愛知県岡崎市のNTT局内で、NTT西日本(大阪市)の依頼で工事をしていた作業員が、顧客の電話回線を1時間40分にわたって不正に使い、通話したことがわかった。電話料金を疑問に思った顧客が気づき、発覚。NTT西は顧客に謝罪し、代金の請求を取り消した。
内部の関係者による顧客の電話回線の不正使用が発覚したのは初めて。こうした不正をチェックする仕組みは用意されておらず、NTT西は「過去になかったとは言い切れない」と説明している。
不正使用は3月26日、岡崎市のNTT岡崎ビル1階機械室で、市内の顧客の電話線を集めた配線盤という装置での作業中、業務上の通話をする際に行われた。
NTT西は社内連絡専用の電話回線を作業場所まで引き回して使うことを内規で義務付けている。しかし、社内用の回線が作業場所から約20メートル離れていたため、作業員は近くにあった一般回線に持参した電話機をつないで通話した。この回線は同県春日井市の経営者男性が所有する転送電話回線だった。
経営者男性は、この数年ほぼ利用のなかった回線で1カ月に1018円も通話料を請求され、不正に気づいた。NTT西は男性に謝罪し、回線の契約開始から現在まで16年分の通話料計3万3559円の返金を申し出ている。
問題発覚後、NTT西は愛知県内で同様の工事経験がある作業員約200人に聞き取り調査をしたが、いずれも過去に今回のような不正の経験はない、と答えたという。
同社は「お客様に申し訳ない。再発防止を徹底する」としている。(神田大介)