Mちゃんの経世済民!

2009-10-18

外貨準備高が増える仕組み -外貨準備高とは 介入〜不胎化まで

今日は外貨準備高が増える仕組みを書きたい。中国で伸びてる外貨準備高が歪みを生んでると思うんだわ、次回そっちに触れたい。今日は日本を例に解説するので、通貨は円、政府は日本国政府、中央銀行日銀だ。

まずは外貨準備高の定義というか特徴

  • 外貨準備高は主に介入(売り介入)によって増える。
  • 介入は為替マーケットに政府の中の財務省が円を売りまくる(=ドルを買いまくる)こと。
  • 外貨準備財務省が保有(日銀じゃない)している資産。と同時に借金。

というものだ。以下、外貨準備高の仕組みを流れで解説していきたい。読み終わったころには「外貨準備高の運用」というのが難しい問題だとわかるはず。

財務省による為替マーケットへの介入

日々、為替マーケットで円とドル(他通貨も)が交換されている。その交換レートが1ドル=ナントカ円って日々のニュースになるわけだ。ところが何らかの理由で急激に円高が起こることがある。円高というのはマーケットで円が買われて、ドルが売られると起こる。そしてこの流れが止まらなくなった時の一つの打ち手が政府による介入だ。

政府が市場の流れの逆の取引、つまりドルを買って、円を売ることで円高の歯止めをかけるのが介入だ。まず政府は円をマーケットで売る。そうすることで円高の流れを断ち切る。政府は円を売ってる訳だから当然ドルが入ってくることになる。そしてその分の円が市場にばら撒かれることになる。

f:id:Mchan:20091019031500j:image

資金は日銀から調達してるんですよ

さて、上の話で疑問になるのは、政府の介入するカネがどこからきてるんだろう?という話だ。答えは介入に際して財務省は「政府短期証券」という証券を刷って、日銀に引き取らせる。つまり緊急時だから国債発行して日銀に買わせてるってイメージだ。日銀はその短期証券を買う、財務省には刷りたての円が届く。財務省はこの円をマーケットで売る(ドルを買う)訳だ。

つまりまとめると財務省証券発行、日銀が買う、財務省に円が届く、財務省がマーケットでドルを買う(円を売る)、円安になるという流れ。

f:id:Mchan:20091019031501j:image

不胎化も忘れちゃだめだよ

さあ、もう円高も落ち着いたし一件落着、ではない。今までの流れは日銀が新たに円を発行して、それがそのままマーケットに流されることを意味している。為替介入って1か月で数十兆円規模で行うこともあるので、世間に出まわるお金の量が多くなりインフレになってしまう恐れがあるのだ。だからこの溢れたお金をどうにかしなきゃいけない。そこで日銀の登場だ。

日銀はここで売りオペをする。ようは日銀の保有している国債をマーケットで売り*1国債を買う人は円を日銀に払う、日銀に円が入るって寸法だ。これをやるとアラ不思議、無事円が日銀に回収されて世間に出まわるお金の量は介入前と同じになる。無事インフレ懸念は解決された。この作業を不胎化と呼ぶ。蛇足だけどデフレで困った時はあえてこの作業をやらないで世間に出まわるお金を増やす方法を非不胎化という。すごいよね、二重否定かよみたいな。

f:id:Mchan:20091019031502j:image

外貨準備の運用方法

以上が外貨準備高の増える仕組み。で、ちょっと前に話題になってたけど「余った外貨準備高を運用しよう」って話があった。これは、今までは介入で財務省に入ってきたドルは主にアメリカ国債を買っていた(別に放置してたわけじゃなくてちゃんと「米国債で運用」していたということ)。これを米国債じゃなくてもっとリスクをとって(効率的な)投資をしようって話だ。ちなみに今の日本の外貨準備高って1兆ドルあって、そのうち6-7割(←未確認)をアメリカ国債で運用している。もちろん、そんなのアメリカ様が許さないとか、日本がアメリカ国債を売った瞬間米国債の信用がガタ落ちするとか、そもそも財務省証券で借金してるんだから損する可能性のある投資はダメだとか、色々な問題がある。

さて、この議論は新しく1本エントリーが書けるからまた今度*2。今日は外貨準備の解説でした。

次回は中国の話を予定しています。不胎化がうまくいってないとか、2006年の1兆ドルからもう2兆ドルになってる(米国債買いまくり)こととか、すごいっすよ、この国。

*1:為替マーケットで売るわけではないので矢印を微妙なトコにしておいた。

*2:すみません、実は自分の中でまだはっきり決めてません。

^shige^^shige^ 2009/10/20 17:51 遅レスだけども外貨準備の米国債の
紐付き日本国債を発行しているという話も
聞いたことがあるんだけどもどうなんだろ。

つまり米国債を担保に日本国債を発行というやつ。
中国ではこれが外貨準備以上に積み上がっているという話だけども
果たして…。

MchanMchan 2009/10/21 06:33 ひも付きの話というのは初めて聞きました。
ちょっと意味がわからんのですがどういうことなんでしょう
日本国債の低金利には米国債の信用力が含まれているってことですか?

^shige^^shige^ 2009/10/21 12:12 私もちょろっと見ただけなんで詳しくはわからないのですが
『米国債でもらう利息で日本国債の利息を分を払う』と
認識していました。

だからMさんの認識している米国債の信用力が含まれている
というものとほぼ合っていると思います。

だから、米国債一兆ドルといっても実際全部売れるわけじゃないみたいですよ。

そう考えると実際どの程度、日本国にキャッシュフローがあるかは
怪しいのですよね。
まぁ、完全に公開してしまったらマーケットが混乱するので
もはや公表できないという可能性がありますが。

あと、私も詳しくはわからないのですが
日銀の円売り介入用の国債ってマネーサプライで決まっているらしく
どうも現在の状況だともうこれ以上刷るとインフレになる可能性があるので
ドル買い介入自体できないという話らしいですね。

ここら辺は私も勉強が必要ですね。

MchanMchan 2009/10/23 18:30 「米国債でもらう利息で日本国債の利息分を払う」というのは
システムの話ではなくて、認識論な感じなんですかね。

>日銀の円売り介入用の国債ってマネーサプライで決まっているらしく
>どうも現在の状況だともうこれ以上刷るとインフレになる可能性があるので
>ドル買い介入自体できないという話らしいですね。

ほうほう、調べがいがありそうなネタです。
感じとしては政府から介入するからカネくれ!といわれた日銀が為替証券引受けを断れるような力はないと思います。
ただ、財務省の何人かの財務官の話を聞く機会があったんですが、
そもそも為替介入自体の効果にあまり信用を置いてない感じでした。少なくとも各国と協調せずに日本だけでやるというのはありえない、と僕は受け取りましたw

NejimakiNejimaki 2009/10/26 01:10 >「米国債でもらう利息で日本国債の利息分を払う」というのは
>システムの話ではなくて、認識論な感じなんですかね。

懐に入ってしまえば同じなので
認識論なのかな?

その辺もよくわかってないのですよね。

>感じとしては政府から介入するからカネくれ!といわれた日銀が
>為替証券引受けを断れるような力はないと思います。
>ただ、財務省の何人かの財務官の話を聞く機会があったんです
>が、そもそも為替介入自体の効果にあまり信用を置いてない感じ
>でした。少なくとも各国と協調せずに日本だけでやるというのは
>ありえない、と僕は受け取りましたw

介入は日銀の専任事項(つまり事務的な売買をするという意味)ですけど
やるのは政府なので資金を調達してくるのは財務省なはずです。
だからその辺は関係ないと気が。


結局はネットの収支がすべてなので
効果ないとは一時的なものだと思います。
じんわりじんわり効いて来るのというのが私の認識です。


貴重な情報ありがとうございます。
確かに、協調介入しかありえないのでしょうが
協調介入で止まらないときはどうするのだろうというのが
私の最近の考えです。

何気に米国が介入して失敗したことは『一度も無い』のですよね。
しかし、ここまで米ドルを刷ってしまうと
介入で『投機家』を黙らせても実需のドル売りが出てくると
止まらないと思うのですよね。

そのときの様子をシミュレーションしているのですが
どうなるか創造つかないですね。

本石町日記本石町日記 2009/10/27 01:02 初めまして。twitter経由でこちらにたどり着きました。
ちなみに、日銀は介入原資となるFB(短期国債証券)の引き受けは何年も前に止めており、原則としてFBは市中公募となっております。また、不胎化は一時的な資金需給の振れを均す上での瞬間的なもので、最終的には外為特会が発行するFBで吸収されてしまいます。
つまり、(円売り・ドル買い)介入は外為特会上、負債(FB)側と資産(大半は米国債)が両建てで増大していくだけの話、ということになります。

MchanMchan 2009/10/27 04:42 >しげさん

>何気に米国が介入して失敗したことは『一度も無い』のですよね。
ほへー、そうなんですか、さすがという感じですな。

しかし円もドルも全く今後が想像付きませんね。
どっちが早く国債崩壊するんでしょうか。。。


>本石町日記さん
日銀ウォッチャーこと本石町日記さんから直々にコメントありがとうございます。ブログ読んでます!
「何年も前に」市中公募になってたんですね。間違った情報流してしまいました。訂正か表示しておきます。
どうもありがとうございます!

(日銀の入試を作っている某大教授の昨年の講義をベースにエントリーを書いたのですが、Y先生これで大丈夫なんでしょうか!心配です!!)

^shige^^shige^ 2009/10/27 14:00 いろいろと勉強になります。

アメリカの介入に金額って日本が投じたお金の1/100ぐらいなんですよね。
だから、やっぱり基軸通貨というのはすごい!

最終的にはニクソンショックじゃないですけれども
基軸通貨国はルールを変えてしまいますからね!
だから相場もアメリカの言うことには素直に従うということだと思います。

だからアメリカの介入が効かない=覇権国ではないということ
なのでしょう。

どうでもいい話ですけどもtwitterすごいですなぁ。

ホリエモンから突っ込まれたり
勝間女子からDMとかw

あと有名ブロガーまでコメントもらえるとは!

このままMさんも順調に情報発信者になってくださいw

MchanMchan 2009/10/27 23:48 >アメリカの介入に金額って日本が投じたお金の1/100ぐらいなんですよね
うほ、それはすごい、たしかにルールを変えた前科もありますね

Twitterですが、情報収集の玄関としての機能とコミュニケーションのツールとしてめっちゃすぐれてますね。
自分の場合何も考えずすぐRTとかリプライしてしまうんで、それがいいのかもしれません。

アメーバが自社ブログ参加の芸能人を巻き込んでツイッターのようなサービスを始めるそうなんですが、
ツイッターの距離感でコミュニケーションできるのであれば芸能人好きな人は絶対ハマるとおもいます。

Brassica oleraceaBrassica oleracea 2010/04/26 05:05 要するに、日本国政府が市中で借金して、アメリカに貸してあげてるってことですねw

何で(外貨準備高)100兆円(内、米国債70兆円)も積み上げちゃったんでしょうw いくら資産といってもね、どうせ、ドル売り介入のときにしか使えない金ですw 利子はドル建てで、外貨準備が更に増えるだけだしwww
 
同時に、負債である100兆に対する利払い費は毎年1兆円とかなるんでしょうけど、これは税金負担、もしくは、更なる借金で充当してるわけですからねw 本当に悪い冗談ですwww

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証