中日新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 暮らし・健康 > 暮らし一覧 > 記事

ここから本文

【暮らし】

“医療を知る”ために 診療明細書 病院で発行義務化スタート

2010年4月8日

写真

 ほとんどの病院で新年度から、原則すべての患者への診療明細書の無料発行が始まった。「患者が医療を知る手掛かりに」と、発行が義務化された明細書だが、そこに並ぶ専門用語の多さに戸惑う人も多いだろう。想定されるモデルケースから、明細書の見方を学んでみよう。 (佐橋大)

 昨年、心筋梗塞(こうそく)の手術を受けたAさんは、経過を診てもらうため、定期的に病院(百床以上二百床未満)に通っている。今月初めにも受診。医師に血圧を測ってもらい、体調の変化がないかなどを聞かれ、再発を予防する食事の注意点など助言を受けた。血を固まりにくくする薬などの処方せんをもらい、会計を済ませた。領収書に加え、もらったのが、より詳しく医療費の内訳が書かれた明細書だ。

 【再診料】

 その一番上に書いてあったのが「再診料」。その右に「69点」とある。1点は十円。再診料は六百九十円ということを示している。時間外の受診などでは割増料金になる。二百床以上の病院では、再診料でなく、「外来診療料」(70点)が請求される。

 【外来管理加算】

 再診料の下に「外来管理加算」(52点)と書かれている。これは、医師が病状や療養上の注意などを患者に説明し、疑問や不安を解消することへの報酬。医者にかかる際の基本的な料金だが、リハビリや傷の処置をしてもらったとき、二百床以上の病院を受診した場合などには請求されない。

 四月からは、この「外来管理加算」のルールが変わった。医師が五分を超えて直接診察しないと、加算を求めてはいけないというそれまでの「五分間ルール」が四月からの報酬改定で廃止。五分以下の診察でも、加算が請求されるようになった。半面、厚生労働省は、今回の改定で、加算の対象にならない事例として、「お薬受診」を挙げた。忙しさなどを理由に薬だけを希望する患者に、簡単な症状の確認だけで、これまでと同じ薬を続けて処方する場合を指す。「お薬受診」は、病状の変化を見落としがちとの指摘もある。

 電話で治療上の意見を求め、指示を受ける「電話再診」の場合や、家族らを通じて患者の症状を伝え、薬を処方してもらう場合は、今まで通り加算は求められない。

 【特定疾患療養管理料】

 Aさんの場合、医学管理料の一つ「特定疾患療養管理料」も請求されていた。これは、心臓病のほか、糖尿病や脳血管疾患、ぜんそくなど、治療が長くなる病気の患者に対し医師が療養上の管理、指導をすることに支払われる報酬だ。

 外来管理加算と同じく、二百床以上の病院では支払う必要はない。外来管理加算と違って、初診から一カ月間は請求されない。請求は月二回が上限。百床〜百九十九床の病院は87点、百床未満の病院は147点、診療所は225点と、受診する医療機関で点数は大きく異なる。

 一方、診療所の約半数は、健康保険組合への医療費の請求書、診療報酬明細書(レセプト)を電子化している。これらの診療所でも、七月から無料で明細書を発行しなければならない。

 ただしこの場合は、無料といっても、「明細書発行体制等加算」(1点)が新たに再診料に上乗せされる。「明細書の発行料」でなく、明細書を発行する体制づくりの代価なので、患者が明細書の発行を断っても、加算される。

 このほかにもさまざまなルールがある。詳しくは、厚労省のホームページで。

 

この記事を印刷する

中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ