日本の中古車“全面禁輸”か 干上がる露住民
6月28日21時43分配信 産経新聞
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| 大量の日本の中古車が売買されている青空市場。住民らは9月に日本の中古車を締め出す政策が導入されるとは信じていなかった=ウララジオストク(佐藤貴生撮影)(写真:産経新聞) |
ウラジオストクの街中を行き交う車は右ハンドルの日本車がほとんどで、日本語で企業名が書かれた車も目につく。右側通行であることを除けば、日本にいると錯覚するほどだ。
露太平洋艦隊の司令部がある同市では、港沿いに繁華街が広がり、急勾配(こうばい)の坂道が多い上に道路はでこぼこだ。「性能が良くて故障が少ない日本車以外、信用できない。ロシア車など乗っていられない」(タクシー運転手)といった声も聞かれる。
地元政府などによると、連邦政府が昨年1月に輸入関税を引き上げて以降、年間の中古車輸入量は90%も落ちた。そのほとんどが日本製という極東部では、月1000人規模の住民が出ていく一因になっているという。
これに加え、連邦政府は今年9月、「VINコード」と呼ばれる、17ケタの車体識別番号がない車両の通行を禁じる規則を導入する意向を示している。欧米で適用されている制度で、日本の中古車にこのコードはない。
連邦政府が日本の中古車輸入を制限するのは、販売不振で危機にひんする国産メーカーの経営を支援することが主な目的といわれる。ロイター通信などによると、昨年の国内の自動車販売は約150万台と半減し、国内最大手のアフトバスは株主であるルノーの技術支援をあおぐ。先月には上向く傾向が出てきたものの、不安は消えない。
ウラジオストク市のサプルイキン国際観光部長は、「中古車の車検は1年で切れるため、規則が導入されれば日本の中古車は遅くとも来年9月以降、街を走れなくなる。しかし、私はもちろん、この街では警察だって日本車を利用する。規則に注釈を加えるなどの対応をしたいのだが、私たちの声は遠すぎてモスクワに届かない」と頭を痛める。
日本車の締め出し政策を受け、極東部を中心にロシア各地では昨年以降、反政府デモがたびたび起きてきた。デモを組織してきたナタリア・コチュゴワさん(32)は、「私にはまだ子供がいないが、生まれたら安全な車に乗せたい。マイカーを自由に選び、安全に暮らす権利は1人ひとりにあるはずだ」と話す。
今回の問題はあくまで中古車が“標的”で、日本の自動車メーカーが直接、損害を受けているわけではないこともあり、日本政府がロシア側に行う事態改善の申し入れは勢いを欠いているようだ。
ある地元記者は「政府は国庫収入につながらない中古車ビジネスが極東に根付いていることが気に食わないのだ。何かにつけて国民を支配したがる政府のやりそうなことだ」と事態の背景を解説した。
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最終更新:6月28日21時56分
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