ここで勘違いされたら社会的に死んでしまう!

「?服装?…?……?………?…………?……………ああ!(ポン)」

「そこまで!!そこまで考えないと僕が男だってことは出て来ないんですか!」

ちょっと泣きたくなってきた…。

「ごめん、でもウチの学校で覚えている人は5人いないと思うわよ」

どうやら僕は男として死んでいたらしい…。

「うぅ~、どうせ僕なんか…」

「はいはい、瑞穂は男(の娘)、男の娘。葉月のクラスが見えたわよ」

「っと!」

うん。ツッコまないよ。今、僕はお姉さまを演じているんだから。
…決してこれ以上男のプライドを傷つけたくないからじゃないんだ。
美波は「男(の子)、男の子」って言ったんだ。別にツッコむ所なんて無いじゃないか。
…()にはツッコミを入れてもいい気がするけど…。
いや、ダメだ!!()の存在にツッコンでしまったら必然次の「おとこのこ」にもツッコミが入ってしまい僕にダメージがきてしまう。
なんて恐ろしい罠なんだ!!この()は!!!

「瑞穂何してるの?入るわよ」

「あっ、ちょっと待って!」





side  葉月



お姉さまに久々にあえます!とってもうれしいですっ!!
今日は授業参観なのでお姉さまに葉月のかつやくを見てもらうんです!!がんばるぞ~おぉー!!

「葉月ちゃん張り切ってるね」

「授業参観でよくそんなに張り切れるな。めんどいだけじゃん」

友達の英ちゃんとびーくんが話しかけてきたけど

「はりきるに決まっています!今日はお姉さまが来てくれるんですよ!」

そうです!それどころかなんでこの二人はなんで落ち着いているんでしょうか?

「いつも話しているけどそんなにすごい人なの?それと葉月ちゃんのお姉さんも来る?」

Cちゃんも会話に入ってきた。Cちゃんはお胸がとっても大きくCかっぷぶら?をしているからあだ名がCちゃんになっちゃった子です。

「来るけどどうしてそんなに警戒をするですか?」

「だって会うたびに恐い目で見てくるんだもん」

「お姉ちゃんはお胸が小さいことを気にしているので仕方ないですよ」

葉月はお姉さまが小さいので小さい方がいいです!

『瑞穂何してるの?入るわよ』

『あっ、ちょっと待って!』

この声は…

「お姉さまが来たのですっ!!」

急いでドアの方に向かう。みんなも付いて来てるみたいです。
ドアを開けてお姉ちゃんが入ってくる。
そしてその後ろには…

「お姉さまっ!!」

そのままお姉さまに抱きついた。

「わっ、葉月ちゃん。いきなり抱きついてきたら危ないですよ」

そう言って葉月を優しく受け止めてくれました。

「えへへ~、ごめんなさいです」

でもお姉さまはとってもいいにおいがするのでやめることは無理なのです!!

「綺麗…」

後ろを見ると英ちゃん達三人が、あっ!
友達をお姉さまに紹介しないと

「お姉さま、お友達の英ちゃんとびーくんとCちゃんですっ!!」

「「「こ、こんにちは」」」

「こんにちは、今日は葉月ちゃんによばれて来ましたがみなさんも頑張って下さいね」

そう言い、にこりと笑顔を見せるお姉さま

「「「はい//////」」」

惚れましたね…


この後のことはすごかったです…。
みんな授業開始10分前にもかかわらず席に座り、教科書を広げて予習し始めたのです。
そのがんばりようは入って来た先生が引くくらいすごかったのです。
授業中もおしゃべりなんてとんでもなく、目線は黒板とノートのみを行き来して、聞こえる音は先生の声と鉛筆とチョークの音のみ。
保護者が引くくらいみんな集中していました。
でも葉月だって負けません!!お姉さま葉月のがんばりを見ていてくださいっ!!!




side out




授業参観も終わり葉月ちゃんをつれ三人で帰っている。


「お姉さま、今日はどうだったですか?」

「うんすごかったよ。葉月ちゃんも頑張っていたね」

そう言って葉月ちゃんの頭を撫でてあげる。
本当にすごかった…。あの空気は小学生が纏う物じゃない。
有名大学に二回落ち「次落ちたら実家の農業を次ぐこと」と親と約束させられた浪人生なみの勉強への取り組みだった。
しかもそれがクラス全員なんて…。

「えへへ…」

それでも頑張ったことには変わりないし…

「葉月ちゃん。今日頑張ったご褒美に何か欲しい物はありますか?」

「それなら、家に帰るまで手を繋いで欲しいのです。」

なんて可愛いんだろう。この娘は。

「それくらいいくらでもいいですよ。」

そう言って手を握ってあげる。葉月ちゃんの手はとても小さかった。

「えへへ…、お姉さまの手暖かいです」

そうして僕たちは家に向かった。
その間葉月ちゃんのお願い通り手は一度も離れることはなかった…






あとがき

更新が遅くなりました。
ネタが思い浮かばず本編を進めることが出来ませんでした。




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